成果の頭打ちを打開! Web集客を抜本的に見直す3つの手法と成功事例
ビッグデータや機械学習をはじめとしたAIが注目を集めている背景にあるのは、Webマーケティングの実践が当たり前になり、競争が激化しているため、成果が伸び留まっているという現状だ。
「Web担当者Forum ミーティング 2016 秋」では、ビービットの生田氏が「成果の頭打ちを打開する! ウェブ集客を抜本的に見直す手法と成功事例」と題し、ユーザー行動を踏まえたうえで成果を向上させるための仮説・実験型の実践手法を事例とともに紹介した。
Web広告運用の現状と課題
生田氏はまず、現在Webの集客を担当しているマーケターが直面している悩みを紹介した。それは次のようなものだ。
新規顧客の刈り取り、リスティング、リターゲティングなど、ある程度の勝ちパターンが見えているが、それも限界で成果が伸び止まっている
また、次のような問題もある。
リスティング広告を中心にCPA(Cost Per Acquisition)が高沸しており、CPAを下げようとがんばってもこれ以上は下がらない
もちろん成果を上げコストを下げるためにLP(Landing Page)のA/Bテストをはじめ、さまざまな最適化の努力は行っているが、それも限界が見えてきているという。
生田氏は、この頭打ち状態を脱却するために行われている新しい取り組みとして、次の3つのカテゴリーを挙げる。
1. 刈り取り以外の施策の現状
従来の「広告を見て買ってもらう」といった短期の刈り取りマーケティングではなく、複数回の広告接触を念頭に置き、潜在層に向け長期的に認知を獲得し、優良顧客に育てていくことを目的としたマーケティングを行っていこうという考え方だ。
だが、そのためには長期のコミュニケーションシナリオを考える必要があるうえ、実施後すぐに明確な成果向上が見られない。そのため難易度が極めて高く、途中で詰まってしまうことが多いと言う。
2. 新しいデータ分析手法の現状
刈り取りマーケティングの場合はCPAなどの直接コンバージョンを見てきたが、購買に至るプロセスのなかでコンバージョンに貢献した要因を探る「アトリビューション分析」や、「認知」>「検討」>「購買」>「リピート」のサイクルを可視化する「購買プロセス分析」など、新しいデータ分析手法を活用してみようという試みだ。
だが、どちらも扱うデータ量が膨大な上に分析も難しく、うまく使いこなしている企業は少ないとのことだ。
3. 新しいテクノロジーの現状
最近話題となっている新しいテクノロジーに「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」と「MA(マーケティングオートメーション)」の2つがある。「DMP」の利用例としては、顧客データベースとクッキーを同期(クッキーシンク)させ、第三者配信アドサーバーを使って近い属性の顧客に最適な広告を配信する手法だが、非常に開発が難しいという問題があり、事例はほとんどないという。
「MA」は、顧客にとって最適なコンテンツを最適なタイミングで自動的に配信する技術だが、長期コミュニケーションと同様、シナリオ設計が重要だ。そのシナリオを自動的に作ることは不可能なので、結局ステップメールの配信程度にしか活用できていない例が多い。
生田氏は警鐘を鳴らす。
テクノロジーを否定するわけではないが、テクノロジー自体は手段であり、それだけでは成果は上がらない。人間の頭を使わずともテクノロジーを入れたらすべて万事解決ということはない
ここまでに示した3つのカテゴリーには、可能性はある。しかし、難易度が高く大きな成果をあげるブレイクスルーには至っておらず、現状はまだ取り組みを模索している状態だという。もちろんこの壁を打破したいというのが多くのマーケターの夢である。
これからのデジタルマーケターがやるべきこと
いよいよ生田氏は本題に入る。
この困難な状況のなか、ブレイクスルーを成功した企業に話しを伺うと、一つの共通点があります。今日はこのスライドだけ見ていただければ十分です
自信たっぷりに語ったポイントとは、ズバリ「PDCAサイクルの見直し」である。
生田氏は、次のようにいう。
マーケターのみなさんは「プランニング」>「実行」>「検証」>「改善」といういわゆるPDCAサイクルを必ず実行されていると思います。このサイクルを回し続けた結果、効果は出たが、最適化の限界にきているのが現状だと思っています。これを打破するには抜本的にこのサイクルを見直すしかありません
生田氏は次のように強調する。
見直すのは「企画」の部分。広告枠の選定やクリエイティブといった「プランニング」だけではなく、その前段階の「ゴール設定(KPI)」、そして「ユーザー理解」が重要である
日々の運用(PDCA)にとらわれてしまうとなかなか壁を打破できません。ウエブサイトがビジネス目的を達成するための「ゴール設定」と、ユーザーのニーズはなにかという「ユーザ理解」の2つを見直したうえで、新たに「プランニング」を考えてみるというのが、我々がみなさんにご提言したいところです
生田氏は、
現在行っている日々のPDCAサイクルを「小さなPDCA」
「ゴール設定」と「ユーザー理解」から抜本的に見直したうえで「プランニング」>「実行」>「検証」を行うことを「大きなPDCA」
と定義し、次のように主張を重ねた。
デジタルマーケティングの壁をブレイク・スルーするためには、小さなPDCAだけではなく大きなPDCAを一度きちんと回してみましょう
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