なぜアクセスが減ったのか? Googleアナリティクスの「集客」メニューから原因を突き止める[第34回]
短期的に訪問数が上がったり下がったりして、上司から「この日は何があったのか」と聞かれたことはないだろうか? Googleアナリティクスでチャネルごとのアクセスを見れば、その原因は一目瞭然だ。
今回からは「集客」セクションのレポート群を見ていこう。このセクションには、「どこから来たのか」という「参照元」情報をもとにしたレポート群が集まっている。何がサイトへの来訪のきっかけになっているのか、その情報を上手に生かすにはどういった見方をしていけばよいのかといったことを解説していく。
なおGoogleアナリティクスの「参照元」については連載の第24回から第28回までを参照してほしい。
- 短期的なアクセス変動の原因がわかる
- Googleアナリティクスにメモを残す方法がわかる
トレンドデータで異常値がないか確認する
サイトによって、データを確認する周期は異なるだろう。売上の多くを依存しているeコマースサイトでは、リアル店舗と同じように毎日の売上状況を確認して、施策を臨機応変に次々と繰り出さないといけないだろう。そうではなく、月の初めに前月の利用状況を確認するくらいの定点観測で済むようなサイトもあるだろう。
観測サイクルがいずれの場合でも、データの見方としては、季節変動や曜日変動などの基本変動を押さえたうえで、いつもの傾向と違う好不調がないかを気にするだろう。不調でも好調でも、その原因を把握して次に役立てることが重要だ。特に不調の場合は、早め早めに対策を実行しなければいけないので、原因究明は急務になる。
月次で定点観測のレポートを作成しているのであれば、長期トレンドにおける直近月の状態を知るための毎月のデータの推移グラフ(図1)と該当月の日別の推移グラフ(図2)の2種類を用意すればよいだろう。なお、これらのグラフを表示する集計期間の指定方法については、連載の第29回を参照してほしい。
図1と図2はどちらも[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート(図1赤枠部分)だが、レポート上部に折れ線グラフ表示のあるレポートなら同じ表示をすることができるので、ログイン後に表示される[ユーザー]>[概要]レポートなどで同様の操作を行っても構わない。
図1は年スパンでの変動トレンドを確認するやり方だ(図1青枠部分)。セッション数を月次で表示して(図1緑枠部分)、1年分ずつ重ねて表示することで、前年同月対比や前月対比などの視点で好不調を確認している。
図2は月スパンでの短期トレンドを確認するやり方で、1か月のデータを日別(図2赤枠部分)で表示して、該当月に実施した各種施策とひも付けて、定例の施策による影響や、未知の突発的なアクセスがないかを確認できる。
図1と図2で傾向を読み取れるだろうか? 長期トレンドからは直近の月は、特に好不調の波はなさそうだということがわかる。日別では年初の不活発な時期(図2青枠部分)を除けば、1月14日にある通常とは異なるピーク(図2緑枠部分)が気になるポイントになるだろう。
なぜアクセスが増えた(減った)かの原因を突き止める簡単な方法
では、その1月14日のアクセス増の原因を突き止めよう。おおよそ次のやり方で簡単に原因を突き止められる。突発的なアクセス増は、通常とは異なる参照元からの流入が多くなることが多いので、どこからの集客で多くの変化が生じたのかを確認すればよい。
1. どのチャネルからの訪問が変動したのかを特定する
そのためには、図2の[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートの下部の一覧表示部(図3)で、主要なチャネルグループにチェックを付け(図3赤枠部分)、「グラフに表示」ボタン(図3青枠部分)をクリックしよう。
すると図4のようにグラフに表示される折れ線が3本増える。先ほどチェックしたチャネルの「Organic Search」「Direct」「Social」、つまり「自然検索」「ノーリファラー」「ソーシャル ネットワーク」それぞれに対応したグラフが表示されている(図4赤枠部分)。これを見ると、1月14日のアクセス増は紫色、つまり「ソーシャル ネットワーク」からの利用が急増したことが明らかだ(図4青枠部分)。
この先は、どの分類が急増したかによって調べ方が多少変わるが、今回は「Social」(図3緑枠部分)をクリックする。すると図5のように「Social」に絞り込まれ、一覧表示データ部分にはどのソーシャルネットワークからのアクセスなのかの明細が表示される。
レポート下部の一覧表の明細データを見ると、「Facebook」が中心だが、「Twitter」や「Hatena Bookmark」などもあることがわかる(図5赤枠部分)。
次は図3と図4で行ったアプローチを繰り返してみよう。すなわちソーシャルネットワーク上位の「Facebook」「Twitter」「Hatena Bookmark」の3つにチェックをして(図5青枠部分)、「グラフに表示」ボタン(図5緑枠部分)をクリックしよう。すると図6のようになり、急増の原因はやはりFacebookからの訪問であることが明確だ(図6赤枠部分)。
2. どのページに来ているのかを特定する
どこからのアクセスが増えたのかはわかった。次に、どのページへのアクセスが増えたのかを確認しよう。集客の原因が「Facebook」であることがわかったので、「Facebook」(図5黒枠部分)をクリックして、Facebookからの訪問にまず絞り込む。続いてセカンダリディメンションのプルダウンから「ランディング ページ」を選択しよう(図7赤枠部分)。
すると第1位のランディングページが全体の86%を占めており、ほとんどはこのページをリンク先にしたFacebookからの訪問であることが突き止められた(図7青枠部分)。
ほかのチャネルが変動要因だった場合は?
