【レポート】Web担当者Forumミーティング 2026 春

そのGEO/LLMO間違ってるかも!? AI検索時代でも変わらない「王道SEO」に取り組むべき理由

海外SEO情報ブログの鈴木謙一氏がGoogleの最新仕様やAI Overviewsの処理プロセスを紐解きながら、AI時代においても変わらないSEOの本質と、取り組むべき施策を解説。

シキノハナ[執筆], ササキミホ[編集]

7:00

生成AIの普及により、検索体験は大きく変わりつつある。GEO、LLMO、AEO……AI検索に対する施策が次々と登場している。

Web担当者Forum ミーティング 2026 春」のセッションに、海外SEO情報ブログの鈴木謙一氏が登壇。Googleの最新仕様やAI Overviews(AIによる概要)の処理プロセスを紐解きながら、AI時代においても変わらないSEOの本質と、取り組むべき施策を解説した。

海外SEO情報ブログ 運営者 鈴木 謙一 氏

AI検索時代でも揺るがない「王道のSEO」の重要性

生成AIの普及により、検索体験は急速に変化している。その変化の大きさから、Web担当者の間では「AI検索にどう対応すべきか」という不安や戸惑いも広がっている。しかし、鈴木氏はこう断言する。

これまでみなさんが取り組んできた王道のSEOをまずはしっかりやってください(鈴木氏)

実際、Googleのダニー・サリバン氏もイベントで「Good SEO is Good “GEO”(良いSEOは良いGEOだ)」と述べており、鈴木氏もそれを確信していると言う。

Googleのダニー・サリバン氏もイベントで「Good SEO is Good “GEO”(良いSEOは良いGEOだ)」と語っている

AI OverviewsとAI Modeの4つの処理プロセス

なぜ良いSEOが良いGEOと言えるのか、鈴木氏はGoogleのAI検索の処理プロセスを示しながら技術面から説明する。鈴木氏は、公開情報をもとにAI検索の処理を概念的に4つの段階に整理した。これらはすべてGeminiと検索インフラを土台にして成り立っている。

AI OverviewsとAI Modeの処理プロセス

<STEP1> クエリ解釈
ユーザーが入力したクエリを、検索用にカスタマイズされたGeminiが「どんな意図があるのか」「どんな情報を与えたらよいのか」などを解釈する。また解釈されたクエリをもとにGeminiが複数のサブクエリを生成する(サブクエリについては後段で解説)。

<STEP2> 検索実行
解釈したクエリおよび生成したサブクエリのそれぞれを検索にかける。ここでは、クロール、インデックス、ランキング/サービングといった従来のものとまったく同じ検索インフラで検索処理が実行されている。

<STEP3> 回答の合成
検索で得られた情報は、AIによって文章にまとめられる。ここで重要なのは、AIがゼロから文章を作るのではなく、検索結果から抽出した情報を組み合わせているという点だ。鈴木氏はこれを「合成」と表現した。

<STEP4> グラウンディング、品質チェック、セーフチェック、リンク挿入
グラウンディングとは、LLM(GeminiやChatGPTなど)が作った回答が本当に正しいのか、文脈に合っているか、最新情報かを、外部データと照合して確認する仕組みのこと。表示前に品質をチェックしたうえで、回答が生成される。

グラウンディングの仕組み。LLMの出力を、外部の事実・データ・文脈に結びつける

なぜ「SEOができていないとAI検索に出ない」のか

AI検索のグラウンディングは、主にRAG(Retrieval-Augmented Generation)が使用されているので、「AI検索におけるグラウンディングといえばRAG」と理解しておけばよい。RAGが利用する外部データは以下のスライドに書かれているような、SEOにおいて重要なコンポーネントだ。つまり、AI検索に対応するために特殊なことをする必要はない。普段からSEOをしっかりやっていればよいということだ。

