Web担20周年記念

上場企業のCMSシェア、1位はダントツでWordPress、では2位は何?

現在のCMSシェアと、WordPress一強の歴史・背景を解説。

内藤 貴志(Web担編集部)

7:05

日本のWeb制作シーンにおいて、CMS(コンテンツ管理システム)は、「WordPress一強」と言っても過言ではない状況が続いています。

長年続いてきた「WordPress一強時代」は今、どのような状況にあるのでしょうか。

最新のシェアデータから圧倒的1位の現状を紐解きつつ、「WordPress一強」がどのように築かれてきたのか、その歴史を振り返ります。

日本のCMSシェア、圧倒的1位は「WordPress」82.9%

まずは、日本国内のWebサイト全体における最新のCMSシェアランキングを見てみましょう。

出典:W3Techs- Distribution of content management systems among websites that use Japanese as content language
2026年9月15日時点。全世界2,000万以上の主要ドメインから抽出した「日本語Webサイト全般(企業・個人・EC等)」を自動スキャンし、CMS利用サイト全体を100%として算出

順位CMS名推計シェア主な特徴・用途
1WordPress82.9%圧倒的シェア。汎用性が極めて高い
2Shopify3.0%世界標準のECプラットフォーム
3Adobe Experience Manager2.2%大企業向け。多機能・高価格帯
4Jimdo2.0%初心者向けの直感的な作成ツール
5ホームページ・ビルダー1.6%日本のロングセラーソフト
6カラーミーショップ1.5%国内最大級のASP型ECサイト構築
7STUDIO1.3%日本発のノーコードツール。急成長中
8EC-CUBE1.2%日本発のオープンソースEC
9はてなブログ0.9%国内大手のブログメディア
10MakeShop0.6%高機能な国内ECプラットフォーム
11Wix0.5%世界シェア3位だが国内ではこの位置
12Movable Type0.4%セキュリティ重視の国内企業に根強い
13Squarespace0.3%デザイン性の高い海外発CMS
14Joomla0.2%世界的には有名だが国内では限定的
15Drupal0.2%大規模サイト・政府機関向け
16microCMS0.2%日本発のヘッドレスCMS
17Blogger0.1%Google提供のブログサービス
18Ameba Ownd0.1%サイバーエージェント提供の作成ツール
19Ghost0.1%出版・メディアに特化した軽量CMS
20Webflow0.1%高度なカスタマイズが可能なノーコード

企業サイト、個人ブログ、ECサイト、Webメディア等を含む、全体での圧倒的1位は、シェア 82.9%を誇る WordPressです。世界市場全体のシェア(約60%)と比較しても、日本国内における依存度の高さは極めて顕著と言えます。

そして、2位は世界標準のECプラットフォームである「Shopify」(3.0%)。3位以降には「Adobe Experience Manager」(2.2%)、ノーコードCMSの「STUDIO」(1.3%)などが並びますが、1位のWordPressとは80ポイント以上の開きがあり、まさに独走状態です。

上場企業のCMSシェアから見える、もうひとつの現実

では、セキュリティやガバナンスが厳しく求められる国内上場企業に絞ると、どのような傾向が見られるのでしょうか。

上場企業約3,800社(約1.9万URL)を対象とした調査データを紐解くと、Web全体の傾向とは一味違うエンタープライズ領域ならではの現実が見えてきます。

出典:「DataSign上場企業CMS調査レポート」からシェアを算出。11位以下は省略

順位CMSシェア特徴
1WordPress74.8%世界中で利用される圧倒的シェアのオープンソース
2ShareWith2.8%上場企業に特化した定額制のクラウド型CMS
3Drupal1.7%大規模・複雑なサイト向けの高度なオープンソース
4Movable Type1.6%静的生成でセキュリティが高く大企業に人気のCMS
5microCMS1.5%API連携で柔軟な開発が可能な日本発のヘッドレスCMS
6Blue Monkey1.5%中小企業向けの操作性に優れたクラウドCMS
7Adobe Experience Manager1.4%大企業のデジタル体験を統合管理する高機能エンタープライズ
8HeartCore1.2%CX強化や多言語化に対応したエンタープライズCMS
9DNN1.1%.NET基盤で構築されたオープンソースのCMS
10WordPress.com1.1%サーバー構築不要ですぐ始められるブログ・Web作成サービス

WordPressの限定的・分離運用

上場企業でもWordPressは広く使われていて、単純なシェアは80%近くを占めています。しかし、本業のコアシステムや主要コーポレート基盤からは物理的・システム的に分離し、オウンドメディアや特定事業・広報サイトなどに限定して採用する「基盤の分離運用」が主流となっています。

