文才ない、書くのが苦痛……書けない人必見! リスティング広告文のやさしい書き方講座
ウェブ担当者:はあ……(と深いため息)。か、書けない。
寳:こんにちは。あっ、今日は新しいリスティング広告の広告文「拡張テキスト広告」※を考えていたんですね。これまでより、表現の幅が広がってよかったですよね。
ウェブ担当者:どこがいいんですか……私、文才ないんで、こんなに広告の文字数が増えちゃって、もううんざりなんですけど。これまで「広告表示オプション」で使ってたものと、かぶるのも気になるし……。
寳:ははは、困っておられるようですね。残念ながら、書くことに特効薬はないですけど、大事なところですからね。しっかり書いていきましょう。
グーグルとヤフーの仕様は共通化していく傾向のため、この記事ではAdWordsの「拡張テキスト広告」とともに、「広告表示オプション」についても説明します。
「広告文=キャッチコピー」という考えを、いったん捨てる
拡張テキスト広告とは、Google AdWordsの新しい広告フォーマットです。従来より見出しや広告文の表現の幅が広がりました。一方で、広告文を作るのが今まで以上に大変になったという声も聞こえてきます。
リスティング広告の広告文を書くうえでよく耳にする悩みの筆頭は、「うまい表現が思い浮かばない」というものです。そういう方に話を聞いてみると、ほとんどの場合、広告文をポスターやテレビCMで使われる「キャッチコピー」のようなものだと考えていることがわかります。
筆者は、運用型広告の業界に入る前から編集/ライターの経験があるのですが、結論から言うと、リスティング広告(特に検索連動型広告)をキャッチコピーと同じように考えようとするのは、「無理がある」と考えています。
少なくとも、リスティング広告の広告文にキャッチコピー型を採用して成果を上げられるのは、ごく一部の上級者に限られるでしょう。
実際、リスティング広告の広告文とキャッチコピーは相当違います。「広告文=キャッチコピーではない」点を知ることからはじめましょう。
「抽象的」と「具体的」2つの表現の違い
キャッチコピーは、ポスターやテレビCMでよく使われる「抽象的」な文章です。これに対して、リスティング広告で使われる広告文はとことん「具体的」です。
たとえば、新築分譲マンションで展開される広告のキャッチコピーは抽象的で知られています。
美しい静謐が包む、世田谷の邸宅に住まう。
このように抽象的なキャッチコピーは、リスティング広告では効果的ではありません。リスティング広告で展開するならば、次のような広告文になります。
世田谷区若林の新築マンション - 3LDK4500万円から・全棟南向き
若林駅徒歩10分。大型スーパー・小学校あり。3/31モデルルーム公開。来場予約はこちら
まったく違うことがわかるでしょう。これは、なぜでしょうか。
キャッチコピーは言葉のプロによる優れた仕事で、リスティング広告の広告文は言葉のアマチュアによるいい加減な仕事だからではありません。広告が受け取られるときの「文脈」が異なるからです。
キャッチコピーは基本的に「不特定多数」が「じっくり読む」ことを前提として作られています。キャッチコピーのまわりにはビジュアルがあり、そのなかでイメージを喚起させるように表現が磨かれるため、おのずと「抽象的」になります。
よく練られたキャッチコピーは、商品・サービスに対して書かれたものながら、詩や結晶のように研ぎ澄まされていることがあります。
一方、リスティング広告の広告文は「強いニーズをもった少数のユーザー」が「チラ見する」前提で作るほうがうまくいきます。検索という行為の真っただなかで広告が目に触れるため、ほんの一瞬で目的をもったユーザーに自分ゴトであると捉えてもらうことが求められます。そのため、表現はおのずと「具体化」に向かうのです。
抽象的ではなく具体的な表現であることで、ユーザーにイメージを喚起させるのがリスティングの広告文の役割とも言い換えられるでしょう。
なお、インターネットにいるユーザーの行動は多種多様なので、強いニーズをもった1人ひとりのユーザーに、それぞれ自分ゴトであると捉えてもらうための工夫が必要です。
たとえば、上記の例の「世田谷区」の個所に「杉並区」を入れ最寄り駅を変えることで、杉並区の新築マンションの広告として立派に成立します。
- 世田谷区若林の新築マンション……若林駅徒歩10分
- 杉並区高円寺の新築マンション……JR高円寺駅徒歩10分
このように、ところどころ「入れ替え可能な要素」が入っているのが、リスティングの広告文の特徴でもあり、キャッチコピーにはあまりない要素だと考えられます。
この「入れ替え可能な要素」を上手に含めることにより、ユーザー1人ひとりに対する「具体性」を上げることに成功したリスティング広告が数多くあります。
いずれにせよ、リスティング広告の広告文は、キャッチコピーのように抽象的であるよりも、多種多様なユーザーのニーズに応えるべく具体的に書くほうがよいということを頭にとどめておいてください。
広告文は広告表示オプションまで含めて「整える」
広告文に書くべきことがわかったら、拡張テキスト広告を作成していきましょう。冒頭で少し触れましたが、拡張テキスト広告とは、Google AdWordsの新しいテキスト広告のフォーマットです。従来よりも、見出しや広告文の表現の幅が広がり、新規作成の広告は、すべて拡張テキスト広告に置き換わっています。
