グーグルSERPに19件のオーガニック結果が表示された謎――もしかしてアップデートでのミス?
グーグル検索結果が2019年3月に大きく変動した。実はこの変動、単に順位が変わっただけでなく、別の特徴があった。それは「1ページ目に10件を超えるオーガニック検索結果が表示される場合が出てきた」というものだ。
2019年2月28日~3月1日の2日間、グーグル検索順位の変動幅が急に大きくなった。MozCastの記録を見てみると、変動の激しさを表す気温(華氏)は、3月1日に108度に達している。2月28日の気温は最初105度だったが、99度に下方修正された(これについては後述する)。
3月1日のデータを詳しく調べたところ、多くの指標に変動が見られたが、特に顕著だったのは、グーグル検索結果ページ(SERP)1ページ目の変動幅が大きく、10件以上のオーガニック検索結果が表示されていたことだ。MozCastのキーワード1万件全体では、上位のキーワードで以下のような状態が観察された。
2019年の「オーガニック」検索結果をカウントするのは難しくなっている。というのも、(1位の場所に表示される)拡張サイトリンクやトップストーリー、画像検索結果などの要素が、オーガニック検索結果の位置を占めることもあるからだ。
In-depth Articles(詳細な記事)は特に難しく(詳しくは後述)、計算するとSERPの1ページ目は通常4~12件となる。しかし、3月1日の数字はこれまでに見られたいかなる結果も凌駕しており、オーガニック検索結果は最大19件にもなっていた。
「In-depth Articles」とは、米国グーグル検索が2013年8月に導入した、検索結果内に表示される特別なブロック。詳細で品質が高いコンテンツをアルゴリズムが特別に選んで表示するもの。
参考リンク:
- Discover great in-depth articles on Google(Inside Search)
- In-depth articles in search results(Official Google Webmaster Central Blog)
- Google、「In-depth articles」を導入。質が高い、深く掘り下げた記事を別枠で検索結果に表示。(海外SEO情報ブログ)
- 米Google、詳細コンテンツ"In-depth articles"のハイライト表示を開始(SEM R)
検索結果19件が表示されたSERPを分析する
1万件のキーワード全体で、SERPに検索結果が19件表示されたキーワードは9件あった。以下のケースは、(カウントするには)特に単純明快なケースだ。0位の場所に強調スニペットが表示され、続いてオーガニック検索結果と見られる結果が19件表示されている。以下の画像は、米国Google検索で「pumpkin pie recipe」(パンプキンパイ レシピ)を検索した結果そのままのスクリーンショットだ。
長々とスクロールさせてしまって申し訳ないが、そのままの状態を見てもらいたかったのだ。
このSERPの一部がオーガニック検索以外の機能だったり、何らかの形で異なるものだったりすることを示唆する明確な痕跡はない。
ただし、「(サムネイルが表示される)従来型のレシピ」が並ぶ検索結果ではなく、そこに雑誌や新聞の記事へのリンクが混在しているように見えることに気づいてもらえるだろう。以前にも、これと似たようなものを見たことがある……。
徹底的に掘り下げる
最近では、In-depth Articlesについてそれほど考えることはないかもしれない。その大きな理由は、通常のオーガニック検索結果の中にほぼ完全に埋もれてしまっているからだ。
ただし、HTMLソースの深い部分にある目印や、1ページ目の結果件数が合わないことを考えれば、In-depth Articlesが今も存在することはわかっている。たとえば、以下の画像は、3月4日に「sneakers」(スニーカー)を検索したときに1ページ目の最後に表示された結果6件だ。
1ページ目の最後に表示される、これまで通りのEコマースの検索結果(Macy’sなど)と並んで、FiveThirtyEight、Wired、The Vergeの記事が見える。レイアウトからはわかりにくいが、これは、1件のオーガニック検索結果が表示される場所に3パックのIn-depth Articlesが表示されているのだ。そのため、このSERPの1ページ目には12件の結果が表示されているように見える。
3月1日の検索結果を調べたところ、同様のパターンが見られたが、これらの3パックは広がり、3件どころか10件もの記事が表示されていた。
僕たちは、もっと柔軟にIn-depth Articlesを検出できるよう(3件超の結果が表示されるパックも検出できるように)パーサーを再編成した。以下は、過去2週間におけるIn-depth Articlesの割合を示したグラフだ。
3月1日の朝、MozCast SERPの23%弱がIn-depth Articlesらしきものだった。前日から4倍近く上昇している。この数字は翌日、通常に戻った(むしろ、わずかに減少した)。
僕たちの新たな定義が幅広すぎた可能性はあるし、これらが本当の意味で従来の「In-depth」パックでない可能性もあるが、それなら数字は高いままで維持されるはずだ。
また、一般にIn-depth Articlesで支配的な地位にあるニューヨーク・タイムズなど大手パブリッシャーのSERPにおけるスペースのシェアも大きく上昇した。3月1日前後に何かが起こったのは間違いない。
(これらの結果をオーガニック検索の調査対象から外す)新たな方法によって、MozCastでの2月28日の変動気温は105度から99度に低下した。一部の異常な結果が「順位の変動」ではなく「In-depth Articlesのオーガニック検索としての表示」として扱われ、順位変動の対象から削除されたためだ。
MozCastの変動気温は24時間の変化を表しているため、実際より前の日付になることに注意してほしい。そのため、3月1日の朝におけるIn-depth Articlesの割合はグラフでは「3/1」と表示されているが、その日の朝に記録された前日比の気温は、この記事の冒頭のグラフでは「2/28」と記載されている。
今後、どこへ向かうかを明らかにする
これは今後の予兆だろうか? それは本当にわからない。結果が19件表示されるSERPを人々が再現できるかどうか、デスクトップとモバイルの両方で多くの人が再現できるかどうか確認するため、3月1日、僕はツイッターで次のように聞いてみた。
このSERPに何件のオーガニック検索結果が確認できるか、(誰でもいいから)教えてほしい -- https://t.co/SSbqTc50nY
— Dr. Pete Meyers (@dr_pete) 2019年3月1日
今回の変動は、通常のテストには思えなかった(テストは普通なら1%かそれ以下の検索ユーザーを対象に実施される)。これがグーグル側での問題だった可能性はあるが、グーグルは一時的な問題であれば明らかにしないことが多いため、実際のところはわからない。
MozCastでの変動の幅が大きかったのは、1つには、これらの奇妙な結果の反動のようにも見える。その一方で、反動が元の検索順位の変動より大きいのは奇妙だ。同時に、他にもいくつかのシグナルが見られた。たとえば、1ページ目に表示される画像検索結果の件数が減少した(前日比で約10.5%減少し、翌日も回復しなかった)などだ。
アルゴリズムのアップデートが実施された可能性はあるが、そのアップデートに問題があったのではないだろうか。
もし君が従来型のパブリッシャーか、全般的にIn-depth Articlesから恩恵を受けているなら、引き続き目を光らせておくことをおすすめする。グーグルの今後の意図を示す兆候かもしれないし、あるいは単なるミスかもしれない。
それ以外の僕たちにとっては、状況を見守るしかない。幸い、これらの結果は主に1ページ目の最後に表示されていたので、検索順位の上位に及ぼす影響は低かったが、1ページ目に19件の結果が表示される現象は、オーガニック検索結果の配置やクリック率(CTR)に関する僕たちの想定を揺るがすことであるのは、間違いない。
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