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SEOの歴史対談! 生成AI時代、SEOはどこへ向かうのか? 住氏がこれからのSEOを展望【第5回】

SEOの歴史対談! 第5回 生成AI時代、SEOはどこへ向かうのか? 住氏がこれからのSEOを展望

住太陽[執筆], 渡辺 淳子[編集], 永友ヒロミ[撮影]

7:05

これまで4回にわたり、1990年代後半のSEO黎明期から約30年にわたるSEOの歴史を、各時代を知る方々と住氏との対談という形で振り返ってきた。

最終回となる今回は、これまでのSEOの歴史対談を踏まえながら、生成AIによって検索体験が大きく変わるなか、SEOはこれからどこへ向かうのかを、住氏が展望する。なお、「これからのSEOを展望」するにあたり、第1回登場の渡辺氏、第4回登場の江沢氏に、対談後にご意見をいただいた。

ボーディー有限会社 代表取締役 住太陽氏

約30年のSEO史を振り返り、見えてきたこと

イタチごっこは終わらない⁉

およそ30年の間、SEOは検索エンジンとのイタチごっこを続けてきました。SEOが見つけた新しいハックが流行して一気に広まると、検索エンジンがそれを無効化する、ということのくり返しです。そして残念ながら、このイタチごっこは今後も続きます。ハック的なSEOには明確なニーズがあり、ニーズがある限りそれを供給する事業者はなくならないからです。

今回の一連の対談を通じて、SEO事業者がハック的なSEOを強く求められる圧力の強さをあらためて感じました。特に大企業では、Webマーケティングの担当者は目先の数字を厳しく追っており、その数字を達成できるなら手段は問わない、となりがちです。いたちごっこは構造的な問題であり、終結する道筋は見えていません。

評判の良いものが検索結果の上位やAIからの推薦を獲得する

他方では、短命なハックを追いかけ続けるのではなく、中長期の目線で確実な施策を積み上げていく方法の有効性がだんだんと高まってきているとも感じます。AI時代をむかえた今、SEOで評価される対象がWebという世界だけに閉じたものから、Webも含めた社会全体の中での企業やブランドの実態へと変わってきています。よく知られていて評判の良いものが検索結果の上位やAIからの推薦を獲得するようになってきつつあるからです。

企業やブランドの知名度や評判を高め、それを検索エンジンやAIに学習させるという中長期の取り組みが、安全で確実なSEOです。そうしたSEOでも結果が出しやすくなってきたAI時代に、個人的にはおおいに期待しています。

生成AIの登場によってSEOはどのように変わってきているか

変わる「ユーザーの情報探索行動」

ところで、生成AI・AI検索の登場を、SEOの歴史の中でどのように捉えることができるでしょうか。渡辺さん(第1回対談者)は「1997年から検索に携わってきた立場から見ると、“初めて見る光景”ではなく“二度目の構造転換”だ」とされていました。一度目は、ディレクトリ型からロボット型へ、PCからモバイルへと検索が変化したとき。しかしその際には、“検索してWebサイトを訪れる”という前提は変わりませんでした。生成AIの登場によって、その前提そのものが変わりつつあると渡辺さんは指摘しています。

この渡辺さんの指摘の通り、AI検索の登場で、“検索してWebサイトを訪れる”という前提は崩れ、「ユーザーの情報探索行動」が変わりました。ユーザーと情報とのマッチングという情報検索の機能は変わっていませんし、技術的な背景もそう大きく変化したわけではなく、AI検索は従来の検索の延長線上にあります。ただし、「ユーザーの情報探索行動」は大きく変化しました。

これまでのWeb検索は図書館の蔵書検索に似ていました。蔵書検索では自分が探している情報がありそうな本を探します。これと同じようにWeb検索では、探している情報がありそうなWebページのURLを探します。しかしAI検索の時代では、もっと直感的な「詳しい人に尋ねる」に似た情報探索行動をとります。AIという詳しい存在に疑問を投げかけ、回答をもらう形です。

変わる「SEOの役割」

AI検索の時代になり、ユーザーは「ほしい回答だけをすぐに得られる」ようになりました。個人的にはWebページのURLを探す従来の検索がなくなるとは考えていませんが、しかし大半の疑問はAI検索で解決できるようになるでしょう。当然、個々のWebページやWebサイトを訪問する頻度は減少していくはずです。

