初めての顧客管理

Excelの顧客管理に限界がきていませんか? CRMツール移行の判断基準とは

あなたの会社の「顧客管理」は名簿管理になっていませんか? それはマーケティングに使えますか?

この記事は「初めての顧客管理」シリーズをWeb担当者Forum向けに再構成したものです。

貴社では顧客管理、していますか?
その「顧客管理」はほんとうに活用できる顧客管理でしょうか?

「顧客情報はExcelで管理しています」という企業はまだまだ多いと思います。ですが、それはほんとうに「顧客管理」でしょうか。単に、「顧客リストを持つ」ことに終始していないでしょうか。

本シリーズでは、単なる「顧客データの保持」から「CRM(顧客管理)」への脱却を考えている方に、自社にとっての顧客管理システムの必要性や導入のヒントやコツを紹介していきます。

第1回は、自社の顧客管理は「どこでどうやって、何を使って行うのがいいのか」の判断基準についてです。

顧客管理を行う目的を明確にする

顧客管理は何を使って行うのか、その前にまずその目的を明確にしましょう。

顧客管理という言葉は、CRM(Customer Relationship Management)をあらわす日本語として定義されています。その意味は単に「お客さまの情報や履歴を格納すること」のみならず、「お客さまの情報を管理し、分析し、お客さまと長期的に良好な関係を維持すること」です。

つまり、「紙の情報をデータ化しただけ」「顧客リストを持っているだけ」では、ほんとうの意味で顧客管理をしているとはいえません。

貴社は、保持している顧客データをもとに、顧客と長期的に良好な関係を維持するために何をしたいと考えていますか? 「現在の課題」と「期待する効果」を踏まえて目的を明確にしましょう。

  • 自社のデータが増えてきたので、安全に管理・運用したい
  • 蓄積されているが活用されていない顧客データを活用したい
  • アプローチできていない顧客に対して、メールマガジンを送るなど、顧客接点を増やしたい

どんな目的で、何のために顧客管理をしたいと考えているのか。目的なしに顧客管理ツールを選定することはできません

やりたいことが明確になって初めて、顧客管理のためのツールに何を選べばいいのか、どこで行えばいいのかを検討できます。

顧客管理ツールはどんな視点で選べばいいのか、よく使われているツールを例に、それぞれの特徴を簡単に整理しました。

ExcelとAccessでできること

冒頭で話した通り、顧客データの管理によく使われているツールの代表格はExcelです。そしてもう1つ、Accessがあります。

ExcelとAccessのメリットは、多くの企業で導入されているMicrosoft Officeに含まれているため、なにより普及率が高く、導入コストがほとんどかからないことです(Accessの有無はライセンスによります)。そのメリットからどちらも広く利用されてきましたが、両者はデータの構造に大きな違いがあります。

  • Excel:フラット構造

    1枚のシートですべての情報を持つ

  • Access:リレーショナル構造

    データの種別ごとに個別のテーブル(表)へ格納する

一般に顧客管理ツールで用いられているのは、Accessと同じリレーショナル構造のデータベースです。

Accessは顧客マスタや店舗マスタ、履歴データなどの情報を別々のテーブルに保持するイメージです。1枚のシートで情報を持つExcelと比較して各テーブル(表)のデータ量が少なくて済むため、より大量のデータを扱うことに適しています。ただし、AccessはExcelに比べて検索性が下がる傾向があります。

リレーショナル構造のイメージ図
リレーショナル型の構造ではデータを種別ごとのテーブル(表)に格納。一部を抽出したり、複数を組み合わせたりして、複雑なデータを扱える。

このリレーショナル構造が多少とっつきにくいこともあり、普及率はExcelが圧倒的です。そのほか、両者には構造だけではなく、扱えるデータ量、複数ユーザーでの利用の簡便性などに違いがあります。

このような違いはあるものの、ExcelもAccessも、お客さまの情報や履歴を格納することはできます。

  • データ量がそれほど多くない(Excelの1シートで見渡せる範囲にあるなど)
  • 利用する人数が少ない
  • 更新頻度が少ない
  • ファイルを複数人で共有していたとしても、競合することが少ない

