検索エンジンマーケティングを生業にする連中がパブに集まって話しだすと、必ずグーグルがウェブ検索市場をほぼ独占していることが話題になる。この分野に入って日の浅い多くの検索マーケターにとって、グーグルは常にマーケットリーダーであり、仕事のほとんどはグーグルに関するものだ。
でも、ずっとそうだったわけじゃない。少し過去を振り返ってみよう。
市場シェア | ||||
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2002年 | 2004年 | 2006年 | 2008年 | |
グーグル | 29.2% | 35% | 43.7% | 63.1% |
ヤフー | 28.5% | 32% | 28.8% | 20.5% |
マイクロソフト (MSN/Live) | 28.1% | 16% | 12.8% | 8.5% |
AOL | 19.7% | 9% | 5.9% | 3.7% |
Ask | 10.3% | 2% | 5.4% | 4.2% |
わずか4年前でさえ、検索市場の様相は現在とかなり異なり、検索大手同士の力が拮抗していた。どの検索エンジンについても、検索マーケターは本気で取り組んでいたんだけれど、今では極端にグーグル中心の考え方をするようになってしまった。
検索に携わる人々が、グーグルの独占を問題視する理由はたくさんある。
市場独占は価格支配に繋がる。
キーワード広告において、グーグルの料金設定はすでに標準となっている。でも、いずれ1つの検索エンジンが90%以上のシェアを占めるようになれば、その力はもっと強大になる。不正クリックが相当に増えようが、グーグルが意図的にキーワード広告の料率を引き上げようが、検索マーケターには黙って言い値を支払うか、市場から足を洗うかのどちらかしか選択肢がなくなるだろう。
独占は市場のルールを左右する。
有料リンク、クローキング、データ収集、アルゴリズム計算に関するグーグルの姿勢が気にくわなければ、お気の毒にと言うほかない。町に娯楽が1つしかなかったら、それで我慢するか遊ぶのを諦めるかのどちらかしか道はないんだから。
市場独占によって不公正な処分が(大変容易に)行われる可能性がある。
グーグルのガイドラインから一歩でも外れたら、直ちにインデックスから削除されるか、検索順位が下がるというペナルティを受けることになりかねない。通常ならば、こうした力の行使は公平に行われる(必ずしもそうではないし、同意しかねる人もいるのは確かだけど)。しかし独占状態では、グーグルのウェブスパム担当チームが、個人的な偏見や私怨をサイトにぶつけることも簡単にできるようになる。相手の規模が大きかろうと小さかろうとね。
市場独占で理不尽な要求がまかり通りかねない。
将来グーグルのリストに載せたいと思った場合、自分自身とサイトに関する重要な情報の提供を求められる事態になりかねない。グーグルのサイトマップとウェブマスターツールは、こうした情報管理の足がかりだ(Google Analyticsやグーグルツールバー、そしてグーグルデスクトップも同様だ)。グーグルが、ウェブ上の情報を誰よりも多く掌握すれば、独占はますます進み、誰も対抗できなくなる。
独占が進むと、市場の声が届きにくくなる。
今のところグーグルはかなり良い仕事をしていて、ユーザーが求めていることやユーザーの意見に対し、常に数歩先んじるという状況を保っている。でも独占状態の下では、そういった仕事をするための動機はかなり弱まる。他の独占企業の例を見ればわかることだ。市場の中で地位が確固たるものになれば、顧客の怒りやフラストレーションを一身に集めることになる。
独占企業と張り合うことが非常に困難になる。
優れた検索エンジンの構築は非常に難しく、普及を図ることはさらに困難だろう。たとえばCuillは、その両方で見事に失敗した。今のところまだ、新しい検索エンジンを作るのは自動車会社を新たに設立するほど難しくはないが、似たような状況になりつつある(そして、米国の自動車産業の惨状はどうだ)。
権力は腐敗を招く。絶対的な権力は必ず腐敗する。
ジャーナリスト、ブロガー、SEO業者、検索ユーザーは、この何年間かでグーグルが美しく光り輝く存在から、利益を追求する存在に変わってしまったと気がついている。僕も資本主義者だし、利益を求めることが必ずしも悪いことではないと考えているけれども、こうした状況はグーグルにとって、腐敗への坂道を下る勢いが増すことを意味するんだ。現在、個人の情報、検索履歴、サイト解析の内容、プライバシーが尊重されているのは、何もそうすることが正しいとグーグルの中の人たちが思っているからだけじゃなく、グーグルの事業にとっても都合がいいからだ。独占状態が強くなると、目指すところが変わってしまい、「正しいことをしよう」という意欲も失われる。
仕事上の個人的な進歩だけでなく、全体的な状況も重要だと考えるSEO業者として、僕は非常に心配している。技術革新をはじめ、現状を変える新興企業の力と起業家精神、そしてあらゆる市場で競争がもたらす価値、そういったものの正しさを僕は信じる。新規参入組にとって、何らかの足がかりを得ることなら可能かもしれない。
でも、さらなる高みに至るには障壁が存在する(実際、新しいウェブインデックスや、役に立つ評価基準を構築することは、信じられないほど難しいんだ)状況で、ますます力をつけるグーグルの壁を破ることは可能だろうか。もしそれができないとすれば、グーグルによる独占という難題を、どう御していけばいいのだろう。
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