Web担お悩み相談室

「海外とデザインセンスが違う…」、外資系Web担が本社を説得させ、ローカライズを任せてもらうには?

今回のテーマは「ローカライズ」について。海外とのデザインセンスの違いを解決するには、どうすればいい? 【Web担お悩み相談室】
ウェブパン

読者から寄せられた仕事の悩みをウェブパンが代わって解決するパン! 今回は、外資系企業での悩みを解決するパン!

読者からのお悩みを解決するパン!

読者のお悩み

外資系企業でWeb担をやっています。Webプラットフォームやデザイン、コンテンツは全て海外担当部門が決定し、こちらには編集権限はなく、リクエストを上げて修正してもらうような運用形態です。

特にコンテンツ内の画像デザインについては、日本人からみると理解しがたいトリミングやレイアウトになることが多く、都度修正指示をするので時間がかかって仕方がない状態です。海外とのデザインセンスの違いを解決し、お互いが納得できるルール決めなどはないでしょうか?(ペンネーム: 外資系Web担あるある いっぱいある)

ウェブパン

お便りありがとうパン!
外資系企業の経験がある井上慎也さんに相談してみるパン!

パイオニア株式会社 経営戦略本部 CMO 井上慎也氏
井上

ウェブパン、いらっしゃい! 私がそのお悩みを解決しましょう!

ローカライズとは? 翻訳との違いは?

ウェブパン

井上さんは以前、外資系企業のAdobeにいたことがあり、海外にある本社側とのやりとりが多かったと聞いたパン。

井上

そうですね。当時は相談者の方と同じ立場でしたが、今のパイオニアでは逆に本社側としてグローバルな立ち位置でやりとりを行っています。

ウェブパン

両方の経験があるのは心強いパン! 相談者さんのように、ローカル側の担当者が修正できないケースは多かったりするのパン?

井上

グローバル企業では、基本的にプロダクトのサービス戦略やコミュニケーション、デザイン、コピー、そしてWebサイトのシステムに至るまで一元化してまとめて作ります。その上で、各国がローカライズしていく、というのが基本的な流れです。

本社が取りまとめているのは「ローカルに任せたら、恐ろしいブランドロゴの使い方をされていた……」なんてことがよくあるからです。

ウェブパン

本社が統一しているのに、どうしてローカライズをする必要があるパン?

井上

ローカライズとは、それぞれの国にいるお客様に、より納得して買ってもらえるよう、言語の翻訳だけでなく伝え方や見せ方までも変えることです。国によってカルチャーが違えば、感じ方も異なるため、ローカライズが必要となるケースもあります。

たとえば海外のWebサイトは、最低限の文章でシンプルなデザインが一般的です。一方、日本だと情報量が多めだったりします。

あくまで私の見解ですが、海外では「試しに買ってみて、ダメなら返品すればいい」という考え方だからです。実際、返品率はとても高いです。しかし日本では納得しないと購入に至りません。そのため、顧客の疑問をすべて解決できるよう、多くの情報を掲載する必要があります。

こういった情報の見せ方をデザインするのも、マーケティングにおいて重要です。

日本と海外で好まれるデザインが違うのは、習慣の違いが関係しているパンね!
ウェブパン

最近は、多言語対応サイトや自動翻訳ツールなどもあるけど、それとローカライズは違うのパン?