急増したチャネルが「Organic Search」だった場合は、同様に「Organic Search」をクリックしてドリルダウンし、プライマリディメンションを「参照元」にして、どの検索エンジンが増えたのかを絞り込んだり、同「ランディング ページ」を選択してどのランディングページが増えたのかを絞り込んだりしてみよう。また関係しそうなキーワードの特定の検索エンジンでの掲載順位が急上昇または急下落していないかといった調査をしてみよう。
「Referral」が急増しているようであれば、同様に「Referral」をクリックしてドリルダウンすれば、どのサイト(example.com)のどのページから来訪しているかがわかる。流入の原因となっているページを実際に見て、どういう文脈で、自分のサイトへのリンクが貼られているのかを確認して、コンテンツ制作の参考にしよう。
メルマガを行っている場合は「Email」チャネルによって一定のアクセス増が見込まれる。「毎週月曜日に出しているメルマガでは一般的にこれくらいのアクセス増がある」というのは定点観測で把握しておこう。
「Paid Search」「Display」「Advertising, Display」などの広告集客施策をしていれば、その広告実施の期間については集客担当チームと連携を取って状況を把握しておこう。このあたりは、キャンペーンパラメータの使い方によるので、広告施策のパラメータの付与ルールに応じて原因の調査を行おう。キャンペーンパラメータの使い方については連載の第26回を参照してほしい。
「Direct」だと原因は把握しにくいが、同様に「Direct」をクリックすれば、ランディングページにドリルダウンできるので、どのランディングページへの訪問が増えたのかを手がかりにしてみよう。
施策はGAでメモを付けてデータとの連動を確認できるようにしておく
Googleアナリティクスには、日付を指定してメモを残す機能がある。こうした調査をしたら、そのことをレポート上でメモしておくのがよい。Googleアナリティクスを見ている関係者が多数いる場合、特に「集客担当はいつどういうキャンペーンを実施したのか」「制作担当はいつどのページを更新したのか」といった情報を残しておくことで、関係者全員がその効果を共有することができる。
上部に折れ線グラフのあるレポートならどこでもよいのだが、折れ線グラフの下にある▼マーク(図8赤枠部分)をクリックすると、その下に1行表示される(図9)ので、右端にある「+新しいメモを作成」(図9赤枠部分)をクリックする。
するとメモを書くことができる画面が表示される(図10)。左上の入力ボックス(図10赤枠部分)をクリックするとカレンダーが表示されるので、メモを残したい日を選択しよう。残念ながら範囲を指定することはできないので、実施期間のあるキャンペーンなどは開始日などの1日を選択するなど工夫しよう。カレンダーを利用せず、直接年月日を記述すれば、将来の日付でもメモを記録しておくことができる。
メモの内容はその右側の入力ボックス(図10青枠部分)に記述する。最大160文字まで書き込むことができる。そして個人的なメモでなければ、公開設定は「共有」にして(図10緑枠部分)、「保存」ボタン(図10黒枠部分)をクリックしよう。
これでメモが保存される(図11赤枠部分)。▲ボタン(図11青枠部分)をクリックしてメモ機能を閉じるても、グラフ内の日付表示の軸上にメモがあることがわかるフキダシの印(図11緑枠部分)が付くので、気になった人はどのレポート画面からでもメモの内容を確認できるというわけだ。
施策の実施内容や、ソーシャルでの反響など後から調べてわかったことを、メモ機能を利用して関係者で情報共有することで、分析や調査の無駄をなくすことができる。
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
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