【SEO成熟度#2】SEOを実践する組織の成熟度、あなたの組織は今どのステージ?(中編)
クライアントのSEOに関する成熟度曲線について学んでいるこの記事は、前中後編の3回に分けてお届けしている。 →まず前編を読んでおく
前編では、テクニカルなSEO能力の成熟度モデルを見てきた。いま組織がどういう状態かを把握し、前進していく方法を考えるために必要なツールだ。中編となる今回は、クライアントがSEO施策をうまく実践できる組織かを判定する方法を見ていこう。
組織のSEO実践の成熟度は?
SEO施策を実施するうえで本当に難しいのは、次の4つの問題であることが多い:
- 組織
- 人間
- 連携
- プロセス
組織の検索対策における成熟度を評価すると、成果を手にするためには、まず組織の内部でなにを解決する必要があるのかがわかるだろう。これに前編に取り上げたテクニカルな能力成熟度を組み合わせると、組織の力になるための強力な知識とツールが手に入る。
掘り下げる前に、重要な注意点が1つある。この成熟度モデルでは、組織における次の2つが非常に重視されている:
- 採用
- プロセス
しかし、これらの要素が「実際に頭を使って考えること」よりも重要だと言いたいわけではない。抜きんでた検索プログラムの実践に精密な思考と厳しい選択が必要なことに変わりはない。多くの場合、これまでなかった、それゆえに正式なプロセスというものがない、まったく新しい問題を解く必要がある。
組織における実践的SEOの成熟度判定基準
SEOの成功に寄与するいくつかの重要な判定基準で組織を判定する。
プロセス、ポリシー、手続き:
オーガニック検索を取り入れるための文書化された反復可能なプロセスがあり、継続的に改良されているだろうか。マーケティングの取り組みにオーガニック検索を取り入れることが組織のポリシーになっているか。
これは、オーガニック検索をマーケティングの取り組みに含むプロセスが、明確な一連のアクションや手順として定められており、そこにオーガニック検索戦略の策定とSEO戦術の実施の両方が含まれているか、ということでもある。
人材と連携:
組織内、あるいはサービスプロバイダーの範囲内に必要な人材がいるかだ。人材にはSEOの専門家のほか「開発者」「データアナリスト」「コピーライター」など、オーガニック検索対策を成功させるために必要なサポートスタッフも入ってくるだろう。人材は、独立してばらばらに働いているケースと、協力して一体的に動いている場合とがありえる。
知識と学習:
検索は絶えず進化する分野なので、組織に「検索の知識があり」「常に学習しているか」が問題だ。ここに含まれるのは、オーガニック検索の戦略と戦術における次のようなものだ:
- 既存の知識
- 過去の経験
- トレーニング
- 学び続ける姿勢
ほかにも次のことが大切だ:
- トレーニングを受ける意欲
- カンファレンスへの出席
- 教材の定期的な学習
- 業界のニュースやトレンドに通じている
資金力、体力、能力:
オーガニック検索プログラムを優先して、適切な予算を割り当てているだろうか。「資金力、体力、能力」には、次のようなことが入るのではないだろうか:
- 精査されて予算や契約に入っていること
- 適切な予算が割り当てられていること
- 適切な人的資源が割り当てられていること
- 競争的需要に比べると完了する体力があること
- 競争的需要と比べると検索対策が優先されていること
- など
計画と準備:
オーガニック検索はビジネスの目標、ブランドの目標、キャンペーンの目標に沿ったものになっているだろうか。オーガニック検索は事前に計画されているか、それともビジネスの計画にはまったく取り込まれていないのか。
この基準では、オーガニック検索の取り組みがブランドのマーケティングの取り組みに取り入れられる頻度を評価する。また、事後対応の後知恵ではなく、先を見越して事前に計画されている頻度も測定する。「全体像」に沿っている場合があれば、乖離しているケースもあるだろう。
組織における実践的SEOの成熟度のステージ
こうした基準によって組織におけるSEO実践の成熟度を5つのステージに分けると次のようになる:
ステージ1: 駆け出し&場当たり
このステージにある組織に、次のような傾向が見られる:
- 組織による検索対策がない
- 定まっていない
- 野放しである
まれに小規模なSEOの取り組みがあるものの、次のようなことが多い:
- 完全に場当たり的
- 気まぐれなもの
- よくても事後的に実施される
- 目標志向はまったくない
SEOはあっても大きな目標から乖離しており、組織内のほかの活動とのつながりがない。検索対策に初めて取り組んだばかりなのだろう。
ステージ2: 反復可能だが事後対応
このステージの組織は、少なくとも基本的な検索対策は実施しているものの、しっかり活用しているわけでも徹底しているわけでもない。次のような傾向が見られるが、頑張ってはいる:
- 事後対応であり、プロジェクト実施中の一時的なもの
- 事前に計画されることはまれで多くの場合、後からSEOを適用する
- 実施するのはその時になってようやく
- 最高に優れた検索対策をするには手遅れになってから
SEOの取り組みが目標につながることがあるかもしれないが、大きなビジネス目標に結びつく可能性は低い(筆者の場合、大半のクライアントとの関係がここから始まる)。
ステージ3: 定義されている&理解されている
このステージの組織はプロセスの文書化をすでに始めており、検索分野を十分に理解していて必要なスキルもある。加えて、次のような傾向が見られる:
- 検索対策のベストプラクティスのための最低基準があり、プロセスができつつある。
- 組織の内外で多くの人が検索の重要性を理解しており、検索対策に取り組みつつある。
- 組織の目標とプロセスに沿った明確な検索戦略がある。
- プロジェクトを稼働させる前に、先を見越した検索の準備と計画がなされている。
ステージ4: 管理されている&能力がある
このステージの組織は、先を見越して予測した検索対策を実施している。加えて、次のような傾向が見られる:
- 成果とプロセスに品質重視の規則がある
- ミスは迅速に検出して修正できる
- 「連携」「実施」「監督」のプロセスを明確に定義しているが、柔軟性も確保しておりある程度までは質を犠牲にせずに対応できる。
- 検索対策を「日常」の一部だと考えている。
ステージ5: 効率的&最適化
このステージの組織は、検索対策に熟練し、効果的な実施をポリシーにしている。次のような傾向が見られる:
- 組織間の連携がある
- 先を見越した取り組みで検索対策のパフォーマンスを強化している
- プロセスは漸進的変化と変革を通じて常に改善している
- プロセスと実施の見直しと分析により最適化を続けている
- 市場をリードしている
- 新しいことに取り組んでいる
3回に分けてお届けしているこの記事も、次回が最終回となる。後編では、前編と中編で説明した成熟度を実際に判定するためのスコアカードを紹介し、その調査結果をどのように活用するかを説明する。
ソーシャルもやってます!