【レポート】Web担当者Forumミーティング 2026 春

AIでGA4分析はどう変わるのか? “次の打ち手”を迷わず生み出すコツとは?

月曜日のトラの西氏が、GA4(Google Analytics 4)×AIによって、“次の打ち手”を迷わず生み出すためのデータ分析のコツを解説する。

シキノハナ[執筆], 渡辺 淳子[編集]

7:05

AI時代に、GA4(Google Analytics 4)分析はどう変わるのだろうか? また、次の打ち手を導くために、AIをどのように使えばよいのだろうか?

Web担当者Forum ミーティング 2026 春」に、月曜日のトラの代表 西正広氏が登壇し、チャット型AIツールを使ったGA4分析から、MCPやClaude Codeによる自動化まで、AI時代に求められる考え方や実践的な方法を紹介した。

株式会社月曜日のトラ 代表取締役 西 正広氏

AIはアクセス解析の“何”を代替するのか

冒頭に西氏は、本講演では、GA4や各種AIツールの設定方法ではなく、次の2点について主に解説すると語った。

  • GA4×AIで得られること
  • GA4×AIによる施策の生み出し方

そして、最初に語られたのが、分析プロセスのどこをAIが代替するのかということだ。2026年5月時点では、次図のように多くの工程が代替可能だと考えられるが、AIで代替できないこととして注目したいのが「意思決定」だ。

2026年5月現在の、分析の工程とAI代替性

現在は、AIが分析してくれる時代であり、分析そのものはコモディティ化しつつある。だからこそ、分析から「何をやるか」を導き出し、「やることを決める」ことが重要になる

単なるレポート提出ではなく、“意思決定につながったか”という分析の「先」が問われるようになってきています(西氏)

こうした分析工程におけるAIの代替性を踏まえた上で、西氏はAIの活用方向性として、次の4つを挙げた。

  1. コーチ:GA4の使い方や数字の解釈をAIに相談する
  2. 分析自動化:レポートの自動作成をAIに任せる
  3. 分析高度化:GA4以外のデータも統合し、より深い分析へつなげる
  4. 実行(施策化):分析結果から施策を導き、実行までつなげる

【GA4×AI活用1】コーチ

AIは、GA4の使い方や数字の意味を尋ねる「コーチ」として活用できる。なぜなら、AIツールはGA4やGTM(Google Tag Manager)のことを熟知しているからだ。たとえば、「GA4のセッションとユーザーと表示回数の違いを教えて」とプロンプトを入力すると、数秒で次図のような回答が表示される。

AIはGA4を熟知している証拠1

さらに、「小学生にもわかるように説明して」と依頼すれば、ユーザーは「その日に遊園地に来た“きみ”や“友だち”。人を数えているよ」と例え話を使ってわかりやすく説明してくれる。

どのAIツールがGA4に強いのか?

では、どのAIツールがGA4に強いのか――西氏は、「ChatGPT」「Claude」「Gemini」「Copilot」といった主要AIを試してみた結果、「大きな差はない。Google由来のGeminiが特別GA4に強いということもなかった」と話す。ただし注意点として、「AIは最新情報を必ずしも参照しているとは限らない。質問の際は、“最新情報で回答して”と指示するとよい」と補足した。

また、Chromeの「Geminiに相談」やEdgeの「Copilotチャット」のようなブラウザに搭載されたAIアシスタントも非常に役立つという。たとえば、次図のようにGA4の設計まで、すぐにやってくれる。

Chrome「Geminiに相談」の活用例

活用例:GA4の集計結果をExcelや画像でAIに渡す

西氏は、さらに踏み込んだ使い方を紹介した。たとえば、次図のように集計結果をそのままAIに画像で渡すと、すぐに数字を整理してくれる(画像ではなく、ExcelファイルでもOK)。

GA4分析時の活用 集計結果をそのままAIに画像で渡した結果1

さらに、次図のように、次のアクションを決めるための優先順位まで示してくれる。

GA4分析時の活用 集計結果をそのままAIに画像で渡した結果2

AIは数値の解釈だけでなく、そこにまつわる施策案をたくさん出してくれます。AIが施策案を出すかどうかではなく、そこから“どれを選ぶか”を絞り込むことが重要です(西氏)

