SEOは現在、破綻しているように感じられる。その理由は次のとおりだ:
- ゼロクリック検索が爆発的に増えている
- GEO(生成エンジン最適化)が検索の形を変えている
- 総じて、クリック数が減少している。
私たちに「できないこと」と「できること」を明確にしておこう:
- SERP(Search Engine Result Page:検索結果ページ)の混乱は、コントロールできない
- 誰かがクリックした後に何が起こるかは、コントロールできる
そこで必要になるのが、検索体験最適化(SXO)だ。失っているトラフィックに固執するのをやめ、獲得しているトラフィックを最大限に活かそう。なぜなら、真の問題は「クリック数」ではなく、「次に何が起こるか」だからだ。
検索体験最適化(SXO)とは
SXOは、次の要素を組み合わせたものだ:
- SEO(検索エンジン最適化)
- UX(ユーザー体験)
「検索結果でのビジビリティを高める」ことも重要だが、「Webサイトにアクセスしたユーザーがどのような体験をするか」に注力するのも同じくらい重要だ。目的は「単にSERPに表示されるようにする」ことだけでなく、「オンサイト体験を向上させ、最終的には訪問をコンバージョンに変える」ことにある。
この変化が重要なのは、もはやクリックが最終目標ではなくなったからだ。いや、そもそもクリックを最終目標とするべきではなかったのだ。ゼロクリックの世界では、ユーザーをWebサイトに誘導するのは第一段階に過ぎない。今では、そのユーザーを引き止めて行動を起こしてもらう必要がある。
私なら、SXOをこう説明したい:
これまでのようにクリックを獲得する必要はあるが、今後はスクロールも獲得する必要がある。そうして初めてコンバージョンを獲得するか、あるいはそのページでユーザーに実行してほしい行動を取ってもらえる。
もはやクリックだけでは十分ではない理由
数字にはっきりと表れている。2024年、グーグル検索の約60%はクリックされずに終わった。さらに「AIによる概要」が登場すると、クリック率(CTR)はさらに低下した。Seer Interactiveの2025年9月の調査によると、「AIによる概要」が表示されなかったクエリのオーガニックCTRが1.62%だったのに対し、「AIによる概要」が表示されたクエリのオーガニックCTRは0.61%だった。
グーグルは、検索でのAI活用によって「クリックの質が向上」したと述べている(グーグルの日本語版ブログでも日本語記事が出ている)。確かにそういう場合もある。しかし、特にクリック数が減少している場合や、獲得したトラフィックからのエンゲージメントが低下している場合には、まったく異なるデータが得られるかもしれない。
SEO担当者は皆、「AIモード」がデフォルトの検索方法になる未来にも備えている。これはクリック数が減少し続けることを意味し、クリックを獲得できたとしても、それは「最終目的地」のクリックとなる可能性が高い。最終目的地のクリックとは、ユーザーが他のWebサイト(ChatGPT、Reddit、TikTokなど)で調査した後、最後に訪れる場所のことだ。そのため、これらのユーザーは行動を起こすよう促されればそうする準備はできているが、行き着くのがスムーズに利用できないページであれば、離脱して他のWebサイトへ行ってしまう可能性がある。
SERPはコントロールできないが、幸いなことに、クリックされた後の体験はコントロールできる。それこそがSXOの核心だ。
SXOで重要な指標
SXOのアプローチを採用する場合は、ユーザー体験を真に反映している指標を重視する必要がある。具体的には次の4点だ:
Webサイトにたどり着いた後、ユーザーがどう行動するかを分析しよう。どこでスクロールするか、どこで立ち止まるか、何をクリックしようとするか、どこで操作のためらいが生じるか、といったことだ。Microsoft Clarity、Hotjar、Crazy Eggなどのツールを使えば、ユーザーがWebサイトをどう使っているかを「推測する」のではなく「具体的に把握」できるようになり、最大の機会を見出せる。
ここで情報を全面開示しておくが、私はMicrosoft Clarityのアンバサダーを務めており、この記事では全体を通してこのツールを使っていく。
スクロールせずに見えるコンテンツと第一印象
「スクロールしなくても見える位置にあるコンテンツ」は、ユーザーと検索エンジンの双方にとって重要だ。グーグルはモバイルファーストインデックスを採用しており、スクロールせずに見えるコンテンツにより重きを置いている。米国特許第7596581B2号に記載されているグーグルの評価手法では、「スクロールせずに見える位置」に表示されるコンテンツに特に高い関連性を割り当てており、この部分の評価がドキュメントの総合的な検索順位に影響を与えるという。
