ビジネスに役立つSNS

Pinterest広告の良さは「広告感がない」こと? 特徴と成果を出すためのコツ

急成長中のオンラインプラットフォーム「Pinterest(ピンタレスト)」。2022年6月に広告事業を開始してちょうど1年が経った今、ビジネスとしてどう活用すべきか、動画広告の反響や、実際に出稿した企業の反応、成果を出すためのコツなどを聞いた。

ビジュアル探索型プラットフォーム、「Pinterest(ピンタレスト)」。世界中でユーザー数を伸ばしている今注目のプラットフォームで、2022年6月には日本における広告事業もスタートした。

読者の中には、「そもそもPinterestって何?」「どんな広告が出せるの?」と思った方も多いかもしれない。今回は、Pinterestの基本的な特徴と、ビジネスアカウント向けの機能の効果や広告の事例について、ピンタレスト・ジャパンの井上英樹氏にお話を伺った。

ピンタレスト・ジャパン 執行役員 SMB統括 井上英樹氏

アイデアでつながる「Pinterest」

Pinterestはアメリカ発の企業。ファッションやインテリア、フードなど、生活のあらゆるシーンにおいて、アイデアを発見・整理できるツールだ。

「パンケーキ」「ファッション」「マイホーム」などのキーワードで画像を検索。無数のビジュアルがピンボード風に表示される

まず、Pinterestの3つの特徴を説明しよう。

  • ビジュアル探索プラットフォーム
  • 「未来志向」&「パーソナル」なメディア
  • 「ピナー(Pinner)」と「クリエイター」

特徴① 自分の曖昧な“好き”を形にしていくビジュアル探索プラットフォーム

まずPinterestのプラットフォームとしての特徴を説明する。

  • 明日は何を着ていこうかな
  • 今晩はどんな料理を作ろうかな

そんな短期的なインスピレーションから、

  • 将来どんな結婚式をやりたい?
  • どんな家を建てたい?

中長期的なアイデア探しまで。

「ピン」と呼ばれる無数の画像・動画コンテンツの中から、自分の好みのビジュアルを「ボード」にピン止めしていくように保存するというのが、Pinterestの基本的な使い方だが、ポイントは、「検索ではなく探索」であること。Pinterestでは、1つの画像を閲覧・保存すると、それに類似した画像が表示されるようになっている。

最初は『なんとなく素敵な服が欲しいな』くらいの気持ちで、具体的に想像できていなくても、閲覧しているうちにいつの間にか『こういうモノが欲しかったんだ』と目で見てわかるようになる。自分の中で曖昧だった『こんなの良いな』というアイデアが形になっていくんです(井上氏)

こういった好みを探索できるSNSの仕組みを叶えているのは、ユーザーの検索行動を軸に、AIが趣味・嗜好を推測し、関連したビジュアルをリコメンデーションするアルゴリズムだ。そして多くの人がボードに保存した人気のピンやボードはどんどんピンタレスト上の検索表示の上位に上がり、目に留まりやすくなっていく。

特徴② 最近欲しいものから、いつか建てたい家までを保存する「未来志向」で「パーソナル」なサービス

通常のSNSは、「今この店に来ている」「昨日はこれを食べた」というように、現在や過去の投稿が中心であることが多い。それらを他人と共有し、コメントやいいねなどでコミュニケーションをするのが主流だ。

一方でPinterestは、「“未来=これからやりたいこと”のアイデアを集める、“パーソナル”なプラットフォームだ」と井上氏は語る。他のユーザーとつながるよりも、いつか着てみたい洋服や住んでみたい家など、ユーザーは未来の自分のイメージを膨らませるために利用している。

たとえば私は、サングラスがほしいときに、サングラスのビジュアルだけを一気に集めます。こんな風に買ったらしばらくは見なくなるような短期的な使い方も良いと思いますし、『夢の家』のイメージを集めることもあります。『リゾート風』『ホテルライク』などのキーワードで検索して、気に入った建築のビジュアルを保存して、贅沢な暮らしを想像するのも楽しいです。家族や友人内で、アイデアを保存したボードを共有できるので、夫婦で建てたい家のイメージを一緒に集めていくような使い方もできるのです(井上氏)

編集部員もやっていた夢の家集め

特徴③ 「ピナー」と「クリエイター」

Pinterestでは、コンテンツの閲覧のみを行うユーザーを「ピナー(Pinner)」、投稿を行うユーザーを「クリエイター」と呼んでいる。ピナー・クリエイター両方の使い方をする人も増えてきているという。

