上司や関係者も納得する、エントリーフォーム改善施策の提案書はコレを見て作れ!
この連載ではこれまで15回にわたり、エントリーフォームの完了率を上げるための考え方や改善ノウハウについて取り上げてきました。
今回は連載の「おまけ」として、これから新たにエントリーフォーム改善に取り組もうというWeb担当者を対象に、エントリーフォーム改善施策の提案書をどのように作成すべきか、提案書の構成や作成時のポイントを紹介します。
過去の連載は、こちら → http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2014/02/28/16995
EFO(エントリーフォーム最適化)とは?
提案書について紹介する前に、EFO(エントリーフォーム最適化)についておさらいしておきましょう。もはや言うまでもありませんが、エントリーフォーム最適化は、エントリーフォームの完了率を上げるための施策全般を指します。
- メルマガ登録フォーム
- 資料ダウンロードフォーム
- 資料請求フォーム
- メンバー登録フォーム
- イベント受付フォーム
- 予約フォーム
- アンケートフォーム
- ネットショップの購買フォーム
など、フォームは、お客さんと企業の接点となる大切な場所です。そこで、いかに迷わず、スムーズに、フォームを送信してもらえるようにするかは、非常に大切です。
集客を増やすには広告を使ったりSEOをしたりとコストがかかりますが、今あるフォームをEFOで改善すれば、コストをかけて集客を増やさなくても、問い合わせや申し込みを増やせるのです。
では、どうすればフォームを改善できるのでしょうか。
「エントリーフォームにアクセスしたものの、送信完了まで至らずにページを閉じる(他のページに移動してしまう)」ことを、専門用語で「離脱」と呼びます。エントリーフォームの完了率を上げるための施策は、この離脱をいかに減らすかに尽きます。
離脱を減らすためには、入力ページにアクセスしてきたユーザーがどこで離脱したかを突き止め、そのボトルネックを解消し、より多くのユーザーに先に進んでもらうための施策を実施する必要があります。
上司がOKを出すEFO提案書の作り方
さっそく、「上司がOKを出すEFO提案書」の作り方を紹介していきます。今回の提案で大事なことは、次のような内容をしっかりと説明して、上司や関係者の問いに答えることです。
- なぜ、今のエントリーフォームのままではダメなのか?
- エントリーフォームを改善することで、どんなビジネスメリットがあるのか?
- エントリーフォームを改善するためには、どのくらいの予算と期間が必要となるのか?
提案書の全体構成は、次のようにするといいでしょう。
- 現状で抱えている課題
- 提案する目的
- フォーム解析の内容
- どんな改善策が考えられるか
- 代表的な施策15か条
- コストとスケジュール
それぞれどんな内容にすると良いか、順に説明していきます。
① 現状で抱えている課題
現状の課題は、そもそもフォームのボトルネックとなっている箇所が「わからない、見つける手段がない」という状況にあることです。まずは、その状況を上司や関係者にわかりやすいように説明しましょう。
- エントリーフォームの完了率を上げるための活動をしていない
- エントリーフォームの完了数しか集計していない
- フォームのボトルネックがどこにあるかがわからず、根拠ある施策が立てにくい
上記のようなことを記載したうえで、次のように結論付けるといいでしょう。
このため、問い合わせ数を増やす機会を損失している。
② 提案する目的
あなたは、エントリーフォームを改善し完了率を上げることで、売り上げや資料ダウンロード数、会員数などを上げたいわけですよね。ですからここでは、「なぜ、エントリーフォームの改善を提案するのか」の目的を明らかにしておきましょう。
そのためには、上司や関係者に理解してもらいやすい具体的な数値を用いて、改善を行うまでの流れを説明することです。
たとえば、弊社のEFOツールではツール自体を導入事例の平均で完了率が1.2倍改善しています。場合によっては、完了率が2~3倍に改善できた例も少なくありません。ツール導入に向けた無料セミナーなども行われていますので、そういったものに参加して基本となる情報集めを提案する前に行うといいでしょう。
ですので、たとえば次のようなことを記載するといいでしょう。
現状、月間●●件の資料請求を、月間◆◆件に増やすことで、営業がコンタクトできる見込み客の数を▲倍にする。
上司や経営層には「フォームを改善する」と言っても伝わらないと思ってください。ですから提案書では、フォームを改善することによって「ビジネスにどういう価値をもたらすか」を、数値で示すのです。
③ フォーム解析の内容
さて、提示した数値を実現するには、現状のエントリーフォームのどこに問題があるのかを見つけ、改善施策を立てて、施策を実行し、結果を見る……というPDCAサイクルを確立する必要があります。
フォームの改修は、業種や入力項目の数、種類によってもさまざまです。特に必要な施策となると、そのための根拠が必要になるでしょう。そこで、
- 現状のフォームがユーザーにどのように利用されているか
- どこにボトルネックがあるか
といったことを「見える化」することが、フォーム改善の重要な第一歩です。そのためには、次のような数値が調べる必要があります。
A. 入力ページ、確認ページ、完了ページのセッション数
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを使って、「入力ページ」「確認ページ」「完了ページ」に関して、次のような数値の現状を調べます。
