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Amazonの根幹アイデアとは? 2019年に注目すべきアマゾン6つの動向

アマゾンはすべてのカテゴリーで優位に立っているわけではない。どんな弱点があり、今後どう動くのか? 6つの角度から分析。

この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。

Amazon(アマゾン)には弱点もありますが、今後も強みをより強化してくるでしょう。ビジネスの多角化を進め、実店舗の小売ビジネスへはさらに力を入れてくるはずです。

2018年のテック系ニュースを見てみると、アマゾンの強さに驚きます。アマゾンは2019年、世界で最も価値の高い企業になるでしょう。株式市場の動向にもよりますが、すでに最も企業価値の高い会社になっているのです。

ジェフ・ベゾス氏は世界で一番のお金持ちになるでしょう。そして、その事実はECやクラウド業界にとって象徴的な勝利になります。今まで「世界一のお金持ち」は、その時代のビジネスモデルで成功した人たちでした。

富裕層ではないアメリカ人をターゲットにした実店舗小売事業のサム・ワトソン、堅実な企業に価値の高い投資をするウォーレン・バフェット、PC時代を席巻したビル・ゲイツなどです。

2019年も勢いが止まらないと考えられるアマゾンの6つの動向を見てみましょう。

1. 最も弱いカテゴリーでコンバージョン率を上げる

驚くかもしれませんが、アマゾンはすべてのカテゴリーで優位に立っているわけではありません。比較的弱いカテゴリーに関して、アマゾンは入念に取り組むでしょう。たとえば、Jumpshot(編注:データ分析のプラットフォーム提供会社)が調べた22のマーケットプレイスのカテゴリーのうち、アマゾンのシェアが最も低いのは、洋服と靴でした。

靴カテゴリーでは、2009年に「Zappos(ザッポス)」を買収。2017年にはNike(ナイキ)がアマゾンで直販をする契約を結んで話題になり、靴のカテゴリーに切り込んできました。

いまだに多くの消費者は洋服選びに関して、実際に手にとって試着することに重きを置くため、アマゾンの洋服カテゴリーは引き続き苦戦しています。

2018年にアマゾンは、複数の洋服を買う前に試着し、簡単に返品できる「Prime Wardrobe(プライムワードローブ)」というサービスをローンチしました。

Prime Wardrobeは日本でも始まっており、対応商品にはマークが付く
https://netshop.impress.co.jp/node/5894

Stitch Fix(編注:パーソナルスタイリストサービスを提供するECサイト)やTrunk Club(編注:米国の百貨店チェーンであるノードストローム傘下で、パーソナルスタイリングを提供するアパレルECサイト)のようなスタイリングを提案する機能はありません。しかし、そのような機能はない方が今後拡大はしやすいといえるでしょう。

当たり前の結果ですが、プライムワードローブでもっとも人気の高いブランドは「Lark & Ro」「Daily Ritual」「Amazon Essentials」「Goodthreads」など。すべてアマゾンのオリジナルブランドです。

また、家具のWayfairやペット用品のChewyなど、デジタルネイティブのスタートアップが台頭するなか、アマゾンはそれらのカテゴリーも積極的に切り崩してくるはずです。より広範囲のホーム関連商品を扱い、それに強いアマゾンは、その強みを武器に戦ってくるでしょう。

2. コンバージョン率の高いカテゴリーでボリュームを増やす

ホーム用品やパーソナルケア、食品など、販売ボリュームは少ないながらも、コンバージョン率が非常に高いカテゴリーがあります。Jumpshotのデータでは、伝統的な消費者向けパッケージ商品を消費者がアマゾンで探した場合、4分の1以上の確率で消費者は購入しています。これほど高いコンバージョン率は、他に例がありません。

Alexa(アレクサ)やAmazon Dash Button(ダッシュボタン)を普及させると同時に、Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)を買収した狙いの1つもそこにあります。オリジナルブランドを作りやすいカテゴリーを成長させるために、今後もコツコツと努力を続けることでしょう。

3. 継続的な多角化

現代のテック企業の中で、アマゾンとMicrosoft Corporation(マイクロソフト)は最も多角的な売り上げ基盤を持つ企業です。Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)が80~90%以上の収益を広告に頼っているのに対し、アマゾンの商品販売からの利益は3分の2にとどまります。つまり、小売事業以外でも大きな成長を遂げているのです。

商品検索のほとんどがアマゾンから始まっているため、結果として検索広告やスポンサー広告の収益が引き続き伸びています。さらに、AWSやフルフィルメントサービスなどのBtoBサービスも好調です。アマゾンは私たちが考えているよりもビジネスを多角化しているのです。

オンラインショッピングのスタート地点として検索エンジンを使用するユーザーの割合は約28%。アマゾンで検索するユーザーは約55%(2016年調査)
出典:インターネットリテイラー社
https://netshop.impress.co.jp/node/5159