これに合わせてSEOは「検索流入を増やすもの」から「AIを含む検索システムを介してユーザーとブランドを結びつけるもの」になっていくと僕は考えています。具体的には、AIによる概要やAIモードのようなAI検索、またはChatGPTやGeminiのようなAIチャットのAIが生成する回答で、自社やその製品やサービスを推薦させるものへと変わっていくと考えています。

第1回の対談で語り合った、住太陽氏(左)と合同会社DMM.com PF事業統括本部 SEO部 渡辺隆広氏(右)

これからの「Webサイトへの訪問目的」とは

情報の検証、購入や問い合わせが主流に

AI OverviewsやAI Mode、ChatGPTなどによって、単純な情報検索であれば、Webサイトを訪れることなくAIの回答だけで完結するケースも増えています。渡辺さんは、検索行動が一様にゼロクリック化するのではなく、「①AIの回答内で完結する」「②AIを起点に検索して検証する」「③AIが示した引用リンクを直接クリックする」などに分かれていくと指摘しています。

この行動の違いを決めるのが、探索対象(情報)のタイプやブランドの既知性、そしてユーザーのそのカテゴリへの関与度などが考えられます。興味のある領域なら、探し比べる過程自体が楽しいので人はAIに任せず自分で見にいく。逆に興味は薄いが必要に迫られた場面ではAIにゆだねる。つまり「探索して訪れる」行動が消えるのではなく、事業・場面ごとに配分が変わり、訪問一件の意図の濃度が上がっていく、というのが実像だと考えています(渡辺氏)

江沢さん(第4回対談者)も、単純な質問や情報検索はAIで完結する一方、正確な情報や画像、口コミなどを確認したい場合や、購入・問い合わせをする場合にはWebサイトへの訪問が残り、サイト名やブランド名による訪問が増えるのではないかとしています。

この指摘にあるようにWebサイトへの訪問目的は、ユーザーがそれまでに得てきた情報を検証するとともに、購入や問い合わせなどが主流になっていくでしょう。

一次情報の提供

一方で、ユーザーの訪問を受けいれること以外にも、これからの企業Webサイトには重要な役割が残ります。それは、AIが回答を生成するときに参照する一次情報源として「製品やサービス、企業そのものについての正確な情報を提供する」というものです。

自社製品やサービスの仕様や価格といった商品情報や、納期や返品・返金のポリシーやトラブルシューティングといったサポート情報、詳細な会社情報、そして事例など、自社で提供しなければ他では提供されない情報を不足なく正確に提供することは、自社のWebサイトの大切な役割です。

Webサイトの外部にも目を向ける

自社のWebサイトでするべきことは、そうした客観的な情報の提供で十分です。そうした情報をひととおり提供できたら、そこからは自社Webサイトの外部に目を向ける必要があります。

先にも述べたように、SEOそのものの役割は徐々に、AIが生成する回答で自社やその製品やサービスを推薦させることへと変わっていくでしょう。AIに推薦させるために必要なことは、自社やそのブランドの知名度と評判を高めることです。AIは「よく知られていて評判の良いもの」を推薦するからです。

あるブランドの知名度や評判を知るために、AIはWeb全体を見ます。Web上のあらゆる場所で自社のブランドが好意的な文脈で話題にされている状態をつくり、そうした評判をAIに学習させることがこれからのSEOです。

そのためには、地域や業界やそこにいる人々といった実社会に働きかけていく必要があります。AI時代、SEO担当者に求められる役割やスキルは大きく変容していくはずです。

第4回の対談で語り合った、住太陽氏(左)とアユダンテ株式会社 SEOコンサルタント 江沢真紀氏(右)

AI時代、SEO担当者に求められる役割・スキルとは

SEO担当者に求められる役割も変わろうとしています。渡辺さんは、アルゴリズムやAIに最適化する発想から離れ、「現実社会で選ばれる理由」をつくり、それをデジタル上に信頼の記録として残すこと、つまり「マーケティング活動のなかにSEOの施策を組み込む」ことが重要になると指摘していました。

求められるスキルは、見えなくなった流入を推定し、計測を設計し直す観測の力、施策を事業の損益に接続する事業理解、そして「なぜ自社が選ばれるべきか」を言語化するマーケティングの基礎能力です。30年を振り返ると、小手先の手法は時代とともに変遷があっても、本質的なスキルは何も変わっていません(渡辺氏)

江沢さんは、AIの学習を促すためにも機械可読性を担保することが必要だとし、検索エンジンのクローラーだけでなくAIのクローラーや仕様に関する正確な知識があるとよいだろうと語っています。そのうえで、サイト構造や内部リンク、JavaScriptなどWebサイトそのものへの理解が必要になるとしています。また、SEOの作業をAI任せにするのではなく、自分で手を動かすことを促しています。

