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グローバル企業はどんなCMSを使っている? 7種類のCMSの採用事例55件を紹介

グローバル企業はどんなCMSを使っている? 7種類のCMSの採用事例55件を紹介

内藤 貴志(Web担編集部)

10月29日 7:05

前回の国内編に続き、今回は海外企業がどのようなCMSを使っているのかを調べました。

調べ方は国内編と同じです。CMSベンダーが公開している導入事例と、各社Webサイト(主にトップページ)のHTMLに残るCMSの痕跡を照らし合わせました。

対象としたのは、WordPress、Shopify、Drupal、Adobe Experience Manager、Sitecore、Contentful、Contentstackの7種類のCMSです。それぞれの採用企業を紹介します(調査は2026年10月時点)。

今回は、次の考え方で7種類のCMSを選びました。

  • 国内編の10種類のうち、海外企業でも採用が確認できたもの:
    WordPress、Shopify、Drupal、Adobe Experience Manager、Sitecoreの5種類です。ShareWith、microCMS、BlueMonkey、Movable Type、HeartCoreは海外企業での採用例が見つからなかったため、対象から外しました。

  • 海外の大手企業サイトで多く使われていたもの:
    調査の過程で、大手ブランドのサイトでくり返し見つかったヘッドレスCMSのContentfulとContentstackを加えました。

  • 企業サイト向けのCMSに絞る:
    W3Techsの調査では、WixやSquarespace、JoomlaもDrupalより高いシェアを持っています。ただし、これらは個人や小規模事業者のサイトが中心のため、今回は対象外としました。

大手企業でヘッドレスCMSの使用が目立つ

確認できた企業をCMSごとにまとめると、次のようになります。国内と同じくCMSごとに採用企業の傾向が見られるほか、国内ではあまり見かけないヘッドレスCMSが大手ブランドで使われているケースが複数見つかったことが目を引きます。

CMS採用企業の傾向主な企業
WordPressニュースルーム、ブログ、メディアMeta、Microsoft、SAP、TechCrunch
ShopifyD2Cブランド、大手ブランドの公式ストアGymshark、Allbirds、Netflix、Mattel
Drupal製薬・食品の大手、グローバル統一基盤Tesla、Pfizer、Nestlé、Mars
Adobe Experience Manager自動車、航空、食品などのグローバル大手Coca-Cola、Ford、GM、BMW Group
Sitecore保険、メーカーL'Oréal、Zurich、American Family Insurance
Contentful消費財、通信、フィットネスP&G、TELUS、Equinox
Contentstack自動車、家電、メディアVolvo Cars、Philips、TIME

WordPress:大手テック企業のニュースルーム

WordPressは、世界でもっとも多く使われているオープンソースのCMSです。第2回で紹介したW3Techsの調査では、CMSを使っているサイトの58.7%(2026年10月1日時点)がWordPressでした。開発元のAutomatticは、大規模サイト向けに「WordPress VIP」というエンタープライズ向けサービスも提供しています。

海外の大手企業で目立ったのは、Meta、Microsoft、SAP、Samsungといったテック企業の「ニュースルーム」(報道発表や企業のストーリーを載せるサイト)での利用です。本体のコーポレートサイトではなく、情報発信用のサイトにWordPressを使う例が多く見られました。

一方で、Electrolux GroupやThe Walt Disney Companyのように、コーポレートサイト自体をWordPressで運用している企業もあります。

社名サイト名URL
Meta PlatformsMeta Newsroomhttps://about.fb.com/news/
MicrosoftMicrosoft Sourcehttps://news.microsoft.com/source/
SalesforceSalesforce Bloghttps://www.salesforce.com/blog/
SAPSAP News Centerhttps://news.sap.com/
Samsung ElectronicsSamsung Global Newsroomhttps://news.samsung.com/global/
SpotifyFor the Recordhttps://newsroom.spotify.com/
MozillaThe Mozilla Bloghttps://blog.mozilla.org/
TechCrunchTechCrunchhttps://techcrunch.com/
Electrolux GroupElectrolux Grouphttps://www.electroluxgroup.com/en/
The Walt Disney CompanyThe Walt Disney Companyhttps://thewaltdisneycompany.com/

