Google検索×生成AIの「SGE」が日本で試験運用。Bardとは違う? SEOへの影響は?【SEO情報まとめ】
Google検索の新しい機能「SGE」日本語版の試験運用がスタートした。検索クエリに対する回答をAIが作成し、検索結果ページで提供してくれる「生成AIによる検索体験」だ。
SGEはどんな機能なのか。強調スニペットとの違いは? Bardとはどう違うのか? 間違った回答への対策は? 検索トラフィックはどうなる?
公式情報やSEO専門家の意見を把握しておこう。
今回は、SGE以外にも、「E-E-A-Tを高める出典明記」「インデックスされやすくするには」「AI作成コンテンツの扱い」「リダイレクト」などなど、あなたのSEO力をアップさせる情報が粒ぞろいだ。
- Google検索×生成AIの「SGE」が日本で試験運用開始、SEOに与える影響は?
- SGEの舞台裏 ―― 生成AIによってもたらされる“新たな検索体験”とは
- SEOプロによるグーグルSGEファーストインプレッションはいかに?
- E-E-A-Tを「高める」出典明記、信頼性を「下げる」盗用・剽窃
- グーグルにインデックスされやすくする方法をSEOプロが解説
- リンク購入をグーグル社員にもちかける強者がいた
- 2023年8月2回目のオフィスアワー: AIを使った高品質コンテンツ、階層の深さとクロールされやすさの関係、構造化データはPCかモバイルかなど
- SEOに有利なリダイレクトは301? 302?
- 304ステータスコートで起こりうる悪夢のようなトラブル
- Googleマップは、対象の場所で撮影した写真や動画の関連性を高く評価する
- GoogleのSGEは検索広告の上と下のどちらに表示されるのか?
- Google、米国のSGEで関連ウェブページへのリンクを提供。日本のSGEでは隠されている
今週のピックアップ
Google検索×生成AIの「SGE」が日本で試験運用開始、SEOに与える影響は?
米国に続いて日本は2番目 (Google Japan Blog) 国内情報
グーグルが、生成AIを検索に導入する動きを本格化させようとしている。Google検索の新しい機能として「SGE」日本語版の試験運用を開始したのだ。
SGEは「生成AIによる検索体験」(Search Generative Experience)の略。検索クエリに対する回答をAIが作成し、検索結果ページで提供してくれる。先行して始まっていたBingのAIチャットと同様のインターフェイスだ。従来のように、検索結果に表示されたウェブページに訪問する必要がない。求めていた情報が検索結果ページで手に入るのだ。
たとえば次の画面は、「おいしい桃の見分け方」で検索したときに、SGEが生成した回答だ。
SGEの回答は「スナップショット」と呼ばれる。一見すると強調スニペットのようにも見えるが、次の点で異なる:
- 強調スニペット ―― 既存のウェブページの記述をそのまま引用している
- SGEのスナップショット ―― 生成AIが独自に作成した概要
概要説明の下に出てくる関連質問を選択すれば、さらに深掘りしたやりとりを会話形式で続けられる。独自の質問で会話を続けることも可能だ。
米国では5月下旬にSGEの試験運用が始まっていた。米国に続いて試験運用の次の対象に選ばれた国が、日本(とインド)だ。日本が選ばれたことを意外に思うかもしれないが、AIを用いたまったく新しい検索機能を他国に先駆けて使えるようになったのは非常に喜ばしい。
検索体験、そしてSEOへの取り組みに、SGEがどのように影響するのかは未知数だ。まずは自分自身で触れてみることから始めよう。
SGEは自動では有効にならない。Search Labsにアクセスして有効できる。
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SGEの舞台裏 ―― 生成AIによってもたらされる“新たな検索体験”とは
検索担当GMが語る (ケータイ Watch) 国内情報
グーグル検索担当ゼネラルマネージャーの村上臣氏による(おそらく)プレス向けのSGEの発表イベントと、インタビューを記した記事を紹介する。
村上氏の発表の概要は次のとおりだ(原文どおりの引用ではなく、筆者による要約):
グーグルは20年以上にわたり機能の更新を続けてきたが、「情報にたどりつくまで時間がかかることもある」という課題があった。
そのため、新機能のSGEは検索作業を効率化するために導入された。
SGEは正確さに重点を置いている。
ユーザーが追加の情報を要求する「会話モード」も備えている。
SGEでも検索結果と広告の区別は明確にしている。
システムに対して敵対的なテストを実施するチームを編成し、ユーザーからのフィードバックを含めて改善していく。