このように、情報量が少なく、リアルタイムの共有があまり重要視されないような場合は、Excel、もしくはAccessでデータを保持していてもあまり不便は感じないでしょう。

ただし、ExcelとAccessで個人情報を取り扱うには注意が必要です※1。Excelにもセキュリティ設定があり、ファイルを閲覧・編集するためにパスワードを必要にしたり、アクセスを制限したりできます。

しかし、このパスワードの設定は人に依存し、パスワードを間違えても通常のセキュリティ設定であればファイルにロックはかかりません※2。運用のセキュリティポリシーを決めたとしても、実際のパスワードが類推しやすいもので運用できるのであれば、個人情報を取り扱うには適切ではないといえます。

また、ファイル自体を手軽にメールに添付できるなど、持ち出しがしやすい点も懸念点の1つです。

※1:Microsoft社自身も、「Excel の保護とセキュリティ」と題し警告を出しています。

※2:Office 2010以上であれば、グループポリシーが利用できます。グループポリシーでは、パスワード制御やアカウントロックを設定できます。

顧客管理システムでできること

ExcelやAccessでも、限られた状況であれば、お客さまの情報や履歴を格納することはできるでしょう。

では、顧客情報を顧客管理システムで管理したいと思われるきっかけは何なのでしょうか。CRM製品を提供する弊社への問い合わせから考えると、まず量の問題でExcelでの管理の限界を感じる方が多くいます。

量的な問題の次に考えるのは、「顧客管理を行う目的を明確にする」で例に挙げた「やりたいこと」がExcelやAccessで実現できるかということです。

Excelから脱却して顧客管理システムの導入を検討する代表的な理由は、次のようなものです。

  • データ量が増え、処理に時間がかかっている
  • 利用人数が増えてきた
  • 顧客に対してCRM施策を行いたい

企業の営業・マーケターがやりたいことは、お客さまとのコミュニケーションであるCRM施策です。CRM施策の一例としては、データを利用した定期的なメールマガジンの発行が挙げられます。顧客の属性、製品の利用状況、過去の問い合わせ状況、営業対応など、顧客1人ひとりの状況にあわせたメルマガを配信したいといったものです。

単にリストとして顧客情報を持つだけならExcelやAccessでも十分でしょう。しかし、CRM施策をやろうとすると、次のような要素も求められてきます。

  • 大量の顧客情報を一元管理できる
  • 複数の担当者が同時に操作できる
  • Webサイトのフォームと連携できる
  • メール配信システムと連携できる

また、もう1つのポイントとして、セキュリティの問題が挙げられます。個人情報の扱いがセンシティブになっている昨今、自社で個人情報を保持することに懸念を抱く企業も増えています。

  • 取り扱えるデータ量が多い
  • 情報が共有できる
  • メール配信システムなど他システムと連携できる
  • セキュリティが強固である

このように前述したポイントは、ほとんどの顧客管理システムで解決できます。さらに、次のような点もメリットです。

  • 顧客情報の取得がスムーズになる

    取得した顧客情報の管理だけではなく、入り口となる登録フォームなどをシステム上に設置することで、フォームへの登録が完了すると、自動的にデータベースへ登録できます。これにより、顧客情報の登録・管理が簡単になります。

  • システムベンダーのサポートを受けられる

    顧客情報の管理、活用にはその道のプロがいます。そこから顧客管理や活用方法のアドバイスをもらうことは、顧客情報の安全で効率的な運用の手助けになるでしょう。

ですが、ひとくちに顧客管理システムといっても、その内容は多岐にわたります。では、自社に合った顧客管理システムを導入しようと考えた場合、何をポイントにすればいいのでしょうか。

顧客管理システムはクラウド型/インストール型どちらを選ぶ?