Shopify:D2Cブランドから大手の公式ストアまで

Shopifyは、W3Techsの調査でWordPressに次ぐ7.8%(2026年10月1日時点)のシェアを持ち、前年から1.0ポイント伸びています。

採用企業は、国内編と同じくD2Cブランドの公式ストアが多く見られます。次に挙げるのが、その例です:

  • Gymshark(アスリートやインフルエンサーとの連携、SNSを活用したマーケティングで急成長した英国発のフィットネスアパレルブランド)
  • Allbirds(サンフランシスコで誕生したシューズブランド)
  • Kylie Cosmetics(セレブリティであり実業家のカイリー・ジェンナーが自身のSNSの影響力を生かして立ち上げたコスメブランド)

なおGymsharkは、表示側をNext.jsで作り、コンテンツ管理にContentful、決済などにShopifyを使うヘッドレス構成でした。

次のような大手企業も、EC基盤にShopifyを採用しています:

  • Netflix.shop(Netflixの公式グッズストア)
  • Mattel(バービーやホットウィールなどのブランドを展開する米国の玩具・エンターテインメント企業)
  • Staples Canada(カナダ最大級のオフィス用品チェーン)

全体的に日本ではあまりなじみのない企業が多いので、他の企業もざっと列挙しておきます:

  • Fenty Beauty(シンガーソングライターのリアーナがLVMH傘下のKendo Brandsと立ち上げた米国発のコスメブランド)
  • Glossier(Emily Weissの人気美容ブログ「Into The Gloss」から派生して誕生した米国発のスキンケア&コスメブランド)
  • Brooklinen(高級ホテル品質のシーツを手頃な価格でネット直販する米国発の寝具のD2Cブランド)
  • Ruggable(洗濯機で洗える独自構造のラグ「Machine-Washable Rug」を開発し、ラグの手入れを手軽にした米国発のホーム用品ブランド)
社名サイト名URL
GymsharkGymsharkhttps://www.gymshark.com/
AllbirdsAllbirdshttps://www.allbirds.com/
Kylie CosmeticsKylie Cosmeticshttps://kyliecosmetics.com/
Fenty BeautyFenty Beautyhttps://fentybeauty.com/
GlossierGlossierhttps://www.glossier.com/
NetflixNetflix Shophttps://www.netflix.shop/
MattelMattel Creationshttps://creations.mattel.com/en-jp
Staples CanadaStaples.cahttps://www.staples.ca/
BrooklinenBrooklinenhttps://www.brooklinen.com/
RuggableRuggablehttps://ruggable.com/

※Staplesは、米国のStaples.comではなくカナダのStaples Canadaのサイトです。

Drupal:製薬・食品の大手とグローバル統一基盤

Drupalは、世界各国の企業や政府機関、大学などで利用されているオープンソースのCMSです。「Web担当者Forum」もDrupalで運営しています。

W3Techsの調査でのシェアは0.9%(2026年10月1日時点)と小さいものの、多言語対応や権限管理、複数のサイトを一つの仕組みで運用するマルチサイト機能などを備え、大規模で複雑なWebサイトの構築・運用にも対応できます。

今回は、次の企業などでDrupalの採用事例が確認できました:

  • Tesla
  • Pfizer
  • Nestlé
  • Novartis
  • Mars(M&M'sやスニッカーズで知られる、世界最大級の非上場・家族経営の食品・ペットケア企業)

グローバル展開する製薬、食品のエンタープライズ企業が目立ち、NestléやMarsは世界各国のブランドサイトを共通の基盤で運用しています。国内編(第3回参照)で紹介したネスレ日本のサイトも、nestle.comと同じテーマを使っていました。

