採用担当者必見! Instagram採用成果を上げるステップとコツ、チェックリストもあり!
オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイントや最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。
今回は、SNSマネージャーであり、直近半年で80社以上の採用活動を支援している採用コンサルティング事業を展開するRIコンサルティングの稲葉修久氏(代表取締役)が回答します。
はじめまして。中規模な企業で人事を担当しています。Instagramを使った採用活動を始めたいのですが、何から手をつければいいのかわかりません。具体的な進め方や、どのような投稿をすればいいか教えてください。
こんにちは!Instagramを採用活動に活用したいというご相談、ありがとうございます。Instagramは企業規模を問わず、効果的に活用できるツールです。実際に多くの企業がこのステップを実践し、採用成果を上げています。ぜひ取り入れてみてください!
はじめに:Instagramで採用活動を始める意義
近年、多くの企業が採用活動にSNSを取り入れており、特に「Instagram」がその中心となっています。2024年の調査によると、新卒採用では約34.5%、中途採用では約29.8%の企業がすでにSNSを活用しており、今後はさらに約48%が導入を予定していることがわかっています。
また、Instagramは新卒・中途採用問わず、採用活動でもっとも利用されているプラットフォームであり、企業の採用ターゲットに情報を届ける場として非常に効果的であることが示されています。このような背景から、Instagramを採用活動に取り入れることは非常に有益であると言えます。そこで、以下のステップに沿って進めることをおすすめします。このステップを参考にすることで、効率的かつ効果的に採用活動を進められるでしょう。
ステップ1. 採用活動の目的を明確にする
Instagramで採用活動を成功させるためには、まず「何を達成したいのか」を明確にすることが最初の一歩です。ただし、採用活動の目的によっては、必ずしもSNSが最適な手段ではない場合もあります。目的に応じて、他の選択肢も考慮しましょう。
「人材不足で人がほしいから」は目的のようで実際には目的ではありません。採用活動の本来の目的は、自社のミッション、ビジョン、バリューに基づいて、それらに紐づいた人材に認知してもらい、興味を持ってもらい、応募してもらい、最終的に働いてもらうことです(その上で一丸となってビジョンを達成すること)。
今回のテーマでは割愛しますが、本来は就業後の教育環境やキャリアアップ支援を通して、ビジョン達成に向けた採用が目的になるべきです。これらを念頭に置いて、採用活動の方向性を設計しましょう。
目的に応じた最適な手段の検討
採用活動でInstagramを使う前に、「SNSが本当に最適な手段か」を検討することが重要です。SNSは広範囲に情報を届けることが得意ですが、職種や地域、採用の目的によっては他の手段がより効果的な場合もあります。目的とターゲットに合った採用手段を選ぶことが、適な結果を得るための重要な要素です。
若手人材の採用を目的とする場合
Instagramは20代から30代を中心に、幅広い年齢層にリーチできるプラットフォームです。特に視覚的な魅力を訴求するのに適しており、若手人材の採用には効果的な手段の1つといえます。ただし、職種や地域、さらにターゲット層のSNS利用習慣に応じて他のプラットフォームも視野に入れるべきです。
たとえば、TikTokは短い動画を通して企業文化や職場の雰囲気を伝えるのに優れており、エンタメ性を重視する若年層への訴求力が高いです。特に新卒採用や若い層をターゲットにする場合は、InstagramとTikTokを組み合わせて活用することが効果的です。
一方で、地域密着型の採用を目指す場合、合同説明会や地元の大学との連携がより成果につながる場合もあります。オンラインだけでなく、直接的な接点を持つ手段を併用することで、採用活動の効果を最大化できます。若手人材の採用においては、ターゲット層に応じて複数のプラットフォームを使い分けることが重要です。
地域に限定した採用認知を目的とする場合
採用ターゲットが特定の地域に限られる場合、地域特化型のチラシ配布やポスティング、地方媒体(新聞折込やフリーペーパー)の活用が効果的です。これにより、オンラインだけではリーチできない層に情報を届けることが可能です。地域密着型の求人には、SNS投稿の補完的な手段としても有効です。
職種ごとの特殊性を考慮する場合
職種によっても最適な手段は異なります。たとえば、ITエンジニアやデザイナーのようにデジタルに強い職種であれば、InstagramやLinkedInといったSNSが適しています。一方、飲食店スタッフや製造業など地元密着型の職種では、店舗内告知や地域イベントでの募集や既存従業員へ紹介制度を浸透させる施策が効果的なこともあります。
SNSが最適かどうかを見極める視点
採用活動でInstagramを使う前に、「SNSが本当に最適な手段か」を目的とターゲットに基づいて検討することが重要です。
- 目的とターゲットがSNSと一致しているか?