RAGが利用する外部データには、SEOに取り組んでいたら見覚えのある言葉が並ぶ

一般的なLLMは自分の学習データからまず回答するが、AI OverviewsやAI Modeは、学習データに基づくモデルの能力だけに依存せず、検索インデックスや各種データソースを参照しながら回答を生成する。最初の段階からWebインデックスを参照し、回答合成後もRAGによって検索データと照合するのだ。

つまり、「クロールされていない」「インデックスされていない」「ランキングが低い」「情報が薄い」といったサイトは、AI 検索の引用候補になりにくい。さらに、回答の最終チェックであるグラウンディング(RAG)でも検索インデックスが参照されるため、基本的なSEO施策がAI検索対応にも繋がる

データが裏付けるSEOとAI引用の強い相関関係

さらに、複数のデータがSEOとAI引用の相関関係を裏付けている。ahrefsの調査によると、AI Overviewsに引用されたページの76.1%が、オーガニック検索の10位以内だったという。ただし、100%ではない。「上位10位以内でなくても引用される場合があると頭の片隅に入れておいて」と鈴木氏。この点について、後段で解説する。

次に鈴木氏は米国の著名なSEOコンサルタントであるサイラス・シェパード氏が示した「どういった要素がAI引用に関わっているか」という調査結果を紹介した。AI引用との相関関係1位は「AIクローラーがコンテンツにアクセスできるかどうか」だ。当然といえば当然で、AIクローラーがサイトにアクセスできなければ、AIの回答には表示されない。ちなみに、AI OverviewsやAI Modeは、検索の基盤になっているのがGooglebotなので、それをrobots.txtでブロックしたら表示されなくなる。

2位は、「検索ランキング」。さきほどのデータとも一致する結果になっている。3位は「ファンアウト ランキング」。クエリファンアウトで生成されたクエリに対する検索結果の上位表示と、高い相関関係が示された。これについても、後から解説する。

AI検索との相関関係TOP3

続いて、GoogleのランキングシステムのアップデートによってWeb検索の表示順位が下がったサイトについて、AI Modeの引用も同様に下がったという調査結果を示した。なお、ChatGPTでの引用も減ったことから、公表はされていないがGoogle検索とChatGPTとの相関についても推測ができそうだ。

検索トラフィック減少とAI引用減少の関係。検索順位が下がるとAI引用も減少

また、手動ペナルティでインデックス削除されたサイトは、AI OverviewsとAI Modeの引用も同じように消えたという調査結果もあるという。やはりWeb検索とAI OverviewsとAI Modeの引用は密接に関わっていると言えそうだ。

Googleはウェブ検索のスパムポリシーに「Google検索の生成AIの回答を操作しようとする行為」を追加しており、不自然な誘導施策はペナルティの対象となる。自社サイトのコンテンツを引用させるために、AIの回答を恣意的に操作することはスパムになる場合もあるので要注意だ。

Googleが推奨する「非コモディティコンテンツ」とは、そのサイトでしか得られない、貴重なコンテンツ

Googleは、AI検索向けベストプラクティスを公開した。鈴木氏はこのドキュメントはWeb担当者ならば必ず読んでほしいと強調した。Googleはこの中で特に、非コモディティコンテンツ(そのサイトでしか得られない、貴重なコンテンツ)を強く推奨している。

具体的にはどのようなコンテンツなのか。Googleのダニー・サリバン氏が示した具体例を日本語に訳して、コモディティと非コモディティコンテンツの違いを解説した。

コモディティと非コモディティコンテンツの具体例

スポーツシューズショップサイトを例にコモディティコンテンツ(ありふれたコンテンツ)として挙げたのは、次のタイトルだ。こういったコンテンツは、いろいろなサイトでよく見られるありふれた情報だ。

  • ランニングシューズを選ぶ際に考慮すべき10箇条

一方、非コモディティコンテンツの例として示したのは、次のタイトルだ。

  • 400マイル走行後にこのお客様のシューズが潰れてしまった理由:摩耗パターンの分析

400マイル(約640km)走行後のシューズの摩耗状態を写真や動画を用いて具体的に分析。歩き方の癖によって、なぜソールのフォームが横方向に潰れてしまったかを解説する。自分で体験、検証し、調べないと書けないコンテンツだ。こうした情報は、AI検索でも、ユーザーからも求められている。

