地方自治体の災害関連ページを、無料でCDN化してアクセス集中に備える方法【SEO記事12本まとめ】
地方自治体や公共団体のサイトで、災害時にアクセスが集中しても問題ないようにするには、CDN化やインフラの増強が基本だ。しかし、そうした追加コスト負担なしに、無料で利用できるCDNのインフラがある。予算のないところはぜひチェックしてみてほしい。
ほかにも、グーグル検索やSEOに関する最新の情報を、ポイントを絞ってわかりやすくお届けする。
- h1タグはSEOに必要? 不要?
- リンクの評価は時間がたっても消えない!
- アフィリエイトリンクに rel="sponsored" を付けるべき?
- コアアップデート対策をグーグルが公式解説
- 検索結果での見せ方を細かく制御できる新しいタグをグーグルが導入
- Search Consoleでパンくずリストが正しく認識されているかチェック
- Search Console関連の情報多数、新meta robotsタグの情報も ―― 10月のオフィスアワー
- 良いSEO会社に発注するための3つのステップ
- 検索パフォーマンスレポートの「Web Lightの結果」とは?
- 自社ビジネスに対する自己レビューのリッチリザルトを今後は表示しない、Googleが条件を変更
- 【Google社員に確認】nofollowがヒントになったからといってスパムには悪用できない
今週のピックアップ
地方自治体の災害関連ページを、無料でCDN化してアクセス集中に備える方法
アクセス集中でもグーグルのCDNでダウンなし (金谷 武明 on ツイッター) 国内情報
超大型台風の上陸で、多くの人が情報を求めてアクセスしたことで反応が遅くなってしまった地方自治体のサイトがあったようだ。
アクセス集中でもサイトを問題なく機能させるには、サーバーやネットワークを増強するかCDN(コンテンツ配信ネットワーク)を利用するのが基本だ。とはいえ、地方自治体の予算ではどちらも厳しいのが現実だろう。
しかし今は、グーグルのCDNを無料で利用できる方法があるのを、あなたは知っていただろうか?
それは、ページをAMP化することだ。AMP版ページをグーグルが正しく認識すれば、AMP版は自動的にグーグルのAMP用CDNから配信されるようになる。つまり、情報を探す人のアクセスは自動的にグーグルのCDNで受け止めてくれるのだ(グーグルの検索結果ページや一部のアプリなどからのアクセスのみで、モバイル限定だが)。
グーグルのCDNならば、ちょっとやそっとアクセスが多いからといって、落ちることはもちろん動作が緩慢になることもないであろう。つまり、あなたのネットワークやサーバーには何も手を加えなくても、アクセス急増に耐えやすくなるのだ。
もちろん、キャッシュなので刻々と変化する最新情報の提供には不向きかもしれない(常に最新のコンテンツをAMPキャッシュに反映する仕組みはある)。
それでも、避難場所やハザードマップなど頻繁には更新しないコンテンツなら、キャッシュでもさほど問題にはならないはずだ。サイト全体ではなく、自然災害のように短時間のアクセス集中が想定されるコンテンツだけAMP対応するといった選択もできる。
また、AMP化で情報がCDNから配信されるようになるのは、前述のように一部のモバイルアクセスだけだ。商用CDNや万全のサーバー増強に比べれば完璧ではない。
しかし、万全の備えができないのであれば、少しでも改善しておくことも検討する価値はあるだろう。それによって救われる人が増えるのならば、たとえ海外企業のインフラであったとしても最大限に利用して損はない。
それに、サイトの一部だけAMP版に対応するのならば、CDNの導入やサーバー増強に比べて追加のコストや維持負担がはるかに少なくて済むはずだ。
グーグル金谷氏も、この件に関しては次のようにコメントしている。
冗談でもポジショントークでもなくて、政府や公共団体のウェブ担当者の方々には災害情報だけでも AMP 対応して欲しいですね。実際多くの地域の公共団体のサイトが繋がらなかったり重くなったりしていますが、AMP 対応すれば専用のキャッシュサーバーからコンテンツが配信されるので快適に閲覧できます https://t.co/AEFvBiqrMc
— 金谷 武明 (@jumpingknee) October 12, 2019
こちら多少文脈がありまして、何か唯一のソリューションとして話していたのではなくて、高速化のために AMP を導入すると、こういった災害時にも役に立ちますよ、という話が前提となっています。
— 金谷 武明 (@jumpingknee) October 12, 2019
金谷氏の言うように、「AMP版をつくっておけば万全」というものではない(AMP用CDNは災害対策のためのインフラではないのだから)。それでも、災害時のアクセス急増に耐えやすくなるという側面があるのは事実だ。
このコーナーに政府や地方自治体、公共団体のウェブ担当者もしくはウェブ担当者の知り合いがいたら、「サイトの災害対応」としてのAMPについて教えてあげてほしい。
- 政府や地方自治体、公共団体のWeb担当者 必見!
