Notionで仕事のストレスを軽減! AIでもっと便利に マーケター向け効率化テクニック
文書管理、タスク管理が簡単に共有できることが魅力のNotion(ノーション)。国内でもNotionを活用する企業が増えてきている。「Web担当者Forum ミーティング 2023 秋」では、Notion Labs Japan合同会社 ゼネラルマネージャー アジア太平洋地域担当 ⻄ 勝清氏が登壇。西氏は、忙しいマーケターにこそNotionを使ってほしいと呼びかけ、Notionの活用方法についてデモを交えながら紹介した。
なお、西氏は日本のNotion社員第一号である。普及のために実施した施策や経験についても語られた。
Notionとは人・情報・業務をつなぐ「コネクテッドワークスペース」
Notionとは、何か。西氏は「オールインワンのコネクテッドワークスペース」と定義する。
Notionは、文書・タスク・ファイルなど多くの種類の情報を一箇所にまとめることができます。さらに、これらの情報を社内で共有したり、社外の方をゲストとして招待して共有したり、あるいはインターネットに公開したりして、仕事に関係する必要な人に情報をつなげられます。そして、NotionはAPIを通してさまざまな他のツールと連携するため、Notionに他システムの情報を集約でき、Notionだけを見れば情報の要点をつかめます(西氏)
なお、Notionは「Making software toolmaking ubiquitous」(誰もが思い描いたソフトウェアを自由自在に組み立てることができれば、世界はより多くを実現できる)というミッションを掲げており、コーディングができない人でも必要なソフトウェアを自分で組み立てられることを目指している。
Notionは2016年に、共同創業者兼CEOのアイバン・ザオ氏と共同創業者兼CTOのサイモン・ラスト氏が京都に長期滞在中に着想を得て、最初の1行目のコードを書いたという。現在は、外部のレビューサイトでも高評価を得ており、SaaS系の調査会社から最も利用率が伸びているサービスと評価された。最近は大企業での利用も増えている。
マーケターの第2の脳としてアシスト
コロナ禍を経て、マーケターの働く環境が変わってきていると西氏は指摘する。チャットやビデオ会議などフローの情報が増えたことで「後から情報を探すのに苦労している」「会社の知識がたまらない」という課題を抱える企業も多い。また、ドキュメント、ガントチャートなど異なるツールを使うことで、情報が分散する傾向があり、情報がどこにいったかわかりにくくなっている。
西氏は「マーケターは特に忙しい職種」という。その理由として、情報収集、調査、戦略策定、コンテンツ制作など集中して取り組む仕事が多いこと、キャンペーンやイベントなど関係者が多いプロジェクトのマネジメントをする必要があること、そのためいろいろな部署から進捗について確認の問い合わせが多いことを挙げる。
マーケターが抱えるこれらの課題を「第2の脳、アシスタント」としてサポートするのがNotionだ。
Notionの特徴
- オールインワン:タスク管理、ガントチャート、ドキュメントなどさまざまな表現をまとめられる
- 柔軟性:ノーコードで自分好みのページを作成できる
- Notion AI:生成AIが仕事をサポートする。新機能の「Notion AI Q&A」は、Notionの情報を見て質問に答えられる機能
Notionは、チャットと異なり、さまざまな情報をストックできますし、最新の情報、ナレッジが集まってきます。企業で利用する場合、セキュリティが気になる方もいると思いますが、複数の公的認証を取得しており、大企業でも利用されているので、安心してお使いいただけます(西氏)
Notionはさまざまなユースケースがあるが、今回は入門編ということで、Wiki、ドキュメント管理、プロジェクト管理についてデモを交えて紹介した。
まずは基本の使い方。ページに必要なブロックを追加してページを作成する
Notionは、最初に開くと空のページが表示される。メインのコンテンツを配置するスペースと、左側にサイドバーがある。サイドバーは、どの情報がどこにあるのか階層構造で表示し、クリックするとそのページに移動できる。サイドバーのチームスペースは、複数人でアクセスできるページ、プライベートは自分のページとなっており、お気に入り登録もできる。これがNotionのワークスペースの基本構造である。
Notionのページはブロックで構成されています。新しくページを作成して、[+]をクリックすると、メニューが表示されるので、たとえば[テキスト]を選択すればテキストブロックが、[ToDoリスト]を選択すればToDoリストのブロックが追加されます。ブロックはドラッグアンドドロップで移動ができ、複数のブロックを組み立てながらページを作成していきます(西氏)
その結果、次のようなページが作成できる。
Notionは、ページだけでなくデータベースも作成できる。ページ作成時にデータベースを選択すれば、表計算ソフトのような画面が表示される。この表の列がプロパティという概念で、それぞれにデータを登録していける。
上の画像は、テーブルビューで表示しているが、Notionには6種類のビューがある。テーブルビューを元に、カレンダービュー、ボードビュー(ToDoリスト)、ガントチャート、タイムラインなど切り替え可能だ。いずれのビューで情報を更新した場合でも、すべてに反映される。なお、Notionの情報が更新されればSlackで通知を送るというような連携も可能だという。
個人ワークでNotionを活用する
テンプレートを活用して、「ライフWiki」でタスク管理
新規ページに必要なブロックを追加してページを作成できるが、西氏はテンプレートの活用をおすすめする。サイドバー下部にある[テンプレート]から選択。テンプレートは、仕事、パーソナルなど、カテゴリに分かれている。
個人ワークでおすすめするテンプレートは「ライフWiki」だ。自分だけのプライベートのコンテンツとして利用できる。