また次のようなテーマについての質問に村上氏は回答している:
- 日本語版の提供で難しかったこと
- 「Bard」とはどう違うのか
- ユーザーの利用に関して
- 今後の展望
SEO担当者が気になるQ&Aをいくつか紹介しよう。
Q: SGEは「Bard」と違うテクノロジーとのことだが、Bardを使わない理由は。
村上氏: 生成AIを使うにあたって、さまざまな情報のニーズがあると思っています。そして、それを解決する手段は1つではないと思います。
Bardはどちらかといえば直接LLM(大規模言語モデル)と対話をしながら使うツールで、ブレインストーミングのパートナーのように、クリエイティブなタスクに重きを置いています。
SGEは、従来の検索の“正常進化”。今までお客さまが検索に期待してきたものの延長線上で、さらに良くするために何かができるかという思想で作っています。
この2つはユーザーのニーズが異なると思っており、両方とも試験運用ではありますが、別のプロダクトとして作っています。
Q: ハルシネーションへの対策は。
村上氏: 米国でのローンチ時にも紹介しましたが、モデルのファインチューニングを実施しています。特にSGEについては、Webサイトの裏付けがある情報をもとにモデルをトレーニングすることで、ハルシネーションを抑止しています。
Q: Google検索である程度結果がわかるので、情報源にアクセスしない人もいると思う。米国で、トラフィックの変化などはあるのか。
グーグル広報: SGEにおける回答内でも、情報源のWebサイトが見られるようになっており、従来のトラフィックを送れるようなしくみに注力して作っています。
公式アナウンスでは触れられていないことも語っている。SGEに対する理解を深められるインタビューだ。そのほかの質疑応答を含めて、元記事で全文を確認してほしい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
SEOプロによるグーグルSGEファーストインプレッションはいかに?
状況は刻々と変化する (辻正浩 on X) 国内情報
so.laの辻正浩氏が、SGEを触った第一印象をX(旧ツイッター)に投稿している。
SGE日本語版の試験運用開始。面白いですね。
あくまでも試験運用開始なわけで、現段階の状態は本採用ではありません。数ヶ月前から試験運用の米国仕様とはかなり違います。表示内容やデザインだけでなく、米国で強いマップやショッピングなどGoogle自社サービスとの連携が見えないなど、違いが多いです。その米国も数ヶ月でどんどん変わってます。
最近、いわゆるプロ驚き屋さんやプロ驚き屋ワナビーが増えてますし、現段階の表示内容を見て「今後の検索は~」とかを騒ぐ人はいますけど、実際はあくまでも一部希望ユーザ向けテストなので今後変わるので見守る段階ですね。
なお私の「推測」は、Googleが屋台骨の検索広告を「大規模に」下げるはずが無いし、サービス開始以後毎年増え続けていると誇らしげに語るウェブサイトへのトラフィックを含むエコシステムを大きく崩すはずも無く、穏やかな形でしか本実装されず結局Webマーケに影響はわずかと思います。
現段階でのSGEは、米国での実装同様に、情報はLLMからではなく、Web上の情報から、Googleがアルゴリズムで選んだ部分を抽出して要約する形ですが、かなり慎重に作っているなあという印象。色々な面で問題になる情報表示をうまく避けていますね。
Googleが検索で、他のサイトの要約としても、「Googleとして」出す情報なので、誤りなどはかなり問題になり得ます。現段階では、少ないですが問題ある表示はちらほらと見られますね。例えば……
投稿はまだ続く。具体的な「問題ある表示」の例などは、Xのスレッドで確認してほしい。
SGE日本語版の試験運用開始。面白いですね。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) August 30, 2023
あくまでも試験運用開始なわけで、現段階の状態は本採用ではありません。数ヶ月前から試験運用の米国仕様とはかなり違います。表示内容やデザインだけでなく、米国で強いマップやショッピングなどGoogle自社サービスとの連携が見えないなど、(続く
辻氏が言うように、一足早く試験運用が始まった米国のSGEは、進化を続けている。日本のSGEはテキストだけのシンプルなスナップショットだが、米国では画像や動画、ショッピングリスト、関連ページへの外部リンクなどバラエティに富んでいる。
SGEが稼働するクエリであっても広告は変わらず表示される。しかし、スナップショットの上に表示される場合もあるし下に表示される場合もある。
