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デジタルPRでE-E-A-Tシグナルを改善してビジネス成果につなげる3つの戦術と事例

デジタルPRでE-E-A-Tシグナルを改善する方法を解説。さらに、商業的利益につながった成功事例を紹介する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事ではGoogleの検索順位に重要なE-E-A-Tの改善に役立つ「デジタルPR戦術」を紹介。さらに、YMYLなど一般に信頼されていない分野のブランドにおける戦術の成功事例も紹介する。

SERPに表示される情報の質が低いと、Googleは大きな問題を抱える。ユーザーが検索をやめてしまい、Googleは広告収入という急所に打撃を受けるからだ。

そのため、Googleが検索結果の表示順位に関して、権威性のある信頼できるサイトを優先しようとするのは理にかなっている。

2022年末には、検索結果ページでウェブサイトをランク付けする際に使用するアルゴリズムについて、3つの重要な分野をアップデートした。それは、次の3つだ:

E-A-Tは現在、E-E-A-T(またはDouble-E-A-T: 経験、専門性、権威性、信頼性)として知られている。

今や不信感がデフォルトの感情

消費者の10人に6人近くは、基本的な姿勢として次のように答えている:

信頼できる「証拠」を確認するまでは何も信頼できない。

もし健康、金融、銀行、融資、eコマース、雇用、法律など、一般にあまり信頼されていない業種のブランドで働いている場合、残念ながらGoogleから無条件で信頼されることはないだろう。

そこで、E-E-A-Tシグナルを改善できるデジタルPR戦術を紹介しつつ、SERPでビジビリティを高めるために信頼と信用を築くことが最優先である理由を説明する。さらに、一般に信頼されていない分野のブランドにおいて、これらの戦術がビジネス成果につながったことを示す成功事例も紹介する。

E-E-A-Tとは?

E-E-A-Tとは、次の4つの頭文字をとったものだ:

  • Experience(経験)
  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)

検索結果の上位に表示される可能性を最大限に高めて、オーディエンスに最高の体験をもたらしたいのであれば、ブランドはこの4つの資質を備えておく必要がある。4つの資質とその重要性について、それぞれ詳しく説明する。

経験(Experience)

「経験」は、E-E-A-Tに加えられた最も新しい要素で、ブランドが知名度を高めたいトピックやテーマにおける実経験があると示す必要があることを強調している。

デジタルPRは、あらゆる分野のブランドにとって最も効果的に経験を証明できる方法の1つだ。デジタルPRなら関連するトピックを扱う外部サイトで取り上げてもらい、自分の直接的な経験を紹介してもらえる。その分野での信頼性を示す方法には、次のようなものがある:

  • ソートリーダーシップの記事を利用する
  • 関連するニュース記事についての知見を記者に提供する
  • ブランドがもつデータを共有する
※Web担編注 ソートリーダーシップについては後述の解説を参照

専門性(Expertise)

「専門性」は、ブランドがGoogleに示すべき最も重要な属性の1つであり、デジタルPRはそのための最適な手段だ。

企業の最高経営責任者(CEO)が大手業界誌のインタビューを受けたり、記事を書いたりすれば、専門性を通して信頼性の確立に役立つ。

ただし、ブランドが真の専門家である業界分野に限るよう注意しなければならない。本当は専門ではない分野にでしゃばってしまうと、信頼性が薄れ、せっかくの努力も無駄になってしまうおそれがある。

権威性(Authoritativeness)

被リンクとブランドへのメンション(言及)は、SEO戦略を強化してブランドの権威性を高める非常に効果的な方法だ。

関連性があり、信頼性が高く、評判の良いメディアの名前でリンクやブランドへのメンションを獲得すれば、「検索結果に含めるべき最も権威あるブランド」だということをGoogleに示せる。

デジタルPRを利用して話題性のある権威を築くには関連性が鍵を握るため、獲得する被リンクの量よりも質を重視することが重要だ。

ここでは、Moz Blogを例にしてみよう。Moz Blogは知ってのとおり非常に権威性の高いウェブサイトで、ドメインオーソリティのスコアは91だ。私が所属するデジタルPRエージェンシーJBHにとって、Mozに寄稿することは、JBHが権威性の高い信頼できるドメイン名から認められているとGoogleに把握してもらうことになり、ひいてはオーガニック検索エンジンでのビジビリティが高まるため、私たちも恩恵が得られる。

ただし、私がJBHを代表してMoz Blogのために作成するコンテンツは、デジタルPRという私たちの集団的専門性を反映している必要がある。たとえば、Moz Blogで私がPPC(Pay Per Click)に関する記事を書いても、何の意味もない(私たちのトピックにおける権威性には役に立たない)。

信頼性(Trustworthiness)

Googleは現在「信頼性」をアルゴリズムの中心に据えており、経験、専門性、権威性のすべてが信頼性につながっている。

先の権威性でも述べたように、「関連性の高い信頼できる確立されたサイト」からデジタルPRによって被リンクを獲得できれば、ブランドが信頼性を得るのに役立つ。アーンドメディアは専門性と経験に基づいて維持されているため、ペイドメディアよりはるかに価値が高いことがわかっているのだ。