フォーム完了率 ―― 「完了ページ」のセッション数を、「入力ページ」のセッション数で割ったもの
完了ページのセッション数 ÷ 入力ページのセッション数
直帰率 ―― 「入力ページ」にアクセスしたが、入力開始せずにページを閉じたセッション数を、「入力ページ」のセッション数で割ったのもの
(入力ページのセッション数 - 入力を開始した(一度でも入力項目に触った)セッション) ÷ 入力ページのセッション数
入力途中離脱率 ―― フォームへの入力を開始したがコンバージョンには至らなかったセッションの数を、入力ページのセッション数で割ったもの
(入力を開始した(一度でも入力項目に触った)セッション - 完了ページのセッション数) ÷ 入力ページのセッション数
ただし、「入力を開始した(一度でも入力項目に触った)セッション」は、通常のGoogleアナリティクス設定では測定できず、イベントトラッキングなどの仕組みを利用する必要があります。それが難しい場合は、簡易的に、次の数値で代替してもいいでしょう。
直帰率
(入力ページのセッション数 - 確認ページのセッション数) ÷ 入力ページのセッション数
入力途中離脱率
(入力ページのセッション数 - 完了ページのセッション数) ÷ 入力ページのセッション数
B. 入力ページの入力項目ごとの入力数
前項のAはフォーム全体の成績、Bは入力ページごとの成績を示しています。
Aから入力から完了に至るまでのページ移動のうち、どのページで離脱が多いかがわかるので、離脱の多い箇所の直前のページがボトルネック=改修すべき対象だとわかります。
このBからは、入力ページのどこから入力数が減るかを見ることで、ユーザーが触らなくなった入力項目がボトルネックだとわかります。
フォーム解析はどう行えばいいのか
これらの数値を調べるには、ツールを使う必要があります。その方法は、大きく分けると、次の2つに大別されます。
- Googleアナリティクスなどアクセス解析ツールを使う方法
- エントリーフォーム改善に特化したEFOツールの解析機能を使う方法
EFOツールについては、具体的なツール名についてはここでは触れませんが、前項で触れたボトルネックのあぶり出しに必要な主要数値が計測できるEFOツールを選択しましょう(主要なEFOツールはどれも計測できるはずです)。
現在、自社で利用しているツールでは十分な計測ができない場合は、こうしたツールを導入する必要があることを、提案書に記載しましょう。
④ どんな改善策が考えられるか
フォームのボトルネックがわかると、どんな施策を実施すれば改善できるのかをイメージできます。どのような改善策が現状で考えられるかを、提案書に盛り込みましょう。
- 入力ページで離脱が多い場合(③Aの「直帰率」が高い)
- 入力ページの改修を優先する。入力項目の改善に注力する
- 確認ページで離脱が多い場合(③Aの「入力途中離脱率」が高い)
- 確認ページが完了ページだと誤解されるような見た目になっていないかを再確認する
- 送信をためらうような確認ページになっていないかを再確認する
- 送信完了に進みにくい画面になっていないかを確認する
- 入力数が減る入力項目がわかる場合(③B)
- その入力項目を入力する際に、入力をためらうような要因がないかを再検討する
- 入力しやすくなるように入力欄を大きくする。入力例を表示する。入力アドバイスを表示する
ちなみに、提案書ではこれら施策を実施することを記載するのですが、大切なのは、
- これらの施策を実施する
- 一定期間後(たとえば1か月後など)に、改めて③で行ったようなフォーム解析を行う
- 施策によって効果があったかどうかを検証する
- 改善されていなければ改めて施策を検討する
- 改善されていれば別のボトルネックを発見して次の改修、検証サイクルを実施する
というように、改善のサイクルを回していくことです。
しかし、上司や関係者はそういった考えではなく「この提案書に書かれたことを1回やれば良くなる」と思っている可能性があります。そのため、「改善は、検証と施策を重ねていくものだ」ということを説明しておくといいでしょう。
⑤ 代表的な施策15か条
⑤に加え、より具体的な施策を示すために、この連載の15か条を引用して説明するとより具体性が増すはずですので、過去連載を参考にしてください。
エントリーフォーム最適化15か条
各リンクをクリックすると過去連載に飛びます。
取り組んでいないものを強調表示することで、打つべき施策があること、改善の伸びしろがあることをアピールしましょう。
⑥ コストとスケジュール
前述したように、フォーム解析の方法は、大きく分けて、アクセス解析ツールとEFOツールを使う方法があります。それぞれ現状に合わせて必要なコストとスケジュールを記載しましょう。
Googleアナリティクスの場合
Googleアナリティクス自体はすでに導入されていることを前提にしています。万が一、Googleアナリティクスを使っていないのであれば、その改修費用(アカウント作成や各HTMLへのタグ貼り作業)と期間も盛り込む必要があります。
EFOツールの場合
EFOツールの場合、期間や金額はツールによって異なります。目安として、当社EFOツールの場合の費用を紹介しておきます。初期無料、月額3万円から(2016年1月末日時点)、導入までの期間は2~3週間というところです。
いかがでしょうか。今回の記事を提案書の作成にお役立ていただき、フォーム改善活動に取り組んでください。いままでご愛読いただきまして、ありがとうございました。
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