Webサイト関連特集

「データ移行が終わらない」「上層部が理解してくれない」 ― CMS移行の失敗談から学ぶ対策ポイント2つ

「CMS移行の大変だった工程」1位は、データ移行作業(58.1%)。現場の悲鳴から見えた、失敗しない準備のポイントとは?

名久井梨香(Web担編集部)

9月9日 7:05

Web担当者Forumでは、2026年7月2日〜7月17日にかけて読者を対象に「CMSの移行に関するアンケート」を実施しました。ご回答いただいた皆さま、誠にありがとうございました。 

2026年9月の「Webサイト関連特集」第2弾となる今回は、そのアンケート結果を公開。アンケートに集まったリアルな声から見えた、CMS移行を成功に導くための準備ポイントを2つ紹介します。

回答者属性とCMS移行の回数

まずは、今回のアンケート回答者の属性とCMS移行の経験値を見ていきましょう。

職種では「企業のWeb担当者/マーケター」(53.8%)が過半数を占め、最も多い結果となりました。

  • 企業のWeb担当者/マーケター: 53.8%
  • 企業の情シス・IT部門担当者: 16.2%
  • Webエンジニア/デザイナー: 12.0%
  • Web制作会社/開発ベンダーのディレクター・PM: 10.3%

発注側(企業側)の担当者が大半を占める一方で、受注側(Web制作会社・ベンダー側)からも貴重なご意見をいただきました。

Q1.あなたの職種・お立場に最も近いものを教えてください

また、企業規模(従業員数)の分布は次のとおりです:

  • 20名未満: 17.1%
  • 20〜100名: 17.9%
  • 101〜500名: 25.6%
  • 1000名以上: 25.6%
Q2.企業の従業員規模を教えてください

これまでに経験した「CMS移行(リプレイス)」の回数は、「3回以上」と答えた人が31.6%に達しました。2回以上の経験者を合わせると半数以上にのぼり、CMS移行は1度切りではなく、サイトの成長や時代の変化にともなって、何度もくり返されるプロセスであることがうかがえます。

なお、6.1%の方は「今まさに検討・直面している(今回が初めて)」と回答しています。初めてのプロジェクトに挑む方は、ぜひ本記事をヒントにしてみてください。

Q3.これまでに経験した「CMS移行(リプレイス)」の回数を教えてください

移行前後におけるCMSタイプのシェア比較

今回の調査で移行前と移行後のCMSタイプ(分類)の変化を分析したところ、「パッケージ型」が減少し、「オープンソース型」と「クラウド・ノーコード型」への移行が増加傾向にありました。

  • オープンソース型(WordPress, Drupal等): 37.6% → 41.9%(▲増加)
  • パッケージ型(Movable Type等): 27.4% → 22.2%(▼減少)
  • クラウド・ノーコード型(Wix, STUDIO等): 10.3% → 14.5%(▲増加)
Q4.移行前に利用していたCMSのタイプを教えてください
Q5.現在利用しているCMSのタイプを教えてください

悩み1「コスト」「ベンダー選定」「上層部への説得」

「CMSの選定・比較」の段階で、どのような悩みに直面したかを聞いたところ、上位3つは次の項目でした(複数選択可)。

  1. 初期費用やランニングコストの妥当性が判断できなかった(34.2%)
  2. 制作会社・ベンダー選びに苦労した(29.9%)
  3. 上層部(決裁権者)への説明や予算取りに苦労した(28.2%)
Q6.CMSの「選定・比較」の段階で、どのような悩みに直面しましたか?

アンケートに寄せられた現場の切実なエピソードをご紹介します。

【費用・コスト】「初期費用が安い」の落とし穴

CMSにお金をかけたくないということでWordPressが必然的に選ばれたが、そのかわり、アップデートやメンテナンスなど定期的な管理が必要だと説明し理解を得ることに苦労した(管理費すらケチる法人は意外に多い)

定期保守が必要だとくり返し説明する必要がある

投資対効果を整理しておけばよかった

【ベンダー選定】事前確認不足でミスマッチ

制作会社の営業担当とプロジェクト担当で、言うことが違う。営業担当があまり信頼できなかった…

CMS入れ替えのベンダーのWeb知識の確認をするべきだった

作業管理表のようなものがない業者だったので、仕様・行程・確認作業など細かく管理できるフォーマットを用意しておいてほしかった

上層部が制作会社を見つけてきて入れ替えになったが、もう少し選択肢が欲しかった

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【社内調整】上層部にWebの知識がない

会社に決裁を取るのに、(CMS載せ替えようとしてから半年位かかる)一番時間を要した。そもそもCMSを理解していない上層部への説明コストが一番かかった

代表と自分との間で締め切りの相違があった。自分の想定よりも早く対応できると思われており、デザインや仕様など社内確認の時間が取れず焦った。当たり前のことですがコミュニケーションをして決まったことはSlackなどに残すことは大事