活用例:AIに分析設計を依頼する

分析の品質を左右する「分析設計」もAIに任せることができる。例として、「Web担当者Forumミーティング2026 春」を紹介するページをアクセス分析し、次回のイベントの集客を最大化するための分析設計をAIに依頼したものが次図だ。

AIによる分析設計例

分析のレベルを上げるために、このようなAIによる分析設計という工程を挟むのも、重要なポイントです(西氏)

活用例:プロンプトをAIに書いてもらう

西氏は、プロンプトは暗記する必要はないという。覚えるとすれば、「プロンプトを一緒に考えてほしい」というプロンプトだ。重要なのは、プロンプトを書く力ではなく、何を出したいのかという「目的を明確にすること」だ。

ただし、 毎月同じ形式のレポートを出したい場合など、 出力を安定させたいときにはプロンプトをあらかじめ用意しておくことが有効だという。プロンプトに目的・前提・判断基準・出力形式を指定しておくことで、 安定した結果が得やすくなる。

【GA4×AI活用2】分析自動化

AIの登場以前にも、分析自動化の手段は存在していた。たとえばData Studio(旧Looker Studio/Googleデータポータル)やGA4 Reports Builder、GA4のデータ探索など、一度設定すれば欲しい数字をすぐに取得できる仕組みはすでに整っていた。しかし、「これらとAIを使った自動化には明確な違いがある」と西氏は指摘する。

従来のツールは、“あらかじめ決めた条件での数字を出す”ことに特化していました。一方でAIツールは、アドホック分析への対応や数字の解釈・コメント付与を自動的に行ってくれるところまで踏み込めます(西氏)

また、分析ステップで考えてみると、従来の自動化ツールは「集計」が中心だったが、AIベース分析であれば「集計」だけでなく、「データクレンジング」や「レポート作成」までカバーしてくれる。

分析ステップ中、AIベース分析がカバーする範囲

ライトな内容なら、GA4の検索窓を利用する

ライトな用途であれば、GA4の検索窓に質問するという方法もある。たとえば、先月のコンバージョン数や直近1週間の自然検索の動きを質問すれば、GA4は即座に数値を返してくれる。「レポートを作るまでもない、ちょっとした確認ならGA4の検索窓で十分だ」と西氏は語る。

ライトな内容ならGA4上部の検索窓に聞いても答えてくれる

分析を自動化させるための2つの方法

本格的に自動化を進めるためには、主に2つの方法がある。

  1. チャット型AI × MCP(Model Context Protocol)ベース:比較的導入しやすく、いつものチャットの延長で気軽に利用できる。また、自然言語で「この期間のデータを出して」と依頼できるのも利点だ。
  2. CLI(Command Line Interface)ベース:導入は難しめ(黒い画面でコードを書く世界)だが、複雑な分析や複数ファイルの出力が可能だ。

なお、本講演ではClaude CoworkなどのPC操作系のレポート出力については省いている。

「API」と「MCP」の違い

自動化の話では必ず出てくる「API」と「MCP」。その違いをざっくりとまとめたものが、次図になる。

APIとMCPの違い

つまり、MCPを導入すると、自然言語で依頼しても裏側で正しいAPI呼び出しに変換してくれる。

次図は、実際にClaude上にMCPサーバーを導入し、分析を行った結果だ。導入後は、Claudeに自然言語で依頼するだけで、GA4データの取得から分析までを行うことができる。

Claude×MCPによる分析結果例

ここまでできるようになると、「データポータル(旧Looker Studio)やGA4 Reports Builderはもういらないのでは?」と思う人もいるだろう。しかし西氏は明確に否定する。

定点観測にはデータポータルが非常に強いですし、深掘り分析にはGA4の探索が必要です。しかし、自然言語での対話型分析にはAIが便利ですから、使い分けるといいでしょう(西氏)

ただし、AIは便利だが、間違いが含まれていることもある。そのため、「このデータはどう導いたの?」と必ず確認することが重要だ。

また、AIツールによる分析に慣れてくると、自動化レポートが量産されるという問題が起きやすい。作るべきはレポートではなく、次への判断とアクションだ。そのため、以下の点を考えておく必要がある。

