SEOの成果を売上に変えるには? コンバージョンを増やすための3つのCRO戦略
ほとんどのチームは「検索順位」と「トラフィック」に固執する。しかし、最も重要な問題を見落としている。それは「そうしたユーザーが実際に訪問したら何が起きるか」という問題だ。
僕は、オーガニックトラフィックが3倍になっても売上高が伸びなかったサイトを複数目にしたことがある。そこに欠けているのは「トラフィックをリードや売り上げ、登録に変えるコンバージョン率最適化(CRO)戦略」だ。
この記事では、SEOをビジネスの成果に結びつけるために僕が使っているCROのフレームワークを紹介する。次の2つを学んでもらえる:
- バイヤージャーニーに合わせたUXファネルの構築方法
- 売上高を伸ばすパフォーマンス最適化の手法
獲得コストモデルの下層部分を理解する
獲得コストモデルの下層部分(コンバージョンに近い部分)について考えてみたい。少し改善するだけで大きな影響を与えることもある部分だ。
サイトのコンバージョン率が3%の場合、これを3.5%に上げれば、訪問者を1人も増やさなくても売上高が16.7%(6分の1)増える。0.5%のような小さな改善でも、積み上がればすぐに大きな成果になる。こうした部分を、ほとんどのチームは見落としている。
この記事では「基本事項」について解説する。それは、つまり開発者と協力して結果を改善できる次のようなものだ:
- 信頼を築くブランドとビジュアルデザイン
- 摩擦を減らすUX
- 訪問者をエンゲージさせるサイト速度
次のような高度なCRO手法は、この記事では扱わない:
- A/Bテスト
- 数百のサイトから集約されたデータに基づくコンポーネントの再設計
今すぐ実践できる、効果の高い変更に焦点を当てる。
業界によって異なるコンバージョン率のベンチマーク
コンバージョン率の最適化を始める前に、業界ごとの現実的なベンチマークが必要だ。Unbounceは有益なコンバージョン率データを公開しているが、少し注意が必要でもある。なぜなら、同社の数字は有料トラフィックに偏りがちだからだ。
コンバージョン率のベンチマークを測る場合、僕のやり方は次のとおりだ:
プロフェッショナルサービス:
オーガニックトラフィックのコンバージョンは2.5%~3.5%を目標とする。これより高い場合はブランド検索に依存し過ぎていることが多く、低い場合はウェブサイトに問題があることを示す。eコマース:
競争の激しい非ブランド領域で僕が目にしたことのあるオーガニックトラフィックの最高値は6.5%だ。イベントやエンタメ:
12%を超えることもあるが、それは訪問者の目的がすでにはっきりしている場合が多い(テイラー・スウィフトのチケットやグラストンベリー・フェスティバルのパスなど)。
これらは絶対的なものではなく、出発点と考えよう。自分のセクターのベンチマークを基準に評価し、非ブランドのオーガニックトラフィックに焦点を当て、継続的に測定することで真の改善を実現できる。
オーガニックトラフィックからのコンバージョンを増やすための3つのCRO戦略
では、コンバージョンを増やすためのCRO(コンバージョン率最適化)戦略を3つ紹介する。次の3つだ:
- コンバージョンファネルでユーザージャーニーをマッピングする
- 共感してもらえるページを作成する
- コードと速度の最適化によるコンバージョン向上
これらのCRO戦略は、サイト全体を再構築することなく、オーガニックからの訪問を計測可能な売上高に変えるのに役立つだろう。
それぞれ解説していく。
CRO戦略1コンバージョンファネルでユーザージャーニーをマッピングする
ウェブサイトのどのページも、訪問者を目的のページに誘導できるようにするべきだ。これを実現するには、「オーディエンスの意思決定方法に合わせたファネル」が必要となる。
そのためにまず行うのが、「SEO戦略に基づくサイトマップとキーワードの割り当て」だ。手順としては、ページごとに次のことを行う:
そのページが対応するファネルの段階を決める。
ページ内の次の要素が、そのファネル段階の役割に合っていることを確認する:
- コピー
- ビジュアル
- CTA
僕は5段階のモデルを使って、コンバージョン段階までのユーザージャーニーをマッピングしている。
Align(一致する):
訪問者は最初の1秒で、探していた情報が見つかったと確信できなければならない。この即時のつながりは直帰率の対極にあるもので、より深いエンゲージメントの基盤となる。Qualify(適格要件を満たす):
君が訪問者の必須要件を満たしていることを示す。その多くは機能が重視される。つまり、訪問者が特定の機能を求めている場合、それを明確に示さなければ、競合他社のサイトに行ってしまうということだ。Validate(検証する):
君の主張を裏付ける品質を証明する。訪問者が考慮していなかったかもしれない内容に対応するために、次のような情報を提示するといいだろう:- 詳細な事例
- 関連するユースケース
- 測定可能な成果
Reassure(安心させる):
まだ疑念が残っている場合は、信頼のシグナルで払拭しよう。信頼性を高め、訪問者が安心して次に進めるようになる情報としては、次のようなものが考えられる:- 評価
- レビュー
- 顧客の声
- 著名なクライアントのロゴ
Convert(コンバージョンさせる):
明確かつ摩擦の少ない方法で次のステップに進めるようにする。次のようなものは何であれ、明白で簡単かつ説得力のあるものにするべきだ:- フォーム
- 登録
- 購入ボタンなど
CRO戦略2共感してもらえるページを作成する
