SEOと広報PRの相乗効果で実現する、AI時代に“選ばれる”ブランド設計
検索データとストーリーテリングを掛け合わせ、メディア露出を単発で終わらせず長期的な成果へ変える統合アプローチを解説する。
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「PR」「SEO」「コンテンツ」の各チームが、ほとんどコミュニケーションを取らず協力もせず、「別々の惑星にいる」ように感じていないだろうか? そんな状況にあるのは君の会社だけではない。多くの組織が、「サイロ化されたワークフローに起因する業務の重複やビジビリティの機会喪失」に悩まされており、あるチャネルでは成果を上げながらも、他のチャネルでは低迷するコンテンツに苦慮している。
PR(広報)とSEOが連携できていないと、ブランドは見つけてもらいやすさ(ディスカバラビリティ)の全領域をカバーできない。具体的には、ユーザーの状態には次のようないくつかの段階があるが、そのすべてを網羅できない状態となる:
- そのブランドをまだ検索していないユーザー
- 積極的に検索しているユーザー
- その中間のすべてのユーザー
PRとSEOを連携させることで、こうしたギャップを埋められる。
PRでは、次のことを通じてブランドを新しいオーディエンスに紹介する:
- メディア報道
- インフルエンサーとの協力
- ストーリーテリング
一方のSEOでは、ニュースサイクルが終わった後も長くコンテンツを見つけてもらいやすい状態に維持できる。
両者を連携させることで、次のような全体にわたってリーチを拡大できる。
- 検索エンジン
- ソーシャルプラットフォーム
- 編集エコシステム
この記事では、「PRチームとSEOチームのサイロ化されたプロセスを乗り越え、経営陣の賛同を得て、ビジビリティとオーソリティの両方を強化する統合されたアプローチを構築する方法」について解説する。連携の具体例も5つのパターンで紹介する。
PRとSEOの戦略がサイロ状態だと何が問題点なのか?
PRとSEOが別々に運用されていると、ブランド体験が分断される。各チームは、「業務の重複」や「重要なKPIの見落とし」を招き、「チャネルをまたいだオーディエンスの期待に応えられないリスク」を抱えることになる。こうした断絶は、「見つけてもらいやすさ」と「信頼性」の両方を損ない、最終的には世間の信頼を失墜させてしまう。
メッセージングがサイロ化されていると、どんな問題が発生するのだろうか? 典型的な失敗例は、ペプシが2017年にケンダル・ジェンナーを起用した広告だ。
最大の過ちはキャンペーンに信ぴょう性が欠如していたことだったが、より根本的な問題は、チャネルによってメッセージにズレがあったことだ。具体的には、次に挙げるものの間に整合性が欠けていた:
- ブランドの広告
- PR対応
- デジタルコンテンツ
世間の批判が高まったとき、「企業の姿勢を補強する統一されたメッセージ」や、「それを裏付けるサイト上のコンテンツ」が存在しなかった。
もっと早い段階で「PR」「SEO」「コンテンツ」「マーケティング」が連携していれば、ペプシはこの危機的状況下でもブランドの評判をもっとうまく管理できた可能性がある。「明確で理解しやすく、信頼性の高いリソースに裏打ちされた一貫性のあるナラティブ」を構築できれば、問題への対処はもっとスムーズだっただろう。
ブランドがPRとSEOを連携させられなければ、次のような結果につながるおそれがある:
- メッセージングの一貫性を欠き、
- ビジビリティが低下し、
- 世間の信頼を損なう
逆に、これらの分野を戦略的に組み合わせて連携させることで、次のことを高められる:
- オーソリティ
- 信頼性
- 長期的な見つけてもらいやすさ
PRとSEOを連携させるメリット
PRとSEOを連携させることで、次のような方向に進んでいく:
- ブランドの一貫性
- リーチ拡大
- 測定可能な成果
PRのストーリーテリングは、感情的なつながりを築いて世間の認識を形成する。
一方SEOは、そうした取り組みを次のものによって確固たるものにする:
- データ
- 技術的構造
- 検索でのビジビリティ
メッセージングを共有しやすくなり、コンテンツの信頼性が高まり、検索エンジン結果ページ(SERP)や「AIによる概要」など通じて、アーンドメディアの持続性が高まる。
「SEOって、キーワード調査してコンテンツ作ることでしょ?」と誤解される場合があることは、君も知っているだろう。そして、そうした勘違いには、次のように反論するはずだ ――「SEOはもっと幅広いもので、専門知識をもって綿密な戦略のもとで進める広範なものだ」。
