これから取り上げる項目については、個別のブログ記事を書くだけの値打ちがあるかどうか決めかねているんだ。ただ、どれも長いこと僕の頭の中を駆け回っている事柄なので、少なくともある程度注目しておく価値はあるんじゃないかと思っている。
- nofollow属性は本当にNoFollow(追跡しない)なのか?
ダニー・サリバン氏がSMX Madridの基調講演で持ち出した話題なんだけど、おそらく各検索エンジンは、外部リンクにnofollow属性を使用している特定のウェブサイトやページについて、今では「特別扱い」をしており、そのnofollow属性付きのリンクを「追跡」してリンクされているページを見にいってるし、おそらくはランキングの評価にも使用しているんじゃないかというんだ。
もちろん、検索エンジンがそんなことを公に認めるはずはない。そんなことをすれば、大がかりな不正操作を招く危険があるからね。だけどWikipediaに関しては、nofollow属性を導入して以来、リンクの質が劇的に向上したことを認めざるを得ない。僕が検索エンジンの運営者だとしたら、そういう質の高いリンクを、少なくとも試してみたいし、できれば重視したいと思うだろうな。
- ドメイン名レベルのPageRankの存在
PageRankはページレベルでのみ使用されているのではないという憶測がある。この記事の「マット・カッツのおもしろい発言」では、こんな風に書いてある。
ぼくは、「You and A with Matt Cutts」セッションで2つの発言をメモした。その1つ目がこれだ:
オリジナルのPageRankは、純粋にページレベルのドキュメントに対するものだった
これ自体はさほどおもしろい発言だとは思えない。でも、私にはこういう考えが浮かんだんだ――彼がPageRankは元々はページレベルのものだと言うということは、グーグルが現在はサイト単位のPageRankのような指標を使っていることを示唆しているんじゃないかってね。違うかもしれないけど、私は彼がここでこういった表現を使ったことに驚かされたんだ。
SEOmozのスタッフの間では、検索エンジンはドメイン名グラフ上でドメイン名レベルごとのリンク測定指標を計算している可能性が非常に高いんじゃないか、っていう話をよくしているんだけど、考えてみると、これはとても簡単な手続きだ。あるドメイン名上にあるすべてのページのすべてのリンクを取り出して、それらを1つのページに集約したとしよう。そして、個々のページではなくドメイン名を対象に、「PageRank」のようなアルゴリズムを実行する。こうすれば、検索ランキングにとって非常に実用的で有効なデータが作成できると思うんだ。
- SEOを実施するのは悪いこと?
昔から、同じような疑問が何度も繰り返し浮かんでは消え、消えては浮かびしている。
その根底にあるのは、グーグルをはじめとする検索エンジンが「SEO」の施されたウェブサイトを見つけると、内部リンクにnofollow属性を施しているとか、noarchiveメタタグや非常にターゲット化された内部アンカーテキストを使用しているなどというだけの理由でペナルティを課したり、あるいはより強力なスパムフィルターにかけようとしているのではないか、という漠然とした不安だ。
この問題について、完全と言える結論に達したと断言はできないが、僕の気持ちとしては、そんなこと「ありえない」と思う方に傾いている。僕自身の経験から言って、フォーチュン1000企業のウェブサイトのうち40%以上、そしてウェブ上で重要性の高い1万ドメイン名のうち60%以上が、何らかのSEOを実施していると推測できる。これでもかと言わんばかりに過度な最適化を施したサイトなら目を付けられることがあるかもしれない。それは前からそうだった。だけど、SEOを実施しただけでペナルティが課されるなんて、かなりおかしなことだと思うんだ。
- いつになったらGoogle Knolが検索結果の上位を独占するようになるんだろう?
その驚くほど上質な検索トラフィックの一部を、保有するウェブ資産(もちろんYouTubeは別にしてだけど)に取り込もうという気がグーグルにないなんて、僕には思えない。じゃあ、いつになったらKnolプロジェクトが新たなWikipediaになるんだろうか?
