『クリエイターのための権利の本』(全6回)

クリエイターの著作権(版権)とは? どこまで主張できる? ロゴの事例で解説

クリエイターのために、著作権侵害の事例を交えながら、著作権法についてわかりやすく解説。インターネット上には、イラストやデザイン、楽曲などのフリー素材が多数ありますが、利用条件をよく読まずに使用してしまうとトラブルに発展する恐れがあります。フリー素材とはいえ、どこまで使用していいのかを確認しましょう。

書籍『クリエイターのための権利の本』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開。

CHAPTER 1 クリエイターが権利について知っておくべき理由
SECTION 01
今、権利について知っておくべき理由

クリエイターは権利のことについて無頓着な人が多いようです。しかしクリエイターは、他人の権利を侵害する可能性も、逆に他人から権利を侵害される可能性も、非常に高い職種です。これからのクリエイターは、自分の身を守るためにも権利について知っておくべきです。

インターネットが変えた著作権トラブルの形

近年、様々なメディアで著作権に関するトラブルや問題が取り沙汰されています。TVのニュースなどで取り上げられ大きな話題になったものだけでも、東京オリンピック・パラリンピックエンブレム問題 (図01)、MERYやWELQなどに端を発したキュレーションサイト問題、芸人のフリー音源無断利用問題など多数の事例をあげることができます。

図01 (左)佐野研二郎氏がデザインした2020年東京オリンピック・ロゴ
(右)オリビエ・ドビ氏「リエージュ劇場」のロゴ
(左)出典:商標登録第6008748号
過去の判例や報道された事実関係を前提とすると、このロゴが著作権侵害と判断される可能性は低いといえるでしょう。
(右)出典:リエージュ劇場公式サイト(http://theatredeliege.be/

これら、最近の著作権トラブルには一つの傾向が見られます。それは「インターネットが大きく関与している」点です。

2015年に起きた東京オリンピック・パラリンピックエンブレム問題は、著名なグラフィックデザイナーの佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムについて、ベルギーのリエージュ劇場のロゴをデザインしたデザイナーであるオリビエ・ドビ氏が自分の制作したロゴと類似しているとして国際オリンピック委員会に対し使用の差止めを求めた事件です。

しかし、ロゴやエンブレムの類似性の問題というよりも、ここから派生してエンブレム使用イメージとして佐野氏が使用した写真が他のウェブサイトからの無断転用であったと報道で指摘されたこと(図02)や、佐野氏の事務所でデザインしたサントリーのトートバッグデザインの一部にも画像の無断使用の疑いが浮上し、インターネット上で批判が拡散された結果、最終的にエンブレムの取り下げを余儀なくされました。

図02(上) 佐野氏制作のエンブレム使用イメージ
図02(下) ブログに掲載されていた写真
出典:朝日新聞デジタル「五輪エンブレムの使用例、無断転用か 他サイトに類似」(2015年9月1日)

また、もう少し前の事例では、2005年に漫画家の末次由紀氏が自身の漫画で描いていたバスケットボールのシーンが井上雄彦氏の漫画「スラムダンク」のトレースではないか、という検証サイトが立ち上がり、描写の盗用について末次氏も認めて出版社が漫画の連載中止、単行本の出荷停止、絶版、回収したという事案もありました(図03)。

図03 検証サイトによる比較
出典:「漫画家・末次由紀氏 盗用(盗作)検証」ウェブサイト

Memo

ITmedia NEWS「漫画の表現盗用、2chの指摘で絶版・回収に」(2005年10月18日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/18/news099.html

現在では、仕事においても私生活においても、インターネットは欠かせない存在です。クリエイターにとってもインターネットの世界は、作品を公表したり情報を発信したりして、自分の価値を高める重要な場となっています。しかし一方で、インターネットは誰かが他人の著作権を侵害していないかを全世界のユーザーがチェックする監視ツールとしても機能しています。

著作権侵害や他のクリエイターの作品を軽視する態度はクリエイターとしての信用を大きく傷付けてしまうリスクがあります。このような事態を避けるため、著作権に関する最低限の知識を身に付けておく必要性が高まっています。

Memo

佐野研二郎氏は元SMAPのメンバーからなる「新しい地図」のアートディレクションを担当し、2018年に朝日広告賞を受賞するなど活躍していますし、末次由紀氏は「ちはやふる」の大ヒットで華々しい復活を遂げています。