しかし、SEOに対するのと同様の勘違いを、PR(広報)に対して抱いていないだろうか? 具体的には、「PRって、プレスリリースを出して、リンクを獲得してくれるんでしょ?」と思っていないだろうか。しかしPRの役割は決してそれだけではない。実際には、どちらの分野も綿密な戦略が必要になる。
SEOとPRでは、活動する場所や目的が異なる:
- SEO ―― 「オンサイト」と「オフサイト」両方のコンテンツを最適化して発見されやすさを確保する
- PR ―― 「オウンド」「アーンド」「シェアード」の各チャネルを横断して信頼を築き、評判を形成する
実行方法は異なるが、どちらの分野もオーディエンスを理解することを中心に据えている。具体的には、「オーディエンスが何を必要とし、何に関心を持っているか」を把握し、「どうすればオーディエンスの信頼が得られるか」を理解することが重要なのだ。
また、どちらの分野も「何かをうまく操作するもの」だと誤解されがちだという点で共通している。たとえば次の2つはブラックハットの手法であり、正当なやり方ではない:
- SEO操作 ―― キーワードに対する検索順位を「向上」させるためのキーワードスタッフィングや背景色と同色のテキストなど
- PRスピン ―― 大規模な人員削減を「戦略的な配置転換」と言い換えるなど、実際よりよく聞こえるようにナラティブを変更すること
倫理的なPRチームはPRSA(米国PR協会)の倫理規定に従っているし、倫理的なSEO担当者は「グーグルの検索品質評価者向けガイドライン」や「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の原則」に従っている。
SEOもPRも、理想的には次のことを目的として活動するものであるはずだ:
人々が、
- 事実に基づき、
- オーソリティが高く、
- 信頼できる
情報にアクセスできるよう支援すること
現在、この取り組みがかつてないほど重要となっている。というのも、次の2つの環境があるからだ:
- 誤情報がすぐに拡散する(ソーシャルメディアなどを通じて)
- 人工知能(AI)モデルが、「インデックス化されたオーソリティの高いコンテンツ」に大きく依存している
AIや大規模言語モデル(LLM)の役割が拡大するにつれ、「SEOとPRが連携すること」の重要性はさらに増している。これらのモデルは、次のものから情報を取得しているからだ:
- ソーシャルプラットフォーム
- SERP
- アーンドメディア
PRとSEOはもはや別々のエコシステムで機能しているわけではない。両者を統合した戦略で進めれば、機械と人間が学習するあらゆるチャネルにおいて、ブランドは一貫性をもって表現される。
PRチームとSEOチームが連携するには ―― 5つの具体例
PRとSEOの連携は複雑ではない。必要なのは、次の3つだけだ:
- 明確なコミュニケーション
- 共通の目標
- 目的を持ったワークフロー
PRチームは、次のことを通じてSEOチームを支援できる:
- メディアでの露出
- 専門家の手配
- 評判管理
一方、SEOチームが提供できるものには、次の3つがある:
- キーワードに関するインサイト
- オーディエンスの調査
- パフォーマンスデータ
これらを組み合わせることで、ビジビリティの向上と測定可能なブランドオーソリティを実現できる。
ここからは、そうした連携の具体的な例をいくつか紹介していく。次のような内容だ:
- SEOのインサイトをPRキャンペーンに利用する
- PRキャンペーン用のランディングページ作成
- PRコンテンツの再利用と配信
- 被リンクの確保とモニタリング
- ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用
それぞれ詳しくみていこう。
PRとSEOの連携① SEOのインサイトをPRキャンペーンに利用する
PRチームは、SEOデータを活用して競争上の優位性を得られる。キーワード調査をすれば、次のことが明らかになる:
- オーディエンスが何を検索しているのか
- どのような課題を抱えているのか
- どういったトピックの需要が高まっているのか
SEOのデータがあれば、PRチームは推測に頼るのではなく、リアルタイムの関心に基づいて提案やキャンペーンを策定できる。
「Googleトレンド」や「Mozのキーワード調査ツール」などの検索トレンド分析ツールは、PR担当者がタイムリーな視点や、参加する価値のある新たな話題を見極めるのに役立つ。
とはいうものの実際には、両者の連携は「SEOチームが配信前のプレスリリースを確認する」タイミングで行われることが多いのが現実だろう。アクションとしては、「ナラティブは変更せず、関連キーワードや有益なランディングページへのサイト内リンクを追加する」といった具合だ。
