衣袋教授の新・Googleアナリティクス入門講座

GAのデータに興味のない上司や同僚にレポートを見てもらうには? メールを自動配信する方法2つ[第60回]

GAに興味を示さない上司や同僚とデータを共有するために、「大きな変動があったとき」または「月次など定期的」にメールが自動配信されるようにしてみよう。

自分がGoogleアナリティクスを利用していろいろなことを発見していても、上司や同僚がデータにほとんど興味を示さず苦慮している方も大勢いるだろう。興味がない人にデータを見る習慣を植え付けるのはなかなか難しく、また興味があっても能動的にGoogleアナリティクスにログインしてデータを見てもらうのはハードルが高い。

そうした場合、たとえば「大きな変動が見つかったときに」あるいは「月に1回定期的に」自動的にメールが届くという仕組みを作るのはどうだろう。メールが送られたタイミングで、あわせてその上司や同僚に声をかけて軽く説明し、徐々に興味を持ってもらえるようにしてみよう。今回紹介する機能は次の2つだ。

  • 大きな変動が見つかったときにメールで知らせる → 「カスタムアラート」機能
  • 月に1回定期的にメールで知らせる → 「共有」機能

ただし、毎日のように送り付けるのは禁物だ。かえってうっとうしがられないような工夫が必要になる。だから冒頭の「月に1回定期的に、あるいは大きな変動が見つかったときに」ということになるわけだ。大した変化もなく、同じような数字を毎日見ても、誰の興味を引くこともできないので、各サイトの事情に応じて、配信頻度についてはよく考えて運用しないといけないだろう。

この記事で学べること:
  • 数字が大きく変動した重要なタイミングで自動的にメールを送る
  • 月に1回、月次レポートをメールで送る

共有方法1大きく変動したときに知らせる「カスタムアラート」機能

お知らせする重要なタイミングは「変化があったとき」だ。

たとえばeコマースサイトでキャンペーンが成功し、売上が大きく上がったら皆で喜びたいだろう。こういうときは、積極的に上司に自慢すればよい。

逆に、コンバージョン数(目標設定している目標達成数)が急に減った場合だったとしても、上司への報告も必要だし、担当者もすぐに対応策を考えなければならないので、比較的よくデータを見ているはずの担当者自身にも念のため自動的に連絡がくるようにしておくのがよいだろう。

このように重要な指標が大きく変動した場合に自動的にメールで通知してくれるのが、Googleアナリティクスの「カスタム アラート」という機能だ。大きな変動が生じた要因について、「カスタム アラート」レポートを見ることで確認することもできる。

それでは早速、カスタムアラートの設定をしてみよう。ここでは例として「サイトのトラフィックが通常より下回ったらメールを自動送信する」という設定をしてみる。

カスタムアラートの設定① カスタムアラートの画面を表示する

「カスタム」セクション(図1赤枠部分)の一番下にある「カスタム アラート」(図1青枠部分)をクリックしよう。図1のような画面になるので、「カスタム アラートの管理」ボタン(図1緑枠部分)をクリックする。

図1:[カスタム]>[カスタム アラート]レポート
図1:[カスタム]>[カスタム アラート]レポート

すると「管理」画面(図2赤枠部分)のビューの設定項目の「カスタム アラート」画面(図2青枠部分)に移動するので、こちらからアラート内容の設定をしていく。この画面に移動するには、「管理」画面から該当のビューを選択して「カスタム アラート」画面を選択する方法でもよい。

図2:[管理]>[カスタム アラート]画面
図2:[管理]>[カスタム アラート]画面

カスタムアラートの設定② アラート名と配信先のメールアドレスを登録する

「+ 新しいアラート」ボタン(図2緑枠部分)をクリックすると図3の画面に進む。ここでアラート条件を指定していくわけだ。上部と下部に分けて解説していこう。

図3:新しいアラートの設定画面
図3:新しいアラートの設定画面

まずは上部にある「アラート名」(図4赤枠部分)にアラートの名前を記述する。そして「期間」の右のプルダウン(図4緑枠部分)の選択肢は「日」「週」「月」の3つがあるが、今回は日々の異常値を検出したいので、「日」を選択することにする。

図4:新しいアラートの設定画面(上半分)
図4:新しいアラートの設定画面(上半分)