簡単に素材を流用できてしまうからこそ注意が必要

フリー素材サイトだから使ってもよいだろうと考えて利用条件をよく読まずに使用してしまう。画像検索で自分のイメージにあった写真が見つかったのでそのままイラストにしてしまう。そんなことが簡単にできる環境にあります。

2018年には芸人の「ひょっこりはん」によって自分の楽曲「sonorously box」が利用条件に違反して使用されたとして「音楽素材MusMus」の管理人が著作権侵害を指摘しました。具体的には、「著作権表記がされていない」、「著作権表記をしない場合の利用料を支払っていない」、「他の企業などにフリー音源として二次配布を行った」ことが利用条件違反だという指摘です。この件については後日「音楽素材MusMus」の管理人が吉本興業との話し合いで解決したと報告しています。

2016年に株式会社ディー・エヌ・エーが運営していたMERYやWELQなどに端を発したキュレーションサイト問題では、運営していた10サイトで著作権侵害の可能性のある記事が最大で約2万件、画像は最大で75万個あったと第三者委員会が報告しています。結果的には問題のあったキュレーションサイト10サイトが休止となりました。これほど大規模でないとしても、会社形態などで複数のクリエイターが関与して制作する場合、皆が最低限の知識を持ち合わせているケースは少ないでしょう。万が一会社の従業員がインターネット上の素材を無断転用してそれを会社名義で納品していたことが判明すれば、クライアントに対して責任を負うのは会社です。

著作権の侵害は、自分だけではなく所属する会社やクライアントにも迷惑がかかります

Memo

音楽素材MusMus
「ひょっこりはんによる当サイト楽曲への著作権侵害について」
http://musmus.main.jp/blog/hyokkorihan01/

音楽素材MusMus「ご報告」
http://musmus.main.jp/blog/gohoukoku/

Memo

第三者委員会「調査報告書(キュレーション事業に関する件)」(2017年3月11日)
http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1450400&code=2432&ln=ja&disp=simple

同じクリエイターとして、他者が創作した作品に対しては、敬意を払いたいものです。権利についてよく知らずに使ってしまったことで、結果取り返しのつかないことになるかもしれません。

インターネット上では様々な素材が公開されています。簡単に流用できてしまうからこそ、正しい知識を持って何をしてよいか、何をしてはいけないのかを自分で判断しなければなりません。

契約でトラブルを避けることができる

クリエイターが企業のクライアントのために成果物を制作するときにどれくらい事前に契約書を交わしているでしょうか? 契約書を交わさず、そして条件をきちんと話し合わずに成果物を納品し、後日、成果物の著作権がクリエイターとクライアントのどちらにあるのか争いになったり、クライアントが利用できる範囲について争いになったりするのは典型的な紛争パターンです。

当然ながら争いはお互いに避けたいものです。それなのに、この種の紛争は繰り返し裁判になっています。

クリエイターが納品したデザインがクライアントの商品パッケージに使用され大ヒットしたときに、納品したデザインは著作権侵害だとクライアントが訴えられ商品を回収することになったらどうなるでしょうか。その時、何も契約で責任範囲を決めていなかったら、クライアントから莫大な損害賠償請求をされることもありえます。契約について理解しておくこともクリエイターが身を守るためには欠かせません。

自分の身を守るためにも契約書を交わす癖を付けよう

Memo

契約についてはCHAPTER5で取り上げています。

クリエイターが自分で自分の権利を守る時代の到来

インターネットの世界は、自分の著作物を、無断で複製・改変され、世界中に拡散される危険性が常に存在しています。自分が時間をかけて何度も修正して苦労の末に生み出した著作物を勝手に他人が使用して、しかもそれによって利益を得ていたら、クリエイターはどのような手段をとれるでしょうか? TwitterやInstagramなどで自分の作品が無断で使用されていたらどうでしょうか? 相手をどうやって見つければよいでしょうか? 相手が無断使用を認めたときにどれくらいお金を払ってもらえるのでしょうか? その時になって慌てないように、自分にはどのような権利があるのかを理解して適切な選択ができるように、例えばP180で解説している少額訴訟など、自分でもできる対抗手段についても知っておくべきです。

Memo

Twitterなどのインターネットサービスの多くは、著作権侵害をされた場合にプラットフォームに通報する窓口が存在します(P166参照)。

根拠のない批判や反論に屈しないために

昨今では、クリエイター自身もブログやSNSアカウントを持ち、積極的に自分の作品を公開しています。作品に対する苦情や不満も、直接クリエイターに寄せられるようになってきています。自分が制作した作品が著作権を侵害されたら、SNSのフォロワーなどが直接報告してくれたりすることもあります。そして、もし自分が制作した作品が著作権を侵害していたら、直接クリエイターに批判がぶつけられることになります。