私は、SEOやAIを学び始めの方には、ドキュメントやヘルプをAIで要約する、作業をAIにやらせる、レポートをAIに書かせることは勧めていません。まずは自分で理解して手を動かさないと、スキルが定着しないからです。ベテランの方にとっても、何をAIにやらせて何を自分でやるのか、その見極めが今後必須になってくると感じています(江沢氏)

渡辺さんと江沢さんが、自社内での役割に焦点を当てて話されていましたので、僕は「社外とのリアルな関係作り」をあげたいと思います。広報や営業、接客、地域や業界の付き合いごとなどを通じて、知名度と評判を作り上げていく、これがこれからのSEO担当者の役割です。

AI時代をむかえた今、AIの回答で自社やその製品やサービスが推薦されることがSEOの主たる目的になりつつあります。そうしたAIからの推薦を勝ち取るためには実際の人々からの好意的なクチコミが必須であり、それをつくるには、製品やサービスの品質向上はもちろんですが、顧客や取引先などの関係者と、地域や業界およびその専門メディアなどとの良好な関係づくりが欠かせないからです。

僕のクライアントの多くは中小零細企業で、SEO担当者は社長または後継者が兼任していることがほとんどです。社長さんや後継者さんは、従来的な意味でのSEOだけでなく、会社を代表して社外の関係者と接触する仕事の大部分を受け持っていることが普通です。僕はこうした「社外との関係づくり」がSEOの役割であり必須スキルであると考えています。

これからも変わらない「SEOの本質」とは

約30年の間に、SEOを取り巻く環境は大きく変わりました。キーワードやリンクを中心とした時代から、コンテンツの品質、検索意図、E-E-A-T、ユーザー行動、そして現在はAIによる回答でどのように参照・紹介されるかまで、SEOで注目されるテーマは次々と変化しています。

そうした変化を経て渡辺さんは、「小手先の最適化手法は時代とともに淘汰されても、本質的な価値提供が生き残るという法則は繰り返されてきた」と話していました。

AIが賢くなるほど、本物が有利になる。これは変わらないとみています(渡辺氏)

AIは人間の情報探索のあり方を大きく変える可能性があります。渡辺さんが言ったように「本物」を最短距離で見つけられるようになる可能性は高いでしょう。

そのうえで、「人が情報を探索する」ことはこれからも変わらないことに注目したいと思います。情報探索はヒトという種が持つ特性です。僕たち人間は生まれたときから、新しい情報を取得しては知識に変えることで生きのびてきました。言葉や家庭内のルールを覚え、集団の中での振る舞いを覚え、危険を回避したり身を守ったりする方法を身につけ、学問や仕事に役立つ知識をつけ、それらを使いこなしながら生きのびていきます。

情報探索のツールは変化します。生まれたての子供にとっては両親など身近な大人が情報源です。もう少し大きくなれば、テレビや教員や教科書や級友が情報源になり、さらに大きくなれば、書籍、SNS、ネット動画、検索、AIが情報源になるでしょう。こうして僕たちは情報を探索し、自分の知識をアップデートして生きていきます。

人間はこれからも情報を調べ続ける

人間が「調べる」のは人間という動物の特性です。人間はほかの動物よりもはるかに高度で複雑な社会を築いていますから、生まれ持った本能だけでは生きられません。さまざまな情報源を調べて、知識をアップデートすることで生きるのです。この意味で、現在SEOと呼ばれているものがなくなることはないと僕は考えています。人間が情報探索をしなくなるときはこないと確信を持って言えるからです。

情報探索の形が変われば、それにともなってSEOの形は変わるでしょう。しかし、僕が考えるSEOの本質である「答えを探す人と答えを効果的に結びつける」ことは続きます。SEOは人間の特性である情報探索を効果的にする取り組みだからです。

AI時代をむかえたこれからは、これまでとは異なる情報探索行動が生まれ、その行動を効果的にする新しいSEOが生まれていくでしょう。これからSEOに携わる人たちには、人間は「調べる」動物であり、情報探索を繰り返して生きていることを前提に、今後さらに進化する情報ツールや情報探索行動に対応していっていただきたいと思います。

2026年7月の暑い中、インプレスで4回の対談を行い、それらを踏まえて、これからのSEOを展望してくださった住さん。ありがとうございました

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