あなたの検索トラフィックはグーグルに奪われている!? SERP機能に対抗する4つのステップ【前編】
あなたのサイトの検索トラフィックは、グーグルに横取りされているかも……。
オーガニック検索1位をキープしていて、Search Consoleで確認できるインプレッション数も変わっていない。そんな状況でも、実はサイトが獲得する検索トラフィックが減ってしまっていることがある。
そうした状況を生んでいる、グーグルのさまざまな「SERP機能」の影響を解説したうえで、まずは原因を切り分ける4つのステップを解説する。
のちほど公開する後編では、トラフィックを奪われている原因のSERP機能ごとに、どのように対処すればいいかも解説していく。
グーグルが検索エンジン結果ページ(SERP)の持つ支配力を強めているために、SEO業界では大きなパニックと議論が巻き起こっている。バリー・アダムズ氏が先ごろTwitterで指摘したように、グーグルによるこうした動きはまったく新しいものというわけではないが、グーグルが突如としてこの動きを加速させているように感じられることは確かだ。
検索結果でダイレクトに答えを出す機能をグーグルが特定分野で積極的に表示するようになっている――そのことにSEOの人たちが急に苛立ちを覚え始めているのは、実に笑える。だってグーグルは数年前からそうしてきたよね。
EUの競争法(でグーグルに1900億円の制裁金を科した件)をどう思っているんだ? 単に、自分のクライアントに影響が出てきたから騒いでいるだけなのか?
I find it hilarious that SEOs are suddenly annoyed that Google is aggressively taking over some verticals with in-SERP features. They’ve been doing that for years.
— Barry Adams (@badams) 2018年3月15日
What do you think the EU antitrust case is about?! Or do you suddenly care because it affects your clients?
このTwitterのスレッドをたどれば、一連の変更が引き起こしている水掛け論が見えてくるだろう。
これはグーグルによる倫理的動きなのだろうか?
グーグルが奪い取ろうとしている部分は、そもそもあなたがするに値していたものだったのか?
SEOはまもなく死を迎えるのか?
これまでと変わらず同じことをやりながら、戦略をスマートかつアジャイルな方法で適応させられるだろうか?
グーグルは以前に、こんなことまでしていた ―― Ooklaという企業がインターネット接続の速度を計測するサービスを提供しているのだが、「speedtest.net」というOoklaのドメイン名で検索したときにも、検索結果内で速度を計測できる項目をSERPに挟み込んでいたのだ。
こうした姿勢が自分にも向けられた場合に、それを肯定的にとらえるのは難しい。
さすが。pic.twitter.com/WClX9oZFNO
— Mike Pantoliano (@MikeCP) 2018年4月24日
しかし、現在の状況をあなたがどう感じていようと、グーグルの
- ローカルパック
- 強調スニペット
- SERP機能
- Googleニュース
- 画像
- フライト
- 動画
- マップ
といったサービスを乗せた列車は走り続けており、止まる気配がない。
これらの変化がいかに急速に進行しているかを把握するために、次の2つの画像を見てほしい。最初の画像は、ある顧客の主なヘッドターム(検索ボリュームが多い検索キーワード)の1つについて、2016年11月のSERPランキングを示したものだ。
同じキーワードのSERPが2017年12月初めにはどう変化していたかを示すのが、次の画像だ。
どちらの画像でも、緑色で示した行が顧客のサイトだ。
2つの画像を比べると、顧客サイトがオーガニック検索1位であるのは2016年と変わっていないが、実際の検索結果ページにおけるプレゼンスは大きく変わっている。具体的には、オーガニック検索1位の上にローカルパック3つとイベントスニペットが増えて顧客のサイトは実質順位が下がっている(さらにオーガニック2位との間にはAMPカルーセルが挟み込まれている)。
特定の機能が表示されるクエリの割合を知りたい人は、MozCastのFeature Graphを確認してほしい。
その検索トラフィック減少は、グーグルのSERP機能のせい? それとも別?