自分の作品ではなく、他人の作品に対する言及でもトラブルを招くことがあります。例えば前述した「東京オリンピック・パラリンピックエンブレム問題」について、同業であるデザイナーが意見を発信すれば、他業種の人たちの意見以上に注目され、それに対する異論や反論が寄せられる可能性も高くなります。それらに返答する際に著作権の知識が間違っていれば、さらにその点を指摘され、場合によっては炎上という事態を招きかねません。

他人の作品に対するトラブルなら、静観することでSNS上のトラブルを避けることもできるでしょう。ですが、自分が発表した作品がSNS上で「盗用だ」とされてしまったら、それを黙って静観してはいられません。

自分が撮影した写真を無断で転載しているブログを見つけたので運営者に削除を依頼したら「これは私的複製の範疇だから削除する気はない」といわれた(→P056)。

自分が作った作品とそっくりなロゴを見つけたので抗議をしたら「ロゴに著作権はない」といわれた(→P048)。

イラストを公開したら、SNSで「色使いをパクった盗作だ」といわれた。(→P046)

こんな言葉を浴びせられた時、あなたは法律に基づいた正しい反論ができますか?

インターネットで公開した作品は、世界中の誰でも見ることができます。その大半は、クリエイターの視点とは違う、一般の人たちの視点です。クリエイターの目で見れば類似性はないと確信できても、一般の人の目には「似ている」と見えてしまう。そのようなケースは数え切れないほど存在します。そして、その「似ている」といい出した人が、大きな発信力と影響力を持つ人だったとしたら、と考えてみてください。

オリジナルの作品を「パクりだ」と非難されたら、誰だってショックを受けます

インターネット上では、「他人の著作権侵害を見つけて糾弾したい」と手ぐすねを引いて待ち構えている人が大勢います。しかも、その人たちが著作権について正確な知識を持っているとは限りません。

インターネットを利用する以上、クリエイターは自分の身を守るためにも、法律上の根拠がある論理的な反論、もしくは対処ができなくてはならないのです。

いざという時は頼れる窓口、専門家と連携しよう

前述したように、インターネットが発達した今の時代において、著作権はクリエイターにとって必須の知識といえます。ですが、著作権法に限らず、法律というものは非常に複雑で難解です。

本書では、少しでもわかりやすくするため、実例をできるだけ多くあげながら、極力専門用語は省き、現場での対応に視点を置いた解説を心がけています。ですが、それでも「わかりにくい」と感じる部分もあるかもしれません。また、本書では説明しきれていないような問題に直面するかもしれません。

本書の中ではAと解説している内容が、他の書籍やウェブサイトではBと解説しているなど、解釈が分かれるようなケースも十分にあり得ます。一見似たような内容であっても、状況や経緯、そして(類似性の)程度によって、裁判所の判断が真逆になることもあるのです。それは、本書に掲載されている裁判例をご覧になれば、おわかりいただけることでしょう。

もし判断に迷うような場面に出会ったら、すべてを自分だけで解決しようとするのではなく、頼れる窓口や専門家と連携しましょう。専門家と話をする上でもクリエイター側も著作権の知識を持っていたほうが自分の意見、希望も伝えやすいですし、スムーズな連携が可能になります。

Memo

相談窓口や専門家についての詳細はP166、P174を参照ください。

まとめ
  • インターネットの登場により権利の問題は大きく変化している。
  • クリエイターは他者の権利と自分の権利を守らなければならない。
  • 権利のトラブルを防ぐために、知識と相談するネットワークを持つことが必要。
COLUMN

著作権者の了解を得ずに著作物を使用できるとき

原則として、他人の著作物を利用する際には著作権者の許諾を得る必要があります。ただ、中には許諾を得ずに利用できる場面もあります。その例を4つ紹介しましょう。

①日本の著作権法を適用する条件をみたさない場合

日本の著作権法による保護を受ける著作物(無断で利用できない著作物)は、以下のいずれかに該当するものです(著作権法6条)。そのため、以下のいずれにも該当しない著作物は日本の著作権法では保護されず、利用に際し、著作権者の許諾を得る必要はありません。