具体例を総合すると、非コモディティコンテンツには次の4つの共通点がある。これらは、AIが模倣しにくい、人間の経験と洞察に基づく情報である。

  1. 一次情報に基づく(独自の体験・検証・データ・調査)
  2. 「なぜ(Why)」を深く掘り下げている
  3. ストーリー性と具体的なケーススタディがある
  4. 発信者の高い専門性と信頼性

では、なぜ非コモディティはAI検索で評価されるのか。鈴木氏は非コモディティコンテンツの利点を2つ示した。1つ目はAIが十分に回答できない情報を含んでいること。AIは学習データだけでは回答できない情報を求めている。だから、そのサイトでしか得られない情報は価値を持つ。

2つ目はクエリファンアウトに対する情報を含んでいることが多い点だ。クエリファンアウトとはどういうことか、続いて鈴木氏は説明していった。

非コモディティコンテンツの2つの利点

クエリファンアウトが示す非コモディティコンテンツの重要性

クエリファンアウトとは、AI検索の<STEP1>クエリ解釈から<STEP2>検索実行にかけて働く技術で、ユーザーが入力したメインクエリを、AIが分析・解釈し、関連するサブクエリを生成することだ。具体例で処理の流れをみていこう。

クエリファンアウトは<STEP1>クエリ解釈から<STEP2>検索実行にかけて働く技術

まずGeminiが、ユーザーのクエリの表面的な意味だけでなく、その裏側にある意図や、ユーザーが言語化していないニーズまで推測する。たとえば、「初めての富士山登山で準備すべきこと」と検索したとする。ユーザーは1つのクエリしか入力していないが、Geminiは次のスライドのようなサブクエリを自動的に生成する。

「初めての富士山登山で準備すべきこと」で検索した際のサブクエリのイメージ

ユーザーの入力したクエリだけでなく、自動生成されたサブクエリでも検索が実行され、部分的にコンテンツが取得され、各コンテンツを合成し、グラウンディングして、結果が表示される。

非コモディティコンテンツはサブクエリに合致しやすくAI検索で引用されやすい

クエリファンアウトによって生成されるサブクエリは、ユーザーが直接入力しない細かいニーズを含む。そのため、一次情報がなく、ありふれた情報しかないサイトや、深掘りされていないサイトは、サブクエリの検索結果に引っかからず、AI検索で引用されにくい。逆に、体験や検証、データ、写真・動画、ケーススタディといった非コモディティコンテンツを持つサイトは、サブクエリに合致しやすく、AI検索で引用される可能性が高まるのだ。

誤解を避けるために鈴木氏は、「非コモディティ=ニッチコンテンツの量産ではない」と強調した。重要なのは、「なるほど・役に立った」とユーザーに評価されることだ。ユーザー目線を常に意識しよう。サブクエリを狙って、人間のレビューなしにAI生成コンテンツを大量に投下する行為は、スパム扱いになる可能性もあるのでやめよう。

AI検索で増えるマルチモーダル需要。動画・画像コンテンツに積極的に取り組もう

続いて、Googleがベストプラクティスとして示す考え方を紹介しながら、AI検索における「マルチモーダル」の重要性について解説した。マルチモーダルとは、具体的には動画と画像のことだ。Googleは、AI検索でテキストだけでなく、関連する画像・動画を取り込むことができるとしている。

検索は、単に文字コンテンツ、テキストコンテンツではなく、マルチメディア化が進んでいるということを示しています。画像や動画が見つかることを、多くのユーザーが望んでいます。みなさんのサイトでも、関連性の高い高品質な画像や動画で補強する方法を検討してください(鈴木氏)

Google が 2026 年 5 月に公表した米国の AI Mode の利用データでは「検索の6回に1回以上は、音声や画像が使われている」「画像検索の前月比は40%以上の勢いで増加している」と鈴木氏は言う。