例:SNSをよく利用する若い層をターゲットにしているかどうか。 - 他の手段の方が効果的な場合がないか?
例:地域密着型であればポスティングや地域イベントが適していないか。 - 複数の手段を併用する余地はないか?
例:SNSは企業文化を伝える手段として活用し、応募喚起は説明会やチラシで行う。
具体的な行動に繋げるためのプロセス
採用活動の目的が明確になると、投稿内容やターゲット層が自然と定まり、採用に向けた具体的な行動を起こしやすくなります。
このプロセスをていねいに行うことで、企業と求職者が「お互いにマッチする」採用活動を実現できます。
また、目的に合った手段を選択することで、より効率的な採用活動が可能になります。SNSが適切でないと判断された場合でも、適切な手段を検討・実行することで最適な結果を得られるでしょう。
ステップ2. アカウントを設計する
Instagramを採用活動に活用するためには、アカウント自体が魅力的であり、求職者にとって分かりやすいことが重要です。企業の第一印象を左右するプロフィールやフィードのデザインを見直し、しっかりと準備を整えましょう。
プロフィールの最適化
Instagramプロフィールは、企業の「顔」とも言える重要な要素です。求職者がアカウントを訪れたとき、以下のポイントを満たしていると、信頼感を与えやすくなります。
- 会社概要を簡潔に記載
自社の強みや特徴をわかりやすく伝えます。例:「〇〇業界で20年以上の実績」「自由で柔軟な働き方を提供」など。 - 採用情報やリンクを設置
プロフィール欄に採用ページや応募フォームへのリンクを設置します。 - アイコンやバナー画像の工夫
ロゴやオフィスの写真を活用し、親しみやすさと信頼感を同時に与えるデザインを心がけます。 - 求職者が自分ごと化できるプロフィール
企業の特徴を伝えながら、誰に何を提供するのかが明確で、求職者が「このアカウントは自分に関係がある」と感じられる内容にすることが重要です。 - DMや質問対応の明記
DMや質問を受け付けているかどうかを明記しておくと、求職者が迷わず行動できます。受け付けない場合も、「お問い合わせは〇〇フォームからお願いします」といった案内を必ず掲載しておきましょう。
以下の参考アカウントはいずれも企業ロゴやカラーなどが統一されています。
フィードデザインを統一する
Instagramは視覚的なプラットフォームであるため、フィード全体の統一感が非常に重要です。
- 配色やフォントの一貫性
企業イメージに合わせたカラーやフォントを選び、統一感を持たせます。例:明るい職場なら明るいトーン、シックな職場ならモノトーンを基調に。 - 画像や動画の品質
高品質な画像や動画を使用し、閲覧者に「きちんとした企業」という印象を与えます。 - 定期的な投稿
定期的に更新することで、アカウントがアクティブであることを示します。目安は週1~2回。 - 企業のロゴやカラーを反映したデザイン
投稿のデザインには必ず企業のロゴやブランドカラーを取り入れ、視覚的な統一感を保ちます。
既存アカウント vs. 新規採用アカウント
採用活動をInstagramで行う際、「既存の企業アカウントを活用すべきか」「新たに採用専用のアカウントを作るべきか」という疑問がよく挙がります。この選択は、採用活動の目的と既存アカウントの運用状況に依存します。
- 目的が異なる場合は別途アカウントを推奨
一般的な企業アカウントと採用アカウントの目的が異なる場合、別途アカウントを作成したほうが効果的です。採用情報に特化したアカウントを作ることで、求職者が必要な情報を迷わず取得できます。 - 採用アカウントの重要性
求職者が「〇〇会社の採用アカウントはこれだ!」と一目で分かるように設計し、採用情報を集約しておくことがポイントです。
例:「このアカウントで当社の職場の雰囲気がわかります!」や「新卒向けの応募スケジュールはこちら!」と明確に案内する。
採用アカウント運用でフォロワーを追うべきではない理由
筆者の経験上、採用専用のInstagramアカウントは、フォロワー数が他のジャンルのアカウントに比べて伸びにくい傾向があります。しかし、それを気にする必要はありません。フォロワー数は求職者への影響力を測る唯一の指標ではないからです。