しかしBlackTruck Media + Marketingでは、クライアントのPR活動を支援するうえで中核的な取り組みとしてPRとSEOの連携を前提としている。つまり、「PRチーム主体でストーリーを作り」「SEO担当者はそのコンテンツを見つけてもらいやすくする」それぞれの役割の連携を全体に組み込んでいるのだ。
SEO担当者は、既存のブログやガイドを新しいデータで更新してPRのアウトリーチを支援し、広報担当者に価値の高い宣伝アセットを提供することもできる。
ある分野の専門コンテンツを作る場合にも、PRとSEOの担当者の連携は価値をもたらす。たとえば、「SEOチームが話題のクエリを特定し」「PRチームがそのトピックを扱うジャーナリストに対して、ブランドの幹部の1人を専門の情報源として売り込む」といった動きをできれば、信頼性が高まり、検索順位が向上し、アーンドメディアの獲得にも役立つ。
最後に、SEO担当者は「ランディングページ」や「ユーザージャーニー」の支援に関連する分析設定に精通していることが多い。PRキャンペーンを開始する前にこれらの設定を適切に追跡することで、インプレッション数などのバニティメトリクス(虚栄の指標)にとどまらず、最大限のパフォーマンスインサイトやビジネスインテリジェンスを引き出して経営陣に報告できる。
PRとSEOの連携② PRキャンペーン用のランディングページ作成
主要なPRキャンペーンでは、いずれも専用の最適化されたランディングページを用意してトラフィックを獲得し、関心を測定するべきだ。
こうしたランディングページの作成は、SEOチームが得意とするところだろう。これらのページには、次のものを含める必要がある:
- 明確なCTA(行動喚起)
- 関連コンテンツへのサイト内リンク
- チームが参照トラフィックのパフォーマンスを測定できるようにする追跡用パラメータ
PRがプレースメントを通じて読み手をこれらのリソースに誘導すれば、SEO担当者は、次の3つをモニタリングできる:
- オーガニック検索での成果
- エンゲージメント
- 長期的な影響
PRとSEOの連携③ PRコンテンツの再利用と配信
PRの成果は、ニュースサイクルが終わったからといって消えていくとは限らない。チームは、作ったコンテンツを再利用することで、アーンドメディアを長期的に発見されやすいアセットに転換できる。再利用する場には、次のものがある:
- ブログ
- ソーシャルメディア向けグラフィック
- ニュースレター
- YouTube動画
- など
たとえば、ブランドが業界誌に取り上げられたら、次のようなことに再利用するのだ:
- その掲載内容を幹部のコメントについてさらに詳しく紹介したブログ記事
- 重要な統計データを抜き出したLinkedIn用グラフィック
- 読者を元の記事に誘導するニュースレターのセクション
このようなアクションを進めることで、PRにおける1つの成果を複数のチャネルにわたって展開し、コンテンツの寿命を延ばせる。
同様に、SEO対応コンテンツも、タイムリーなPRの視点を加えて更新することで、オーガニック検索以外の新たなオーディエンスにリーチできる。
PRとSEOの連携④ 被リンクの確保とモニタリング
PRの成功とSEOの影響が交わるところに、質の高い被リンクがある。「Source of Sources(SOS)」や「Qwoted」などのツールは、PRチームがオーソリティの高いプレースメントを獲得してSEOを強化するのに役立つ。
より積極的なアプローチとして、MozのLink Explorerを使う方法もある。「競合他社にはすでにリンクしているが君のブランドにはリンクしていない」サイトを特定し、価値の高いターゲットのリストを作る機能「Link Intersect」があるのだ。この機能は、PRのアウトリーチにすぐに利用できる。
また、「Googleアラート」や「メディアモニタリングツール」でブランドメンションを継続的に追跡するのも良い。SEOチームはこれを利用してリンクの掲載を依頼できる。
たとえば、ジャーナリストが「ある製品の発売を取り上げ、サイトにリンクすることなくブランドに言及した」場合、アラートを監視しているSEOチームはそれを検知し、PR担当者に連絡してフォローアップしてもらえる。多くの場合、1回のアウトリーチで、「リンクのない言及」を「価値ある被リンク」に転換できる。
参照トラフィックとリンクの質を併せて評価することで、チームは真に影響力のあるメディアを特定し、それ以降の宣伝活動の効果を高め、オーガニックなオーソリティを着実に構築できるのだ。
PRとSEOの連携⑤ ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用
