「(not provided)」って何? Googleアナリティクスで訪問者の検索キーワードを知るには[第28回]
今回は「参照元」の中でも気になるであろうディメンションの「キーワード」について解説しよう。ひとことで言ってしまえば、「参照元が検索エンジンだった場合に、どのようなキーワードを検索した結果のページからの訪問かがわかる」ディメンションだ。
「キーワード」は、ユーザーのニーズを調べたりランディングページを改善したりということに長い間役立ってきた。しかし最近は検索エンジンのHTTPS化により「(not provided)」の割合が多くなり、検索ワードを知るためには別の方法を取らなければならなくなってきている。ここでは、その方法もあわせて解説しよう。
- 訪問者がどんなキーワードを検索してサイトに訪れたかがわかる
- 「(not provided)」と表示される仕組みと対処方法がわかる
検索ワードを確認できる2つのレポート
検索エンジン経由でサイトを訪問してきたユーザーが、どういう検索語(キーワード)を検索してサイトにやってきたのか? それを知ることのできるレポートが、[集客]>[キャンペーン]>[オーガニック検索キーワード]レポートだ(図1)。
[オーガニック検索キーワード]レポートではプライマリディメンションが「キーワード」(図1赤枠部分)になっており、参照元が検索エンジン経由のセッションに絞られたうえで、検索エンジンで利用された検索ワードを表示するレポートだ。最近は「(not provided)」(図1青枠部分)の割合が多いので「これは一体何だろう」と思うかもしれないが、それは後で説明する。
他にも[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポート(図2)で、プライマリディメンションを「キーワード」(図2赤枠部分)にしてもよい。
ただし[参照元/メディア]レポートにはすべてのセッションが含まれるため、検索エンジン以外からのセッションはキーワードの値が「(not set)」と表記されることに注意しよう(図2青枠部分)。つまり「(not set)」は、検索エンジン以外からのセッション(訪問)すべてを合計したものだ。
検索ワードが取得できる仕組みは参照元情報
ユーザーが検索エンジンで検索したキーワードを、なぜGoogleアナリティクスで見ることができるのだろうか? それは、検索エンジンから訪問したページの参照元情報(リファラー)に、検索エンジン結果画面のURLがあり、そのURLの中に検索ワードの情報が含まれているからだ。
たとえば、次はgoo検索で「アクセス解析」というキーワードを検索した際の検索結果表示ページのURLの例だ。使っているブラウザなどによって多少の違いはあるが、「MT=」以降の部分に検索ワードが格納されている。
「%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9%E8%A7%A3%E6%9E%90」の部分が、「UTF-8」という文字コードで「アクセス解析」という文字列を表している。Googleアナリティクスは、集計時にこの「MT」というパラメータの値をわれわれが判読しやすいように「アクセス解析」と変換してレポートに表示するという仕組みだ。
ただし検索エンジンによってキーワードに使われているパラメータは異なる。「goo検索からの訪問の場合は検索キーワードのパラメータは『MT』である」という対応表をGoogleアナリティクス側で持っていて、検索エンジンの判定とキーワードの抽出を行ってレポートを作成している。
「(not provided)」は「検索トラフィックだが検索ワードが不明」という意味
基本的な仕組みはわかった。しかし場合によっては多くの割合を占める「(not provided)」とは一体何なのだろう(図3青枠部分)。これは「検索エンジン経由の訪問ではあるが、検索ワードは不明」ということを意味している。
もう少しわかりやすく順番に説明していこう。第24回の記事でどのような場合に「参照元なし(ノーリファラー)」になるのかを解説したが、そのうちの1つに「セキュアサイト(URLが「https:」で始まるサイト)内のリンクから非セキュアサイト(URLが「http:」で始まるサイト)を訪問した場合」を挙げた。
現在、主要な検索エンジンであるグーグル検索やヤフー検索などはセキュアサイト化が進められている。たとえばグーグル検索で「アクセス解析」を検索した検索結果ページのURL(一部)は次のようになる。
検索ワードを格納しているパラメータは「q」だが、セキュアサイト化されているのでここから普通のサイトへ移動しても参照元情報は付かず「参照元なし」となるはずだ。しかしGoogleアナリティクスのレポートでは、グーグル検索からのセッションは「参照元/メディア」=「google / organic」として集計されている。これはなぜだろう。
実は、検索結果ページのリンクをクリックするといったんグーグルの非セキュアサイトへリダイレクトして検索ワード情報を消したうえで、対象サイトへ飛ぶようになっている。つまり「グーグル検索からの訪問であること」を参照元情報として伝えつつ、一方で検索ワード情報を教えないような仕組みになっているのだ。グーグル検索だけでなく、ヤフー検索も同様の動作をしていると思われる。
従って、グーグル検索やヤフー検索などのセキュアサイト化している検索エンジンからの訪問などでは、「検索ワードは不明だが、検索エンジンからの訪問である」という意味で「(not provided)」表記になるというわけだ(図3青枠部分)。
「(not provided)」のキーワードはどうやって知ればいいのか?
