国内&海外SEO情報ウォッチ 「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、日本と海外の検索マーケティング情報をさらっとまとめて毎週金曜日にお届け。
海外&国内SEO情報ウォッチ

【悲劇】CV貢献してない記事ページを整理 → ECサイト全体の売上が減少【ありがち】【SEO情報まとめ】

あるECサイトで、売上に貢献していないと判断された情報提供コンテンツを削除したら、トップページやカテゴリページの検索順位までもが下がり、結果として売上にも影響が出てしまった!

ページ

ある企業に起きた悲劇から学ぶ、EC売上貢献の正しい判断の仕方とは?

あるECサイトで、売上に貢献していないと判断された情報提供コンテンツを削除したら、トップページやカテゴリページの検索順位までもが下がり、結果として売上にも影響が出てしまった! SEO的な原因から、ビジネス価値貢献はどう判断するべきなのかを考察。

ほかにも、レスポンシブデザインの落とし穴、PDFリンクでのグーグル公式見解の食い違い、URLの長さと検索ランキングなどなどなど、SEOの話題を今週もまとめてお届けする。

前回のこのコーナーで解説した「強調スニペットに採用されたらヤフーSEOに大ダメージ」の続報も、筆者ブログから記事としてフォローしている。

  • そのレスポンシブ ウェブ デザイン、SEO的にヤバいかも。MFI対応で忘れがちな落とし穴
  • PDF内のリンクをグーグルはランキング要因に使う? 使わない?
  • 同じキーワードで2つのページの上位表示を狙うのはテクニックとしてアリ? ナシ?
  • 手動のURL送信に頼ってインデックスさせているなら、サイト改善の必要あり
  • URLの長さはランキング要因ではない。でも短いほうがいい?
  • SEO通なら知っている、unavailable_after タグ
  • 転ばぬ先の杖? これから張られるかもしれないスパムリンクを先に否認しておくのはアリ?
  • 混合コンテンツのダウンロードをChromeが段階的にブロック
  • 2020年第1回のオフィスアワー――サジェスト不正操作、data-nosnippet属性、中古ドメイン名など
  • ヤフー検索で消滅していた強調スニペットが通常の検索結果として復活する
  • Google、データセット検索を正式公開。Dataset構造化データでインデックス対象に

今週のピックアップ

【悲劇】CV貢献してない記事ページを整理 → ECサイト全体の売上が減少【ありがち】
リンク資産を失ったことが理由か? (Search Engine Land) 海外情報

コンバージョンに貢献していない情報提供コンテンツには価値がありません。記事系ページのCV貢献状況を洗い出して、価値の低いページは整理しましょう。

そのうえで、売上に貢献できるコンテンツを強化していきましょう。

人手も限られているので、施策を取捨選択して、何にフォーカスするか優先度を決めて進めることが大切です。

こんな会話があったのかどうかはわからないが、あるECサイトで、売上に貢献していないと判断される情報提供系のコンテンツを削除した。

すると、サイト全体の検索トラフィックが減少(トップページやカテゴリページも)し、EC売上に影響がでるという悲劇がおきてしまった。

そんな事例が、Search Engine Land(サーチエンジン ランド)に公開された。

これは、数年にわたって順調に検索トラフィックを伸ばし続けていたECサイトでのできごと。このサイトは、ビジネス上の理由から別のECサイトに統合することが決まったのだという。

そして統合の際に、販売ページではない情報提供のためのコンテンツページをすべて削除した(削除されたURLへのアクセスはトップページにリダイレクト)。

すると、そのECサイトは全体の3分の1の検索トラフィックを失ってしまったのだという。

検索トラフィックが減ったのは、削除したページだけでなく、サイト全体だ。トップページやカテゴリページでも、それまで1位表示していた商用キーワードのほとんどで検索トラフィックを失ってしまったのだ。

コンテンツページ自体は直接的にも間接的にも売上には貢献していなかった(売上全体のわずか数%の影響)。しかし、トップページやカテゴリページへの検索トラフィックが失われてしまえば、売上全体にも響いてしまうのは当然だ。

※筆者注: 売上への影響に関しては元記事には言及がないが、主要ページへのトラフィックが激減したので悪影響が出ただろうと推測できる

なぜ、こんな悲劇がおきてしまったのだろうか?