ピナーも、自身のボードを公開している場合は間接的に発信者となっている場合があります。公開しているボードがピンされることもあるからです。自分自身がコンテンツの発信をしていなかったとしても、キュレーションすることで、見る人の役に立つんです(井上氏)

ちなみに、ユーザーの年齢層は幅広く、ミレニアル世代・Z世代が新規ユーザー層として急成長しているものの、それより上の世代の利用者も多いという。また、ユーザーのほとんどが女性だと思われがちだが、実際は男女比の差も少ない。

Pinterestはビジネスでどう役立つ? ビジネスアカウントでできること

ここまでPinterestというサービス自体の特徴やユーザーの使い方を見てきたが、では、ビジネスではどのように利用できるのだろうか? まずは無料で使用できる企業向けのアカウント「ビジネスアカウント」でできることを紹介する。

ビジネスアカウントでは、以下のようなことが可能だ。

  • Pinterestアド(ピンタレスト広告)
  • Pinterestカタログ(商品カタログとの連携)
  • アナリティクスやユーザーデータの確認
  • 自社Webサイトへの流入促進

今回は「Pinterestアド」について詳しくお話を伺った。

「Pinterestアド(ピンタレスト広告)」とは?

Pinterestが広告事業を始めたのは2014年。アメリカからスタートし、英語圏で展開した後、数年後にヨーロッパに進出。日本では2022年6月に広告事業をスタートした。 Pinterestの広告には、大きく分けて5種類の形式がある。

  • 静止画
  • 動画
  • カルーセル(画像を5枚までまとめて投稿)
  • コレクション(メインの大きな画像1枚+サブ画像3枚を組み合わせて投稿)
  • カタログ(EC向けのフィード取得ツール)
広告の表示例

そのうち、動画アドの形式は以下の通りだ。

  • スタンダード動画(通常のピンと同じサイズ)
  • ワイド動画(通常のピンの2列分の幅で表示される形式)
  • アイデアアド(全画面で表示される形式。複数の動画と画像を組み合わせられる)

ちなみに、2023年5月には、画像・動画など全てのコンテンツを「ピン」という名称で統一している。従来の仕組みでは、ピンの作成やリンクの追加を行えるのはビジネスアカウントのみだったが、ユーザーなら誰でもリンク付きの投稿ができるように変更したという。

Pinterestが最も大切にしているのは『ピナーファースト』。ユーザーの声を第一にプロダクトを作っています。コンテンツ作成機能のアップデートも、ユーザーからの意見を反映してのことです(井上氏)

Pinterestの広告の特徴は「広告感がない」こと

Pinterestの広告メニューのメリットとして最も大きいのが、「意欲的に何かを探しに来ているユーザーにリーチできること」だと井上氏は語る。

前述の通り、Pinterestは「未来志向」のプラットフォームだ。たとえば、「夏に向けて新しい服が欲しい」というような、もともとポジティブなインスピレーションを探しているユーザーが訪れる。そういった環境だからこそ、ショッピングとの親和性が非常に高く、日本では6割以上のユーザーがショッピング目的でプラットフォームを利用しているという。

Pinterestユーザーの15%が『プラットフォーム内で見たものを実際にオンラインで買ったことがある』という調査結果も出ています。これは他のソーシャルプラットフォームよりも非常に高い数値です(井上氏)

また、Pinterestの特徴として、「検索の上位97%が非指名検索であること」があげられる。 非指名検索とは、「メンズ ファッション 夏」といったように、商品名やブランド名を含まない検索のことだ。つまり、「探す目的」は明確であっても、「具体的な商品やブランドは未確定」な状態のユーザーにアプローチできる。

これからやりたいこと、欲しいものに対して非常にポジティブな状態のユーザーに広告を出せる。さらに、大半が非指名検索だからこそ、どんなサービス・商品でもチャンスがあるのが特長です。広告も、通常のピンと同じくユーザーにパーソナライズされたコンテンツがマッチするようになっているので、広告かどうかをユーザーがあまり気にせずにクリックしてもらえる設計になっています(井上氏)

動画広告のスクロール時間は他プラットフォームの3倍! 成功事例を紹介

「Pinterestアド」を開始してちょうど1年が経つが、動画広告を見たユーザーからの反響、広告を出稿した企業の反応はどうだったのだろうか?

