今年のGoogleアナリティクスの進化を総振り返り。オプティマイズ、データスタジオ、そして2017年の話

2016年はGoogleアナリティクスに大きな変化があった。ここではその振り返りと、2017年以降のマーケティング施策への取り組みについてレポートする。

2016年は、Googleアナリティクスの有料版である「Googleアナリティクス プレミアム」が名前を変えてGoogleアナリティクス 360 スイート」というスイート製品群として新たに発表された。

それに伴い「Googleオプティマイズ」「Googleデータスタジオ」といった新しい製品が登場し、2016年後半には両者とも実際に使えるようになった。これは単なるサービスの追加ではなく、Googleアナリティクスを取り巻く環境が今後大きく変わっていくことを表している。

12月7日(水)にアユダンテが開催したGoogleアナリティクス スイート活用セミナーでは、同社の山浦直宏氏が登壇し、2016年にグーグルが発表した内容を振り返りながら、進化したグーグルのデジタルマーケティングプラットフォームの活用法について解説した。

ここでは、2016年にリリースされた「Googleオプティマイズ」と「Googleデータスタジオ」の2製品についてのおさらいと、「Googleアナリティクスがこれから先どうなっていくか」という話を中心にレポートする。

2016年はGoogleアナリティクスの大きな転換点
2016年はGoogleアナリティクスの大きな転換点
この記事のポイント
  • Googleオプティマイズは「ウェブテスト」機能の進化形
  • Googleデータスタジオは「マイレポート」機能の拡張版
  • Googleアナリティクスはデータを溜める「箱」にすぎない
  • 2017年は「オーディエンスデータ」を中心に複数の製品が連携していく
  • データを「取る」「見る」からさらに「使う」時代へ

Googleアナリティクス 360 スイートは全7製品

Googleアナリティクス 360 スイートは、当初は従来の「Googleアナリティクス」「Googleタグマネージャ」に加えて4つの新製品が追加され、計6製品で構成されると発表されていた。ここにさらにオンライン調査の「Google Surveys」が加わり、計7製品でスイート製品群が構成されることになる。

当初発表されていた6製品に1製品加わり、計7製品となった
当初発表されていた6製品に1製品加わり、計7製品となった

それぞれの製品は次のとおり。このうち「Googleオプティマイズ」と「Googleデータスタジオ」はすでにリリースされており、利用することができる。今回はこの2つの製品を中心に紹介する。

製品名概要リリース状況
Googleアナリティクス 360Webサイトの訪問データを集計するリリース済み
Googleタグマネージャ 360Webサイトに設置するタグを一括管理するリリース済み
Googleオプティマイズ 360A/Bテスト、多変量テスト、リダイレクトテストを行うリリース済み(ベータ)
Googleデータスタジオ 360データをダッシュボードに見やすくまとめて共有するリリース済み(ベータ)
Googleアトリビューション 360オフラインも含むクロスチャネルの分析を行う未リリース
Googleオーディエンスセンター 360グーグルの持つユーザーデータをDMPとして活用する未リリース
Google Surveys 360オンライン調査・アンケートを実施するリリース済み
Googleアナリティクス 360 スイートの製品群(2016年12月現在)

Googleオプティマイズはウェブテスト機能の進化形
Googleアナリティクスのリマーケティングリストを使ってテストを配信

アユダンテ シニアコンサルタント 山浦直宏氏
アユダンテ シニアコンサルタント
山浦直宏氏

Googleオプティマイズは、ウェブテストを行うツールだ。以前「Googleウェブサイトオプティマイザー」という名前だったツールがGoogleアナリティクスの「ウェブテスト」機能として組み込まれ、今回はさらに機能が拡張して別プロダクトになった。

有料版の「Googleオプティマイズ 360」と無料版の「Googleオプティマイズ」があるが、有料版の場合は次の3つのテストを実施できる。

  • A/Bテスト
  • 多変量テスト
  • リダイレクトテスト

無料版では1つ目の「A/Bテスト」しか利用することはできない。また、有料版の一番の特徴は「Googleアナリティクスのユーザーリストを利用できること」だと山浦氏は語る。

Googleアナリティクスのリマーケティングリストを利用して、テストを配信できる。これが有料版の一番の売りだと思います。さらにエディター機能が加わり、従来と比べて非常に使いやすくなりました。簡単にバリエーションを作れて、その中で成績のいいページを見ていけるわけです。

Googleオプティマイズは、Googleアナリティクスとの連携が必須となる。テストで使うコンバージョン設定は、Googleアナリティクスのビューに設定してある目標から選択することになる。