このためクライアントへ、採用活動におけるInstagramの役割は、興味を持つ潜在層や認知層の目に触れ、必要な情報を届けることであるとお伝えしています。アルゴリズムやハッシュタグ、リール動画などの活用により、フォロワー以外にもリーチする仕組みがあるため、「フォロワー数が少ない=影響力が低い」とは限らないのです。
また、求職者は採用アカウントをフォローする前に投稿を閲覧しているケースが多く、「フォローせずに情報を確認する」という行動が一般的です。そのため、筆者はクライアントへ、「閲覧者が行動を起こしやすい投稿設計や導線を重視することが、採用活動を成功させるポイントです」とアドバイスしています。フォロワー数に固執するのではなく、閲覧数や投稿の質を向上させることに集中することが重要です。
SNSが最適かどうかを見極める視点
しっかりと整備されたアカウントは、求職者に「信頼できる企業」という印象を与え、採用活動をスムーズに進めるための土台となります。
- プロフィールに会社の特徴や魅力が明記されているか。
- 採用ページや応募フォームへのリンクが設置され、求職者が迷わない導線があるか。
- 採用目的に応じて、既存アカウントまたは新規採用アカウントが適切に設定されているか。
- フィードの投稿に統一感があり、企業の雰囲気や魅力が視覚的に伝わるか。
ステップ3. ターゲットに合った投稿内容を設計する
次は、実際の投稿内容について考えていきましょう。Instagramで採用活動を効果的に進めるためには、ターゲット層に響く投稿内容を考えることが重要です。求職者が「この会社で働きたい」と思うような魅力的なコンテンツを発信しましょう。
採用活動での基本的な投稿の種類
具体的なパターンとしては、以下のようなものが考えられます。
- 企業文化を伝える投稿
求職者は「自分がその企業に合うか」をもっとも気にしています。社内イベント、オフィスツアー、社員の日常風景を写真や動画で紹介しましょう。
例:
○「社内で開催されたハロウィンイベントの様子」
○「フレンドリーな雰囲気の社員たちの日常」 - 採用情報を紹介する投稿
募集ポジションや仕事内容、応募方法を詳しく説明します。ただし、採用情報だけではフォロワーが増えにくいため、他のコンテンツと組み合わせてバランスを取ることが重要です。 - 求職者が共感できるストーリー投稿
「実際に働いている社員の成長ストーリー」や「企業で実現できるキャリアパス」など、求職者が自分の未来を想像しやすい投稿を作りましょう。
高エンゲージメントを狙う投稿形式
Instagramで高いエンゲージメントを得るには、リール動画やフィード投稿(原則フィード投稿では複数枚画像や動画を投稿すべきと考えるため以下カルーセル投稿と表記します)、ストーリーズなどの投稿形式を活用することが有効です。ただし、それぞれの形式はInstagramの仕様により「届く相手」が異なるため、相手の状況に合わせて発信内容を変える工夫が必要です。
- リール動画
Instagramでもっとも注目を集めやすい形式です。短くても魅力的なコンテンツを意識し、視覚的にインパクトを与える内容を作成しましょう。
例:
○社員の1日のスケジュールを紹介するタイムラプス動画
○社内イベントのダイジェストや舞台裏映像
目的:潜在層にアプローチし、企業の雰囲気を広く伝える
届く相手:新規の視聴者や、まだ自社を知らない求職者
- カルーセル投稿
複数の写真やグラフィックをスライド形式で表示する投稿。募集要項や仕事内容、社風をビジュアルでわかりやすく伝えることができます。
例:
○募集ポジションの詳細や応募の流れをスライドで説明
○社内風景や社員インタビューを交えたスライド紹介
目的:採用を検討し始めた顕在層に、具体的な情報を提供する
届く相手:企業に興味を持ち始めたフォロワー
- ストーリーズ
24時間限定の投稿で、日常的な情報や一時的なイベント告知に適しています。ハイライト機能を使えば、過去の重要な投稿を保存しておけます。
例:
○現在募集中のポジションの告知
○求職者からのQ&Aや「社員の一言メッセージ」を掲載
目的:興味を持ったフォロワーとのつながりを維持し、行動を促す
届く相手:フォロー済みの求職者や企業情報を深く知りたい人
発信内容を変えるための考え方
配信面や形式ごとに「届く相手」が異なるため、潜在層・顕在層・応募検討層のようにターゲットを選別し、それぞれに合わせた情報を発信することが重要です。
- 潜在層へのアプローチ
内容:軽くて親しみやすい情報(リール動画が効果的)
表現:視覚的で短時間で魅力が伝わるもの。企業の雰囲気や社員の笑顔、イベントの様子など - 顕在層へのアプローチ
内容:具体的な仕事内容や福利厚生、キャリアの可能性
表現:詳細な情報が伝わるカルーセル投稿や募集要項のストーリーズ - 応募検討層へのアプローチ
内容:応募の流れ、応募後のプロセス、企業でのキャリアビジョン
表現:応募ページへのリンク、Q&A投稿、ストーリーズでの具体的な説明
カスタマージャーニーと採用ターゲットの活用
これまでのステップで定めた採用ターゲットのペルソナに加え、カスタマージャーニーを考慮することで、発信内容の設計がさらに具体的になります。
潜在層には視覚的なリール動画で印象を強化し、顕在層にはカルーセル投稿で採用情報をていねいに伝えるなど、採用ターゲットの心理的な段階に応じて調整することがポイントです。
このテーマについては、「ステップ4:導線設計で成果を最大化する」で詳しく解説します。
投稿スケジュールの設計
投稿スケジュールについてはよく質問を受けます。一例として以下のような投稿バランスを提案しますが、実際には採用プロジェクトのフェーズやアカウントの成熟度、採用スケジュールに応じて柔軟に変更することが必要です。
- 例:基本的な投稿バランス
○50%は企業文化に関する投稿
○30%は具体的な募集情報の投稿
○20%は社員紹介やストーリー投稿 - 調整のポイント
○アカウントリリース直後:認知拡大を目指し、リール動画多めで視覚的にインパクトを与える。
○募集期間直前:応募を促すため、カルーセル投稿で詳細情報を発信。
○長期的な運用:バランスを意識しつつ、求職者の関心を維持するストーリーや社員紹介を増やす。
筆者はクライアントに「プロジェクトのフェーズや採用スケジュールを考慮し、適宜変更する柔軟性を持たせることが重要である」とアドバイスしています。投稿頻度や内容を固定せず、状況に応じて見直しを行いましょう。
ターゲットに響く投稿を設計することで、Instagramを通じた採用活動の成果は大きく向上します。求職者の視点に立ち、共感を得られるコンテンツを発信することを心がけましょう。次は、投稿から採用ページへ誘導する導線設計について考えていきます。
ステップ4:導線設計で成果を最大化する
Instagramは、非認知層(自社を知らない層)から認知層(興味を持ち始めた層)まで、幅広い層が情報収集に利用するプラットフォームです。採用活動で成果を上げるためには、それぞれの段階で異なる導線設計が必要です。また、投稿ごとに次に起こしてほしいアクション(行動)を明確にし、それを伝えることが重要です。
段階別の導線設計
非認知層へのアプローチ
- 目的:企業を知ってもらい、興味を持ってもらうこと。
- 導線:リール動画で企業文化や魅力を伝え、プロフィールページへの訪問を誘導。
○例:「もっと詳しく知りたい方はプロフィールをクリック!」とリール内で訴求。 - 次のアクション:投稿へのエンゲージメント(いいね・コメント)を促す。
認知層へのアプローチ
- 目的:より具体的な採用情報を届け、応募意欲を高める。
- 導線:カルーセル投稿やストーリーズで仕事内容や社員インタビューを詳しく紹介し、採用ページへのリンクを案内。
○例:「プロフィールのリンクから募集ポジションをチェック!」や「ストーリーズのリンクで応募ページへ!」 - 次のアクション:採用情報の確認、応募フォームへのアクセス。
動線設計の基本ポイント
ビジュアルでの誘導
画像や動画内で、次の行動を示す矢印やアイコンなどを活用し、視覚的にわかりやすく誘導します。
テキストで明確に指示する
