Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

小規模企業のSEO:適切な成果測定基準を選ぼう

自分たちのSEO活動が進捗しているのかどうかは、どう判断すればいいのだろうか?
この記事はもともとSEOmozのYOUmozセクションに掲載したものですが、非常に優れているのでこちらのブログに格上げしました。

僕が小規模企業のSEOに関する記事を書いてからずいぶん経った。この辺でそろそろ、小規模企業が直面するもう1つの重要な問題に取り組むべきだろうと思う。それは、自分たちのSEO活動が進捗しているのかどうかを判断するということだ。

SEO(というかSEM)は、ユニークなマーケティング手段だ。効果を数値で測定できる、反応が早い、柔軟性があるという特徴に関して、他のマーケティング手段に勝っていると言える。まあ、僕の個人的な意見にすぎないけどね。そして、SEMが成功したかどうかを評価する僕の方法は、確かに唯一無二ではないものの、間違いなくほかとは異なっている

顧客が僕にSEOを依頼するとき最初に言うのは、例外なく検索順位がらみの話だ。

顧客:私はこれこれのキーワードで、このくらいの順位を達成したい

これはまず間違いなく、SEOサービスを提供している多くの人にとっておなじみの状況だろう。ただし、検索は必ずしも順位がすべてというわけではない。それに、検索順位は一朝一夕で成果が出るというものでもなく、達成するには時間がかかる。と同時に、SEOの成果を評価する検索順位以外の指標も必要だ。

こうした指標として機能し、使用できる可能性のある基準は数多くあり、その多くは小規模企業におけるSEMの成果を測定するのに重要な役割を果たしてくれる。あるキーワードで検索上位に食い込んで大量のビジターを獲得しても、売上にはつながらないかもしれない。その一方で、他のニッチなキーワードで高い順位を獲得すれば、トラフィックが少なくても実際の売上が伸びる可能性もあるし、言うまでもなく、目標を達成するのに要する時間を簡単に短縮できるかもしれない。

ダッシュボード

この記事の目的は、僕が独自に使っている暫定的な成功指標を2つ紹介して、現在個人的に運営しているサイト「デザイナーウォッチ」を使って顧客にどのように説明しているのかを示すことだ。成功の度合いを測定する指標(ユニークサクセス指標:USI)として僕が使用しているいくつかの簡単な測定基準を解説していこう。

  1. キーワードの多様性
  2. キーワードのカバー範囲
  3. 行動喚起

キーワードの多様性キーワードのカバー範囲は少しばかり結びつきがある。僕は過去記事「年間予算3万円で効果的にSEOをするためのシンプルなキーワード発掘戦略」で、一連の問いかけを通じてキーワードを発掘する戦略を取り上げた。その記事の冒頭部では、一連の親キーワードからロングテールのキーワードへと拡大させることに取り組んでいる。例を挙げよう。

  • 親キーワードDesigner Watches(デザイナー時計)
  • ロングテールのキーワードDesigner Watches London(デザイナー時計 ロンドン)、Cheap Designer Watches(安い デザイナー時計)、Designer watches for Sale(デザイナー時計 販売中)、Designer Watches bargains in UK(デザイナー時計 英国でバーゲン)
    ※これらが正しい組み合わせだというわけではないが、要点をつかんでほしい。

過去記事で取り上げたキーワード発掘戦略の第2段階では、これ以外のフレーズについて、ルートを増やすことに取り組んだ。今回使っている例だと、

  • Gucci Designer Watches(グッチ デザイナー時計)
  • Armani Designer Watches(アルマーニ デザイナー時計)
  • Gucci Men’s Watch(グッチ 紳士用時計)
  • Men's Rolex Wrist Watches(紳士用ロレックス腕時計)

となる。僕はたいてい、これらのキーワードを一連の「ルート」に分けることから始める。僕のサイト名「デザイナーウォッチ」は最上位の親キーワードだが、同じくらい重要な他のキーワードの組み合わせもある。今回の例で使われたのは、さまざまな時計ブランドだ。

では、キーワードの多様性とはどんなもので、キーワードのカバー範囲と何が違うのか?

  • キーワードの多様性は、単に「ルートキーワードの変種」のことで、すなわち、サイトがトラフィックを引き寄せる最もありふれた上位キーワードの集合だ。

    今回の例では、グッチやアルマーニなどさまざまなブランドを中心に変種が作られている。

    成果の測定基準:リファラーからのトラフィックに、ルート・キーワードの変種が十分に含まれているか?

  • キーワードのカバー範囲は、これらのルートキーフレーズから派生するロングテールキーワードと同じことだ。

    たとえば、

    • Cheap Gucci Watches UK(低価格 グッチ 時計 英国)
    • Gucci watches for men(グッチ 紳士用時計)
    • Gucci designer watches(グッチ デザイナー時計)

    などだ。

    成功の測定基準:リファラーからのトラフィックにおいて、ルートから派生して伸びたロングテールの大部分をカバーしているか?