SGEは試験段階だ。たとえ入念な分析から何らかの結論を導き出したとしも、あくまでもその時点での話だ。状況は刻々と変化する。早急な結論を出すべきではないし、そうした結論を鵜呑みしないようにも注意してほしい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル検索SEO情報①
E-E-A-Tを「高める」出典明記、信頼性を「下げる」盗用・剽窃
パクり記事に信頼性があるはずがない (住 太陽 on X) 国内情報
E-E-A-Tを高めるのに出典の明記は非常に重要だという住太陽氏の解説記事を、数か月前にこのコーナーで紹介した(繰り返しになるが、非常に有用な記事だ)。この記事に「盗用・剽窃」のセクションを追加したそうだ。
出典を明記することでコンテンツの信頼性を担保する、という内容の記事に「盗用・剽窃」のセクションを追加しました。
— 住 太陽 (@motoharusumi) September 3, 2023
盗用・剽窃とは「出典を明記せず他人の文章やアイデアを自分で考えたこととして書くこと」をいいますが、これをやる書き手を信頼できないのはGoogleも同じ、というわけですね。 pic.twitter.com/FjHJ1i6OUF
盗用・剽窃とは「出典を明記せず他人の文章やアイデアを自分で考えたこととして書くこと」だと住氏は定義している。
ウェブでは、他の人のコンテンツを(記事だけではなく画像や動画も)簡単に複製できる。あたかも自分が作成したものであるかのように複製を公開する不届き者は、まったく珍しくない。そんな“パクり”コンテンツは信頼性を高めるどころか、おとしめるのは言うまでもない。
もちろん、「盗用や剽窃をしていればE-E-A-Tが下がる」かというと、現時点でそう断言できるわけではない。盗用・剽窃なのか、同じ考えにたどりついただけなのかは、客観的には判断しづらいからだ。とは言うものの、グーグルならば、多少書き換えたぐらいの盗用は判別できるだろうし、そうしたコンテンツが多いサイトの信頼性を低く評価してもおかしくないだろう。
出典を明記することによる信頼性の確立について、住氏は次のようにコメントしている。
もう50歳も過ぎたオッサンになってもなお、信頼できる書き手であろうとして努力する毎日がくるとは想像もできませんでした。
— 住 太陽 (@motoharusumi) September 3, 2023
でもまあ頑張った甲斐あって、いま僕のサイトで公開されている記事は細かく出典が示され、信頼できるものになっていると思います。5月からの4ヵ月ほどは本当に頑張りました。
そんなふうに細かく出典を示していく作業は実に骨の折れるものですが、主張の根拠を示し盗用や剽窃を防ぐこと以外にも効用があるように思うんです。
— 住 太陽 (@motoharusumi) September 3, 2023
効用というのは、僕の記事を見れば「この書き手はGoogle公式ドキュメントをクソほど読み込んでる」とわかり、専門性が証明されるというものです。
出典の明記によって、盗用や剽窃を防ぐと同時に専門性も証明しているという。参考文献を読み漁って理解し、引用箇所を明記するのは、さぞかし骨の折れる作業のはずだ。だが、その見返りがあることは住氏の存在感で明らかである。
追加された盗用・剽窃セクションは元記事で読んでほしい。出典明記の重要性についての住氏の記事をまだ読んだことがなければ、全文を熟読したい。
- すべてのWeb担当者 必見!
グーグルにインデックスされやすくする方法をSEOプロが解説
はてなブログに限らず有用なアドバイス (はてなブログ開発ブログ) 国内情報
ブログの記事をインデックスさせやすくするための秘訣を、辻正浩氏が解説した。「はてなブログ」が対象とはいえ、ほとんどの考え方や方法論は一般のサイトにも当てはまる。
インデックスに重要視されると辻氏が考えるのは次の要素だ:
- はてなブックマークやSNSなどから多くのアクセスがある(外部サイトでの紹介)
- 定期的にブログ(サイト)を訪問する読者が多くいる
- 一定以上の記事の文章量がある
- 明確でわかりやすいタイトルが設定されている
- 内部リンクが正しく設計されている
- XMLサイトマップが提供されている
一昔前とは異なり、どんなコンテンツでも無条件にインデックスされる時代ではない。インデックスに値するとグーグルがみなしたコンテンツだけがインデックスされる時代に突入している。インデックスされない状況に悩んでいるなら、辻氏のアドバイスを自社サイトに応用するといい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
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