Webサイト構築で「デザインを先に見せて!」、要件定義を理解してくれないクライアントにはどう対応すべき?
読者から寄せられた仕事の悩みをウェブパンが代わって解決するパン! 今回は、クライアント対応に困っているウェブデザイナーからの悩みを解決するパン!
読者からのお悩みを解決するパン!
読者のお悩み
はじめまして、いつも楽しく拝見させていただいております。業界の末端で獅子奮迅するウェブデザイナーです。早速本題ですが、サイトの見た目を早く欲しがるクライアントに困っています!「見た目を形成するまでの目的設定や要件定義が重要なんです!」と言っても理解してもらえません。どうすればよいでしょうか? (ペンネーム:匿名)
ウェブパン、いらっしゃい! 私たちがそのお悩みを解決しましょう!
ウェブデザイナーのお悩みあるある
サイトの見た目が大事なのはわかっているけど、目的設定や要件定義もないままデザインを出せと言われても困るパン……。一体どうすればいいんパン?
お客様には、サイトの見た目を早く欲しがる理由があるんですよ。たとえば
- 上長承認
- スケジューリング
- イメージがつかない
- 他部署と目線を合わせたい など
そういった「サイトの見た目を早く欲しがる理由」をひも解いてあげると、目的設定や要件定義も自然と見えてくると思うんです。
そう言われても、「ひも解く」のが難しいパン……。
私なら、お客様が目標にしているサイトを伺って、近い例をいくつかピックアップして見せながら、どんな要素がお好きなのか探ります。大切なのは、お客様が何を求めているのか、ひとつずつ掘り下げて聞き出すこと。
- ウェブサイトはどんな位置付けなのか
- どんな要素を必要としているのか
きちんとすり合わせて落とし所が見つかってから、図解を入れた資料を作ります。プロセスを通して要件定義しているようなイメージですね。
さすが敏腕ディレクターのマリコさん。もう僕が補足することは何もないんですが、相手が何を求めているか理解するために簡単なワークをしてみましょうか。
クライアントの気持ちをひも解くワーク
ワーク1デザイナーの椅子に座ってみる
ウェブパンは相談者のデザイナーさんになりきってください。マリコさんはクライアント役です。
うちのダサいウェブサイトをカッコいいデザインにしてくれるのを期待していますよ。
ウェブサイトを作るためには要件定義が重要なんだパン! まずはそこから考えてデザインを決めたいパン!
要件定義? 競合のA社もB社も、すごくきれいなサイトなんだよ。だからさ、問題はデザインだと思うんだよ。A社やB社に負けない、とにかくカッコいいサイトを作ってください。
でもA社やB社のようなサイトにすると、会社のイメージが変わってしまうパン。まずは、なぜウェブサイトを作りたいのか考えるべきだと思うパン……。
ワーク2クライアントの椅子に座ってみる
次は席を交代して、ウェブパンがクライアント役、マリコさんがデザイナー役です。クライアントは、社長から「今の古めかしいサイトをどうにかしろ」と言われています。そういう状態でマリコさんの話に受け答えしてください。
こっちはもう予算も組んでいて、今すぐにでもリニューアルしたいんだパン。だから早くデザインを見せて、さっさと社長を説得したいんだパン。
しかし、ターゲットも決めずにサイトを作っても、効果があるかどうかわからないですよね? デザインは、やはり要件定義から始めなければいいものができないんです。
そんな細かいことはいいんだパン! とにかくビジュアル素材を早く作ってくれパン!
どうですか? いま、どんな気持ちがしていますか?
こっちは早く社長に見せないといけないのに、なんで気持ちをわかってくれないんだろうって思ったパン……。
ワーク32人のやりとりを外から見る
最後は、僕がクライアント役で、マリコさんがデザイナー役です。今と同じことをやるので、ウェブパンは外で見ながら、この2人に同じ方向を向かせるためにはどうすればいいか考えてください。
ウェブサイト制作は、ぜひ要件定義からきっちりやらせてください! コンセプトやターゲットユーザーを決めてからブランドコンセプトを導き出し、ウェブサイトの情報設計をする。どういうサイトにすればいいかを考えたうえで、サイトの骨子をしっかり作ったら、素敵なサイトになります。いいものを作るためにはちゃんと順序を踏まないといけないんです!
早く社長に見せなきゃいけないから、すぐにデザインを出してほしいんだよねぇ。そもそも要件定義って何をすればいいの?
まず、御社のビジネスに基づいて、ウェブサイトで何を成し遂げたいかを一緒に考えてですね……。
ワークの振り返り
それぞれの立場を経験してもらったうえで、最後に2人のやりとりを第三者の視点から見てもらいました。それではウェブパン、今の第三者の視点から、クライアントと衝突するのでなく同じ方向を向けるように最初の自分にアドバイスするとしたら、なんてアドバイスしてあげますか?
デザイナーは自分が正しいと思うことを一方的に訴えている「自分のことしか考えていない」状態にあったパン。でもクライアントがビジュアルを早く欲しがるには、欲しがる理由があったパン。今回ならクライアントは社長にせっつかれて困っているパン。
だとしたら、まずクライアントが何に困っているかを聞いて、そのお困りの解決方法を一緒に考えてあげるなかで、要件定義が必要なんだって話をしてあげればいいと思うパン!
いい気づきですね。クライアントの椅子に座ってみて、「この人の立場では何を考えているんだろう?」と感じてみることが重要なんです。さらに、一歩引いたところから見ることによって、立場が違う2人のすり合う点を見つけだすことができるんです。
大切なのは、クライアントを理解すること!
ワークをやってみたら、クライアントの気持ちもわかった気がするパン! でも、どうしても理解してもらえない場合はどうすればいいパン?
クライアントさんは、そもそも理解できない世界だからお金を払って頼んでいるんですよ! まずは自分からクライアントを理解していきましょう。
クライアントの気持ちがわからなければ、「なぜデザインを早く欲しがるんですか?」と聞いたっていいんですよ。
とはいえ、今回のお悩みは受託会社とクライアントの間の話だけど、これがWeb担当者で、たとえば自社内の「ビジュアルをすぐに欲しがる上司」という相談だと、両者の間には最初から絶対的な上下関係があるから、もっと難しいんです……。
そんなときはどうしたらいいパン?
基本は同じ。なぜ上司が見た目を早く欲しがっているのかを理解して、自分のやりたいこととすり合わせるんです。
どうしてもビジュアルをすぐに作らなきゃいけない場合は、私はグレースケールで作るようにして、造形だけで判断してもらいます。色の先入観を持たせないためです。
そうすると、バイアスをある程度取り除いた状態で見てもらえるし、お客様の感触も探れるのでおすすめです。ぜひ試してみてください。
お悩み解決できたかな?
「Web担当者Forum」では今後も読者のお悩みを解決するために頑張るパン!
撮影:永友ヒロミ
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