4. リアル店舗でスケール

アマゾンは、「Amazon Go」や「Amazon 4-Star」(編注:ECサイトで評価が星4つ以上の商品、ベストセラー、人気急上昇中の新商品などをそろえたリアル店舗)などのリアル店舗で、リアル店舗運営の試験的な取り組みを継続しています。でもそれらはまだ実験なのです。

アマゾンがテスト運用するリアル店舗「Amazon GO」
https://netshop.impress.co.jp/node/3788

アマゾンは豊富なリソース、クリエイティビティとリスク耐性を武器に、革新的な試みに挑戦し、スケールすることを目指しています。ホールフーズ(編注:米国の大手スーパーマーケット)買収で、すぐにスケールが可能になりますが、自社の店舗ネットワークを構築するのは、時間もお金もかかるプロセスです。

ですから、今後も試験的な取り組みは続けるものの、自社の実店舗を大規模に拡大していくことはないでしょう。その代わり、ホールフーズのチャネルを使ってイノベーションを推進すると同時に、さらなる買収で実店舗の拡大を図る可能性はあります。

5. ロボットを隠し続ける

アマゾンの倉庫システムや効率的なサプライチェーン技術のニュースはよく目にしますが、倉庫の中を見る機会はほとんどありません。なぜでしょうか? それは、人々を怖がらせてしまうからです。

グーグルはロボットメーカーのBoston Dynamicsを2013年に買収しましたが、2017年にソフトバンクに売却しました。それはなぜでしょう? ロボットの動画は人々に恐怖を与えました。新しい動画が作られるたびに、すばらしい技術への畏敬の念ではなく、不安やネガティブなコメントが多く聞かれたのです。

人間のような動きをする、人間とは懸け離れた姿のロボットは、人々を「不気味の谷」に陥れるのです。何十年もロボットの反乱をテーマにしたSF映画を見せられてきた我々は、「ターミネーター」のようにロボットが次の時代を支配すると想像してしまいます。

アマゾンはより目立たない方法を取ってきました。2012年にアマゾンは「商品出荷技術のイノベーター」と賞賛したKiva Systemsを7億7500万ドルで密かにを買収。Kiva Systemsの技術のおかげで、直近2年間でアマゾンはコスト削減に成功し、出荷までの時間を75%も短くできたという試算もあります

アマゾンはKivaをアマゾンロボティクスと社名変更し、他社への技術販売を中止。その代わり、アマゾンのフルフィルメントサービスを利用する際に利用できる技術としてアピールしています。実際にロボットを目にした人が恐怖に慄かない限り、すばらしく効果的な戦略でしょう。

アマゾンロボティクス(旧Kiva Systems)
https://www.amazonrobotics.com/

6. 信頼を取り戻す

2018年にアマゾンが信頼を失ったというのは言い過ぎかもしれません。今でもアマゾンへの信頼や顧客満足度は高いままです。さまざまな企業への信頼がこの50年で下落していることを考えれば、アマゾンは異例でしょう。

全般的に、消費者はアマゾンのレビューや、「アマゾンチョイス」「アマゾンベーシック」に信頼を寄せています。返品が必要になっても、手続きが煩雑ではないとわかっています(我々のデータでは、アマゾンの返品率は業界で最も低いため、返品自体があまり発生しないのですが)。

しかしながら、HQ2プロジェクト(編注:第2本社建設計画)への対応は珍しく失敗しました。多くの都市が名乗りを上げましたが、結局は面白みのない2つの場所が選択肢として残っただけでした。ビジネス上は良い選択でしょうか? 多分そうでしょう。しかし結局は、アマゾンは金融市場(ニューヨーク)とロビー活動のメッカ(ワシントンD.C.)の近くを選んだだけ、という印象を与えてしまいました。

アマゾンの根幹にある基本指針

上記6つの動向をつなげるとどうなるでしょう? おそらく、もっとも古いアマゾンの根幹アイデアにたどり着くでしょう。ジェフ・ベゾスがスケール・アンド・スコープを象徴する「アマゾン」という名前に決めるまでは、「レレントレス」(絶え間なく続く、という意味)という名前でした。ベゾスは未だに、Rerentless.comというURLを所有しています。

「絶え間なく続く」というこのマインドセットは、現在のアマゾンでも受け継がれています。弱い部分を絶え間なく改善しているのです。コンバージョン率の高いカテゴリーに多くの流入を絶え間なく促し続けています。

新しいコンセプトに絶え間なく挑戦し、絶え間なくサプライチェーンの改善をしています。飛躍的な成功を収める可能性があれば、比較的成功していたアプローチも喜んで捨て去ります。絶え間なく続けることが、アマゾンの今の成功を牽引してきました。そして2019年もアマゾンは、同じように絶え間なく努力を続けるでしょう。

オリジナル記事はこちら:Amazonの根幹アイデアとは? 2019年に注目すべきアマゾン6つの動向(2019/01/24)

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