主要な検索エンジンがこのような仕様になっているため、残念ながら今は昔のように細かく検索ワード別にセッション数を確認することはできない。これはGoogleアナリティクスの問題ではなく検索エンジンの仕様の問題なので、アクセス解析ツール側でどうにもならないのだ。
この問題に間接的に対処するための方法としては、別のツールである「Search Console(旧ウェブマスターツール)」を利用するやり方がある。ただし、あくまでグーグル検索だけに対応しているツールでヤフー検索には対応していない。
Search Consoleは主に検索エンジン側の表示やクリックを中心にレポートするツールで、Googleアナリティクスで計測しているサイト内での利用行動まで精緻に結び付けて分析するものではない(どのキーワードの訪問がコンバージョン率が高いかなどはわからない)。システムが異なるので、Googleアナリティクスの数値と同じレベルで比較するといったことも難しい。Search Consoleはあくまでも補完的に使うしかないものと考えておこう。
Googleアナリティクスでは、このSearch Consoleとデータ連携して、Googleアナリティクスの画面内でも見ることができる。「管理」画面の「プロパティ」にある「プロパティ設定」の最後に「Search Consoleを調整」というボタンが用意してあり、そこからデータ連携する仕組みが用意されている(図5赤枠部分)。ただしあくまでも別のツールなので、ここではさわりの紹介だけにとどめておく。
検索連動型広告のキーワードを取得することはできる
検索エンジンに広告を出稿している場合は「どんな検索ワードで表示された広告をクリックして訪問したのか」を知ることができる。何の準備もしなければ、Googleアナリティクスの集計で、検索連動型広告からの流入なのか、自然検索からの流入なのかを区別することはできない。
検索連動型広告からの流入を判別するためには、AdWordsとデータ連携をして情報を取り込んだり、検索連動型広告から誘導するランディングページに「カスタムキャンペーン」パラメータを付与したりする必要がある。「カスタムキャンペーン」パラメータについては第26回で解説したのでそちらを参照していただきたい。
たとえばヤフー検索で検索連動型広告を出稿しているなら、広告に設定するランディングページのURLは次のようにしよう(実際はYahoo! スポンサードサーチの管理画面特有の記述の仕方があるが、ここでは省略する)。「utm_term」パラメータが検索ワードに割り当てられる部分だ。
そうすると、検索キーワードを[集客]>[キャンペーン]>[検索広告キーワード]レポート(図6)の「キーワード」ディメンション(図6赤枠部分)で見ることができるようになる。
図6の[集客]>[キャンペーン]>[検索広告キーワード]レポートでは、「キーワード」ディメンションの隣に「検索クエリ」というディメンションがある(図6青枠部分)。これは何を示しているのだろう。
「検索クエリ」は実際の検索エンジンでの検索した言葉そのものを示すのに対して、「キーワード」は検索連動型広告での管理グループである「キーワード」を表すものだ。
たとえばAdWordsでは、[アカウント]>[キャンペーン]>[広告グループ]>[キーワード]といった階層構造で広告の管理を行う。「キャンペーン」は広告予算や広告の掲載先を設定する管理単位で、「広告グループ」は同じテーマを持つ広告やキーワードをまとめたものだ。
そして、AdWordsで「キーワード」を部分一致やフレーズ一致などで登録している場合には、実際の「検索クエリ」とその「キーワード」は異なる可能性がある。Googleアナリティクスの「検索広告」関連のレポートでは、その「キーワード」と「検索クエリ」が厳密に使い分けられているので、混乱しないようにしよう。
📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
http://xfusion.jp/train.html
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