グーグル検索SEO情報
h1タグはSEOに必要? 不要?
SEOには必須ではないがアクセシビリティには必要 (#AskGoogleWebmasters on YouTube) 海外情報
SEOでこんなことを耳にしたことがある人は多いだろう:
見出しタグ(h1などのタグ)はSEOで非常に重要。特に、上位表示を狙うキーワードをh1タグに入れることは必須。
これは、筆者がSEOに携わり始めた十数年前には鉄板のSEOだった。h1タグの記述は実際にランキングに影響を与えることもあった。では、現在はどうだろうか?
また見出しタグに関しては、次のような疑問も繰り返し聞く:
h1タグはページ内に複数使ってもいいのか?
グーグルのジョン・ミューラー氏がこうした「グーグルがh1タグをどう扱っているのか」を解説してくれている。
結論から言えば、次のとおりだ:
- 現在はh1タグがなくても問題ない
- 1つのページで複数のh1タグを使っても問題ない
ここでは、あなたも少し驚いたかもしれない「h1タグがなくても大丈夫」のほうを主に解説する。
筆者の経験から言っても、今のGoogle検索では、h1タグにキーワードが含まれているかどうかでランキングに目に見えるような差が出るとは、到底思えない(検索結果ページでのクリック率はtitle
要素が中心なのでここでは触れない)。
そう聞くと、「h1タグはもう要らない」と結論付けたくなるかもしれないが、必ずしもそうとは言えない。
SEOの観点から言えば、検索エンジンはh1タグをまったく考慮しないというわけではない ―― つまりh1タグを適切に記述することは、ページに書かれている内容をグーグルが理解する手助けにはなる(現在の検索エンジンはh1タグに頼らずとも内容を理解できるので、「絶対になければならないもの」だとも言えないレベルだが)。
一方でHTML、言い換えればセマンティックの観点からは、見出しとしてh1タグ(さらに、次のレベルの見出しとしてh2タグ、さらにその次のレベルの見出しとしてh3タグ)を使うことには意味がある。見た目的に見出しに見えるようにCSSでデザインすることに加えて、hタグでマークアップしていくことで、ドキュメント構造をより適切に表せる。
またセマンティックの観点は、アクセシビリティの観点にもつながる。h1タグでマークアップすることは、見出しであることを明確に定義しており、たとえばスクリーンリーダー(読み上げブラウザ)を利用するユーザーに対して役立つ。
グーグルのSEOだけに焦点を当てるのであれば、h1タグはなくても構わない。あるに越したことはないが、既存のページに設定していなくても、わざわざ今から追加するほどの労力をかける価値は高くないだろう。
だが、特にアクセシビリティを考慮するのであれば、適切な見出しにh1タグを設定することが推奨される。要は、h1タグは適切に使用するのが良いが、その目的はSEOだけではないということだ。
なお、1つのページで複数のh1タグを使っても問題ないことに関しては、グーグルは以前から明らかにしている。本当に必要だと考えるのであれば、好きなだけ使うことができる。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
リンクの評価は時間がたっても消えない!(低減することはある)
リンク元ページの評価が関係する (Google Webmaster Central office-hours) 海外情報
リンクの評価が時間経過でどう変わるかに関して、グーグルのジョン・ミューラー氏が興味深い発言をした。
時間がたつとリンクの価値が消滅する――そういったことはない。
しかし定期的に更新される大規模サイトからのリンクで、時間の経過とともにサイトの奥のほうに追いやられていくと、しだいに重要度が低くなってくる。
たとえば、CNN のトップページからのリンクは重視される。しかし2年後に、リンクしているその記事がアーカイブに移動したとしたら、しだいに重要度が低くなっていくかもしれない。
つまり、こういうことだ:
- 時間がたったからといってリンクの価値が変わることはない
- ただしリンク元ページの評価が変わればリンクの価値は変わる
「時間の経過」そのものではなく「リンク元ページの状態の変化」によってリンクの評価が低下する場合がある(完全になくなることはないにしても)というのは、言われてみれば当然のことだ。同じサイトからのリンクでも、リンク元ページ自体の評価が低ければ、そのページからのリンクの評価も低くなるのはリンク評価の原則だ。
言い換えれば、公開から長い年月が経過したページであっても、リンク元サイト全体の構造が変わっておらずリンク元ページの評価が変わっていなければ、そのページからのリンクの価値は下がりづらいはずだ。それどころか、リンク元ページに絶えずリンクが集まり続けているのであれば、時間の経過とともに評価が高まっていく場合もあるだろう。
グーグルのアルゴリズムに関心がある者にとっては興味深い現象に違いない。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- ホントにSEOを極めたい人だけ
アフィリエイトリンクに rel="sponsored" を付けるべきか?
