百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます

「うちのSNSって実際どうなの?!」と聞かれたら…SNSの“貢献度”を定量化して社内の理解を得よう

SNS運用の成果は、売上、採用、ブランド認知への貢献だけでなく、波及効果としても表れます。これらの貢献度を見える化して定量的に説明する方法を解説します。

オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。

今回は、エスファクトリー 代表取締役でSNSマネージャー養成講座の広報も務めるイミトモさんが回答します。

質問

社長にTwitterを始めるよう言われ、見よう見まねで始めて3か月経ちました。メルマガやブログの内容を切り取ってTwitterに載せたり、顧客や他社のTwitterアカウントと交流したりしてきたのですが、正直会社の役に立っているか不安です……。
そんなとき社長から「SNSを運用してきた成果として、会社にどんな貢献をしたか」を社員の前で発表するよう言われました。何をどのように報告したらいいのでしょうか?

イミトモ

せっかく全社員の前での発表の機会をもらったのなら、各部門に向けて実際にどのような効果があったのかを伝えるとともに、社長の一番の期待はどこにあるのかを確認して報告に盛り込むとよいでしょう。
報告では「見える化」が重要になります。SNS運用の成果は、売上、採用、ブランド認知への貢献だけでなく、商品開発やユーザーサポートなどの波及効果としても表れます。1つ1つそれらの数値をていねいに見ていきましょう

その1:売上への貢献を数字で伝えよう

社員さんに報告するのですから、「社員さんが興味のある順番」に報告していくと、興味を持ってもらいやすいでしょう。ここでは皆が興味のある「お金」、すなわち売上に関する貢献から見ていきましょう。

SNSが売上に貢献するもので、計測できるのは以下の3パターンです。

  1. SNSきっかけで問い合わせ
    SNSをきっかけに、店舗や電話、窓口で直接問い合わせ・予約したケース。
  2. SNSからの直接コンバージョン
    SNSのリンクをクリックしてサイトに訪れ、購買・問い合わせ・予約したケース。
  3. SNSからの間接コンバージョン
    SNSのリンクをクリックしてサイトに訪れたユーザーが、後日またサイトに訪れて問い合わせ・予約したケース。

(1)SNSきっかけで問い合わせ:直接問い合わせ・予約したケース

SNSのDMに直接届いたお問い合わせ件数については、その件数をリスト化して集計しましょう。営業マン等、他の人にトス上げしたものをリスト化しておきましょう。

質問者これはすぐに数えられそう。

イミトモ日付と内容をリスト化すると、その後の分析に役立ちますよ!

(2)SNSからの直接コンバージョン:SNSからサイトに訪れ、購買・問い合わせ・予約したケース

SNSからサイト流入した件数や、そこから購買(問い合わせ)に至った件数を調べるには、サイト解析ツールを使用します。Googleアナリティクスを使っているのであれば、「レポート>集客>すべてのトラフィック>チャンネル」を開いて確認しましょう。

Googleアナリティクスの目標設定をしておくことで、流入元別のコンバージョン件数を計測できる

ここでSNSからサイトに訪れた回数やコンバージョンした件数を確認でき、コンバージョン1件あたりの売上金額がわかっている場合は、それを掛け算すれば売上金額が推定できます。

質問者これは便利ですね! ちなみに、SNSを見てウチのことを知ったけど、後日Google検索でサイトに入って予約した人ってどうなりますか?

イミトモここでは予約したときに訪れた流入元でカウントするので、検索でカウントされます。でも次に紹介する方法を使えば、SNSから流入して一度離脱したけどその後の訪問でコンバージョンしたユーザーを計測できますよ。

(3)SNSからの間接コンバージョン:後日またサイトに訪れて問い合わせ・予約したケース

Googleアナリティクスのセグメント作成画面

一度SNSからサイトに流入してそのときはコンバージョンしなかったけど、リピート訪問してコンバージョンすることを「間接コンバージョン」と呼びます。Googleアナリティクスでは、セグメント機能のシーケンス項目で、「SNS経由で流入した後」「コンバージョンした件数」を調べます。

具体的には、まずセグメントを新規作成します。

そして「コンバージョン>目標>概要」でレポートを開きます。

すべてのコンバージョンとSNS間接コンバージョンを比較

質問者いやいや、これ面倒ですね。

イミトモそうかもしれません。でも、面倒なのは最初だけ! レポートのURLをコピーしてとっておけば、その後も同じレポートを閲覧できます。たとえば上のレポートでは、コンバージョン件数696件のうち、SNSを見てからコンバージョンした件数は126件です。つまり「サイトでコンバージョンした人のうち18%がSNSを見ていた」ということになります。

質問者これは社内の目の色が変わりそう…

イミトモSNSの貢献度が広い意味で測定できるので、こういうときに便利ですね。

その2:採用への貢献を見える化しよう

SNSで採用アカウントを持っている場合は、それぞれのKPIをお持ちだと思います。「○○株式会社新卒採用」「○○株式会社中途採用」等のアカウントをお持ちの場合は、「新規フォロワー数」「インプレッション数」「エントリー数」「説明会予約数」などが報告材料になると思います。

Twitterアナリティクスの画面より

SNSで採用アカウントを持っていない場合も、この記事の「その1:売上への貢献を数字で伝えよう」で紹介したように、サイト解析ツールで直接コンバージョン・間接コンバージョンでKPIを取得すると、“SNSの採用への貢献度”がわかります。また、SNSで露出している役員・社員がいるなら、その方に聞き取り調査をするのも有効でしょう。