コーポレートサイトに特化したShareWith

2位の「ShareWith」は、上場企業のコーポレートサイトやIRサイトに特化したクラウド型CMSです。

サーバインストール型CMSを除いたクラウド型CMSや国産CMSのカテゴリでトップクラスの導入件数を誇り、TDnet連携によるIR情報の自動開示機能や、安全なガバナンスを実現する高い堅牢性を持ちます。マニュアルなしで直感的に更新できる操作性も特徴です。

Movable Typeの極めて高い採用率

Web全体ではシェア1%未満に留まる「Movable Type」ですが、東証プライム上場企業などの大手企業や金融機関、官公庁においては約44%以上で採用されているほか、全国の国立大学法人でも約83%が採用しています(シックス・アパート社の公式発表による)。

静的生成(静的配信)による堅牢性

上場企業がMovable TypeやNORENといったCMSを選ぶ最大の理由は「セキュリティと耐障害性」です。

管理画面とWebサーバーを切り離してあらかじめ生成した静的HTMLを配信する仕組みにより、データベースへの直接攻撃を防ぎ、決算発表や災害時などの突発的なアクセス殺到にも耐えられる点が評価されています。

このように、Web全体の数で見ればWordPressが圧倒的ですが、大企業・上場企業の基幹Webサイトにおいては、信頼性・セキュリティを重視した国産パッケージやエンタープライズ向けCMSが根強いシェアを保っているという二重構造が存在します。

インターネット白書から振り返る:WordPress一強の歴史

こうした現代のシェア構造は、どのようにして築き上げられたのでしょうか。過去の『インターネット白書』等の変遷を振り返ると、日本のWeb業界における勢力図の歴史が見えてきます。

①独自開発とMovable Typeが主役だった黎明期(2000年代中盤)

「Web担当者Forum」が誕生した20年前頃の『インターネット白書2006』のデータを見ると、企業のCMS導入は「独自開発」か商用パッケージの「Movable Type」がトップ2を争う時代でした。

当時は企業がブログやWebサイトを内製管理するハードルが高く、ライセンス費用や専門技術が必要不可欠でした。

②無料オープンソースと日本語化の波(2010年代)

その構図を覆したのが、オープンソースとして登場した「WordPress」でした。

有志コミュニティによる高品質な日本語ローカライズが行われ、書籍や解説サイトが激増。無料で手軽に使える安心感が個人ブログや中小企業の制作現場に波及しました。

さらに、「Movable Type」の商用ライセンス見直しも重なり、多くの制作リソースがWordPressへ一気に流入しました。

③日本の受託制作エコシステムが生んだ正のループ(2015年〜現在)

日本のWeb制作業界は、制作会社がクライアントから案件を請け負う「受託開発」が中心であり、このビジネスモデルとWordPressの特性が見事に合致しました。

本体が0円のオープンソースであるためライセンス費をかけずに開発費用を抑えた提案が可能であり、専門知識のないクライアント側でもブログ感覚で簡単に更新できる管理画面を提供できます。

また、業界内で標準ツール化したことで、制作会社を乗り換えてもサイトの保守や改修を引き継ぎやすい環境が完成しました。

さらに、エックスサーバーやさくらのレンタルサーバといった日本の主要レンタルサーバー会社が「WordPress簡単インストール」機能を標準搭載したことで技術的ハードルが解消され、非エンジニア層へも一気に普及が進みました。

こうして生まれた勢いは、強力な「正のループ(自己強化型エコシステム)」を形成しました。

実績や「みんなが使っていて安心」という高い信頼感からさらにユーザーや企業に選ばれ、それに応じる形で日本向けの高品質なテーマや各種便利プラグイン、高度なSEOノウハウなどの資産が大量に生み出されていきました。

同時に制作会社やフリーランスなどのエンジニア層も技術を習得したことで、案件がよりWordPressへ集中する構造が強まりました。

この好循環が10年以上回り続けた結果、世界全体のシェア(約40〜60%)を遥かに凌駕する「日本国内シェア8割超」という圧倒的な絶対王者・標準インフラとしての地位が完成することとなったのです。

まとめ

20年間の歴史の中で、日本のWeb制作シーンの標準インフラとなった「WordPress」。しかし、その一方で上場企業に見られるような高セキュリティ要件や、近年のSaaS型・ノーコードツールの台頭、保守コスト・セキュリティリスクの増大により、「脱・とりあえずWordPress」の動きも芽生え始めています。

次回(第2回)は、「WordPress一強はいつまで続く?」と題し、その圧倒的な「一強状態」が今後、ノーコードCMS、SaaS型CMSの台頭、そして生成AIの進化によってどのように変化していくのかを見ていきます。

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