UGC(ソーシャルメディアへの投稿、クチコミ、レビュー、インフルエンサーによるコンテンツなど)は、PRとSEOをつなぐ最も強力な架け橋の1つだ。
ユーザーの声を広め、信頼を築き、検索やソーシャルメディア全体で信ぴょう性の高さを示すことを目指すのだ。ユーザーは実体験を信頼し、アルゴリズムもこれを優先する傾向が強まっている。そのため、ユーザーの声であるUGCには価値がある。
実際、私たちのクライアントであるミシガン州のリゾートビジネスの1つは、NFLチームのデトロイト・ライオンズとの提携を軸に専用のランディングページを構築し、次のようなファンが共有した画像を紹介している:
- ライオンズをテーマにした客室での滞在
- チーム仕様のグッズでそろえたリゾートでのゴルフラウンド
- ライオンズの試合でのテールゲートパーティー
- など
ブランドの声だけで提携を宣伝するのではなく、画像ギャラリーを通じて実際のファンの熱狂がストーリーを伝え、相互プロモーションの効果を高め、どのような体験ができるかを見込み客にイメージしてもらう助けになった。
PRチームやソーシャルメディアチームがエンゲージメントを通じてUGCの生成を働きかけるには、たとえば次のような手法・戦術を利用できる:
- インフルエンサーとのコラボレーション
- キャンペーンのハッシュタグ
- ソーシャルチャレンジ
- コミュニティ
ナノインフルエンサーは信頼性もあり、対象を絞ったコミュニティを有しているため、特に効果的だ。
UGCが獲得できたら、次のような場所を通じて全体で再利用しよう(再利用するための許諾を得ておくことも忘れないように!):
- ランディングページ
- 電子メール
- 商品ページ
- ソーシャルチャネル
UGCは、実体験と信頼性を示すことでE-E-A-Tを強化できるため、PRによる評判構築とSEOパフォーマンスの両方に役立つ。
PRとSEOの統合戦略を構築するには
サイロを打破するには、次の3つが必要となる:
- PRチームとSEOチームに共通の目標
- KPI
- ワークフロー
具体的には、次のようなことだ:
- 目標 ―― ブランドオーソリティの目標の擦り合わせ
- KPI ―― SERP順位のモニタリング
- ワークフロー ―― ソーシャルからオーガニックへのトラフィックパターンの追跡など
MozのBrand AuthorityチェッカーやDomain Authorityチェッカーなどのツールは、両方の分野にまたがる成果を測定するのに役立つ。
PRチームとSEOチームは、キャンペーン計画の早い段階から連携し始めるべきだ。各チームはスケジュールを調整し、データを共有し、定期的にミーティングしてインサイトを比較する必要がある。 そうすることで、次のような役割を果たせる:
- SEO担当者はPRの視点を強化する検索の機会を特定できる
- PR担当者はSEOコンテンツに意味と信頼性をもたらすストーリーを構築できる
統合戦略は、両チームが(より懸命にではなく)より賢く働けるようにして、すべてのキャンペーンで測定可能な効果を確保できるようにするための進め方なのだ。
PRとSEOを組み合わせ、ブランドを長期にわたって見つけてもらいやすくする(まとめ)
PRとSEOには共通の使命がある。それは、次のようなことだ:
- ブランドのビジビリティを向上させ、
- 信頼を高め、
- オーディエンスとのつながりを深めること
これらのチームが連携すれば、ブランドは単に「言及される」だけでなく、「見つけてもらい」「記憶され」「選ばれる」ようになる。
PRとSEOを連携させれば、次のようなものを実現できる:
- より深いインサイト
- より強力なストーリーテリング
- 測定可能な成長
それぞれ別々に活動するのに比べて、相乗効果が得られるのだ。具体的には、「SEOによってメディア報道後も長期にわたりPRの効果が増幅され」「PRによってSEOのデータドリブンな世界に人間味が加わる」という形だ。
統合戦略はこれまで以上に不可欠となっている。その背景にあるのは、AIの学習ソースに次のようなものがあることだ:
- SERP
- ソーシャルプラットフォーム
- ユーザーの会話
現在、検索で成功しているブランドは、「ユーザーの実際の声」や「発見されやすいコンテンツ」を有しており、PRチームとSEOチームがサイロ化することなく調和して活動している。
協力し、相互にサポートし合い、目標を一致させることで、進化し続けるデジタル環境においてブランドが繁栄するために必要なビジビリティとオーソリティを構築できる。
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