検索を別にしても、ユーザーは最初の画面を見て、自分が正しい場所にいるかどうかを判断する。調査によれば、人がWebサイトに抱く印象はわずか50ミリ秒で決まるという。
ここで次のようなハロー効果の影響が出る:
第一印象が強烈であれば、ユーザーがそのページを信頼し、さらにスクロールし、行動を起こす可能性が高まる
逆に第一印象が弱ければ(雑然としていたり、曖昧だったり、わかりにくかったりすると)、直帰やレイジクリックにつながることもある
こうした観点からランディングページのレイアウトを調整すれば、スクロールせずに見える位置に重要なコンテンツが表示されるため、トピックとの関連性が深まり、訪問者にとってより役立つページになり、検索結果に表示される可能性も高まる。
では、スクロールせずに見える位置では何を優先すべきだろうか。必要なのは、意図に合致する明確な見出し、次のステップを示すCTA、そして「なぜ君を信じるべきなのか?」という疑問に答える信頼のシグナルだ。それは次のように単純なものでいい:
- グーグル/Yelpの星による評価
- 埋め込みレビュー
- 最近の受賞歴
- 独自の強み(USP)
スクロール深度とページエンゲージメント
スクロール深度は、ユーザーが重要な情報を見ているかどうかを示す。ユーザーがどこまでスクロールし、どこで興味を失うか、あるいはどこで立ち止まるかがわかる。
スクロールマップを確認するとき、私はいつも「崖」、つまりエンゲージメントが急激に低下する地点を探す。その地点が見つかると、それにはたいてい次のような理由がある:
- 導入部が長すぎる
- 書式が見づらい
- ページが長すぎて価値が伝わらない
- 次のステップが明確でない
ユーザーがスクロールしていないからといって、普通はコンテンツを増やす必要があるわけではない。配置を変える必要があるrということだ。
ここでもCTAの配置がSXOの手段となる。主要なCTAが埋もれていると、関心のあるユーザーでさえたどり着けない可能性がある。重要なアクションを上のほうに移動させることで、受け身のトラフィックを実際の行動に変えられる。
デッドクリックとレイジクリック
デッドクリックとレイジクリック(Microsoft Clarityでは「イライラしたクリック」)は、実際の利用上の障壁となるものを明らかにしてくれるため、ユーザーから得られるフィードバックのなかでも特に率直なものだ。
デッドクリックは、ユーザーがクリックできない要素を操作しようとしたときに発生する。これは期待が外れたことを示し、誤解を招くデザインに起因する。
レイジクリック(イライラしたクリック)は、特定の箇所をすばやくタップまたはクリックする行為だ。多くの場合、何かが壊れているか、ユーザーが期待する通りに動作していないことを意味する。
Microsoft Clarityでは、次のようにして状況を確認できる:
ダッシュボードの「インサイト」セクションにイライラしたクリック(レイジクリック)とデッドクリックが表示されているので、その右側の録画ボタンをクリックする。
選んだクリックタイプが発生しているレコーディングの一覧が表示されるので、どれかレコーディングを選ぶ。
選んだセッションのユーザー行動の録画が再生されるので、なぜユーザーがデッドクリックやレイジクリックをしたのか、確認する。
修正は通常、単純明快だ。要素をクリック可能にするか、レイアウトを調整するか、リンク切れを直すか、具体的なバグを特定すればいい。
セッションレコーディング
ヒートマップにはパターンが示される。セッションレコーディングにはコンテキストが示される。ユーザーの行動を説明してくれるため、単なるオプションではなく必須のSXOツールとなる。
ユーザーの操作に引っ掛かりの兆候がないかどうか注意しよう。たとえば、操作のためらいや、カーソルの不規則な動き、再三のスクロール、ナビゲーションによる移動などだ。その多くは、「ユーザーが何かを探しているのに見つけられないでいる」ことを意味する。
重要なのは、観察した結果を検証可能な仮説に変えることだ。「ページが雑然としているように思える」ではなく、たとえば次のように具体的に考えよう:
- 「スクロールしなくても見える位置にCTAを移動すれば、クリックが増えると思う」
「アコーディオン(ナビゲーションメニュー)を削除すれば、エンゲージメントが向上すると思う」
そうすれば、SXOを測定できるようになる。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、SXOの検証ワークフローとSXOの実例などを紹介する。
(後編は3/30公開予定)
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