  1. 日本国民が創作した著作物(国籍の条件)
  2. 最初に日本国内で発行(相当数のコピーの頒布)された著作物(外国で最初に発行されたが発行後30日以内に国内で発行されたものを含む)(発行地の条件)
  3. 条約により我が国が保護の義務を負う著作物(条約の条件)

理解が難しいのは「条約の条件」でしょう。この「条約の条件」をみたせば、同盟国の国民の著作物と同盟国で最初に発行された著作物が日本の著作権法で保護されることになります。

具体的には、日本はベルヌ条約、万国著作権条約、TRIPS協定(WTO加盟国に適用)、WIPO著作権条約に加盟しています。ほとんどの国は条約に加盟しており、現状で条約の条件をみたさない国としてはエチオピアとイランがよくあげられます。また、北朝鮮については条約に加盟していても未承認国家であるため「条約により我が国が保護の義務を負う著作物」にあたらないと判断されています(北朝鮮映画事件)。

他方、未承認国というと台湾も保護されないのか、という疑問が浮かぶかもしれません。台湾は独立の関税地域としてWTOに加盟しており、未承認国かどうかにかかわらず、台湾については保護されます。

Memo

最判平成23年12月8日民集65巻9号3275頁〔北朝鮮映画事件〕、法曹会編『最高裁判所判例解説民事篇・平成23年度(下)』(法曹会、2014)733頁〔山田真紀〕。

公益社団法人著作権情報センターの「著作権関係条約締結状況」で条約の加盟状況の情報がまとめられています(http://www.cric.or.jp/db/treaty/status.html)。

②著作権の保護対象にならない著作物

次のような著作物については、著作権の保護対象にならないとされています(著作権法13条)。したがって、利用に際し、著作権者の許諾を得る必要はありません。

  1. 憲法その他の法令(地方公共団体の条例、規則を含む。)
  2. 国や地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人の告示、訓令、通達など
  3. 裁判所の判決、決定、命令など
  4. ①から③の翻訳物や編集物(国、地方公共団体又は独立行政法人、地方独立行政法人が作成するもの)

③保護期間が切れている場合

著作者の死後50年が経過した著作物については、保護期間が切れているので著作権者の許諾は不要です。法人名義の著作物については、公表時から50年、映画の著作物については公表時より70年が保護期間となっています。ただし、音楽CDに関して著作権は切れても著作隣接権の保護期間が残っている場合など判断が難しい場面はあるため、実際に利用する際には注意が必要です。

Memo

著作権法51条2項。より正確にいうと、著作者の死亡した年の翌年の1月1日から起算されます(57条)。映画や職務著作の公表時についても同様で、公表した年の翌年の1月1日から起算となります。

  • 映画の著作物について著作権法54条1項。
  • 法人名義の著作物について著作権法53条1項。

なお、環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)発効後は、保護期間が70年に延長されます(平成28年改正著作権法)。

④「権利制限規定」による「例外」の場合

例えば、私的使用のための複製(著作権法30条)、引用(32条1項)、教育、試験のための利用(33条から36条)、図書館等での複製(31条)、聴覚障害者等向けの点字や字幕の作成(37条、37条の2)、報道のための利用(39条から41条)などは「権利制限規定」による「例外」とされ、著作権者の許可は不要とされています。ただし、あくまでも例外であり、それぞれの規定が定める条件を守ることが必要です。また、権利制限規定によって出所の明示は必要ですし(48条)、目的外の利用はできません(49条)。さらに、著作者人格権を侵害しないよう注意しなければなりません(50条)。権利制限規定といっても無条件の利用を許可しているわけではないので、理解しておきましょう。

COLUMN

Googleの画像検索で著作権侵害を探してみた

著作権の行使は新しい技術の登場により、さらに容易なものになるかもしれません。2018年1月17日、米国のGoogleは「高度な画像認識システムを構築できるサービスをクラウド上で提供する」ことを発表しました。このサービスを利用すれば「大量の画像の中から、複数の条件に基づいて特定の画像を見分ける」システムを容易に構築できるとのことです。

例えば、判断が難しい「類似性」について、過去の判例をAIに学ばせて、その上で画像検索をさせれば、より著作権侵害の可能性が高い画像を選別することができるようになるかもしれません。煩雑で手間の掛かる訴訟の手続も、AIが代行してくれる時代が来るかもしれませんね。