Googleオプティマイズの設定の仕組みは、Googleタグマネージャとほぼ同じです。どのテストページを、いつ、誰に出すかというのを「ページ」「ルール」で設定していきます。

山浦氏は、同社が運営する電気自動車の充電スポット検索サービスの「EVSmart」というサイトを例にデモを交えて説明した。

たとえば次のような仮説を立てて別バリエーションのページを作り、一定期間配信することでコンバージョンの良し悪しを判断するわけだ。

  • アプリのダウンロードページに移動するボタンは最上部にあった方がいいのでは?
  • 電気自動車についてのコラムは寄り道になるので、ない方がいいのでは?
Googleオプティマイズの編集画面。テキストや画像を選択したりドラッグしたりするだけで簡単に別バリエーションを作成できる
Googleオプティマイズの編集画面。テキストや画像を選択したりドラッグしたりするだけで簡単に別バリエーションを作成できる(赤枠部分はロゴを選択した状態)

編集画面ではテキストを変更したり、画像を移動したりといった編集を画面を見ながら直接行える。オフィスソフトのように選択してドラッグするだけで位置やサイズを調整でき、別バリエーションのページを作成できる

そしてテストを実施すれば、どのバリエーションのCVRが一番良かったかの結果がわかり、成績のいいページを特定できサイトに反映できるというわけだ。グーグルは、最低でも2週間はテストを実施することを推奨しているという。

なお、Googleオプティマイズで実施したテストの結果は、Googleアナリティクス内にあるウェブテスト機能からも見ることができる。しかし、Googleオプティマイズでは集計と分析にベイズ統計を利用しているため、ウェブテスト機能の結果とは数値に差異が出るという。

ベイズ統計は「確率の予測に強い」といわれている手法で、Googleオプティマイズでは95%の信頼度が前提になっている。このことから、テストの実施だけでなく結果もすべてGoogleオプティマイズで確認することになる。

Googleデータスタジオはデータを見やすくまとめるダッシュボード
Googleドライブのスプレッドシート感覚で使える

Googleデータスタジオは、さまざまなデータをビジュアライズしたレポートを作成して人と共有できるツールだ。Tableauなどに代表される「BIツール」といわれることもあるが、山浦氏は「GoogleデータスタジオはBIツールではなくダッシュボードツール」だという。

Tableauは違うデータソースからデータを持ってきて、Tableauの中でかけ合わせたり組み合わせたりして分析できます。それに対して、Googleデータスタジオはデータを持ってきてきれいに見せるというだけなので、ダッシュボードツールという理解がいいと思います。

アユダンテ社内で作成したGoogleデータスタジオのレポート例
アユダンテ社内で作成したGoogleデータスタジオのレポート例

Googleデータスタジオはタグの実装などが必要なく、すぐに利用できる。2016年12月現在でGoogleデータスタジオが利用できるデータソースは次のとおりだ。

  • AdWords
  • アトリビューション360(未リリース)
  • BigQuery
  • Cloud SQL
  • DCM(ダブルクリックキャンペーンマネージャー)
  • Googleアナリティクス
  • Googleスプレッドシート
  • MySQL
  • YouTubeアナリティクス

山浦氏は「これからもデータソースは増えていくだろう」という。これ以外のデータが必要な場合は、いったんGoogleスプレッドシートにデータを入れれば、そこからGoogleデータスタジオに引っ張ってこれる。

データソースを選択したら、あとは画面上で簡単にグラフや表を作成できる。会社のロゴを挿入したり、色を付けたり、マイクロソフトのパワーポイントのようにビジュアルを作成することが可能だ。

データソースが更新されたらもちろんGoogleデータスタジオの集計も更新されます。Googleスプレッドシート感覚でリンクを共有できるので、ダッシュボードとしては非常に使いやすいと思います。

無料版では5レポートまでという制限があるが、機能に制限はない。山浦氏は、「1つのレポートにページはいくらでも追加できるので、5レポートで間に合うなら無料版でも十分に活用できる」と語る。

スイート化したことにより新しいサイクルが生まれる

Googleアナリティクスがスイート製品化したことで、今後はプラットフォームとして連携して全体を回していくという考え方になります。Googleアナリティクスは、ユーザーデータを蓄積する「箱」だと考えると理解しやすいと思います。

山浦氏は、今後Googleアナリティクスは複数の製品を連携して使っていくことになると説明する。Googleアナリティクスで蓄積したユーザーデータとそれをセグメントしたものを別の施策のツールに渡して、そこで使うようになる。その中核となるツールがGoogleアナリティクスだ。