特に動画広告の反応率が非常に高いです。Pinterest上で動画広告を見た人のスクロールのスピードは、同業のプラットフォームと比べて3倍遅い。つまり、よりじっくり見て下さっているという調査結果が出ています(井上氏)

また、「Pinterestで広告を開始・継続する企業はかなり多い」と井上氏は述べる。その中から、動画広告を使って成功した具体的な事例を2つ紹介する。

1. ナカムラ・コーポレーション

無垢のフローリング材を扱うナカムラ・コーポレーション。資料・サンプル請求といったコンバージョンを目的に、静止画・動画の両方をつかって広告を出稿し、設定していた目標値に対して155%以上の高い成果を上げた。

ナカムラ・コーポレーション

2. 無印良品/MUJI HOUSE

無印良品が展開する「MUJI HOUSE」では、ブランド認知・好意度の向上を目的に広告を出稿。「無印良品の家」での生活をイメージできる動画を配信した結果、ブランド認知は5%上昇・好意度は8%上昇した。また、ブランド認知が当初の目的だったにもかかわらず、資料請求も増加したという。

無印良品の家

Pinterestアドで成功するコツは「広告主向けサポートを駆使」

「Pinterestの検索行動はものすごく長い」と井上氏は語る。好みのビジュアルを普段から保存していくことで、「好きなもの」を形にしていく。明日必要なものを買うというよりは、長期的に情報収集をしている感覚なので、広告を出稿する際にも注意が必要だ。

広告として使う場合にも、『来週バレンタインだから広告を出そう』ではなく、普段からチョコレートの画像を掲載しておくことが大切です。そして普段上げているピンのアナリティクスを見て、顧客のニーズを理解し、出稿する内容の調整をしてください。短期でコンバージョンをとることよりも、効果測定の期間を長めにとってもらうのがPinterest広告で成功するコツです(井上氏)

とはいえ、本当に成果に結びつけられるか不安……。そんな広告運用担当者のために、Pinterestでは現在、2種類の広告主向けサポートを提供している。

  • Pinterest Academy(ピンタレストアカデミー)
    Pinterestの基礎知識から広告の運用方法まで幅広く学べる、無料のeラーニング。約15分×12コースが受講可能。理解度をテストするミニクイズもある。
  • 無料のコンサルティング窓口
    コンサルティングに無料で相談できる窓口。広告主に合わせて広告の効果を出すためのアドバイスを提供している。

すべては“ユーザーファースト”を根底にしたプラットフォーム運営とコンテンツ作り

Pinterestはポジティブなプラットフォームを維持するために、「コンテンツの安全性」にも力を入れている。井上氏によると、広告に限らず、見る人を不快にさせるようなコンテンツは意図的に除外しているという。Pinterestが2021年に広告ポリシーを改訂し、すべての広告で減量を謳う文言と画像の掲載を禁止したのを覚えている人はいるだろうか。

ダイエット広告や環境広告。それを見て、ピナーがネガティブな感情を抱いてしまう可能性があるコンテンツは、広告であっても出せません。これは業界でもかなり突っ込んだ対応です。根底にある考え方はやはり『ピナーファースト』。ユーザーのメンタルヘルスへの影響を意識して、ハッピーで有意義なコンテンツが出るようにコントロールしています。創業当時から変わらぬポリシーです(井上氏)

実際、広告ポリシーを改訂してから約1年で『ダイエット』を含む検索は20%減少し、代わりに『簡単でヘルシーな食事』の検索数は 65 倍に伸びたという。 日本で広告事業を開始したタイミングについても、「日本でのユーザー体験向上を1番に考えていたからこそ、長期的な戦略をとってきた」と井上氏は語る。

今では国内向けのコンテンツも充実していますが、当初は海外からの投稿が多い状態でした。広告事業を開始する以前に、日本のユーザーにとって、それぞれの興味関心に合うアイデアが発見できるプラットフォームであることを目指し、長期的な視点でコンテンツや機能を充実させるなど、時間をかけて国内のユーザー体験向上に注力しました。そして、ユーザーベースの成長やPinterestで広告出稿を開始したいという国内外の広告主様からの高いニーズなども合わさったタイミングで昨年に広告事業を開始しました。 (井上氏)

インスピレーション溢れる世界の実現へ

井上氏は最後に、「絵文字やピクトグラムなど、ビジュアルでのコミュニケーションに非常にたけている日本の文化は、Pinterestとは親和性が高いです」と述べた。

日本にはいい商品やサービスがたくさんあります。そういったものをPinterest上で紹介して、経済をより活性化し、グローバルに対しても働きかけていきたい。Pinterestを通したインスピレーションのマッチングで、日本のビジネスをプラスにできるように、貢献したいと思っています(井上氏)

Pinterestは今後も、「すべての人に好きな人生を創るためのインスピレーションを与える」というミッションを実現するために、ユーザーファーストでチャレンジを続けていくという。

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