テンプレートを読み込むと、すでに項目が入っています。ライフWikiでは、自分の生活に関するToDoをブロックで追加したり、タスク管理というデータベースが入っているので、それを使ってタスク管理できます。議事録やノートなども追加できますし、プライベート、仕事とタグ付けができるので、ビューで切り替えて表示できます(西氏)
Notion×生成AIで、要約・翻訳・企画アイデアまで
日常的に情報収集するマーケターには「Webクリッパー」という機能がおすすめだ。WebブラウザにNotionの拡張機能を入れておくと、気になったWeb記事をNotionに集められる。Notion上には、タイトルやURLが自動で追加され、タグ付けをしておけば絞り込みも可能だ。
さらにAIを使うと、Web記事の内容を要約してくれるという。英語のドキュメントの場合は、英語で要約をした後、その内容をAIが翻訳してくれるので、業務の効率化につながる。
生産性向上の機能としてAIライティングの機能もある。たとえば、プロダクト説明を作成しておくと、その説明内容を元にQ&Aを作成できる。業務フローの説明を書けば、それを元にシーケンス図を作成することも可能だ。英語以外の複数の言語に翻訳するといった活用も便利だ。
企画を立てる時に、いろいろなアイデアがほしい時、アイデアを出してもらうように依頼すればAIが複数のアイデアを出してくれます。Notionでは、生成AIの機能を2023年2月にリリースして以降、好評です(西氏)
チームでNotionを活用する
「プロジェクト&タスク」でプロジェクトに関する情報を集約
チームで活用する場合も、テンプレートの活用がおすすめだ。テンプレートに「Wiki」があるので、会社のWiki、マーケティングチームのWikiが簡単に作れ、必要な情報をすべてまとめられる。
プロジェクト管理には、「プロジェクト&タスク」というテンプレートが使える。プロジェクトは複数のタスクから成り立っており、双方は連携している。タイムライン、ガントチャート、ボードビューなど切り替えて表示でき、タスクで進捗ステータスを変えれば、プロジェクトのステータスも更新される。
まずはテンプレートをダウンロードして、プロジェクトを作成し担当者、プロジェクトの期間を登録します。さらに、タスクのデータベースでタスクを追加して担当者、期限を登録して、プロジェクトを設定すれば、タスクとプロジェクトがひも付きます。非常に使い勝手がいいので、ぜひ活用してください(西氏)
管理職におすすめなのが、AI自動入力を活用したプロジェクトの確認だ。タスクなどからプロジェクトの概要やプロジェクトのリスクを、AIが自動で生成する。プロジェクトのページを見に行かなくても、状況を確認できる。
Notionに登録した情報をもとに、AIがチャットでQ&Aに対応
Notionで作成したページは、Webページとしてインターネット上に公開可能だ。リンクの期限、編集やコメントの許可を設定でき、作成したページがそのままWebページとなる。
いろいろなスタートアップがホームページ、採用ページをNotionで作成しています。エンジニアやデザイナーに頼らず、担当者が自分で作れる点が魅力です(西氏)
そして2023年11月にリリースしたNotion AIの「Q&A」機能は、マーケターへの問い合わせを減らす効果を期待できる機能だ。マーケターには「XXの担当者は誰ですか?」「プロジェクトの進捗はどうなっていますか?」などと他の部署から問い合わせが多い。
ユーザーがチャットで質問すると、Notion AIがNotionの情報を踏まえて回答をします。情報が蓄積されているほど、より様々な内容の質問に自動で対応できます(西氏)
コミュニティと共に成長したNotion
西氏は、日本で採用された一人目のNotionメンバー。採用されてまずは約100人の国内のNotionユーザーにインタビューし「なぜNotionを使っているのか」を聞いた。そして、その理由を多くの人に広めていった。
Notionでは、コミュニティと共に成長することを重視している。ファネルで表すと「認知度の向上」「コンバージョン&アクティベーション」「アップグレード&拡大」のすべてにおいて、コミュニティの協力があったという。
SNSでNotionについて語っている人がいれば、一人ひとりに声をかけて「アンバサダーにならないか」と誘った。NotionのWebサイトは西氏がNotionのページで作成して暫定的に公開した。
2021年にはアンバサダーが7人になり、地域コミュニティが生まれ、現在アンバサダーは20人弱に拡大しました。私はイベント開催のサポートや登壇などで協力しています。コミュニティメンバーの活動は規制せずに自由に行ってもらうようにし、常に感謝の気持ちを表すようにしました(西氏)
アンバサダーのモチベーションとは
なおアンバサダーのモチベーションは大きく2つある。ひとつは、コミュニティを作りたい、リードしたいということ。そしてもうひとつがNotionのテンプレートを販売して、収益を得たいというものだ。アンバサダーのモチベーションのタイプを見極めて、必要なサポートを提供し、創業者が来日したときにはクリエイターフェスを開催し、発表する場を用意した。
日本のメンバーは西氏一人だったが、アンバサダーのコミュニティ活動を通して、Notionが国内で広がっていった。コミュニティ活動以外にも、書籍の出版、YouTubeやnoteでの発信、Notionを学べるオンラインコミュニティなど、Notionのための活動がさまざまな形で広がっている。
最近は、アンバサダーとは別に、認定コンサルタントの制度を始めるなど、ビジネスでの利用者を増やすための活動にも力をいれているという。
最後に西氏は次のように話し、講演を締め終えた。
マーケターは忙しい。自分用のWikiや生成AIを使って仕事を円滑に進めてほしいです。コラボレーションでは、プロジェクト&タスク管理のテンプレートを活用してください。そうすれば、チームからの質問はNotion QAに任せられるようになります。Notionは仕事をラクにするツールです。まずはテンプレートを活用して、ストック情報を増やしてみてください(西氏)
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