このほか、業種の異なる米国の有力組織でもDrupalが使われていました:

  • United Rentals(建設機械・産業機器のレンタルで世界最大の企業)
  • Brown-Forman(ジャックダニエルを擁する米国の老舗酒類メーカー)
  • Texas Children's Hospital(米国トップクラスの評価を受ける非営利の小児専門病院)

大学では、ハーバード大学の学内向けWeb制作基盤「Harvard Web Publishing」でも確認しています。

社名サイト名URL
TeslaTeslahttps://www.tesla.com/
PfizerPfizerhttps://www.pfizer.com/
NestléNestlé Globalhttps://www.nestle.com/
MarsMars, Incorporatedhttps://www.mars.com/
NovartisNovartishttps://www.novartis.com/
PUMAPUMA SEhttps://about.puma.com/en
United RentalsUnited Rentalshttps://www.unitedrentals.com/
Brown-FormanJack Daniel'shttps://www.jackdaniels.com/
Texas Children's HospitalTexas Children'shttps://www.texaschildrens.org/
Harvard UniversityHarvard Web Publishinghttps://hwp.harvard.edu/

Adobe Experience Manager:グローバル大手の本命

Adobe Experience Manager(AEM)は、アドビが提供するエンタープライズ向けのCMSで、同社のマーケティング製品群「Adobe Experience Cloud」の中核を担う製品です。画像や動画を一元管理するDAM(デジタルアセット管理)を備え、多言語・多サイトの大規模な運用に向いています。

業種こそ様々ですが、次のような世界的な大企業という点が共通項といえます:

  • Coca-Cola
  • Ford
  • GM
  • BMW Group
  • Samsung
  • Marriott
  • Lufthansaなど

実際、今回調査した中で、有名ブランドでの採用がもっとも多く見つかったCMSです。また、Subwayは、AEMの新しい配信方式「Edge Delivery Services」を使っていました。国内編で紹介したNECと同じ方式です。

表に挙げた企業のほか、次の企業でも確認しています:

  • Dow(プラスチック原料などを手がける米国の総合化学メーカー)
  • American Red Cross(米国赤十字社)
  • AMD(CPUとGPUでIntelやNVIDIAと競う米国の半導体メーカー)
  • MetLife(米国最大級の生命保険会社)
  • Atlas Copco(コンプレッサーなどの産業機器で世界トップクラスのスウェーデン企業)
社名サイト名URL
The Coca-Cola CompanyCoca-Cola Companyhttps://www.coca-colacompany.com/
Ford Motor CompanyFordhttps://www.ford.com/
General MotorsGMhttps://www.gm.com/
BMW GroupBMW Grouphttps://www.bmwgroup.com/en.html
Samsung ElectronicsSamsung UShttps://www.samsung.com/us/
Marriott InternationalMarriott Bonvoyhttps://www.marriott.com/
LufthansaLufthansahttps://www.lufthansa.com/
DanoneDanonehttps://www.danone.com/
Heathrow AirportHeathrow Airporthttps://www.heathrow.com/
SubwaySubwayhttps://www.subway.com/en-us

Sitecore:保険会社やメーカーで採用

Sitecoreは、Sitecore社が提供する、Microsoftの.NET技術をベースにしたエンタープライズ向けCMSです。訪問者に合わせて表示を変えるパーソナライズ機能に強みがあります。近年はクラウド版の「SitecoreAI(旧XM Cloud)」に力を入れています。

L'OréalやZurichのほか、次のような保険会社が目立ちました:

  • American Family Insurance(ウィスコンシン州発、自動車・住宅保険を主力とする米国大手の相互保険会社)
  • Westfield Insurance(オハイオ州発、独立代理店経由で損害保険を提供する老舗の相互保険会社)

American Family Insurance、Westfield Insurance、Regal Rexnord(モーターや動力伝達部品を手がける米国の産業機器メーカー)は、SitecoreAIの配信ドメイン(edge.sitecorecloud.io)から画像を配信しており、表示側はNext.jsで作られていました。

