Webサイト全体の集客状況をチェックするには? GAの[チャネル]レポートを活用する[第27回]
前回は「“参照元”の基本分類は3つ」だと説明した。参照元なし、検索エンジン、その他の参照元の3つのパターンだ。その拡張版が「チャネル」だと考えてほしい。
運用型広告やソーシャルメディアの担当者であれば、自分が担当している集客元(参照元)だけに絞って細かい部分を見ていればよいのかもしれない。しかし、全体を統括しているマネージャークラスの人はもっと全体のバランスを見たいだろう。
今回紹介する[チャネル]レポートは、集客施策による違いで“参照元”を一番大ざっぱにグルーピングして9つに分類している。全体のバランスを見るには、このくらいの粒度で見るのが便利だ。[チャネル]レポートでは、集客施策ごとの規模や特徴に加えて、それぞれが成果に結びついているのかといった見方ができる。
- サイトの集客状況の全体像がわかる
- Googleアナリティクス標準の9種類のチャネルグループの見方がわかる
「チャネル」は細部ではなく全体を見たいときに利用する
チャネルは[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート(図1)で見ることができる。ディメンション名は「Default Channel Grouping」となっている(図1赤枠部分)。これは日本語に訳すと「標準のチャネルグループ分け」という意味だ。なお、[集客]>[サマリー]レポートでもチャネルごとのサマリーを確認できる。
その「Default Channel Grouping」の値には、「Organic Search」「Direct」「Referral」などの単語が確認できるだろう(図1青枠部分)。ここは、後半で解説するルールによって以下の9つに分類されるようになっている。その9つのどれにも該当しないものは「(Other)」と表示されるので、このレポートは最大10行の表示になる。
9つの中から、意味の似ているものをまとめて大きく4つに分類したのが下記の表だ。検索連動型広告(検索エンジンの結果画面に表示されている広告)からの訪問を意味する「Paid Search」は、2つ目の検索エンジンからの訪問に含めてもよいが、ここでは4つ目の広告による訪問の方に含めておいた。
表記 | 意味 |
---|---|
Direct | 参照元なし |
Organic Search | 検索エンジン(広告除く)からの訪問 |
Social、Referral | その他の自然な訪問 |
Paid Search、Email、Affiliates、 Other Advertising、Display | 各種集客施策(広告など)による訪問 |
冒頭に述べた3つの基本分類の「参照元なし」「検索エンジン」「その他の参照元」は、次のように該当する。
- 参照元なし ‐ Direct(後述の定義表では「ノーリファラー」)
- 検索エンジン ‐ Organic Search(後述の定義表では「オーガニック検索」)
- その他の参照元 ‐ SocialまたはReferral(後述の定義表では「ソーシャル」あるいは「参照サイト」)
なお「Social」は、FacebookやTwitter、各種ブログ、はてなブックマークなど、グーグルがソーシャルメディアと定義したサイトからの訪問を意味し、「Referral」は「Organic Search」や「Social」を除いた残りの自然な訪問の参照元の分類になる。
残りの5つは各種集客施策による少し細かい分類になる。簡単に整理すると下記のとおりだ。集客施策によって大きく成果が異なるので、少し分類を細かくしてあるということだろう。
レポート上の表記 | 下記定義表での表記 | 意味 |
---|---|---|
Paid Search | 有料検索 | 検索連動型広告からの訪問 |
メール | メールマガジンからの訪問 | |
Display | ディスプレイ | ディスプレイ広告からの訪問 |
Other Advertising | 他の広告 | その他の広告からの訪問 |
Affiliates | アフィリエイト | アフィリエイトによる訪問 |
「メディア(utm_medium)」を正しく指定すればうまく分類される
続いて、これら9つの分類の細かい定義を見ていこう。
9つに分類されるルールはGoogleアナリティクスの公式ヘルプから引用した図2を参照してほしい。なお図2ではチャネルの表記が日本語になっているが、実際のレポート内での表記は図1のとおりすべて英語だ(図1青枠部分))。
Googleアナリティクスはルールにもとづいて参照元を自動的にグルーピングしてくれるので、前回解説した「カスタムキャンペーン」パラメータは、なるべくこのルールにのっとってパラメータの値を付与することをおすすめしたい。なお、大文字と小文字は区別されるので小文字で正確に設定しよう。
たとえば前回のメールマガジンの例で「メディア」=「email」としたのは、このルールにのっとれば「Email(メール)」に分類してくれるからだ(図2赤枠部分)。「メディア」の値を仮に「mail」などとしてしまうと、この9分類のどれにも該当しなくなるので「(Other)」としてまとめられてしまう。
分類には「Affiliates(アフィリエイト)」といった項目も用意されている(図2青枠部分)。1つ1つ手で設定して判別するよりも、自動的に分類してくれるルールに従う方が管理は楽だ。
「ソーシャル」の内訳はクリックして確認しよう
ただし注意点がある。「ソーシャル」という分類は、このデフォルトチャネルの定義の一部に「ソーシャルメディアからの参照- 完全一致 - Yes」(図2緑枠部分)とあるが、Googleアナリティクスの定める「ソーシャルメディア」の定義がどこにも明示されていないので、ソーシャルメディアの何が含まれて何が含まれていないのかの判別がすぐにできないことだ。
その場合は、実際にレポートに表示されている「Social(ソーシャル)」(図1緑枠部分)をクリックして内訳を確認するようにしよう。
チャネルグループの定義をカスタマイズすることもできる
Googleアナリティクスは、チャネルグループの定義をカスタマイズして自分なりにグルーピングできる機能も持っている。
ここで詳しくは解説しないが、「管理」ビューの設定の中に「チャネルグループ」(図3赤枠部分)という項目があり、「アクション」(図3青枠部分)というプルダウンから、この標準のチャネルの設定を編集したり、新しく独自のチャネルグループを作成したりすることができるのだ。
たとえばこのプルダウン(図3青枠部分)で表示された中の「編集」(図3緑枠部分)を選択すると、図4のような編集画面が表示される。
ここで、一番右にある「×」(図4赤枠部分)をクリックしてその分類を削除したり、その左側の鉛筆アイコン(図4青枠部分)をクリックしてその分類内容を修正したりできる。また、「新しいチャネルを定義」(図4緑枠部分)をクリックすると新しい分類を新設することもできる。
たとえば、広告系の分類が自社の運用型広告の管理分類と異なる場合に、自社の管理分類に合わせてチャネルの定義を修正するといった使い方がある。初心者には少しハードルが高いかもしれないが、標準の9グループをある程度使い込んだら、自分なりのグルーピングで分析できる機能があることを思い出してほしい。
次回は“参照元”最後の回として、“参照元”が検索エンジンの場合の「キーワード」について詳しく解説する。
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