記者は、自らが記事を書くメディアの鍵を握っている。記者がブランドについて言及したり、専門家の話を引用したりするのは、それが書いている内容に価値と信頼性を与え、読者に付加価値をもたらす場合に限られる。

ブランドがE-E-A-Tの各基準を証明するうえで、デジタルPRはどう役立つか? 3つの戦術とビジネス成果の事例

E-E-A-Tの内容や、重要な各要素を提供するのにデジタルPRが最適な手段である理由について確認したところで、デジタルPRのさまざまな戦術と、各戦術をどう見直せば各要素を証明できるか見ていこう。

ここでは次3つの戦術を紹介する:

  • ソートリーダーシップを利用して、経験と専門性を示す
  • 関連するメディアから定期的に被リンクを獲得して、権威性を示す
  • データ主導のデジタルPRキャンペーンで信頼性を示す

それぞれの戦術について、内容と具体的な成功事例をみていこう。

戦術1 ソートリーダーシップを利用して、経験と専門性を示す

あるサイトが信頼できるかどうかを判断する際、Googleはウェブをクロールして、経験や専門性を示すシグナルを探す。これには、インタビューや業界誌の記事、関連するニッチな分野のニュースイベントに関する解説など、さまざまな形がある。

しかし、これらのコンテンツは偶然に生まれるものではない。その背後にいる人物の経験と専門性を示すために、丁寧に作成するべきものだ

ビジネス誌strategy+businessの創刊者で編集者のジョエル・カーツマン氏は、次のように説明している

ソートリーダーとは、「紛れもなく独自のアイデア、独自の視点、新たな知見をもつ人物」として同業者・顧客・業界の専門家から、認められている人のことだ。

つまり、誰もがソートリーダーになれる(なるべき)わけではないということだ。ソートリーダーは、経験と専門性を示すために、関連性とエンゲージメントを提供する必要がある。

成功事例 ヘルスケア分野のブランドが、ソートリーダーシップのデジタルPR活動によってE-E-A-Tシグナルを改善

ソートリーダーシップを利用したデジタルPR活動によって経験と専門性を示した成功例を紹介する。

依存症からの回復を支援するヘルスケア分野のあるブランド(デラメア・クリニック)は、検索結果で上位を独占している著名なブランド各社に対抗し、さらに検索結果ページに表示されるほど信頼性を確保しているブランドであることをGoogleに証明するために、E-E-A-Tシグナルを改善する必要があると考えた。

このヘルスケアブランドは、社内に豊富な経験と専門性を備えていた。メンタルヘルスの看護師、依存症のセラピスト、心理学者は、このプロジェクトのために私たちが接触した専門家の一部にすぎない。さらに、創業者は依存症の回復過程を経験していたため、ソートリーダーシップの取り組みに最適な対象だった。

私たちはソートリーダーシップの原則を利用し、次の方法でデジタルの信頼を構築した:

  1. 社内でも特に優秀な人たちをソートリーダーシップチャンピオンとする。

  2. これらの人たちにインタビューして、最も夢中になっていることを聞く。

  3. その職務で最も興味深い部分を明らかにし、それを中心にPRのストーリーを考え、コンテンツ化してメディアに展開する。

デラメア・クリニックの専門性
アルコール依存症
トラウマ
燃え尽き症候群
コカイン依存症
処方薬依存症
ギャンブル依存症
メンタルヘルス
ゲーム依存症
不安
デラメア・クリニックの専門性

その結果、関連性のあるメディアの記者(健康関連の編集者など)は、解説記事の信頼性を高めるために、これらの専門家たちの話を喜んで引用したがることがわかった。

この戦術は、どのようにして経験や専門性の強化につながったのだろうか? それは、次のような仕組みによってだ:

  1. コンテンツが、大手メディアの関連セクション(健康セクションなど)に掲載される。

  2. そのコンテンツ内には、私たちが検索結果の上位に表示させたいキーワードが自然に含まれる(専門性が該当するトピックなので)。

  3. これらのコンテンツに対して張られたリンクは、最終的に私たちのサイトの関連するサービスページへのリンクにつながる(編集者が私たちのサイトにリンクしてくれているので)。

  4. リンクを通じて信頼性の向上につながる。

専門メディアは多くの場合、情報ソースにリンクしてくれる

戦術2 関連するメディアから定期的に被リンクを獲得して、権威性を示す

最も古く、最もよく知られているE-E-A-Tシグナルの1つは、権威性の高い第三者のメディアからの被リンクだ。そのリンク先が、検索エンジンの結果で上位に表示させたいページであればなお良い。

「被リンクが重要」というのはSEO担当者には新しい情報ではない。しかし、ブランドの権威を示すリンクは、あなたが最初に思い浮かべるものとは異なるかもしれない。

私は、これまでのキャリアでクライアントから何度も次のようなことを言われてきた:

  • 新しいドメイン名からのリンクが必要だ

  • 全国的な大手メディアからのリンクでなければならない

この種のリンクには、ある状況では非常に重要だ(たとえば、リンクギャップを埋めたり、あるいは生み出したりしようとする場合がある)。

しかし、ニッチな分野で権威を示すことが最終目標であれば、リンク元が新しかったり大手だったりする必要はない。Googleがどのように信頼できる有益なコンテンツを重視しているかを考えると、リンク元が関連性の高いページであれば、じゅうぶんに効果があることを指摘したい。

成功事例 ヘルスケアソフトウェア分野のブランドが、非常に関連性の高いメディアから獲得した通常のリンクでE-E-A-Tシグナルを改善

関連性の高いメディアからの被リンクで成功した事例を紹介しよう。2022年、私たちはB2Bのヘルスケアソフトウェアプロバイダーから、デジタルPRの支援を依頼された。

私たちは、被リンク獲得を進めた。特に価値があったと思われるのは、非常に関連性の高い3つのメディアから獲得した、ソフトウェア製品ページへのリンク6件だ。

その効果は絶大だった。このページへのトラフィックは前年比で219%増加し(つまり3倍になった)。

クライアントからは、このページからの見込み客獲得が増えたとの報告を受けた

話題のサイトで繰り返し取り上げてもらうことで、信頼できる専門家であることをオーディエンスやGoogleに証明することになる。オーディエンスは、より熱心に、より長い時間をかけてコンテンツを読むようになるだろうし、熱心なオーディエンスであればコンバージョンの可能性も高まるため、デジタルPRのビジネス価値が証明される。

権威性を示すのはエゴではない。情熱をもって仕事に取り組んでいる博識な専門家にプラットフォームを用意するとともに、自分の提供する情報が有益で信頼性が高く、権威性もあることをGoogleに証明するためだ。

戦術3 データ主導のデジタルPRキャンペーンで信頼性を示す

ブランド所有のデータや独自のデータは、信頼性の証明に役立つ。匿名化された顧客データであれ、他の方法であれ、独自の調査レポートは常に品質の証になる。

データ主導のPRキャンペーンでは、さらに一歩進んで、潜在顧客・記者・Googleとの信頼関係を築くことがポイントだ。単に意見を述べるだけでなく、なぜそう考えるのかを裏付ける証拠を提供する必要がある。

調査レポートなどのコンテンツは、関連性も質も高い被リンクを大規模に集めるのに最適なコンテンツであり、ひいてはその調査に注目が集まり、ブランドの認知度も高まるので、これらのリンクを通じて信頼性を向上できる。

成功事例 ブランド所有のデータで、節約サイトの信頼性が向上

節約サイトがデータ主導のPRキャンペーンで成功した事例を紹介しよう。ある世界的な節約クーポンブランドでは、ポップカルチャーのトレンド(レディー・ガガやアダム・ドライバー出演の映画『ハウス・オブ・グッチ』)を生かすために、ブランド所有のデータを使用した。

サイトが重視するページの1つにグッチのランディングページがあった。そのため、クライアントは、グッチのページに関するユーザー行動の変化をデータとしてもっていた。実際に、ヴィンテージグッチの割引コードを探す顧客のユーザートラフィックが急増していた。おそらく、待望の映画公開に伴う話題性もあってのことだろう。

ページにはこの統計と併せて、需要の高まりに関するクライアントからのコメントも盛り込んだ。

「映画『ハウス・オブ・グッチ』が、ヴィンテージグッチの大幅な売上増に貢献、検索件数も270%増と急上昇」という内容の記事

ブランド所有のデータは信頼を築くのに最適だが、それは次の場合に限る:

  • そのデータを使いたい記者がファクトチェックして検証できる

  • 提供される記事を裏付けるものであり、信頼性が高まる

  • 健全なやり方で情報の入手方法を示せる

デジタルPRはE-E-A-Tパズルの一部にすぎない

デジタルPRの役割、単に被リンクを増やすだけではない。デジタルPRの活動をE-E-A-Tの主要な要素に重点を置くよう変えることで、リンクの量だけでなく質も考慮するようになり、確かな方法で効果的な結果を生み出せる。

信頼構築のための技術に投資し、E-E-A-Tの原則に従うブランドは、そうしないブランドを凌ぐことになるだろう。Googleは、ブランドとそのウェブサイトに期待するものについて、かなりの透明性を確保している。

SEOやPRの専門家は、担当するブランドに合った技術を組み合わせて使う必要がある。すべてのブランドが信頼できる専門家を擁しているわけではないが、その代わり、信頼構築に使えるブランド所有の優れたデータをもっているかもしれない。

用語集
B2B / PPC / SEO / SERP / アーンドメディア / オーガニック検索 / キャリア / キャンペーン / クロール / コンバージョン / ドメインオーソリティ / ドメイン名 / ペイドメディア / リンク / 検索エンジン / 被リンク
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