そんな拡張テキスト広告とあわせて使いたいのが、Google AdWordsの「広告表示オプション」です。
「広告表示オプション」は、広告文とは別に追加で情報を加えられるオプション機能です。代表的な広告表示オプションとして「サイトリンク」があります。もし、まだ付けていないならば、拡張テキスト広告作成の際にぜひ追加してください。
すでに広告表示オプションを付けている方は、拡張テキスト広告作成の際、その広告表示オプションもあわせて整理するのがお勧めです。拡張テキスト広告で文字数が多くなり、広告の情報量を増やせるため、どこに何を配置するのがよいか、改めて整理する絶好のタイミングです。
図1は、「冷えとり靴下」を扱っている通販サイトで展開されるだろう広告文の例です(サイトは架空のものです)。図の①から③までが通常の広告文の構成要素、④から⑦までが広告表示オプションです。
表示例A、は「コールアウト表示オプション」「構造化スニペットオプション」「サイトリンク」が出たパターンで、表示例Bは、「サイトリンク」が価格表示オプションになった例です。広告文に加えて、複数の広告表示オプションが掲載されています。
こうした広告表示オプションは、よく広告文とあわせて掲載されるので、広告文の構成要素としてセットで捉えるとよいでしょう。
広告文に盛り込むべき7つの要素
次の表は、広告文とオプションの構成要素に何を盛り込むかを整理してものです(★は筆者が考える重要度)。表と例を見ながら、図1の表示例とあわせて、書くというより「盛り込む」イメージをつかんでください。
★★★★★
①広告見出し(タイトル)1,2
最も文字サイズが大きく、最初に目にとまる個所です。ターゲットとなるユーザーの目に触れてほしい、もっとも重要な内容を入れます。見出し1のほうが重要なので、軸となるキーワードは見出し1に入れましょう。
★★★☆☆
②URLのパス
サイト内のどの階層にランディング(遷移)するかを示します。実際のサイト内の構造とぴったり一致していなくても問題ありません。日本語で記述できるのも柔軟で便利です。
★★★★☆
③広告文(説明文)
広告の説明文です。検索キーワードが強調表示されます。見出し内容の詳細を記しましょう。40文字と構成要素のなかでもっとも長い文字数が使えますので、盛り込むべき内容が長い場合はここに配置するようにします。
★★★☆☆
④コールアウトオプション
「送料無料」や「豊富な支払い方法」など、ユーザーがサイトを利用する上でのメリットを盛り込みます。
★★★☆☆
⑤構造化スニペットオプション
ヘッダーと呼ばれるテーマを選び、商品やサービスの特定の側面を強調するような内容を盛り込みます。ヘッダーには「ブランド」「スタイル」「サービス」「タイプ」などがあります。
★★★★★
⑥サイトリンク
通常の広告文に設定しているランディングページとは別に設定できるリンクです。あわせて読んでもらいたいサイト内のページを設定します。CVRの高いページから選ぶとよいでしょう。
さらに見出しに加えて説明文2行を追加できる「拡張サイトリンク」もあります。説明の有無でクリック率が大きく変わるので、必ず設定したい広告表示オプションです。
★★★★☆
⑦価格表示オプション
モバイルに加え、デスクトップPCでも使えるようになった広告表示オプションです。価格情報を入れられます。「\1,000/月」という単位を入れたり、「\0」と表記したりできます。広告で1位になったときに表示され、価格情報の掲載によってクリック率が大きく変わることを確認しています。
いかがでしたか。これらの情報を参考に「広告文を整える」ことで、まとまらずに迷ってしまったり、情報が重複してしまったりすることが少なくなるはずです。ぜひ活用してみてください。
書くことには生みの苦しみがともなう。
向き合って乗り越えよう
ここまでリスティング広告の広告文に関して、「抽象的な表現よりも具体的に書くことの重要性」「構成要素に沿った盛り込むべき内容」、それぞれ例を交えながら話してきました。
でも正直なところ、この記事を読んでいただいても、依然として広告文を書くのに苦労すると思います。ライター経験のある私自身、一見スラスラ書いているように見えるかもしれませんが、実は書くことに苦しんでいます。広告文にかぎらず、書くことには生みの苦しみがともなうのかもしれません。
こうした「生みの苦しみ」は、ビジネスの現場でいえば、企画が進まなかったり、成果が出せなかったり、停滞しているような状態が近いでしょう。誰もが経験しているように、苦しくても真剣に向き合い続けることでしか乗り越えることができません。
書くことのような、「生みの苦しみ」に粘り強く向き合い、乗り越えること。決して華やかなスキルではありませんが、これからのWebマーケティングの担当者が良い仕事をするうえで、確実に求められることだと考えられます。
主催:CSS Nite
この記事を執筆している寳洋平氏が、新しいリスティング広告の作り方を学びたい人向けに、Google広告の新フォーマット『レスポンシブ検索広告』を解説するワークショップを、3月27日(水)に銀座で開催します。
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