現状のGoogle画像検索でも、著作権を侵害している相手を見つけられるのか、実際に試してみました。実験に利用させてもらったのが、本書における著者の一人である「角田綾佳」さんの漫画です(図01)。こちらは、2018年5月8日にTwitterで公開され、2018年7月21日時点で8万超リツイート、18万超のいいねを獲得しています。

図01 角田綾佳「自己評価が低いひとのめんどくさい心模様」@spicagraph
図01 角田綾佳「自己評価が低いひとのめんどくさい心模様」@spicagraph

Memo

日経経済新聞 「グーグル、AI活用手軽に 利用企業は専門家不要 」(2018年1月17日)(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25801290X10C18A1TI1000/

この画像をGoogle画像検索してみた結果について、ご本人に「正式に掲載の許可を出しているもの」をチェックしてもらいました。また、引用の範疇での利用である場合についても確認しました。その結果が(図02)です。

ご覧のとおり、著作権を侵害していないといえるものは、ほんの一握りにすぎません。現状のGoogle画像検索でも、著作権侵害を見つけ出すことは十分にできるようです。

図02 Google画像検索の結果
Twitterの埋め込み機能を使っているケースは○と判断しています。確認したところ、本文では埋め込み機能を使っているものの、アイキャッチ用に画像を切り出しているケースが数多く見受けられました。これはTwitterの埋め込み機能とは無関係なので、埋め込み機能を使っているという理由からセーフとはなりません。画像の使い方からすると引用とも判断できません。
COLUMN

東京オリンピック・パラリンピックの「ロゴ」と「エンブレム」

オリンピック・パラリンピックに関連する図案の表現については、インターネット上のメディアはもとより、大手報道機関においても「ロゴ」と「エンブレム」を混同しているケースがありました。ちなみに、国際オリンピック委員会(IOC)の規定では「ロゴ」を以下のように定義しています。

YOG 立候補都市のロゴの作成と使用を規定する条件

1. 導入と定義
1.2 本行動規則を理解する上で、 下記の語句は以下の意味を持つものとする。

a)「都市ワードマーク」 とは都市名+同一行での「 大会開催年」 を指す。
b)「名称」 とは「 ユースオリンピック競技大会の立候補都市」 を指す。
c)「大会」 とはユースオリンピック競技大会のいずれか1大会を指す。
d)「ロゴ」 とは複数の特徴的要素により統合されたデザインを指し、 上部から下部にかけて、下記のように整えられるものとする。

  1. 規則 2.1 に従い創作された特徴的デザイン要素
  2. 都市ワードマーク
  3. 名称(位置は都市ワードマークの直下)

e)「オリンピック・シンボル」とはオリンピック憲章が規定する通り、同じ大きさの 5つの結び合うオリンピック・リングを指す。

出典:IOC 倫理規程 Ethics 2018 年版・英和対訳(https://www.joc.or.jp/olympism/ethics/pdf/ethics2018_j.pdf

この規程に基づいて判断すると(図01)は、図全体が「エンブレム」とされ、「オリンピック・シンボル(またはパラリンピック・シンボル)」を除いた部分が「ロゴ」とされることになります。

図01 2020年東京オリンピック・パラリンピック「エンブレム」
左 オリンピックロゴ 右 オリンピックエンブレム
参考:IOC・JOCの定義による「エンブレム」と「ロゴ」の違い(https://www.poc39.com/archives/4064
出典:東京オリンピック・パラリンピック公式ホームページ「東京2020大会エンブレム」(https://tokyo2020.org/jp/games/emblem/

※Web担特別転載では掲載のないページの注釈も原文のまま掲載しています。指定のページやChapterご覧になりたい方は、書籍でご確認ください。

クリエイターのための権利の本
  • 著者:大串肇、北村崇、染谷昌利、木村剛大、古賀海人、齋木弘樹、角田綾佳
  • 発行:ボーンデジタル
  • ISBN:978-4-86246-414-9
  • 価格:2,400円+税

法律の解釈よりも「実際にどうしたらいいのか」を解説します!

ネットの普及により著作権が侵害されたり、逆に知らぬ間に侵害してしまったりというケースが増えています。

この本は、プロ・アマを問わずクリエイターやコンテンツ制作に従事する方が知っておかなければならない権利や法律について、具体的に「やっていいこととやってはいけないこと」「トラブルになってしまった時の対処方法」を紹介します。

これまでの著作権関連の書籍よりもより実務ベースで、よくあるケースごとにOKなのかNGなのかを「それぞれの部門のプロフェッショナル」が答えます。

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