さらに、AI ModeとAI Overviewsの引用元として最も多いのはYouTubeだという調査結果を紹介した。AI ModeやAI Overviewsでの検索時に、引用元にYouTubeが表示されているシーンを目にすることも多いのではないだろうか。だからこそ、動画コンテンツや画像コンテンツに積極的に取り組んでほしいと力説する。鈴木氏が所属するFaber CompanyでもYouTubeに力を入れており、注目のSEO/LLMOの最新ニュースを解説する動画を毎週公開しているという。

AI Mode・AI Overviewsの引用ドメインTOP3

AI時代のSEOはブランド力がカギになる

鈴木氏は、最近、AIの回答で製品名やサービス名などで「ブランド名」が提案され、それをGoogle検索で検索し、サイトを訪問し購入や申し込みにつながるケースが増えたと感じているという。GoogleもSearch Consoleに「ブランドクエリ」フィルタを追加したのもその流れで、ブランド検索・指名検索がどのくらいあるのか、意識してほしいからではないかと個人的な見方を示した。

Faber CompanyのミエルカGEOは、AI Mode


の回答の中で自分のブランドがどのくらい引用されているか、言及されているかが調べられるツールだ。このようなツールを使って、SOV(言及シェア)を測ったり、KPIに設定したりするのもよいだろう。

ミエルカGEOのサイトレポート画面

ただし、「不自然な言及」「偽装されたもの」「自作自演の推薦記事」はスパム扱いとなる可能性もある。従来のリンク構築と同じ考え方で、第三者による自然なポジティブ言及を増やすことが重要だと指摘する。

GA4でAIトラフィックがフィルタできるように。AIトラフィックは必ずモニタリングを

LLM経由のアクセス数は計測できる。鈴木氏は、自社サイトのAIトラフィックを正確に把握することが重要だと強調した。

最近、Googleアナリティクス4(GA4)に「AIアシスタント」という新しいチャネルグループが追加された。これにより、ChatGPT、Claude、Gemini、DeepSeekなど主要なLLMからの流入が自動で分類できるようになった。現在、LLMからの流入は多くて1%程度だという。鈴木氏は次の点を指摘する。

1〜2%のためにコストを使う必要があるかは考えてほしい。100万〜200万PV規模のサイトであれば1〜2%でも大きいが、それがビジネスの売上に貢献しているか、GEO、LLMOに取り組む価値があるのか。それなら、SEOに取り組んだほうがよいという判断もできるので、AIトラフィックは把握するようにしてください(鈴木氏)

LLMO、GEOの基盤にあるのはSEO。持続可能なSEOを支える「3本柱」とは

最後に鈴木氏は、LLMOもGEOも、その基盤にあるのはSEOであると改めて強調した。そして、持続可能なSEOとして次の3本柱に取り組んでほしいと伝えた。

  1. 優れたユーザー体験:ユーザーが満足し、タスクを完了でき、「また来たい」「誰かに紹介したい」と思える最高の体験を提供すること。

  2. 検索エンジンフレンドリーなサイト:クロールされやすく、インデックスされやすいサイトにすること。今後は、AIエージェントや、ECサイト向けの新しいプロトコル(例:UCP)の導入が必要になる可能性もある。

  3. 強力なブランド:ブランド力があれば、検索アルゴリズムの変化や新しいプラットフォームの登場に左右されず、ユーザーが直接サイトに訪れてくれる。この状態を作ることが重要だ。

この3本柱ができていれば、LLMO、GEO、SEO、SNSマーケなど、さまざまなマーケティングに対応できるとまとめ、セッションを締めくくった。AI検索は急速に進化しているが、鈴木氏が繰り返し伝えたのは、対応の土台になるのはこれまでと同じSEOの基本であるということだ。変化の大きい時代だからこそ、基本を丁寧に積み重ねることが最も確かな道筋になる。これまで積み上げてきた取り組みを続けていけばよいというメッセージに、安心した受講者も多かったようだ。

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