Google Analytics - アルマーニのキーワード範囲
Google Analytics - グッチのキーワード範囲

行動喚起という測定基準は、僕個人としてはこのリストに入れたくないと思っている。というのも、トラフィックをもたらすのはSEMの仕事であり、そのトラフィックを行動に変えるのはサイトの仕事だと僕は考えているからだ。だけど、絞り込まれたトラフィックをもたらすのはSEMの仕事なので、僕は今でもこれをSEOの測定基準として使用しているんだ。1日あたり2000人のビジターを増やしたとしても、その人たちがみな商品を買わず、アンケートにも答えず、ほんの数秒でサイトを離れ、問い合わせもせず、会社に電話もしないとしたら、間違いなく、適切なトラフィックを呼び込むのに失敗している。サイトのお粗末さのせいにするにしても限度がある。率直に言って、もしそのサイトのコンバージョン率が悪いと感じているのなら、遠慮せずにそのことを指摘すべきだ。

例として僕のサイトを見てみよう。これはお粗末なサイトだ。検索機能はオンボロだし、連絡フォームもなく、行動喚起も鋭さに欠け、掲載している商品の間を効率よく移動したり、絞り込んだりする機能もない。でも、これでいいんだ。このサイトが今のところ目的としているのは、グーグルの「QDF」(Query Deserves Freshness:話題の新鮮さ優先の検索)アルゴリズムによってもたらされるロングテールのトラフィックだけをターゲットとすることだ。だから、直帰率が高くクリックスルー率が低いのは予想通り。しかし、今僕が利用している成果の測定基準は、キーワードの多様性とキーワードのカバー範囲だ。ただし断っておくけど、僕のサイトで時計がまったく売れなくていいという意味じゃないよ!

お粗末なサイトで行動喚起が効いている様子

回りくどいやり方だったけど、暫定的な測定基準を検討する僕なりの方法を示せただろうか。うまく伝わっていたらいいんだけど。

ただし、これらをどのように顧客のサイトに関連付けるかについては、まだ説明していない。

あいにく、これは簡単な作業ではない。でも、顧客の(あるいは君自身の)サイトへの取り組みにおいて、君が一定のプロセスに従っているなら、何らかの検査を実施するはずだよね。僕は通常、SEOにおけるSWOT分析を推奨している。この検査は、サイトの問題点と、ライバルや業界との関係における自分の位置などを把握するのに役に立つ。理想的なやり方は、この測定基準の指標による判断を以下の2つの部分に分けることだろう。

  1. サイトで実施する必要があるのは?
    例:リンク構築、サイトの整理、コンテンツの追加など

  2. 顧客にとって成果の測定基準は何か?
    例:売上、認知度、広告インプレッション、ブランド構築、問い合わせ件数など

上記の事項を認識しておけば、長期目標に対して、すばやく成功する方法を見極める段階に進めるだろう。君が実施しているSEOやSEMの作業がサイトに有効だとすれば、分析を2つのカテゴリに分けることで、想定された期間内に達成できる多様な成果測定基準を組み合わせて活用できるようになるだろう。

上で示した僕のサイトのケースでは、キーワードの多様性とキーワードのカバー範囲を最優先事項としたが、やがては検索順位を優先することになるだろう。検索上位を獲得するためには、リンクとコンテンツが必要だ。つまり、高い検索順位の測定基準として、特定可能で数量化可能な行動は2つあるということになる。以上のことから、もう1つのポイントが明らかになる。短期的な測定基準は、長期的な測定基準とは大きく異なるというポイントだ。

最後に、僕がこれまで使用したことがある暫定的な測定基準の他の例を挙げておこう。

  • インデックス化されたページの数
  • 被リンクの増加
  • ユニバーサル検索における露出度
  • ローカル検索における露出度
  • クロール頻度の上昇
  • ターゲット化されたランディングページの検索順位
  • クロス検索エンジンにおける露出度

今回の記事が回りくどいものになったことについては陳謝したい。僕の考えをうまく説明するために、会話調で全体の流れををまとめなければ、とっつきにくい話題だって気がしたからなんだ。

僕が使っている小規模企業のSEOプロセスについてもっと詳しく知りたければ、前に書いた別の記事「SEOにおけるSWOT分析」(英語記事)のほか、以下の記事もぜひ読んでみて。

僕の記事を楽しんでもらえたら、Twitterでも僕をフォローしてほしいな。

用語集
QDF / SEM / SEO / インデックス / インプレッション / クリックスルー率 / クロール / コンバージョン率 / ユニバーサル検索 / リンク / リンクビルディング / 検索エンジン / 直帰率 / 被リンク
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

タグ
タグ(tag)は、「荷札、商品札」といった意味の単語。Web領域では「HTML言 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]