実録! 体験レポート

やってみましたプロのSEO

専門業者のSEOノウハウはどう活かす?
期間はどれぐらい? どんなやりとりがあるの?

サイトの集客力をアップしたいならば、避けては通れないSEO(検索エンジン最適化)。自分で勉強してコツコツとSEOしている人もいるだろうが、専門業者にSEOを依頼するのも手だ。プロのSEOはセルフSEOとどう違うのか、プロに頼むメリットは何かなどを知るために、実際に専門業者に依頼してみた。

協力:株式会社アイレップ  PHOTO:津島隆雄

アイレップのSEOサービス

株式会社アイレップ
http://www.irep.co.jp/

株式会社アイレップ

アイレップのSEOサービスは、以下のような内容となっている。

  1. 初期の分析レポートを作成する。レポートには、現状のサイトのSEO状況とランキングに加えて、効果的なSEOターゲットキーワードの提案や、競合他社のSEO状況などが含まれる。
  2. 「サイト内のHTML」「サイト内のリンク構造」に関して、施工仕様書を作成する。実際にサイトのHTMLや構造を修正する作業は依頼者側で行う。
  3. 「サイト外からのリンク」として、アイレップの運営するサイトやパートナーのサイトからリンクを設置する。
  4. 施工1か月後に初回のランキングレポートを作成する。
  5. 以後2週間ごとにランキングレポートを作成し、状況に応じて新たな施工の提案や外部リンクのメンテナンスを行う。

依頼から施工仕様書の仮納品までは1か月程度で完了するが、メンテナンスまでを含んだ6か月のメニューが基本となる。 おおよその費用としては、初期のレポート+施工仕様書+外部リンク設計で100万円〜150万円程度、その後のメンテナンスは外部リンクの設置やレポーティングなどで月額20〜50万円程度というところだ。競合他社が高度なSEOをしている場合は高難易度キーワードとなるなど、内容によって費用は異なるのであくまでも参考としてとらえてほしい。ビジネスモデルやキーワードによっては数千万円になる場合もある。


今回プロにSEOを依頼したサイト

レンタルサーバー完全ガイド
http://internet.impress.co.jp/rs/

レンタルサーバー完全ガイド

240事業者/1500サービス以上から目的に合ったレンタルサーバー情報を検索できるレンサバ比較サイト。読者による口コミ情報や、雑誌『レンタルサーバー完全ガイド』の掲載記事も併せて参考にすればレンタルサーバーの総合情報サイトとして活用できる。しかし、レンタルサーバー比較サイトはアフィリエイトが盛んなため、SEO的にはある意味激戦区で伸び悩んでいた。

セルフSEOとプロのSEO

今回SEOを依頼したのは、編集部が運営している「レンタルサーバー完全ガイド」のサイトだ。アフィリエイトではない中立のレンタルサーバー比較サイトとして立ち上げて中身は充実しているのだが、検索エンジン経由での集客には苦戦していた。編集部内でディレクトリ登録やサイト内構造の最適化などのセルフSEOを地道に進めていたが、GoogleでもYahoo! JAPANでも「レンタルサーバー」や「レンタルサーバー 比較」などのキーワードで検索した場合の表示順位が30位〜40位台で頭打ちになっていた。

しかし、SEOを専門業者に頼もうと思っても、どこに頼めばいいか迷うところだろう。SEOは業者によってその内容や進め方は異なるからだ(記事最後のインタビューも参照)。編集部内で検討した結果、今回は株式会社アイレップ(以下「アイレップ」)にSEOを依頼した。アイレップを選んだ理由は、単にリンク数を増やすだけの「表示順位上げ屋」ではなく、サイト自体を適切な状態に改善することを主眼とし、その結果SEOの効果をしっかりと発揮するサービスになっているからだ。もちろん、インターネットマガジンでもおなじみの渡辺隆広氏が所属していて、社内でコンサルティングをしている安心感も大きい。

この記事では、実際にSEOを依頼してから実施するまでの状況をレポートする。どのような手順でSEOのサービスが進められるのか、どのような情報をあらかじめ準備しておけばスムーズに進むのかの参考にしてほしい。

SEOを頼むとこう進む

≪1≫ヒアリングシートへの記入

SEOを依頼すると、まずヒアリングシートが送られてくるので、これに記入して返送する(図1)。どのようなサイトをどのようにSEOしたいのかの要望に加えて、現状のサイトがどのような体制で運営されているのかや、SEOの施工にあたって問題となることがないかなどの事前調査だ。