また、メールで通知してもらいたいので、その下のチェックボックス(図4黒枠部分)をクリックする。するとメールアドレスを登録するプルダウン(図4茶枠部分)が出現するので、そこをクリックして「新しいメールアドレスを追加」(図4紫枠部分)をクリックする。

するとメールアドレスの登録画面が表示されるので、アラートメールを受け取りたいメールアドレスを記述し(図5赤枠部分)、「OK」ボタン(図5青枠部分)をクリックすればよい。

図5:メールアドレスの登録
図5:メールアドレスの登録

なお、アラート名の下にある「適用」は、このビューだけでなく他のビューでも同じ設定のアラートを適用したい場合に指定する。「AND」の右にあるプルダウン(図4青枠部分)をクリックして、追加設定したいビューにチェックをしていく。

カスタムアラートの設定③ アラートの条件を指定する

続いて下半分の「アラート条件」を指定する部分に進む。ここではディメンションと指標のセットで条件を指定していく。サイト全体の数値を条件にするのであれば、「適用対象」のプルダウン(図6赤枠部分)は変更せず、「すべてのトラフィック」のままでよい。

図6:アラート条件の指定例①
図6:アラート条件の指定例①

指標の条件は、その下の行で行う。こちらもプルダウンから指標を選択し(図6青枠部分)、その指標がどのように変化した場合に知らせたいのかという条件をその右側で指定していく。「条件」のプルダウンでは6種類の条件を選択できる(図6緑枠部分)。今回の例では「トラフィックが減少したとき」にメールを送りたいので、「未満」「1000」と設定した(図6黒枠部分)。これで1日のセッション(訪問数)が1,000を切ったら知らせてくれるようになる。

これらを通しで設定した画面が図7だ。内容を確認して「アラートを保存」ボタン(図7赤枠部分)をクリックすればアラートの設定は完了だ。

図7:新しいアラートの設定例
図7:新しいアラートの設定例

保存すると、カスタムアラートの一覧画面に移動し、カスタムアラートを無事登録できたことが確認できる(図8赤枠部分)。

図8:[管理]>[カスタム アラート]画面
図8:[管理]>[カスタム アラート]画面
「適用対象」を絞り込みたい場合は?

特定のディメンションによる条件を指定したいなら、条件にしたいディメンションをプルダウンから選択する(図9赤枠部分)。そしてマッチパターンを「条件」と「値」の部分で指定する(図9青枠部分)。マッチパターンは10種類ある中から選択できる(図9緑枠部分)。図9の例は「国」ディメンションの値が「Japan」に「完全一致」した条件指定になっている。

図9:アラート条件の指定例②
図9:アラート条件の指定例②

カスタムアラートの設定④ 表示されたアラートを確認する

アラート条件に合致した変動が生じて実際にアラートが表示された場合は、内容を次の2段階で確認できる。

  • 「いつ、どんなアラートが発生したのか」を確認する
  • 「その変化は何が原因で起きたのか」を深掘りする

グーグルからアラートが発生したことを知らせるメールが届く(図10)ので、内容を確認するため[カスタム]>[カスタム アラート]レポート(図11)を表示しよう。

図10:届いたアラートメールの本文
図10:届いたアラートメールの本文

図11図8とは別に設定した「日別トラフィック増」というアラートが出現したときの例だ。いつの日のデータのアラートかは「日付」の項目に部分に表示される(図11赤枠部分)。「いつ、どんなアラートが発生したのか」を確認するのが1段階目だ。

図11:[カスタム]>[カスタム アラート]レポート
図11:[カスタム]>[カスタム アラート]レポート

そしてアラートの右側にある「詳細」をクリックすると、図12のように詳細な画面が表示される。これが、「その変化は何が原因で起きたのか」を深掘りする2段階目だ。詳細画面について説明しよう。

図12:[カスタム]>[カスタム アラート]レポートの詳細
図12:[カスタム]>[カスタム アラート]レポートの詳細

まずアラート対象の日付が左上に表示される(図12赤枠部分)。そして折れ線グラフの下に並んでいる文字がアラートの内容だ。この例では、「アラートが出た日のセッションが、前の週の同じ曜日のセッションに比較して約4倍になっている(+304%なので、3倍増、つまり4倍ということ)」と表示されている(図12青枠部分)。その下には、その変化の原因の主だったところをディメンション別に明細が表示してある。