EC売上 = 訪問数 × CV率 × CV単価

これが極限に単純化したEC売上の方程式だ。このなかで「訪問数」の部分に意識がいっていなかったことが原因だと思われる。

上記「訪問数」のなかで検索トラフィックが多い場合、その検索トラフィックを支えているサイト全体での

  • オーソリティ
  • 関連性のあるコンテンツ
  • リンク

といった要因に変化があれば、訪問数に影響があり、結果として売上に反映されてもおかしくない。

この事例では、どうやらリンクが絡んでいるのではないかと推測される。

削除したコンテンツページは、たくさんのリンクを外部サイトから獲得していた。サイト内で最も多く外部リンクを集めていたトップ10のページのなかで5ページはコンテンツページであった。またコンテンツページの記事中からは関連ページへ内部リンクも張られていた。

ここで、鉄板のグーグルSEOを考えてみよう:

ニーズやペインに応えるコンテンツを作り、外部サイトからリンクしてもらう。

外部サイトからの被リンクでPageRankが集まる。

内部リンクをうまく使って、集まったPageRankをサイト内の別ページへ渡す。

SEOの観点でリンクについて語られることは減ってきたが、リンクが依然として重要なランキング要因であることは確かだ。

このECサイトは、コンテンツページを全削除したせいで重要な検索ランキング要因であるリンク資産を捨ててしまったと考えられる(削除したコンテンツページをトップページにリダイレクトしているが、これは通常ソフト404扱いされ、評価に影響しなくなってしまう)。

さらに言えば、コンテンツ削除で失ってしまったものはリンクだけではないかもしれない。情報提供ページで扱っていたトピックとの関連性やオーソリティといった評価が失われたことも関係するかもしれない。

この事例にはさらに続きがある。

コンテンツを削除し検索ランキングが下がってから3週間後にコンテンツを元に戻した。すると、それから3週間程度で、いったん消えてしまっていた商用キーワードでのランキングが回復したのだ。

一例に過ぎないのだが、この事例から次のような結論を導き出せるかもしれない。

  • (数字上は)直接的にも間接的にも役立っていないように見えるECサイトの情報提供型コンテンツでも、上位表示に寄与しうる
  • 被リンクや内部リンクは、依然として上位表示に重要なランキング要因である
  • つまり、リンクが集まる有益なコンテンツはECサイトにも必要

ECサイトにおいては、売上に直接貢献していないように見える情報提供コンテンツでも、実は検索順位アップという役割で全体の売上向上に寄与している可能性がある。

特に、CVユーザーの獲得に検索チャネルの比率が一定以上あるのならば、その上位表示が何をもってなされているのかを把握して、ECサイト全体で進める施策を検討していくことは重要だろう。

★★★★★
  • すべてのWeb担当者 必見!

グーグル検索SEO情報

そのレスポンシブ ウェブ デザイン、SEO的にヤバいかも。MFI対応で忘れがちな落とし穴
重要コンテンツはスマホページでも目立つように配置 (John Mueller on Twitter) 海外情報

今や主流のレスポンシブ ウェブ デザイン(RWD)にしておけば、モバイル ファースト インデックス(MFI)対応は問題ない。スマホデバイスにもPCデバイスにも同じコンテンツを提供するので、差異は発生しないからだ。

しかし、MFIで問題ないのは「インデックス」だけ。「検索ランキング」でも問題ないとは限らない。スマホでのコンテンツの見せ方が極端に違う場合、もっと言えば、スマホでの見せ方が悪い場合は、検索ランキングに影響する場合があるようだ。

一例として、グーグルのジョン・ミューラー氏が「画像の見せ方」を挙げている(ツイートをもとに編集部でわかりやすく編集)。

PC向けページで画像が非常に目立つように掲載されていたとしたら、画像検索ではすばらしいランディングページとして認識されるかもしれない。

ところがスマホ向けページではその画像がむしろ補足的な位置付けだったとしたら、画像検索のランディングページとしては同じ画像でもPC版ほどには役に立たないものになってしまだろう。

たとえば、次のような場合は、画像検索に影響があるかもしれない:

  • 画像がとても小さい
  • 画像がフッターやサイトバーに置かれている

たとえレスポンシブ ウェブ デザインであったとしても主要で重要なコンテンツはモバイル向けページでもはっきりと認識できるようにしておくことが大切だ。

ここでいう「主要で重要なコンテンツ」は、企業側の観点と、検索ユーザー側の観点との両方があることにも注意しておきたい。検索ユーザーにとって大切な情報は、必ずしも企業の考える「製品の特長」「価格」といった情報だけだとは限らない。

★★★★☆
  • すべてのWeb担当者 必見!

PDF内のリンクをグーグルはランキング要因に使う? 使わない?
2人のグーグル社員の相反する説明 (Search Engine Roundtable) 海外情報

PDF内のリンクをグーグルは評価対象にするのだろうか?

実はグーグルからの説明で、相反するものがある。

1つ目は「PDF内のリンクは評価しない」というもの。

ジョン・ミューラー氏はオフィスアワーで次のように述べた

PDFのリンクは、本質的にはnofollowリンクと同じようなものだ。グーグルは、リンクがあることを認識しリンク先を知ることはできるが、ランキングに関わるシグナルは転送しない。

純粋なSEOの観点からは、PDFからリンクが張られていてもそれが利点になるかどうかは疑問だ。

ミューラー氏によれば、PDFから張られたリンクはランキングには影響しないとのことである。

2つ目は「PDF内のリンクは評価する」というもの。

2011年に、検索におけるPDFの扱いをウェブマスター向け公式ブログでグーグルが解説した記事には次のように書かれていた。

質問: PDF 文書内のリンクはどのように取り扱われるのですか?