社名サイト名URL
L'OréalL'Oréal Grouphttps://www.loreal.com/en/
Zurich Insurance GroupZurich Insurance Grouphttps://www.zurich.com/
American Family InsuranceAmerican Family Insurancehttps://www.amfam.com/
Westfield InsuranceWestfield Insurancehttps://www.westfieldinsurance.com/
Carnival Cruise LineCarnival Cruise Linehttps://www.carnival.com/
Regal RexnordRegal Rexnordhttps://www.regalrexnord.com/
HexagonHexagonhttps://hexagon.com/
ミシガン州立大学MSU DX Studiohttps://dxstudio.msu.edu/

Contentful:大手ブランドが選ぶヘッドレスCMS

Contentfulは、ドイツ発祥のヘッドレスCMSです。コンテンツを管理画面とAPIで提供し、表示側は利用企業が自由に作ります。

国内編で紹介したmicroCMSと同じタイプのCMSで、次のような海外の大手ブランドで採用されていました:

  • P&G
  • TELUS(カナダの大手通信会社)
  • Equinox(米国の高級フィットネスクラブ)
  • Atlassian(JiraやConfluenceなどの管理ツールを提供するソフトウェア企業)

また、Shopifyの項で紹介したGymsharkも、コンテンツ管理にContentfulを使っています。

社名サイト名URL
Procter & GambleP&Ghttps://us.pg.com/
TELUSTELUShttps://www.telus.com/en
EquinoxEquinoxhttps://www.equinox.com/
AtlassianJira(Jira製品ページ)https://www.atlassian.com/software/jira

Contentstack:自動車・家電・メディアで採用

Contentstackは、米国のContentstack社が提供するヘッドレスCMSです。Contentfulと同じく、APIでコンテンツを配信し、表示側を自由に作れるのが特徴で、Volvo Cars、Philips、TIMEなどで確認できました。

社名サイト名URL
Volvo CarsVolvo Carshttps://www.volvocars.com/intl/
PhilipsPhilipshttps://www.usa.philips.com/
TIMETIMEhttps://time.com/

まとめ:今回の調査でわかったこと

ニュースルームやブログはWordPress、本体サイトは大型CMS

海外の大手企業では、同じ会社でもサイトの役割によってCMSを使い分ける傾向がはっきり見られました。

今回の調査結果からは、情報発信を担うニュースルームやブログと、企業やブランドの公式サイトでCMSを使い分けるケースがあることがわかります。国内編で見た「1社で複数のCMSを使い分ける」傾向は、海外でも確認できました。

ヘッドレスCMSの存在感が国内よりも大きい

ContentfulやContentstackのようなヘッドレスCMSの採用例が、P&G、Volvo Cars、Philipsといった大手ブランドで確認できました。また、SitecoreAI(旧XM Cloud)、Drupal(例:Jack Daniel's)、Shopify(例:Gymshark)を用いたサイトでも、表示側をNext.jsで作るヘッドレス構成の採用例が見つかりました。

国内ではまだ一部の企業に限られる構成ですが、海外の大手では一歩先に普及が進んでいるといえそうです。

今回の調査方法について

今回のように外部から見られるHTMLや画像のURL、各社の公開情報などから判断する方法には、次のような限界があります。結果は「2026年10月時点で、主にトップページから判断したもの」と捉えてください。実際に使用しているCMSが異なる場合は、問い合わせフォームからご連絡ください。

  • 国や地域でサイトが分かれている:アクセスした国のサイトに自動で振り分けられる場合は、振り分け先のサイトで判断している
  • ページごとに異なる場合がある:同じ企業でも、ブログやニュースなど、サブドメインやディレクトリごとにCMSが違うことがある
  • 画像の配信元=CMSとは限らない:画像だけを別のサービスで管理しているケースもある
  • 判定できないサイトがある:自動取得を拒否しているサイトや、HTMLを取得できないサイトは判定できない