図1 SEOヒアリングシートの項目例
プロジェクト全体
  • SEOを行う目的
  • 対象URL
  • 現在の制作
  • 開発が自社か外注か
  • 社内サーバーかホスティングか
  • 検索結果の上位に表示させたいキーワード
  • 競合他社の名前やURL
サイトの現状
  • 現在SEO対策をしているかどうか
  • ミラーサイトを使用しているか
  • フレームを使っているか
  • ページは静的ファイルか動的生成か
  • SSIを使用しているか
  • 希望するキーワードを含んだページが存在するか
  • 更新頻度/更新部分
  • アクセスログを取得しているか
コンテンツ要件
  • タイトルタグ<title>が変更可能か
  • サイト内の文章を変更できるか
  • フレームを除去できるか
  • 動的生成から静的ファイルへ変更できるか
  • (画像が多い場合)テキストに変更できるか
  • ファイル名を変更できるか
  • ディレクトリ名を変更できるか
  • ポップアップ型のコンテンツ表示を廃止できるか
  • コンテンツを追加できるか
サーバ・システム要件
  • サーバーOS(LinuxやWindowsなど)
  • プログラム言語(PerlやPHPなど)
  • データベース(MySQLやOracleなど)

≪2≫キーワードの選定

ヒアリングシートを送ると、まずアイレップでは、SEOのターゲットとしてどのようなキーワードを選べばいいかの分析と提案を行う。キーワード選びに関しては、どのようなキーワードでユーザーが実際に検索しているのかの数字を元に、客観的に教えてくれる。

SEOに適切なキーワードを選ぶには、ビジネス内容を理解しているだけでは不十分で、ユーザーがどのように検索を行うのかなどの知識や情報も活用する必要があるのだ。

≪3≫分析レポートの受取

アイレップ 畠山 充氏
分析レポートや施工仕様書の納品の際には、各項目について詳しく解説してくれる。
写真はアイレップの畠山 充氏。

ヒアリングシートを送って2週間程度で、アイレップから分析レポートが提出され、その内容に関する説明が行われる。

分析レポートは40ページ以上あり、その中心となるのは、サイトの現在のSEO状況に関する数十項目にもわたる分析だ。項目数は多いが、「ページ内キーワード」「ページ内HTML」「サイト内リンク」「インデックス状況」「外部リンクポピュラリティー」「外部リンクレピュテーション」などのカテゴリーに分けて見やすいグラフで示されるため、SEOに詳しくない人でも一目でわかるだろう。また、自サイト以外にも競合となるサイトも同様に分析し、ランキングとともに示される。

さらに、この時点でサイトの問題点を挙げ、それぞれの問題点に対してどのような改善が考えられるかも同時に示される。この分析レポートを元に、SEOの方向性を確認し、それぞれの改善案に対して施工が可能かどうかを判断することになる。

≪4≫外部リンクの設置

分析レポートを元にした打ち合わせが済むと、アイレップではすぐに外部リンクの設置を開始する。外部リンクとは、SEO対象となるサイトに対して別サイトから張られるリンクだ。そのサイトの内容やキーワードの難易度に合ったサイトからリンクが張られる。

アイレップの運営するサイト群やアイレップのパートナーのサイトからリンクが張られるのだが、アイレップではそのリンクの質にも気を遣っている。単にリンクを数多く設置するのではなく、SEOのターゲットとなるキーワードに合致した内容のページからリンクが張られるのだ。キーワードに関連するページからのリンクのほうが、SEO効果が上がるからだ。場合によってはテーマに関連するサイトを新たに作り、そこからリンクを張る場合もあるという。

≪5≫施工仕様書の納品

分析レポートを元にした打ち合わせから10日ほどで施工仕様書が仮納品され、その内容に関する説明が行われる。この打ち合わせで施工の内容に関して打ち合わせをした後に、最終版の施工仕様書と施工直前のランキングレポートが納品されることになる。

施工仕様書とは、分析レポートに示されていた改善案よりもさらに具体的に、どのページのHTMLのどこをどのように修正するのかが指定されたドキュメントだ。

今回の「レンタルサーバー完全ガイド」の場合は、セルフSEOによってページ内のキーワードやHTML、サイト内リンクに関してはある程度対策がされていたため、施工仕様書では十数項目の改修項目しか指示されていなかったが、まったくSEOを行っていないサイトの場合は数十項目にもなる場合もあるだろう。

施工仕様書の内容も、特定の場所に半角スペースを入れたり、HTMLタグをこのように変更したうえでスタイルシートの記述をこのようにするなど、具体的な指定になっているのがありがたい。

≪6≫サイトの修正

依頼者は、施工仕様書に従ってサイトを修正する。実際の修正まで行うSEO業者もあるだろうが、多くの企業では何らかの形でウェブサイト制作会社を使っているだろうから、仕様書だけでも問題ないだろう。もちろん、SEO施工が遅れればそれだけ効果が出るのが遅くなってしまう。

≪7≫継続メンテナンス

施工仕様書の納品から1か月後に、初回のランキングレポートが提出される。1か月の期間を置くのは、サイトに加えた変更を検索エンジンが認識してインデックスが更新されるまでは、検索結果が変わらないからだ。

また、SEOは1回サイトを変更すれば済むものではない。高順位にランクされても競合他社がさらにSEOをすれば順位は落ちてしまうし、検索エンジンのアルゴリズムが変われば対応が必要になるからだ。アイレップでは、メンテナンス期間中は2週間ごとにランキングレポートを提出し、ランキング状況に応じて、改善提案書を出したり、外部リンクの数やリンク元のページの内容を変更したりしてくれる。