答え: 一般に、PDF ファイル内のリンクは HTML 内のリンクと同じように扱われます。つまり、リンクから PageRank をはじめとするインデックス登録のシグナルが渡されるので、Google は、その PDF ファイルをクロールしたのち、リンクをフォローできるようになります。現在のところ、PDF ファイル内のリンクに対しては nofollow 属性は設定できません。

PDF内のリンクは通常のリンクと同じように扱われ、ランキングシグナルを渡すとのことだった。この記事は、ミューラー氏の同僚であるゲイリー・イリェーシュ氏が書いたものだ。

ミューラー氏とイリェーシュ氏のどちらが正しいのだろうか? 公式記事は9年近く前のものだからその後扱い方に変更があったのだろうか?

結論から言うと、「PDF内のリンクは評価する」と考えておくのが正しいようだ。

「評価しない」と答えたミューラー氏は、この件に関して次のようにコメントしている。

ゲイリーが今でも正しいように思う。彼の言うことはたいてい正しい。

イリェーシュがブログ記事に書いていたとおり、PDF内のリンクは依然として評価対象になるようだ。

★★☆☆☆
  • ホントにSEOを極めたい人だけ

同じキーワードで2つのページの上位表示を狙うのはテクニックとしてアリ? ナシ?
ページを増やすのは競合に塩を送るだけ (John Mueller on Twitter) 海外情報

グーグルのジョン・ミューラー氏に、ツイッターでフォロワーが次のように質問した。

同じキーワードで、サイト内の異なるURLの2つのページで上位表示を狙っているサイトがあります。これは倫理的に問題ないのですか?

ミューラー氏はこのようにコメントした。

URLをたくさん作りすぎると、サイトが希薄になって、競合を有利にしてしまうね。

ミューラー氏はもともとの「倫理的な」面には触れていないが、その回答は「特定の検索に対しては、1つのサイトでは1つのURLに集中すべき」というものだ。流れとしては、

  1. むやみやたらにページを増やす
  2. 個々のページに費やす労力が分散する
  3. 本当にすばらしいコンテンツやユーザー体験を各ページで満足に提供しきれなくなる
  4. 検索エンジンからみても各ページが検索ニーズを満たすかの評価が下がる

自社にメリットはなく、競合サイトを手助けすることになるだろうというわけだ。

「トピックを分けて詳細ページを大量に作る」よりも「少数のページにさまざまな情報を盛り込んでいく」方が望ましいとミューラー氏はアドバイスしたこともある。これに通じる部分があるようにも思う。

類似したトピックで複数のページを公開すること自体には問題があるとは思わない。しかし、まずは1つのページをしっかりと作り込むことが成果につながりやすいはずだ。加えて、特に競争が激しいクエリでは2つのページをそう簡単には上位表示できないであろう。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

手動のURL送信に頼ってインデックスさせているなら、サイト改善の必要あり
URL送信なしでも普通はクロール、インデックスされる (John Mueller on Twitter) 海外情報

Search Consoleの[URL検査]ツールで[インデックス登録をリクエスト]を使ってURLを送信しインデックスを何度も試みているサイト管理者を、グーグルのジョン・ミューラー氏が次のように諭した。

通常のコンテンツに対して手動でのインデックス送信に頼っているとしたら、サイトを大幅に改善する必要がある。Search Consoleはサイトを改善してはくれない。あなたが自分で改善する必要がある。

URL送信機能は、コンテンツを修正しそれを速やかに検索結果に反映させる必要が生じたときに使用するツールだ。日常的に使うツールではない。

サイトマップを送信していれば、新規に公開したページは正常にクロール・インデックスされるものだ。更新したページに対してはlastmodをサイトマップに追加すれば優先的に再クロールしてもらえる。

もし「Search Consoleから手動でURLを送信しないと、クロールもインデックスもされない」という状況なのであれば、グーグルがそのサイトを

そのサイトのURLはすぐにクロールする必要がない、インデックスする価値がない。

とみなしている可能性がある(これはサイト全体だけではなくディレクトリ単位で発生することもある)。

URLを手動で送信しないとインデックスに時間がかかるのであれば、

  • インデックス済みページから新規ページにたどり着く間のページをrobots.txtでブロックしている
  • ページの読み込み時間が遅い
  • コンテンツの品質が低い

といったクロール・インデックスの技術的問題やコンテンツの品質改善に、まずは取り組まなければならないだろう。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
用語集
CSS / Google Webmaster Central / HTML / PageRank / SEO / SERPs / metaタグ / nofollow / robots.txt / インデックス / キャンペーン / クリック率 / クロール / コンバージョン / スニペット / ダウンロード / ディレクトリ / ドメイン名 / リンク / 外部リンク / 検索エンジン / 構造化データ / 被リンク / 訪問 / 訪問者

ページ

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

アウトリーチ
SEO用語における「アウトリーチ」は、リンク獲得のための働きかけのこと。 ...→用語集へ

連載/特集コーナーから探す

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]