各社が提供している顧客管理システムには、提供の方式が大きく2つあります。クラウド型(オンデマンド)とインストール型(オンプレミス)です。また、機能で見ると、顧客管理に特化したツールのほか、サイト制作やメール配信機能まで備えたツールもあります。

現在の顧客管理システムの提供方式は、インターネットを介してデータを利用するクラウド型が一般的です。この連載でも、現在主流のクラウド型システムを前提に解説していきます。

クラウド型のメリットは、次のようなものです。

  • インストール型に比べて設備投資など初期費用が安価
  • 導入までの期間が短い
  • ハードウェア保守などの運用管理を自社で行う必要がない

これらは、クラウドサービス全般に共通するメリットですが、CRMツールでも同じです。一方、クラウド型のデメリットは次のようなものです。

  • セキュリティや稼働率などのシステムに対する信頼性
  • ランニングコスト(データが増えると増大する可能性のある課金体系など)

顧客情報は個人情報ですから、システム提供元のデータベースに施されているセキュリティやデータ通信の機密性については精査が必要です。

個人情報を取り扱う以上、一定以上のセキュリティは担保されているはずですが、システム提供元の不正侵入対策やサーバーの監視体制、システムメンテナンスの頻度や障害時の対応などはきちんと確認しましょう。

規約だけではわからない、気になることがらについては、セキュリティチェックの問い合わせをするのもいいでしょう。オフィス内だけではとどまらない業務スタイルが広がる現在では、クラウドサービスの需要の高まりとともに、その安全性の担保は重要です。

課金体系もさまざまです。データ量やメール配信数に応じた従量課金制などの場合は、月額料金が高額になる可能性があります。

顧客管理システムの機能の選び方

クラウド型の顧客管理システムには、いくつかのメリット/デメリットがありますが、どんなツール・サービスにも共通することがあります。それは、「顧客管理システムを導入したからといって、すぐに売り上げが伸びるわけではない」ということです。

冒頭で伝えたように、目的なしに顧客管理ツールを選定することはできません。顧客管理は、顧客データを活用して初めて、お客さまと長期的な関係を維持でき、結果的に売り上げにつなげられるのです。

また、顧客管理システムは、いろいろな用途に細分化されています。

  • 顧客情報の管理機能(顧客情報の分析など)
  • メール配信機能
  • SFA(営業支援システム)
  • コールセンター機能

これらは代表的な機能ですが、多機能だからといって高度なシステムだとは限りませんし、それが望む効果に結びつくとも限りません。どれだけ高度なシステムを導入したところで、自社でシステムを活用できなければ意味がありません。

できることが多いからこそ、なぜ導入したいのか、導入して何をしたいのかを明確にし、自社の目的に合った顧客管理システムを選択することも重要なポイントです。

システム導入の前には、「現在の課題」と「期待する効果」を踏まえて目的を明確にすると説明しました。そうすれば、同時に「自社に必要な機能は何なのか」が絞られてきます。

たとえば、

  • 課題:見込み顧客へのアプローチができていない
  • 期待する効果:定期的なアプローチによる自社の認知・啓蒙

などです。アプローチできていない顧客に対して、メールマガジンを送るなどして、顧客接点を増やしたいと考える企業は多いでしょう。また、コールセンターでサポートを行う企業ではコールセンター機能やお問い合わせ管理機能が、通販企業であればEC連携が必要になるでしょう。

そういった必要な機能の選定と合わせて、顧客リストの量や企業規模に合わせたシステムを選ぶことが重要です。

導入後のデータ登録がCRMの運用を左右する

導入するシステムを決めたら、いよいよ既存のExcel(エクセル)から顧客管理システムにデータを移行することになります。実際にデータベース化する際、意外と手間取るのが「データ整形」です。

Excelで管理されている顧客データを顧客管理システムに登録するには、導入先のシステムに見合った形にデータを整形する必要があります。ほとんどのツールはCSV形式のデータに対応しているため、Excelからのデータ移行にはさほど苦労しませんが、

  • データの重複がない形でデータを登録(インポート)したい場合
  • 大量の選択肢型項目を作りたい場合
  • データは整形したけれどインポート形式がCSV形式だったために起こってしまった仕様上のエラー

など、1つひとつは細かい内容でも、積み重なってつまずきの原因になることがあります。

第2回は、データベースにデータを登録するためのデータ整形のコツについて解説します。

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