  • このレポートの利用目的
  • 数値がよくなった / 悪くなったときの対応や深掘りポイント

【GA4×AI活用3】分析高度化

前提として、「ここでの高度化とは、複数データソースによる多角的分析のこと」と西氏は語り、まずは、AIがもたらす質的な変化を4つの「すごみ」として提示した(次図参照)。

AIツールが分析にもたらす「すごみ」

特に、本講演では「複数視点」と「複数データソース」について紹介された。

複数視点の持たせ方

Claude Codeの「Agent Teams」は、1つのチームとして、複数の役割を果たすAIエージェントが同時に作業する機能だ。チームリーダー、データアナリスト、ストラテジスト、ライター、校閲、クライアントといった複数のAIエージェントを同時に参加させ、1つのレポートを共同で作らせることもできる。

たとえば、分析レポートをストラテジスト、校閲、クライアントといったAIエージェントにみせることで、分析の質が明らかに高まったという。

三人寄れば文殊の知恵といいますが、Agent Teamsは、これをAIで実現してくれます。利用すれば、分析のクォリティは人間以上に高められます(西氏)

西氏は、実際に美容系クライアントで試してみた。まずは分析レポートを作成し、それを美容医療医・弁護士というAIエージェントに見せることで、医療観点での切り口の発見や薬事法等に抵触しそうな箇所の確認作業の参考になり、レポートに深みがでたという。

複数データソースの分析

GA4の分析は自社サイトの分析のためのツールである。しかしマーケティングでは、市場や競合も分析する必要がある。

広告データ、SEOデータ、CRMデータなど、他のツールのデジタルマーケティングデータをAIに読み込ませれば、うまく統合してくれる。また、市場・競争環境のデータや競合の中期経営計画、レビューサイトの評価、統計データなども同様に組み合わせることで、GA4だけではみえない世界が一気に広がる。

やり方は次図のようにいくつかあるが、たとえばチャット型AIであれば、データをCSV形式のファイルでアップロードすればよい。Claude Codeを使っているならば、外部データ収集を含めて自動化できるため、「さらに分析を深めたいと考えている人はぜひチャレンジしてみてほしい」と西氏は促した。

外部データ統合分析の具体的な方法論

【GA4×AI活用4】実行

AI時代には施策を出すことはとても簡単だ。しかし、実行されない施策には価値がない。では、実行できる施策に落とすにはどうすればよいだろうか? 西氏は、「自社にあった施策を意図的にチョイスし、優先度をつけられるよう、判断軸としてのコンテキストのインプットが必要になる」と説明する。AIに施策を絞らせるには、自社のコンテキスト(文脈)を渡すことが必須となる。

コンテキストとは、事業戦略、ターゲット、過去の施策と結果、季節性、商談特性、ブランドアイデンティティ、倫理観など、“背景情報”のことだ。こうしたコンテキストを渡すと、AIは「うちのブランドではこれはやらない」 「過去に失敗した施策は除外」などと判断し、施策を絞り込んでくれる。

施策案をコンテキストによって絞り込むイメージ

では、コンテキストをどのように渡すのか――コンテキストとなりうる情報(マーケティングカレンダー、過去施策の記録、GA4の設計書、サイトマップ、パラメータ表など)をファイルの形でAIに渡せばよい。形式はMarkdown(.md)が理想だが、PowerPoint、Excel、Notionでも問題ない。大事なのは、コンテキストの情報をドキュメントとして残しておくことだ。

なお、GA4アクセス解析においては何を整備しておけばよいかについては、次図を参考にしてほしい。

GA4アクセス解析において整備しておくべきもの

AI時代はトライ&エラーを早く回すことが勝ち筋

西氏は、AI時代最大の変化は「試行回数」が増やせることだという。だからこそ、「正解を考え抜く」より、「早く試して学ぶ」ことが勝ち筋になる。そしてさらに、次のように語り、本講演を締めくくった。

分析はお金を生みません。施策を実行してはじめてお金を生みます。AIを使えば施策はいくらでもでてきますが、だからこそコンテキストを与えて施策を絞り、トライ&エラーを早く回すことが勝ち筋となります。AI時代だからこそ、分析だけでなく、実行にフォーカスすべきです(西氏)

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