井上

中身は同じで、言語だけを変えたものは、あくまで「翻訳」ですね。今の翻訳ツールは精度が高いので、きれいな日本語に直してくれますが、言葉がきれいだからといって魅力的とは限りません。

もちろん翻訳だけでも売れるなら問題ありません。ただローカライズすることで付加価値を生み、もっと売れる可能性を高められるなら、ローカライズしたほうがいいこともあります。そして、それはマーケターの仕事です。

次の図は、社内トレーニングで使うマーケティングのフレームワークです。

マーケティングの基本的な考え方を示すフレームワーク
井上

マーケティングの基本的な考え方は、「製品サービスの価値(WHAT)」を「誰(WHO)」に「どう(HOW)」売っていくかです。

今回を例にするなら、日本とグローバルではお客さん(WHO)が違っているかもしれません。そうすると、製品の価値(WHAT)も伝え方(HOW)も変わってきますので、ローカライズが必要になってくるというわけです。

「自分」「相手」「会社」3つのメリットを考える

ウェブパン

「ローカライズ」と「翻訳」の違いを理解できたパン。

でもローカライズしようにも、相談者さんのようにデザインについて意思疎通が難しい場合はどうしたらいいのパン?

井上

本部が一括管理しているのは、ガバナンスだけでなく、効率やコスト削減など、会社としてのメリットがあるからです。そのためローカライズしたいと思ったなら、会社や本社側の担当者にとって、どのようなメリットがあるのか、きちんと提示する必要があります

たとえば、私はAdobe時代に、ローカライズにチャレンジしたことがあります。本社側では機能Aを目玉にしたプロモーション戦略を立てていましたが、私は「日本では機能Bのほうが価値を感じてもらえるはず」と考えたのです。なぜなら、同じソフトウェアでも、日本と海外とでは使っているユーザー層は異なるからです。

ウェブパン

井上さんは、どうやって会社や本社側の担当者を説得させたパン?

井上

ユーザー調査や他社の事例をもとに、日本市場や海外との感覚の違いを説明し、最終的にはA/Bテストを実施しました。

その結果をもとに日本流にローカライズしたことで、売上がアップし、本社から信頼を得ることができました。その後も新しい製品が出ると、日本独自のプロモーションを展開しました。

“なんとなく”といった個人の感覚では、会社は動きません。大事なのは「相手を説得できるだけの論理」と「コミュニケーションを重ねること」です。

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相手にどうメリットがあるのか、提示するのが大事パンね!
ウェブパン

たしかに本社側からしたら、日本人の感覚がわからないから、A/Bテストのような明確な調査結果がないと、ローカライズでも大きな変更を認められないのかもしれないパンね。

井上

そうですね。相談者さんのように都度修正をリクエストしているのでしたら、日本人の感覚など、修正依頼する背景をきちんと説明してみるのはどうでしょうか。

またそれが「個人の意見」なのか「日本支社の意見」なのかも明確にするといいでしょう。

ある程度、“任せても大丈夫”という信頼ができれば、事前チェックの回数も減っていくでしょうし、すべて任せてもらえる可能性も高まります。そのためには地道ではありますが、説得の積み重ねは欠かせません。

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「自分の考えとメリット」「相手の考えとメリット」「会社のメリット」を考えるパン!

相手の行動を変える法則はマーケティングも同じ!

ウェブパン

これはローカライズに限らず、国内の他部署との調整でも使えそうな話パン。

井上

そうですね。自分の考えが正しいと思い込んでいては、相手を動かすことはできません。これは、マーケティングでも同じです。「やりたいことを相手が理解してくれない」という思考ではなく、「なぜ伝わらないんだろう? どうやったら伝わるんだろう?」と工夫していくことが大切です。

相手の行動を変えたければ、マーケターは「他責」ではなく「自責」であったほうがいいです。自分にとってはメリットがあっても、もしかしたら会社や相手にとってデメリットになっている可能性もあります。

客観的に見たうえで、本当に提案すべきことなのか。相談者さんだけでなく、本社の担当者、そして会社にとって、どうメリットがあるのかを考え、論理的に伝えていきましょう。

ウェブパン

デザインの調整とは、つまりコミュニケーションの話だったパンね。相手の考えに歩み寄って、どうやったら理解してもらえるかを考えることが大事パン!

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井上さん、ありがとうございました!
ウェブパン

お悩み解決できたかな?「Web担当者Forum」では今後も読者のお悩みを解決するために頑張るパン!

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