一番右の列には「レポートに移動」というリンクがある(図12緑枠部分)ので、このリンクをクリックすると関連するレポートが表示されるので、変化の細かい内容を確認できるという仕組みだ。

祝日や連休後はアラートが発生する

なおこの図11図12の例は、休日にアクセスが減少するB2Bサイトなので、たとえば月曜日が祝日の場合、翌週月曜日のデータが何倍にも跳ね上がるのは当然で、毎回必ずアラートメール連絡が来る。こうしたサイト特有の季節変動や曜日変動によって生じる当たり前の変動でも、アラートメールが来ることは想定しておく必要がある。

共有方法2標準のレポートを月次で配信する「共有」機能

一方で、冒頭でも話したように「月に1回特定のレポートだけでも見てもらいたい」という場合は、レポート内にある「共有」ボタンを使おう。この「共有」ボタンは多くのレポートであるはずだ。

たとえば[ユーザー]>[概要]レポート(図13赤枠部分)の右上に「共有」(図13青枠部分)という表示がある。

図13:[ユーザー]>[概要]レポート
図13:[ユーザー]>[概要]レポート

この部分をクリックすると、図14のような画面が表示される。ここを設定すれば、このレポートの内容を定期的にメール添付で送ってくれるのだ。

図14:メール レポートの設定
図14:メール レポートの設定

「差出人」は自動的にGoogleアナリティクスにログインしているGoogleアカウント(メールアドレス)になる。「宛先」は送りたい相手先のメールアドレスを記述する(図14赤枠部分)。なお宛先はカンマで区切ることによって、複数のメールアドレスを指定することができる。

「添付ファイル」のプルダウン(図14青枠部分)からは「PDF」「Excel(XLSX)」「CSV」の3種類が選択できる。それぞれの種類で実際にどういう中身が添付されるのかは、事前に自分を宛先にして確認しておくか、宛先に自分も追加しておくかしておこう。

「頻度」の横のプルダウンでは5種類の頻度から選択できる(図14緑枠部分)。「1回」を選択すると、現在表示しているレポートを添付して今すぐ宛先に送付するだけで終了だ。「日別」を選択すると、毎日のデータを翌日朝に届けてくれる。

「週別」を選択すると、週の区切りを指定する部分が右側に表示される(図15赤枠部分)。標準で「月」が指定されているが、これは「月曜日から日曜日までの7日間のデータをまとめて翌月曜日に送る」ということだ。

図15:メールを出す頻度(週別)の指定
図15:メールを出す頻度(週別)の指定

「月別」にすると、月の区切りを指定する部分が右側に表示される(図16赤枠部分)。

図16:メールを出す頻度(月別)の指定
図16:メールを出す頻度(月別)の指定

標準で「1日」が指定されているが、これは「1日始まりの1か月のデータをまとめる」ということを意味する。「月の途中からの1か月」という設定をすることはほぼ考えられないので、基本的には「1日」を選択するのがよいだろう(図16赤枠部分)。

最後に「送信」ボタン(図14黒枠部分)をクリックして設定は終了だ。

頻度で「1回」以外の繰り返す設定を選んだ場合は、[管理]>[メール配信スケジュール]画面で、図17のように設定したメール配信の一覧を確認できるようになる。また、右端にある「アクション」プルダウン(図17赤枠部分)からは、用済みになった共有設定を「削除」することもできる。

図17:[管理]>[メール配信スケジュール]画面
図17:[管理]>[メール配信スケジュール]画面

なお、サイトの大小によって異なると思うが、集計にかかる時間は基本的に24時間以内で、場合によっては最大2日以内ということもある。そのため、たとえば月別で「1日」を区切りに設定している場合は、翌月1日の朝に必ずメールが送られてくるとは期待しない方がよいだろう。また、レポートにより集計が遅いものもあるので、「このレポートは届くタイミングが遅い」などのバラつきもあるかもしれない。

今回は、上司や同僚にメールでレポート内容を知らせる2種類の方法を解説した。能動的にレポートを見にいかない人には、うっとうしがられないくらいの低い頻度でレポートやアラートを適切なタイミングで送り、関心を持ってもらうことから始めてはいかがだろうか。

◇◇◇

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用語集
Google Analytics / Googleアナリティクス / キャンペーン / コンバージョン / セッション / チェックボックス / リンク / 訪問
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