この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。前編に続いて、後編では検索体験最適化(SXO)の検証ワークフローとSXOの実例などを見ていこう。
SXOの検証ワークフロー
何を確認すべきかがわかったら、次のSXOワークフローに従い、作業にユーザー行動データを取り入れるための再現可能なプロセスを確立できる:
ステップ1: 行動を観察する
まず、ユーザー行動データを収集し、操作上の課題を特定しよう。自分の好きなツール(Microsoft Clarity、Hotjar、Crazy Eggなど)を使い、ツールから得られるデータポイントと前述の指標を通じてユーザーが伝える情報に焦点を当てよう。
ヒートマップを確認し、セッションレコーディングを見て、ページを変更する前後でページの滞在時間を比較するなどしよう。ツールが提供する指標をフル活用すれば、ユーザーがそのページをどう利用しているかの全体像を把握できる。
ステップ2: パターンを特定し、仮説を立てる
「ユーザーはなぜ、ここで離脱するのか?」「なぜ、ここをクリックしないのか?」といった疑問を持とう。スクロール深度、クリック行動、レコーディングのデータを使い、複数のセッションで繰り返されているパターンを特定しよう。
専門的なアドバイス:これを手作業でやる必要はない。Microsoft Clarityを利用している場合は、MCPサーバーを使ってデータを簡単に抽出できる。
次に、その課題と解決策を結びつけるシンプルな仮説を立てよう:
- 「CTAを上の方に移動すればクリックが増えると思う」
- 「レイアウトを簡素化すれば混乱が減ると思う」
ステップ3: テストして測定する
変更するのは一度に1つにしよう。ボタンを移動するか、見出しを書き直すか、表示を遅らせている要素を削除するなど、簡単な変更にとどめてほしい。
測定では、ツールを組み合わせるといい:
- ユーザー行動データには、Microsoft Clarity
- CTAクリックやフォーム送信などのアクション測定には、Googleアナリティクス4のイベント
- 体験の改善がオーガニック検索のパフォーマンスにも寄与したかを確認するには、Google Search Consoleのクリック数
SXO検証の実例
SXOは、小さな変更が目に見える成果につながったときに真価を発揮する。以下では、実際の検証と、それが私の顧客にとって重要な指標に与えた影響の実例をいくつか紹介する:
大きなヒーロー画像を削除する
大きなヒーロー画像は見栄えがいいが、スクロールせずに見える領域の貴重なスペースを占有し、ユーザーが求めていたコンテンツの表示を遅らせることもある。
大きなヒーロー画像を削除し、明確な見出しとCTAに置き換えたところ、エンゲージメントが大幅に上昇したケースがあった。次のような成果が出たのだ:
- 1セッションあたりのページ数: 81.39%増加
- ページ滞在時間: 158.33%増加
- スクロール深度: 18.62%増加
電話番号をクリック可能にする
デッドクリックは、見過ごしがちだが簡単にコンバージョンを獲得できる機会にもなる。
私が目にしたある問い合わせページでは、ユーザーが電話番号をクリックしたら何らかのアクションがあると期待してクリックしたが、機能しなかった。電話番号をクリック可能にしたところ、電話番号のクリック数が137.5%増加した。
アコーディオンを削除する
アコーディオン(ナビゲーションメニュー)は有用だが、特にモバイルでは操作の妨げになることもある。
私が以前紹介したアコーディオンのテストでは、アコーディオンを削除したところ、クイックバック(ページ滞在時間にカウントされないうちにユーザーが前のページに戻る行為)が15.79%から13.22%に減少し、スクロール深度が14.7%増加し、「見積もり依頼」のクリックが66.7%増加した。目的にはなかったが、検索順位も上昇した。
トップページにCTAを配置する
時にトップページの問題は、コンテンツの質にあるとは限らない。ユーザーが次にどこへ行けばいいかわからないことにある。
私は、ある音楽学校のページで、「Our Programs(当社の教育プログラム)」というCTAをスクロールせずに見える位置に追加することで、ユーザーに進むべき経路を明確に示すことにした。このボタンのクリック数を集計するだけでなく、プログラムページから別のプログラムページに移動するクリックの数も測定した。あるプログラムのCTAはクリック数が134.37%増加し、より多くのユーザーをファネルの先へ誘導するのに寄与した。
顧客やステークホルダーの賛同を得る方法
SXOは、データと併せて提示し、デザインの改善ではなく検証と捉えれば説得しやすくなる。意見に基づいて「信頼してほしい」と言うわけではない。行動データを示し、課題点を明らかにし、測定可能な修正を提案するのだ。
ここで、ビフォーアフターの指標が根拠になる。たとえば次のようなデータの、施策前後での変化を見るのだ:
- スクロール深度の向上
- デッドクリックの減少
- クイックバックの減少
- CTAのクリック増加
- 電話による問い合わせの増加
- フォーム送信の増加
こうした成果はビジネス目標とひも付いており、「こうすれば、もっと見栄えが良くなると思う」と言うより正当化しやすい。
単にヒーロー画像を削除するよう求めるだけでなく、「訪問者が見出しより下にスクロールしないことに気づいたので、画像のサイズを小さくしてテストしたい」旨をステークホルダーに説明しよう。
ユーザーにとって使いやすくすれば、顧客や経営陣の利益になる。ユーザーが満足すればコンバージョンが増え、コンバージョンが増えれば投資利益率(ROI)が向上する。
クリックされた後のアクションに合わせて最適化する
クリックの信頼性は低下している。これこそ、私たちが直面する現実だ。SXOは、成果を犠牲にすることなく適応できる手段になる。
SERPの進化にともない、SEOで重要なのはもはやビジビリティだけでなく、ユーザビリティも重要となっている。それらを意識することで次のメリットがある:
クリックされた後のユーザー体験を向上させることで、スクロール、クリック、コンバージョンなどのユーザーエンゲージメントを高められる
ユーザーが探している情報を見つけやすくし、次のステップに誘導すれば、SERPで不利な立場に置かれたとしても、現在のパフォーマンスを維持する助けになる
SERPはコントロールできなくても、体験はコントロールできることを忘れないでほしい。それこそが、すべてのクリックを成果につなげる手段となる。
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