役員クラスがプロジェクトにNGを出しそうになったのを必死に説得するために、役員が分かる資料を10パターンくらい作成。役員に説明する上長はWebの知識がないので、説明に時間をかけたものの、役員への説明があやふやになる…

広報や情シス、法務など、あらゆるステークホルダーとの調整は絶対に避けられない。「調整は後回しにして、まずは進めよう」としても、事前に説明して何度もやり取りし、合意を得ておかないと、結局は途中で止まる

悩み2データ移行という難所

次に「CMSの入れ替え時、特に大変だった工程」について尋ねたところ、「過去データの移行作業」が58.1%と圧倒的1位になりました。

  1. 過去の古い記事や画像データの移行作業(58.1%)
  2. URL構造の変化に伴うSEO(検索順位)低下への対策(35.9%)
  3. (同率):デザインやレイアウトの自由度と、更新のしやすさの両立(32.5%)
    (同率):要件定義の漏れによる、開発終盤の「仕様変更」や「追加費用」の発生(32.5%)
Q7.CMSの入れ替え時、特に「大変だった」工程はどこですか?

【データ移行】終わりの見えない作業

CMSにアップされていた画像に明確なルールがなかったため、移行作業時に新しいページとの紐付けで苦労した

コンテンツ量が多く、移行後の表示崩れの確認作業が想像以上に大変でした。また、「これで終わり」と思っても新たな課題が見つかり、終わりの見えないマラソン状態でした

どうあがいても手動でないと移せない項目があって、500ページ以上もある。そもそも大した内容もないコンテンツなのに全部移す必要があるのか今まさに悩んでいる

【SEO低下】SEOへの理解が足りない

そもそもディレクトリが整理されていないので、移行を機にSEOを加味しながらURLを変更する、もちろんリダイレクト設定も行う旨を説明するも、理解してくれなかったこと

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【仕様変更】要件定義をしっかりしておくべきだった

社内調整をもっと細かく行っておくべきだった。また、将来的な機能追加やカスタマイズ性を考慮できておらず、失敗した

最初に要件定義や必要な機能を何度も確認し、移行完了までにも途中で何度も確認するも、公開する寸前で「これは出来ないの?」とか「ここはこう変えて欲しい」という要望が必ずと言ってよいほど発生する不思議

客先が「要件定義」の役割と意味を理解しておらず、工数が大幅にアップし見積りアップとなり説明するも納得せず

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まとめ

今回のアンケート調査から見えてきたのは、CMS移行の成否を握るのは「どのツールを選ぶか」以上に、その前後の「情報整理」と「合意形成」だということ。プロジェクト発足前の段階から、数年後に起こりうるCMS移行に向け準備しておきたいですね。

最後に、アンケート結果から見えてきた、今からできる2つの対策を紹介します。

対策1 コンテンツのフォーマット化と断捨離

画像の解像度やサイズ、名前の付け方(半角英数字)、元画像の保管場所などのルールを決め、今からルールに沿った運用を進めましょう。また外部ツール(WordやGoogleドキュメントなど)からエディタへコピペする際は、一度プレーンテキストにしてから貼り付けるなどして、不要なタグを除去することも周知しておくのがおすすめです。

アクセス数が著しく低いコンテンツや、古くなったお知らせ記事などは、定期的に削除・整理し、ページの棚卸作業を進めておきましょう。

対策2社内ステークホルダーを巻き込んでおく

なかなか難しいかもしれませんが、日頃から情シス・広報・役員などと交流をはかり、関係性を構築しておくのが理想です。Webの知識がない上層部には、専門用語を使わず「投資対効果」や「セキュリティリスク」「SEO」を解説する資料を作成したり、参考になる記事をストックしたりしておくのもいいでしょう。

◇◇◇

CMS移行は、Web担当者にとって一大プロジェクトです。しかし、蓄積されたデータを正しく整理し、最適なシステムへと導くことは、企業のデジタル資産を守り、大きく育てることに他なりません。

今回のアンケート結果をもとに、Web担当者Forumでは皆さまの役に立つコンテンツを引き続き制作していく予定です。今後もCMSに関する悩みや質問などありましたら、Web担にお寄せください。

調査概要

【調査期間】2026年7月2日〜7月17日
【調査対象】Web担当者Forum読者
【調査方法】インターネット調査
【有効回答数】117件

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