人事部門の協力をあおげる場合は、応募者へのアンケートに「SNSを見たことがあるか」という項目を設けてもらいましょう。応募者のSNS認知を直接測定できます。

質問者採用はSNSで積極的に触れていませんが、応募予定の人から何件かDMをもらったことがあります。

イミトモ件数が少なくてもデータとして収集・保管しておくと、今後役立つかもしれませんね。

その3:ブランド認知への貢献を見える化しよう

SNSを運用してブランド(企業名・商品名・サービス名)の認知が高まると、指名検索が増加します。Google検索エンジンにおける指名検索の増加は、Google Search Consoleを使えば無料で調べることができます。SNS運用との因果関係が間接的ではありますが、ブランド認知の高低を把握するという意味で有用です。

たとえば以下の図は、「ウェブ解析士」検索時のクリック数の推移を見たものです。

「ウェブ解析士」検索時のクリック数(Google Search Consoleより)

質問者時系列で見られるのがいいですね。

イミトモSNSアカウント開設前後での増減やピークがあった日にSNSで何が起きたかなどもチェックできますね。

その4:ユーザーによるポジティブなSNS投稿を社内に紹介しよう

「お客様の声」はいいものも悪いものも会社にとって有益です。お客様の声を取得するために、ユーザーにインタビューをお願いする方法もありますが、実はもっと簡単な方法があります。それは、自社名・商品名・サービス名などの語句でSNS検索をすることです。自社に関する言葉が含まれた投稿が見つけられるでしょう。

SNS運用をしているとユーザーの声が直接届くのが当たり前になっているかもしれませんが、社内の多くの人にとっては新鮮に映ります。ポジティブな投稿は、全社的に報告すると社内の雰囲気がよくなります。営業現場の良い対応、商品の良さ、サポートの良さなどは、だれが聞いても嬉しく思います。

その他にも、「同業他社の関連ワード」で検索してみるのも手です。同業他社のポジティブな反応を見ることで、新たなインスピレーションが生まれたり、マーケティングや開発部門のヒントになったりします。

質問者ポジティブな投稿は、私も嬉しいなと見ていましたが、社内には見せていませんでした。

イミトモ自社の社内掲示板に貼っている企業さんもありますよ。ぜひ広めてください!

その5:ユーザーによるネガティブなSNS投稿も紹介しよう

前項目の自社に関する投稿を検索した際、逆にネガティブな投稿を見つけるケースもあるかと思います。ネガティブな投稿に対してSNS上では「いっさい反応しない」という対応もアリですが、関係部署には報告しておきましょう。今後の業務改善に役立ちます。

ネガティブな投稿に対してSNS上で反応する場合は、担当部署と連携して「アクティブサポート」を行います。アクティブサポートはそれ自体が会社への貢献です。アクティブサポートの件数・内容は、社内で共有しましょう。

アクティブサポートの実例(初級SNSマネージャ-養成講座・講義スライドより引用)

質問者これも貢献になるんですね。

イミトモSNSを運用していなかったら、そもそも返信ができませんので、立派な貢献だと思いますよ。

その6:SNSチームの目的や主要KPIを共有しよう

SNSチームが「どのような目的やKPIを追い求めているか」も報告しましょう。会社として複数のマーケティング施策を行う中で、SNSの立ち位置に対する意識を共有しておくと良いでしょう。報告の相手によっては、この項目を一番気にしている場合もあるでしょう。なおSNSマネージャーでは、集客マップとしてビジュアル化することを推奨しています。

集客マップの一例(初級SNSマネージャ-養成講座・講義スライドより引用)

SNSの目的をどのように設定するかは、本シリーズ第1回をチェックしてくださいね。

参照:KPIを達成してもビジネスに効果があるように感じないのですが……?
https://webtan.impress.co.jp/e/2021/07/14/40579

SNSの主要なKPIとしては、以下が考えられます。どんどん共有しておきましょう!

  • 認知拡大を目的とする場合
     フォロワー数、インプレッション数、エンゲージメント数など
  • ユーザーとのつながりを目的とする場合
     エンゲージメント数(率)など
  • 自社サイトへの誘導を目的とする場合
     リンククリック数、指名検索数、直接CV数、間接CV数など
  • 同業他社に対する優位性
     フォロワー数、ファン数など
  • その他
     UGC数(クチコミの数)、ポジティブワード率、ネガティブワード率、UGC返信数など

質問者こういうのはあまり明確にしてなかったですね……。

イミトモ今後のことを考えると、目的やKPIがあったほうがSNSアカウントを成長させていきやすいと思いますよ。

まとめ:周囲の理解と協力でSNS運用の加速を

以上、SNSが会社にどれだけ貢献しているかがわかる項目を紹介しました。SNSのチームが持っている運用目的だけでなく波及効果を交えて報告することで、SNS運用が会社にとってどれだけ有意義かが伝わるのではないでしょうか。

企業のSNS運用は、ともすると孤独になりがちです。一方で、いろんな部署から要望や協力を得ているSNS運用者もいます。両者の大きな違いは、会社へのSNSの貢献が理解されているかという点です。

SNSを1人で運用している方は、このような全社への報告機会をご自身で作って、周囲の方を巻き込んでSNS運用を一気に加速させてみてはいかがでしょうか。

イミトモでした。

2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。

この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。

【SNSマネージャー養成講座 | 企業がSNSを効果的に運用して事業を進化させる講座】

タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。

用語集
Googleアナリティクス / KPI / SNS / UGC / インプレッション / クチコミ / コンバージョン / フィード / リンク / 検索エンジン / 訪問
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