あなたがこの記事を読んでいる理由はおそらく、自分のオーガニック検索トラフィックが減少したことに気づき、それがグーグルのせいではないかと疑っているからだろう。
トラフィックの減少をもたらす原因は、主に次の4つのいずれかであることが多い:
- 検索順位の低下
- 検索ボリュームの減少
- 上位をとれる検索キーワードの減少
- あるいはSERP機能や広告に起因するクリック率(CTR)の低下
時間を有効に使うには、まず通常のトラフィック減少分析を実行して最初の3つが原因ではないか判断しておくことをオススメする。
すでにそうした分析を済ましていて、トラフィック減少の原因がSERP機能の変更である可能性が高いという結論に達しているならば、このまま読み進めよう。
だが、完全な分析は面倒だ
SERP機能が原因であることを強力に示す兆候だと言える状況が1つある。それは、Google Search Consoleで次のようなことを確認できる場合だ:
- 平均順位は比較的変わっていない
- インプレッション数もほぼ一定している
- クリック数が(広範に、または特定のクエリに対して)大幅に減少している
ただし、(これ以降も繰り返すが)クリック数とインプレッション数の比較は必ずモバイルとデスクトップの両方で確認してほしい。広範な比較と、特定のヘッドタームを対象とする比較の両方が必要だ。
1日のほとんどをデスクトップコンピュータの前で過ごしている人の場合、この業界ではいかにモバイルが世界を支配しているか忘れてしまうことがある。デスクトップ上では、これらの要因がトラフィックに及ぼす影響はそれほど劇的ではない。しかし、モバイルデバイスに目を向けると、4回ほど下にスクロールしてようやくオーガニック検索のリスティングが表示されることも珍しくない。
そこから、グーグルに起因するトラフィックの減少に対処する手順は、大まかに言うと次のとおりだ。
トラフィック減少の原因を、SERP機能の導入または有料広告の増加に絞り込む
減少を引き起こしている機能を特定する
SEOツールとパフォーマンスグラフから確証を得る
それに応じてSEO戦略を組み直す
ステップ1はここまでの解説で終えた。では、次に進もう。
ステップ2.0:減少を引き起こしている機能を特定する
グーグルの検索結果に表示されるさまざまな強化機能を網羅した包括的リストについては、Overthink Groupがここにまとめている。
リンク先に詳細な情報があるが、すべて英語での解説なので、以下の解説を読み進めやすくするために項目リストだけここに掲載しておく。
- ナレッジグラフ系
- ナレッジパネル
- カルーセル(~に関連するもの)
- アンサーボックス
- See results about(あいまいな検索クエリに対して提示する関連検索とダイレクトアンサー)
- Google の検索結果に投稿
- 広告系
- オーガニック検索系
- 強調スニペット
- トップニュース(Top stories・Discover)
- Googleレビュー
- 「動画」検索結果
- 「画像」検索結果
- パンくずリスト
- サイトリンク内の「~からの検索結果」ボックス
- サイトリンク
- AMPストーリー
- ローカル検索結果系
- ローカルパック
- ローカルカルーセル
- ローカルナレッジパネル
(検索結果機能はこれ以外にもあるが、ここにはリンク先で紹介されているもののみを記載)
自分に影響を及ぼしているのはどれかを特定するには、次に示す手順に従ってほしい。
ステップ2.1
自社の業界を考えれば、グーグルの検索結果機能のうち、どの機能から最も打撃を受けやすいのか、おそらくあなたはすでにわかっているだろう。
あなたはEコマースサイトの運営者だろうか?
→YESの場合は、Googleショッピングと有料広告が候補になるだろう。
多くのブログトラフィックを生み出す傾向があるだろうか?
→YESの場合は、自分にとって最も重要なクエリで強調スニペットを獲得しているのはだれなのかを確認しよう。
あなたはメディア企業だろうか?
→YESの場合は、自分が上位のニュース結果から除外されていないを確認しよう。
リスティングサイトの運営者だろうか?
→YESの場合は、スポンサードリスティングやGoogleしごと検索が原因かもしれない。
ステップ2.2
そこから、自分が気になるいくつかのキーワードでSERPを無作為抽出調査して、何が変わったかを感じ取るとともに実際の影響を確認しておこう。
データを詳しく調べる場合は、自分が何を探しているかを大まかにでも把握しておけば、特定しやすくなる。
この手法は、トラフィック減少の原因がSERP機能の場合にはうまくいく。しかし、有料広告の量の変化を判断するのはこのやり方では難しいだろうことはお断りしておく。
繰り返すが、必ずモバイルとデスクトップの両方でチェックすることを忘れないでほしい。オフィスのコンピュータ画面では取るに足りないように見えることでも、モバイルデバイスではまったく異なる状況を目にするかもしれないからだ。
ステップ3.0:SEOツールとパフォーマンスグラフから確証を得る
何が変わったのか大まかなイメージがつかめたら、SEOツールを使って確かめる。
もし利用できるなら、検索順位履歴追跡ツールを使うと、自分のSERPでの改善状況を最も効率的に詳しく解析できる。私が最もよく使うのはSTATだが、他にも素晴らしいツールとして、MozのSERP Featuresレポート、SEOmonitor、SEMRushがある。
これらのいずれかのツールを使って、(広範な、または特定の重要なキーワードの)履歴データを振り返り、できればSERP機能が表示されるようになった日付を見つけよう。
この日付がわかったら、オーガニック検索トラフィックなどのパフォーマンス評価指標での減少と照らし合わせる。
SERP機能の表示と検索トラフィックの減少が同じような時期に発生しているならば、それが原因だと見てほぼ間違いないだろう。
例として、ローカル検索件数が4万9500件のキーワードについて、顧客の1社にこの解析をしてみた結果を示す。この企業は、ローカルパックの登場によってモバイルファーストで大きな打撃を受け、その10日後に今度はイベントスニペットによって打撃を受けた。
次に示すグラフは、Google Search Consoleでヘッドタームのモバイルにおけるクリック数とインプレッション数のデータを調査したものだ。
改めて強調しておくが、こういった変化を解析する場合には、モバイルとデスクトップの両方を確認する必要がある。ナレッジパネルのような機能は、デスクトップ上よりもモバイルデバイス上の方がはるかに目立つため、デスクトップではトラフィックに劇的な変化は見られないかもしれないが、モバイルでは異なる可能性がある。
この顧客の場合は、構造化データを改良してイベントスニペットに表示されるようにした結果、失われたトラフィックのかなりの部分を取り戻せた。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、トラフィック減少の原因を探る方法を紹介した。後編となる次回は、それぞれの原因別に対応策を見ていく。→後編を読む
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