投稿のキャプションや動画内で、「〇〇をチェックしてね」「プロフィールのリンクから応募してね」と、具体的な行動を呼びかけます。
- 例:
○「今すぐ応募情報を知りたい方は、プロフィールのリンクへ!」
○「DMで質問も受け付けています。お気軽にメッセージください!」
思い込みを排除する
「求職者が気付いてくれるだろう」「言わなくても行動してくれるだろう」という期待は禁物です。具体的な行動を促すことで、成果につながりやすくなります。
公式LINEの活用
この段階で公式LINEを導線に組み込む企業も増えています。LINEを活用することで、求職者との関係構築をスムーズに進められます。
LINEへの誘導方法
ストーリーズや投稿で「公式LINEで応募受付中!」「LINEで詳しい情報をお届け中!」と訴求。
LINE活用の利点
- 1対1のコミュニケーションが可能になり、求職者の疑問に直接答えられる。
- リマインダー機能を使って説明会や応募締切を案内できる。
- アンケートやエントリーフォームをLINE内で完結させることも可能。
成果を最大化する導線設計例
- リール動画
「社員の1日を紹介 → プロフィールのリンクへ誘導」 - カルーセル投稿
「募集ポジションの詳細 →3枚目に応募方法を掲載 → プロフィールのリンクからフォームへ誘導」 - ストーリーズ
「説明会の日程を告知 → リンクステッカーでLINE登録または応募ページへ誘導」
求職者にとって「次に何をすれば良いか」が明確であればあるほど、応募率や関心度は向上します。それぞれの投稿に具体的な行動を組み込むことを意識し、導線設計を徹底しましょう。
実務の視点から:Instagramアルゴリズムを理解し、採用活動に活かす
Instagramを採用活動で効果的に活用するには、アルゴリズムの仕組みを理解し、それを踏まえて戦略を練ることが不可欠です。かつてのように「良いコンテンツを投稿すれば自然と見てもらえる」という時代は過ぎ去り、今や「ユーザーにとって価値のあるコンテンツ」を提供することが求められています。以下は筆者の見解を基にしたポイントです。
Instagramの責任者であるAdam Mosseri氏が繰り返し述べているように、アルゴリズムは「ユーザーにとって価値があるか」を基準にコンテンツを選別します。特に以下の最新情報が、今後の運用に重要な示唆を与えています。
1. フォロワー数に関係なく露出機会がある
2024年4月30日の発表によれば、フォロワー数が少ないアカウントでも「発見タブ」や「おすすめ欄」に表示される可能性が高まっています。これはリールの活用が、まだ認知度の低いアカウントにとって大きなチャンスとなることを意味します。
2. オリジナルコンテンツの優先度が上昇
アルゴリズムは、他の投稿を再利用したものよりも、独自性の高いオリジナルコンテンツを優先的に評価します。この変更は、採用活動においても、オリジナル性のあるリールや投稿を重視する必要性を示唆しています。
アルゴリズム活用のための基本戦略
- エンゲージメントを重視する
「いいね」「コメント」「保存」「シェア」などのアクションが多い投稿ほど、アルゴリズムによる評価が上がります。視覚的なインパクトや、求職者が共感を抱くコンテンツを発信することが鍵です。 - 次に起こしてほしい行動を明確にする
求職者に「応募フォームはこちら」「プロフィールのリンクをクリック!」など、具体的な行動を促すメッセージを明示することで、投稿の目的を果たしやすくなります。 - タイムリーで継続的な投稿を心がける
アルゴリズムは、定期的に更新されるアカウントを評価します。投稿頻度を保つことで、ユーザーとの接触機会を増やし、フォロワーとの信頼関係を強化します。
成功するために必要な分析と理解
採用活動をInstagramで成功させるには、アルゴリズムだけでなく、自社とターゲットについて深く理解することが欠かせません。以下のポイントを踏まえて戦略を練りましょう。
- 自社の特徴や強みを理解する
自社が他社と異なる点を明確化し、求職者にとって魅力的に見える要素を抽出します。 - 採用ターゲットやペルソナを具体化する
