Lesson 1

新卒で大手英会話スクールに入社した桐嶋ひかり。研修を経て配属されたのはWeb担当部署。SEOやリスティング広告での集客、UI改善など、Webマーケティング戦略で資料請求数や入学申込数を増加させることが目的だ。入社したばかりでWeb運用の知識がまったくないひかりだが、負けず嫌いな性格が災いして、入社早々役員の前でビッグマウスをかかげてしまう。自社Webサイトの改善を一任されたひかりは、無事プロジェクトを成功に導くことができるのか?

登場人物

桐嶋ひかり(23)
大手英会話スクールに新卒入社し、Web担当部署に配属された新米Web担当。Webマーケティング戦略で資料請求や入学者数を増加させることがミッション。バイタリティーが旺盛で、逆境にめげず目標を成し遂げようとする負けず嫌いなタイプ。時おり周囲を顧みずに発言するクセがあり、自分自身で困難な状況を作りがちな一面も。

 

真須翔平(27)
IMJのWebコンサルタント。あらゆる業界・業種のWeb制作や運用、プロモーションなどに携わり、Webを中心に、事業拡大へ貢献してきた。趣味はお酒全般。行きつけのバーで1人お酒を飲むのが日課。ひかりが憧れる大学時代の先輩でもある。

 

Webサイト改善ではじめに取り組むKPIの「因数分解」

 

先輩。Web担当者がはじめにやることって何ですか?

 

まずは、目的を整理する。今回は「売上を上げる」でいい??

 

はい、そうです。入学者数を上げて、売上を2倍にすること。

 

次に「KPI」を決めよう。
 

 

Key Performance Indicatorのことですね!この本にも書いてありました(ちゃんと理解できていないけど……)

 

企業が目標を達成するためには、必ずKPIを設定することが重要。いろんな施策でこの指標をクリアするのがWebマーケターの役割だな。

 

うちの英会話スクールの場合は、「資料請求」がKPIになっています。

 

まずはWebサイトからどれだけ入学案内資料が請求されているのか、現状の数字を把握することからはじめてみたら?

 

あの〜私の上司が事あるごとに「PV数を上げろ!」と言ってくるんですけど、やっぱりPV数って重要なんですか?

 

オレが担当しているお客様の中にも「PV数」「トップページ直帰率」「回遊率」を気にする人がいるけど、Webマーケティングの最終目標は、成果を上げること。PV数よりも資料請求数や体験入学数など、より「売上」に直結する数値の方が大切

なるほどぉ。ちなみに資料請求数を見てみると…あんまりよくないって、社内で言われています…。この数値を上げるには何をやったらいいんですか?

 

KPIを管理するには、「資料請求」がどのような要素の構成になっているかを分析してみることが大切だ。KPIの「因数分解」とも言うかな。

 

 
因数分解?私数学が苦手で(実は文系)。

 

Masu’s eye

【英会話スクールの場合】

資料請求数(KPI)=流入数×到達率×完了率

流入数:サイトに訪れるユーザー数=UU数

到達率:資料請求フォームに到達するユーザーの割合

完了率:資料請求フォームに入力が完了するユーザーの割合

コンバージョン率(CVR)=到達率×完了率

 

 

当たり前だけど、流入数と到達率、完了率が増えなければ、資料請求数や売上は増えない。また、流入数が多くてもフォームまでたどり着けなかったり、フォームの入力を完了する人が少なければ資料請求数は上がらないということ。大切なのは、ユーザーがサイトに来てから資料請求するまでの流れの中で、どこに課題があるかを見極めること。例えば、入力フォームの項目を見直すだけでも完了率は上がるんだ。


到達率が低ければ、フォームに到達しやすいようにバナーやリンクを見やすい位置に置く、という感じですね!

 

 
そうそう!
 

Web担当者必携!KPI分析レポートとは?

 KPIの因数分解の仕方もわかったし、これから会社に戻って明日の会議の資料を作ります。ありがとうございました!
 

ちょっと待った! 会議でレポートを発表するならこれを持っていけ。

 

こ、このシートは…。なんですか?(笑)

 

これはオレが普段使っているKPI分析レポート。

 

これが、あのKPI分析レポート…。(ほとんど理解できていない)

 

さっきも言ったけど、Webサイト改善にはPDCAが必須なんだ。つまり、それぞれの数値はどうか、どこに課題があるか、どんな施策を打つのか、そして、実施した施策の効果はどうだったのか…。計測したい項目を日ごとに追っていくことが必要だよ。

確かに、こうやって一覧になっていると、見たい数値をいつでも見ることができますね。

 

Masu’s eye

流入数・到達率・完了率以外にも、売上に直結する「電話での問い合わせ数」「体験入学予約数」などの項目もウォッチできる。

 

 

ツールを導入することで、例えば毎朝7時に自動で数値を更新することもできるんだ。レポート作成の負荷も、コピペミスも減らせる。 会議に参加する人も共通の認識を持つことができる。定型レポートはWebマーケターなら必携だね。

Web担当になって、何から始めればいいのかわからなかったんですけど、やることが整理できてスッキリしました。

本当にありがとうございました!私、燃えてきました。明日の会議でも頑張ります!

 

翌日の会議…

 

私は、フォームの完了率が低いと思います!
つまり、フォームを早急に改善することが先決です!
 

ちょっと待った!
こんなの意味あるの?
 

ええええええっ!?
なんで!!?

 

 

Web担当者としてWebサイトの改善に取り組んだひかり。順調な滑り出しに見えたが、ひかりが立てた改善施策に突如横やりが入った。その理由とは…  

 

第2話はこちら
『Webコンサルは眠らない #2 駆け出しWeb担当ひかりのPDCA相談 』