僕が想像するに、世界中のあらゆる一般的なクエリで、Knolのページが検索上位にランクインするようになるまでには、ほんの数年で足りるんじゃないかな。グーグル株主の1人としては、この潜在的な収入源についてもっとよく知りたいという欲望を抑えきれない。
- ドメイン名の国際化が再び流行する
グーグルのウェブマスターツールで地域のターゲットが設定できるようになったとき、1つのドメイン名上で複数言語に対応したり、米国外の国々をターゲットとしたコンテンツ(「seomoz.de」や「seomoz.fr」ではなく、「seomoz.org/de/」や「seomoz.org/fr/」といった国別のサブディレクトリ)を持ったりする動きが見られるようになるんじゃないかと僕は思った。
だけど、米国外のSEO業界の噂によると、サブフォルダを利用して地域のターゲット化を行っても、思うほどの効果は得られないらしい(おそらく、グーグルはこの問題を解決しようと取り組んでるんじゃないかな)。それに、他の国、特にフランスの人たちは、「.com」や「.org」といったトップレベルドメイン名(TLD)よりも、「.fr」(フランスの国別コードTLD)をクリックしたがるんだ。こうした傾向は、ブランド化やコンバージョン率にも影響を与えている。フランスのウェブユーザーは、「.fr」で終わるフランスのウェブサイトから物を購入したがる。尊敬すべきアンディー・アトキンズ‐クルーガー氏によると、この件に関するテストデータがあるそうだ(残念なことに、一般に公開されている文書にその情報はないんだけどね)。
もしクリック率やブランド化が大切な関心事であるなら(一般的にはそうだよね)、検索エンジンに対して「ねぇ、これらのドメイン名はすべて、同じ事業者が運営しているんだ。この中でどれかのサイトを信頼して、それを重要視してるんなら、その評価指標を他のドメイン名にも渡してよ」と伝える新しい方法が必要になってくるだろう。個人的な意見だが、こうしたことは、すでにある程度行われていると思う。だからこそ、同じ新規ドメイン名でも、大規模かつ有力で、信頼度の高い組織が登録や開設をした場合は、三流のウェブマスターが開設したサイトと同じ状況に苦しんでるなんていうところをあまり目にしないんだ。
- あるドメイン名に対して張られたすベてのリンクは、そのドメイン名上のあらゆるページの検索順位を上げるのに役立つのか?
サリバン氏は、マット・カッツ氏がSMX Advancedで、このストレートな質問を3回立て続けにはぐらかした、と文句を言っていた。でも、そうしてはぐらかしたということ自体が答えを示しているんだ。もし回答が「必ずしもそうとは限らない」、あるいは「そんなことはない」だとしたら、カッツ氏は喜んでそう答えていただろう。この場合、カッツ氏(あるいは他の検索エンジニア)の発言の裏を読むのは、それほど難しいことではない。驚くほど明白なんだ。答えは「イエス」だ。あるドメイン名を指すあらゆる(良質な)リンクは、そのドメイン名上にあるすべてのコンテンツの検索順位を少し押し上げてくれるのさ。
- それでもまだ、nofollow属性に関して議論することがあるだろうか?
もし「ある」というなら、僕にはその理由がわからない。意味のないドメイン名を開設して、だれにも見つかりそうにないリンクを張り、自分でテストしてみてくれ。1つのページにリンクが3つあって、そのうちの1つにnofollow属性が使用されていたら、残った2つのリンクについては、ランキングを押し上げる力とリンクジュースが増すだろう。
こうした方法がもたらす影響はわずかなものだと思えるかもしれないが、「最適化」に関心を持っている人間だったら、ランキングを上げる効果のあるいかなる方法もないがしろにすべきではない。頭の良い悪玉SEOたちは、リンクジュースを渡したくない場合、外部JavaScriptファイルによるリダイレクトや、リンクをFlashオブジェクトに埋め込む手法を使って、同じような効果を何年も前に実現していたんだ。それよりももっと便利な「nofollow」タグが使用できるようになった現在、突然こうした手法が役に立たなくなる理由はないんじゃないのかな?
もし、それがToDoリストの中でも優先順位が低いところにあると思っているのなら、それはそれでいいよ。そしてたいていの場合、僕もその意見に賛成するだろう。しかし、効果がないから、あるいは、それがあまりにバカバカしくて正しいやり方を理解する気にもなれないからといって、それを絶対にすべきではないと言ってしまうだなんて、現実が見えていないか、あるいは競争から逃げているような発言だね。
また僕は、検索エンジンのためだけに何かを行うべきではないという意見にも反対だ。僕らがrobots.txtやmetaタグ、サイトマップを書いたり、ウェブマスターツールでサイトを検証したり、それから、そう、titleタグにまでこだわったりする(実際のところ、こういった部分はブラウザで表示されない)のは、検索エンジンを念頭に置いているからに他ならない(アクセシビリティ向上のことも、ほんの少しくらいは考えているさ。けど、検索エンジンのことを考えなければ、これらの90%以上はやらなくてもいいことだと思う)。僕たちには、サイトやページを検索エンジンに見つけてもらいやすくするために、やらなきゃいけないことがたくさんある。だからこそ僕たちの仕事が重要なんだ。
いつものことだけど、見てのとおり、ここに書いたのは自分の経験に基づいた個人的な意見だ。コミュニティからのフィードバックを聞かせてほしいと思っている。
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