求職者の年齢、職種、興味関心などを具体的に定義し、それに基づいた投稿内容を設計します。 - 採用ペルソナの行動を理解する
ターゲットがどのようなメディアやSNSを活用し、どのような情報を求めているのかを分析します。 - 過去の採用者を分析する
自社で成功した採用事例を振り返り、どのようなコンテンツやアプローチが有効だったかを明確にします。 - 競合の動向を把握する
同業他社や採用市場での競合がどのような戦略を取っているかを調査し、それを踏まえて差別化を図ります。 - 情報過多のなかでの接触機会を確保する
求職者は日々多くの情報に接しているため、継続的な接触やリール・ストーリーズを通じた頻繁な露出が重要です。
Instagramは単なるビジュアルプラットフォームではなく、「ユーザーが何を求めているか」を読み解き、それを満たすためのツールです。自社と求職者の行動やアルゴリズムを深く理解し、計画的かつ戦略的な運用を進めることが、採用活動の成功への近道です。
まとめ:実践チェックリスト
Instagramを活用した採用活動を効果的に行うためには、準備や運用のポイントを1つ1つ確認することが重要です。以下のチェックリストを参考に、アカウントの運用状況を振り返り、さらに改善を進めましょう。
- 採用の目的が明確か?(例:若手人材の採用、企業文化の発信)
- 目的に合った採用ターゲット(ペルソナ)が設定されているか?
- SNSが採用活動に最適な手段であると判断できているか?(他の手段との比較も検討)
- プロフィールに企業の強みや採用情報が明記されているか?
- 採用ページや応募フォームへのリンクが設置されているか?
- プロフィール写真やバナー画像が親しみやすく信頼感を与えているか?
- アカウントが統一感のあるデザインで整備されているか?(配色・フォント・投稿スタイル)
- 採用ターゲット(潜在層、認知層、応募検討層)に合わせた投稿内容になっているか?
- リール動画、カルーセル投稿、ストーリーズなど、目的に応じた投稿形式を活用しているか?
- 求職者が「この会社で働く姿」をイメージできるような具体的な投稿があるか?(例:社員のインタビューや職場の風景)
- 投稿ごとに「次に起こしてほしいアクション」を明確に伝えているか?
- ビジュアルやテキストで、応募や問い合わせへの動線がわかりやすく示されているか?
- 公式LINEや応募ページへの誘導がスムーズに行われているか?
- 誘導方法がターゲット層に適したものになっているか?
- 定期的に投稿が行われているか?(目安:週1~2回)
- 投稿の効果を分析し、必要に応じて改善を繰り返しているか?
- 採用活動全体の目標達成率を把握しているか?(応募者数、採用者数など)
- 投稿形式の効果(リール動画、カルーセル投稿、ストーリーズ)が評価されているか?
- SNS以外の手段も含め、採用全体の戦略が最適化されているか?
このチェックリストは、採用活動におけるInstagram運用の全体像を把握し、改善点を明確にするためのツールとして活用できます。採用活動のなかでアカウントの弱点や強みを可視化し、優先順位をつけながら改善を進められます。さらに、求職者がストレスなく情報を得られる仕組みを整えることで、企業と求職者のマッチング精度を向上させることができます。
定期的にチェックリストを振り返り、必要な改善を積み重ねていくことで、Instagramを活用した採用活動をより効果的なものにしていきましょう。
2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。
この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。
タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント)
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。
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