スイート製品が連携して全体のサイクルを回していく
スイート製品が連携して全体のサイクルを回していく

たとえば、「Googleオーディエンスセンター 360」はパブリックDMPだといわれている。Googleアナリティクスで集計した自社サイトのユーザーデータに加えて、グーグルが持つ膨大なユーザーリストを使ってオーディエンスを拡張するものだ。これまでよりも、ターゲットの周囲にいるより広いユーザーをターゲティングできるようになる。

また、Googleアナリティクスで作成したユーザーリストを使ってGoogle AdWords広告やGoogleディスプレイ広告でキャンペーンを走らせて、それを「Googleオプティマイズ」で最適化する。サイトに訪問したユーザーの体験を向上するという取り組みだ。

さらに、分析の幅も広がる。「Googleアトリビューション 360」では、Googleアナリティクスにあるアトリビューション分析とは異なり、テレビなどオフラインのデータも含めて分析することが可能だ。

そして、分析した結果をビジュアライズして共有し、迅速な意思決定に生かすのが「Googleデータスタジオ」という位置付けになる。

それぞれ単体のツールとしてなら無料版でも使えます。ただ、オーディエンスデータの流れを考えると、有料版のスイート製品が連携してはじめて流れが完成します。今後グーグル製品をマーケティングプラットフォームとして活用しようと考えるなら、Googleアナリティクスでさえも無料版は「お試し版」としかいえません

データを「取る」「見る」だけでなく「使う」時代へ

これまでGoogleアナリティクス単体では、データを「取る」ことと「見る」ことはできていた。しかし、それを「使う」というアクションの部分が圧倒的に弱かったと山浦氏は説明する。

もちろんサイトの改善目的で利用されてはきました。ただデータを見るだけ見て、「あとは皆さん勝手にどうぞ」というスタイルで提供されていたのも事実です。どう使えばいいのか、そこで悩む方も多かったと思います。

今回のスイート化で、データを「使う」アクションに直結する部分が拡充されようとしている。施策の実施を支援するツールが用意されてきた。それらの製品をつなげる核となるのは「オーディエンスデータ」だ。「いよいよデータ活用の基盤が整ったというのが、2016年の出来事」と山浦氏は語る。

2017年に生まれる課題は、オーディエンスデータの活用についてだ。データ計測方法と目的変数が多様化することで、分析も複雑化する。オーディエンスデータは、いろいろな施策に出せるようになる。これまでは個別の施策ごとの改善でよかったものがそれでは済まなくなるという。

「自分たちのミッション」だけでは済まなくなってきす。たとえばリスティング広告など、各部署の予算内で取り組みを判断していては意味がないですね。もう1つ上のレイヤーの人が全体を判断して決めなければならない。そういう組織構成になっているかということも、オーディエンスデータを活用できるかどうかにかかわってきます。

山浦氏は、最後に「Measurement First(メジャメント・ファースト)」という言葉を掲げた。まずはデータがなければ始まらない。大きく変化しようとしている流れに乗り遅れないためにも、計測設計をして必要なデータをきちんと計測・蓄積することが大切だとした。

「Measurement First」という言葉が掲げられた
「Measurement First」という言葉が掲げられた

「五目チャーハンの最適化」という例え話です。データを食材とするなら、5品目なければ腕のいいシェフでも絶対に五目チャーハンは作れません。では5品目さえあればいいのか。そうでもないですね。材料の組み合わせは無限にあって、どんな組み合わせがいいのかはユーザー次第です。今は、その組み合わせをAIが考えてくれるようになってきている時代です。そのためにも、材料となるデータがなければ何も始まりません。

こうした動きが実現すると「長所を伸ばして短所を改善する」というアプローチが取れるようになるという。これまでは「効率の悪い部分を見つけて改善する」というアプローチしか取れなかった。しかしこれからは、たとえば自社サイトでコンバージョンした「いいユーザー」の類似を膨大なオーディエンスデータからAIが予測することで、「いいところをさらに伸ばす」というアプローチが取れるようになる。

2017年は、AI機能も積極的に活用する段階に入る。山浦氏は、Googleアナリティクスのスマートリストについてもぜひ使ってみてほしいと説明する。「中身がブラックボックスだ」と懐疑的な声も聞くが、機械学習活用のポイントは「データを与えて教育し、学習させる(育てる)」ことだ。

つまり、機械学習を使いこなせるかどうかは「利用者の教育にかかっている」といえる。そのためにも、まずは設計された正しいデータが必要になる(Measurement First)ということだ。

Googleアナリティクス 360 スイートは単なるツールの追加ではない。「プラットフォームを活用して、本格的にユーザー軸のオーディエンスデータ活用に移行していく準備が整った」ことを表している。

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