コメント (John Mueller on Twitter) 海外情報
グーグルは先だって、次の2つの変更を同時に導入した:
rel="nofollow"
リンクを、命令ではなくヒントとして扱うように変更rel="sponsored"
とrel="ugc"
というnofollow
派生型リンク属性を導入
rel="sponsored"
と rel="ugc"
の機能は nofollow
と同じだが、対象とするリンクの種類をより絞り込んでいる:
sponsored
―― 金銭がかかわってくるリンク(例: 広告のリンク)ugc
―― ユーザーが作成したリンク(例: コメント欄のリンク)
では、アフィリエイトのリンクはどのように扱うべきなのだろうか? 本質的には、金銭がかかわる広告リンクなのであれば、リンクに rel="sponsored"
を付けるべき(または rel="nofollow sponsored"
と併用するべき)なのだろうか?
この件に関してグーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにコメントしている。
金銭上の理由でリンクがそこにあるなら、rel="nofollow sponsored" を使うことには意味があるだろう。
まぁ、グーグルは多くのアフィリエイトリンクを自動的に判別できているけどね。念のために説明しておくと、アフィリエイトサイトを運営すること自体に問題ない。グーグルはリンクを相応に扱いたいだけだ。
Yes, if the link is there for monetary reasons, using "nofollow sponsored" would make sense. A lot of affiliate links are recognized automatically (it's fine to have an affiliate site, we just want to treat the links appropriately).
— 🍌 John 🍌 (@JohnMu) September 30, 2019
アフィリエイトリンクに sponsored
を付けることは理にかなっている。だが、付けなければならないということではない。一般的なアフィリエイトのリンクをグーグルは認識しているので、nofollow
だけでも適切に扱ってくれるというわけだ。
sponsored
にしても ugc
にしても、使ったところでサイト管理者側には実は、何のメリットもない。リンクの種類をグーグルが学習したいので、サイト側から教えてほしいという目的でしかない。
したがって、アフィリエイトリンクにあえて sponsored
を追加する必要はない。だが、グーグルの勉強を手助けしたければ、sponsored
の追加はもちろん良いことだ。グーグル検索にお世話になっていると感じているのなら、恩返しになるだろう。
- すべてのアフィリエイター 必見!
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
ウェブ担当者必読! コアアップデート対策をグーグルが公式解説
(グーグル ウェブマスター向け公式ブログ) 国内情報
グーグルは、今年3回目となるコアアルゴリズムのアップデートを9月24日に実施した。タイミングが悪く、このコラムの前回の入稿直後だったためお伝えできなかった。
このアップデートに関しては、グーグル金谷氏が日本語で告知してくれている。
本日後ほど、広範囲にわたるコア アルゴリズムのアップデートを実施いたします。本アップデートは年に数回実施されるもののひとつです。コア アルゴリズムのアップデートについて詳しい情報はこちらのブログ記事をご参照ください。https://t.co/ovxoASK3EN https://t.co/QZEGJUeheM
— 金谷 武明 (@jumpingknee) September 24, 2019
The September 2019 Core Update は、数時間前にロールアウトを開始しました。今後数日間で様々なデータセンターに反映されていきます。https://t.co/eeikyUb08T
— 金谷 武明 (@jumpingknee) September 24, 2019
そしてタイミング良くグーグルの公式ブログで、
- コアアルゴリズムアップデートがどういったものなのか
- 影響を受けた場合にサイト管理者としてどのように対応すべきか
を解説する記事の日本語訳が公開された(オリジナルの英語記事は8月に公開されていた)。
公式ブログ記事の内容から重要な解説をいくつか抜粋する。
Google では年に数回、検索アルゴリズムとシステムに重要かつ大規模な変更を加えており、このような変更を「コア アップデート」と呼んでいます。コア アップデートは、全体として、関連性が高く権威あるコンテンツを検索ユーザーに提供するという Google の使命を果たすために行われます。
掲載順位が下がった場合はサイトを修正しようと思うかもしれませんが、間違った修正を行わないように注意してください。場合によっては、まったく修正の必要がないこともあります。
コア アップデート後にページの掲載順位が下がったとしても、そのページに修正すべき問題があるとは限りません。それでも、コア アップデート後に掲載順位が下がった場合は、何かする必要があると感じるかもしれません。そのような場合は、できるだけ優れたコンテンツの提供に集中することをおすすめします。Google のアルゴリズムでは、コンテンツの品質に基づいて掲載順位を決定しているからです。
元の公式ブログ記事では、このほかにもコアアルゴリズムアップデートに関する重要な情報を提供している。
グーグルによる解説のなかで「コンテンツの品質を高める方法」「コンテンツの専門性・権威性・信頼性を高める方法」の比率がどんどん高くなってきている気もするが、それは現在のSEOの潮流だととらえるしかないだろう。
そういった意味では、コアアルゴリズムアップデートの影響を受けたことがなくても読んでおく価値が高い。10分もかからず読める内容なので、ぜひチェックしておいてほしい。
- すべてのWeb担当者 必見!
ソーシャルもやってます!