企業ホームページ運営の心得

メールは友達、電話はビジネス。どっちのチャネルがホントに儲かる?

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の十四

群馬から練馬へ。ネットで始める新生活

「電話の受話器を手に取る人」イメージ画像

3月初旬、以前に紹介した西武池袋線練馬駅前のトモエハウジングの電話が鳴りました。新生活のために群馬県から練馬駅周辺の物件をインターネットで探していたと言います。電話を受けたのがWeb担当者。手応えに小躍りして喜びました。

トモエハウジングではアスベスト除去や、耐震検査などもホームページ上で紹介しており、担当する工事部への問い合わせも大半が電話です。問い合わせフォームを用意していますが、こちらはあまり利用されていません。

とにかく思い立ったら電話を鳴らす人々

拙著『楽天市場がなくなる日』を上梓した翌週のことです。事務所の電話がけたたましく鳴ります。職業柄、取引先との連絡は9割方、電子メールでやりとりしていますので、突然の電話は「投資」か「事務機器リース」、「電話回線」の売り込みです。

それでも無視するわけにはいかず受話器を取ると、突然の関西弁で「宮脇さんにホームページを作って欲しい」と訴えます。大阪の繁華街、梅田の大型書店で拙著を見つけて、一晩で読了して電話をかけてきたのです。

ある日は、四国の素麺屋さんから「力を貸して欲しいのやけど」と電話がありました。後日朝一番の飛行機で羽田空港に降り立ち、東京の片田舎と揶揄される足立区にある私の事務所にお見えになりました。

電話の問い合わせが商売に結びつく確率

「楽天のバーカ」を期待された方には評判の悪い拙著でしたが、商売用ホームページを模索されていた方にはすこぶる評判が良く、「2ちゃんねる対策はどうすれば良いのか」という駆け込み寺のような相談も多く寄せられました。

「ネットの外側」にある書籍という媒体だったことも大きいのでしょうが、問い合わせの多くが電話です。

もちろん、「メール」もありました。ただし、こちらが商売につながったのはごくわずか。メールでの問い合わせは商売というより友達に聞く感じで、「ねぇねぇ教えてよ」的なものばかりでした。この温度差は商売ホームページを考える上で重要なポイントです。

余談ですが、出版関係者の執筆依頼も電話ばかりだったのですが、この連載の担当編集者からのファーストコンタクトはメールでした。電子系に強いインプレスR&Dの面目躍如といったところでしょうか。

ご近所の助け合いでネット検索する時代

告白すると「インターネットだから電子メールで問い合わせがくるだろう」と思っていた一人です。盲を払ってくれたのがアウトレットリフォームを手掛ける「ライフトータルサービス」でした。

都心に住む老夫婦から「風呂釜の調子を見て欲しい」と問い合わせがあり、伺ってみるときれいに整頓されているとはいえ、年代物の住宅に相応の風呂釜です。修理するより交換したほうがよい状態でしたので、打ち合わせをしているとパソコンがないことに気がつきました。ライフトータルサービスも我が事務所と同じく東京の片田舎、足立区にあります。

「どうしてうちを知ったのですか?」と訪ねたところ、お隣に住む若夫婦に「最近、お風呂の調子が悪くて」と漏らしたところ、ネットで数社調べてくれ、そのなかから電話をしてきたと言います。

メール問い合わせが少ない理由の盲点

老夫婦がネットを使えなくても、お隣の若夫婦によってネットを「活用」できる時代になりました。そして、商売用ホームページを運営していると、メールでの問い合わせが思った以上に少ないことに気がつきます。特に「お問い合わせはこちら」といって、メーラーが起動するものや、「ご自由に」というフリーフォーマットのものの反響は今ひとつです。

そこで調べてみると「文章が書けない」という声が沢山ありました。人や恋人との「タワゴト」や「連絡」だけなら、言葉足らずでも気負わずにやり取りできますが、第三者にメールを送ろうとすると、どんな文章を書けばいいかわからないというのです。

文章を書くという作業は、多くの人にとって夏休みの読書感想文以来なのです。

ゆとり教育の弊害か(笑)。読解力の異常な低下

質問内容が選択式になっていても問い合わせが少ない場合があります。これは小学校の算数について行けなくなる子供と同じで、「わからないところがわからない」ことによります。そもそもの質問がわからないのですから、どれを選択していいのかもわからないのです。

問い合わせ用の質問には相当の配慮が求められます。消費者を馬鹿にするという理由からかあまり語られませんが、ネット利用者の解釈は想像を絶するほどの誤解と勘違いを生むことがあるので注意が必要です。

また、「読解力」の低下は文部科学省が心配する以上に進んでおり「小学生でもわかるレベル」が求められることもあるほどなのです。

顔が見えないという不信感を逆手にとって即決

24時間いつでも受けることができる電子メールは大変便利です。商売用にも活用するべきです。しかし、いかんせん電子メールを自在に使いこなせる人は世代によってバラツキがあります。

そこで役立つのが電話です。ネットを活用できない「旧世代」の誤解と偏見ですが、問い合わせに対して電話応対がちゃんとできるというだけで信頼してくれ商売につながることがあります。ネットという得体の知れないものではなく、声のやり取りで存在を感じ、安心できるという理由です。

商売です。誤解と偏見でも活用できるものなら使わない手はありません。

また、急ぎの客は高確率で電話を使います。電話は相手の時間を強制的に奪うことにより、その場で答えを求めやすいというメリットがあるからです。そしてそれはとても高い確率で「即決商売」につながります。

商売用は、電話という「チャネル(回線)」を疎かにすると、もったいないお化けがやってきます。

♪今回のポイント

商売用ホームページなら老舗チャネルも活用すべし!

電話問い合わせが立てる売り上げは大きい。

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