競合分析や細かいノウハウが魅力

残念ながら、原稿の締め切りの都合で、施工仕様書に従ってサイトを改修した結果までお伝えできなかった。ここでは、分析レポートや施工仕様書の内容から感じた、プロのSEOのメリットを紹介しよう。

SEOというとサイトをどのように作るかの話に思えるが、実際には、検索結果での表示順位を上げるということは、競合サイトと比べて上位になるということだ。つまり、競合の状況に応じたアクションが必要になる。プロによる競合サイトの分析は、やはり専門業者に依頼するメリットの大きな部分だと言えるだろう。

また、セルフSEOでキーワードの埋め込みなどはがんばっていたのだが、キーワードをさらに前のほうに動かしたりする指示や、パンくずリストやページフッターを使った細かいSEOのノウハウには感心した。言われてみれば納得する内容ばかりなのだが、通常の業務に追われながらサイトを管理している立場では思いつかなかった手法だった。

また、興味深かった点として、施工仕様書に示されていた内容がどれも、SEOのためだけの項目ではなかったことがある。どの改修項目も、サイトを訪問するユーザーにとって、さらにサイトがわかりやすく、便利になる内容だったのだ。

施工後の継続メンテナンスも含めて考えると、さすがプロというSEOを(おそらく)実現しつつ、さらに担当者が本来のビジネスに集中する余裕を持てたという点で、プロに頼むメリットはあったと判断できる。さて、あなたのサイトのSEOはどうだろうか?

SEOのためにリンクを売るのではなく
企業サイトのあるべき姿を求める

株式会社アイレップ 取締役/インターネットマーケティング事業部 事業部長 紺野俊介氏氏
株式会社アイレップ
取締役
インターネットマーケティング事業部
事業部長
紺野俊介氏

——最近のSEO業者にはどんなタイプがあるのでしょうか?

大きく分けて順位保証型とソリューション型の2つがあります。順位保証型の中でも外部リンクを増やすだけのタイプと、それに加えてHTML構造も改善するタイプがあります。ソリューション型はアイレップが行っているようなタイプですね。SEO専門業者では、順位保証型が多くなってきています。

——アイレップのSEOサービスの特徴は?

SEM総合研究所/SEMリサーチの渡辺隆広がアドバイザーとして社内に常駐しているのが大きいですね。社内でトレーニングや監修をするだけでなく、案件によっては渡辺が直接かかわる場合もあります。
サービスとしては、SEOを最優先目標にしてSEO技術をどうこうするサービスではないのが特徴ですね。そもそも企業のウェブサイトがどうあるべきかを考え、サイトを訪問するユーザーにとって最適な状態を作りだす、その際に検索エンジンをしっかりと考慮して対策するのがアイレップのサービスです。
たとえばリンクを増やすにしても、その企業の製品情報ページやブログがあれば、まずそこからリンクを張るように提案します。それがユーザーから見て自然な形ですから。企業活動のスキームに元々あるものをSEOに組み込む形にして、普通の企業活動としてサイトを更新していくだけで、何も意識しなくても自然な形でリンクが増えるような仕組みを作るのです。
だから、100社に対してそれぞれSEOするならば、100とおりのやり方で実現することになります。

——サービス名はSEO360°ですよね。

どの検索エンジンからも、どのページへも、全方位でSEO対策するサービスで、マーケティング視点とテクノロジー視点を組み合わせているのが特徴です。マーケティング視点とは、ユーザーがどのような検索エンジンからどのようなキーワードで入ってきて、企業はどのようにして収益を上げるかなどの視点です。テクノロジー視点とは、日々変化する検索エンジンのアルゴリズムに対応するとともに、企業サイトが使うさまざまな技術に対応する姿勢です。
外部リンクをお金で買う順位上げサービスではなく、全方位から企業サイトのあるべき姿を求めるサービスだと言えるでしょう。

——SEOを専門業者に頼むべき状況は?

HTMLの知識があって、ユーザーが求めているものを的確に把握して適切なキーワードを選べるならばセルフSEOでもいいかもしれません。
しかし、企業ならば「リスクをとれるか」が重要になるかもしれません。GoogleやYahoo! JAPANが出しているガイドラインを守ってSEOするだけなら問題ないのですが、さらに上位をねらって高度なSEOをしたくなりますよね。その手法が検索エンジンからNGとみなされると、順位が落ちるどころか検索エンジンで表示されなくなる場合もあります。今は大丈夫でも来週にはNGになるかもしれません。それに対応できるかの問題が大きいですね。
SEOの専門業者は、多様なマーケットの多くのサイトに対してSEOを行っているので、問題が発生したり効果が出なかったりした場合でも、幅広い視点で迅速に対応するノウハウを持っているのがポイントです。

用語集
HTML / PHP / Perl / SEM / SEO / SSI / アフィリエイト / インデックス / ディレクトリ / リンク / 外部リンク / 検索エンジン / 訪問
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