僕の会社がコンバージョン率の高いランディングページを作成するときのプロセスは、次のようなものだ:
- ブランドとの整合性から始める
- ペルソナとアーキタイプを定義する
- 自らを右上の象限に位置付ける
- 信頼できる存在であることを示す
1つずつ、詳しくみていこう。
プロセス1ブランドとの整合性から始める
コピーやレイアウトに取りかかる前に、「オーディエンスにどう感じてもらいたいか」を決めよう。たとえば、次のようなものだ:
- ワクワクしてほしい
- 安心してほしい
- インスピレーションを感じてほしい
- 十分に信頼できる情報を見つけたと確信してほしい
君のデザイン体系は「その感情を反映し」「獲得したい顧客の期待に合致する」ものでなければならない。プロフェッショナルサービスの場合は、この整合性が適切なMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング活動で得た見込み客)を増やす。eコマースの場合は、関心を売り上げに変える。
プロセス2ペルソナとアーキタイプを定義する
オーディエンスの大まかな定義の先を行こう。「詳細なペルソナ」と「ビジネスアーキタイプ」を作成することで、次の2つを理解する:
- 誰を対象にしているのか
- なぜ君に選んでもらえる価値があるのか
「1つのページであらゆる人に訴求しようとする罠」に陥ってはいけない。メッセージが弱くなり、共感してもらえなくなる。
プロセス3自らを右上の象限に位置付ける
自分のオーディエンスの優先事項をポジショニングの象限にマッピングしよう。それは「価格」と「品質」のバランスかもしれないし、「速度」と「カスタマイズ」のバランスといった業界固有の要素かもしれない。君の強みと顧客の優先事項が一致する「右上」を明らかにしよう。
次に、その領域を自分のものにするための次の3つを構築しよう:
- ブランドメッセージ
- コンテンツ
- ページ構造
これがマーケティング戦略とコンバージョン最適化の基盤となる。
プロセス4信頼できる存在であることを示す
ブランドアイデンティティはあらゆるタッチポイントで一貫させ、信頼性を示すようにしよう。
サイモン・シネック氏の著書『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う』は、デザインとコンテンツを中核的価値の基盤にしたうえで、それらの価値を視覚的に示す必要があることを思い出させてくれる良書だ。
信頼性を示すには、次のような点がポイントとなる:
- 高品質なデザインとスムーズなUX
- 明確なクライアント事例とケーススタディ
- 読み込みが速く、専門的な裏付けのあるページ
「読み込み速度」や「洗練されたビジュアル」などの細部は、潜在意識に働きかける信頼のシグナルとなる。適切なものを提供できなければ、訪問者は君の対応能力に疑問を持つかもしれない。
たとえばBond Globalを事例として見てみよう。この企業のターゲットオーディエンスはかなり専門的だった。そのため、次のような設計を取り入れた:
- テクノロジーのイメージに重点を置いた未来的なデザイン
- 大胆でモダンなカラーパレット
- ページ単位での極めて精密な専門性
レイアウトからメッセージングに至るすべての要素を使い、オーディエンスに届くべき形で直接語りかけたわけだ。
CRO戦略3コードと速度の最適化によるコンバージョン向上
サイトの読み込み速度は、コンバージョンを促進するものだ。単なるテクニカルSEO指標ではない。Portentの調査によると、1秒で読み込まれるサイトは、5秒かかるサイトよりコンバージョン率が3倍高いという。
NitroPackの別の調査では、ページの読み込み速度が2秒から3秒に増えると離脱率が1.5倍になることが明らかになっている。
ごく小さな変更が、最終利益に大きな複合効果をもたらすのがわかるだろう。
僕がパフォーマンスの問題の診断や修正に使っているツールを紹介しておこう。次の3つだ:
Core Web Vitals(Google Search Console):
実環境でのサイトのパフォーマンスを確認し、優先して修正すべき問題のリストを取得できる。Google Lighthouse(Chrome DevTools):
デスクトップとモバイルの両方で、パフォーマンス、アクセシビリティ、SEOの監査を実行できる。NitroPackや類似のキャッシュツール:
WordPress/WP Engineの場合、これにより読み込み時間を大幅に短縮できる。
監査で確認すべきことは、次の3つだ:
- レイアウトが崩れたり、変わったりしてしまうページがないか
- ユーザーのナビゲーション操作がしにくくなるエラーがないか
- レンダリングを妨げるスクリプト、使われていないCSS、大きな画像ファイルがないか
すべてを一度に修正する必要はない。レポートを使って開発者と協力し、まずは最も影響の大きい変更から対処しよう。
ほんのわずかでも速くなれば、コンバージョン率は高まる。獲得コストモデルで見たように、0.5%高速化するだけでも売上高は大幅に増加する。
結論:SEOを売上高につなげるコンバージョン経路を構築する
トラフィックの促進は、仕事の一部にすぎない。そのトラフィックを売り上げに転換させる必要がある。このCROフレームワークを用いてパフォーマンスを測定し、共感してもらえるページを設計し、ユーザージャーニーを効率化しよう。

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