メール広告ベンダーが語る、メールマーケティングの効果を上げる10個のテクニック
メールマーケティングにはテクニックがある。コンテンツをクリックしてもらえるかどうかはタイトル次第だが、それはメールマーケティングでも同様だ。
「メール広告にはテクニックがある」というビズオーシャンの堀氏が、「年間1000本以上のメール広告ベンダーが語る『効果の上がるメールマーケティングとは!?』」と題して、「Web担当者Forum ミーティング 2016 秋」のセッションにおいてメールを開封してもらえるタイトルに必要な10個のポイントを紹介。さらに、コンテンツマーケティングや事業コンセプトの作り方についても解説した。
開封されるメールのための10個のテクニック
同じコンテンツでも、タイトルのつけ方でクリック率は大きく変わる。たとえば、次の例は『ザ・コピーライティング』(ジョン・ケーブル著)からの引用だが、効果が高いのはどちらだろう。そうした質問からセッションが始まった。
- 見出し :年収5万ドル稼ぎたいとお考えの年収2万5,000ドルの方へ
- オファー:無料パンフレット「経営幹部が知っておくべきこと」
- 見出し :このコースで金銭的に報われている証拠がこれです
- オファー:無料パンフレット「経営幹部が知っておくべきこと」
正解はA案で、理由は次のとおりだ。
- 「年収2万5,000ドル」というターゲットが明確である
- 「5万ドル」と、その人に対する価値が明確である
もう1問、同様に考えてみてほしい。
- 見出し :「数か月前は全く弾けなかったんです」
- オファー:無料パンフレット「自宅の音楽レッスン」
- 見出し :演奏ができるようになるちょっと変わった方法
- オファー:無料パンフレット「自宅の音楽レッスン」
こちらの正解はB案で、理由は次のとおりだ。
- 「演奏ができるようになる」とあることで、どのような利益があるか伝わる
これと同じように、「メール広告にはテクニックがある」
と堀氏は言う。
参考になる本として広告についての古典ともいえる『セールスライティング・ハンドブック』(ロバート・W・ブライ著)が紹介されたが、この本にはお勧めの見出しが38個紹介してある。興味があれば本を読んでみるといいが、堀氏がよく使うのはそのうち次の7つだという。
- 今話題の出来事に関連付ける
- 数字や統計を用いる
- オファーを強調する
- ベネフィット(利益)を明らかにする
- 特定層の読み手にターゲットを絞る
- 価格を明示する
- 読み手の目標達成を支援する
さらに、ビズオーシャンが実際に行っているメルマガ広告について分析したところ、クリック率を上げるためのメールのポイントは次の10個だった。
1. ターゲットを絞るとCTRは向上する
これを証明しているのが次の図だ。メールの配信数を横軸に、クリック率を縦軸にして、キーワードを点でプロットしてある。
これを見ると、
- A:配信数が少なくてクリック率がいいもの
- B:配信数が多くてクリック率がよいもの
- C:配信数が少なくてクリック率が悪いもの
- D:配信数が多くてクリック率が悪いもの
という4つのエリアに分かれるが、高クリック率は配信数の少ないキーワードに多い。つまり、ターゲットを絞って少ない配信数で送る方が、クリック率が高いことがわかる。
2. 「無料」は効かない
正確には、「無料セミナー」や「無料サービス」のように、無形でもともとの価値がわからないものが「無料」でも、顧客は反応しない。ただし、某携帯キャリアの「牛丼無料」のように、価値がわかっているものなら、無料にも反応する。
つまり、セミナーは有料がいいか無料がいいかという議論は無意味で、セミナーの内容がよくなければ、お客さんは来ないということだ。
3. 数字は効く
これは古典でも出てきたが、数字を出すことは有効だ。
4. 「残り……」は〇、「間近」「緊急」は×
切迫感を演出するときには、「残り何個」というのは効くが、「終了間近」のような言い回しは効かない。これは、「間近」や「緊急」のような言葉が使い古されたためだろう。
5. 相手の名前はCTRを向上させる
「○○様」のように相手の名前を入れるのは有効。ただし、あまりしつこいと不快に思われるので程度に注意。
6. 旬なキーワードを盛り込む
この講演はちょうどは米国大統領選まっただ中というタイミングだったが、そのような時事ネタを入れるのは有効。
7. ネガティブよりもポジティブな言葉を選ぶ
「あなたの××、それで大丈夫?」のようなネガティブキャンペーンはあまり効かない。これも、使い古されたためだろう。また、あまりに不安を煽るものは、怪しいという心理が働く。
8. プレゼントつきアンケートは効果がある
当然ながら、プレゼント付きは有効。
9. ブランド力のある企業名はよい
有名な大企業やイメージがよい商品は、企業名や商品名を入れると効く。
10. 「セミナー」より「説明会」
これも、セミナーという言葉が使い古されたため、むしろ説明会の方が有効だった。
このように見てくると、「使い古されたため」という理由で効かないものがある。時と場合にによって、何が効くかは変化するということだ。また、どこの会社も同じことをやっているのであれば、それは有効ではない。クリックされるためには、競合と比べてどういう手を打つかと考えるのが重要だ。
コンテンツマーケティングの真実
最近流行りのコンテンツマーケティングだが、堀氏は次のように言う。
確かに威力はあるものの、実際にやってみると多大な労力がかかることがわかった
担当者が気を付けるべきポイントは次の3つだ。
- コンテンツ作成の労力は大である
- ターゲットの絞り込み
- コンテンツの選定
- SEOの設計
- 専門ライターの確保
- 効果までのタイムラグは認識しておく
- 6~9カ月は必要
- KPIとPDCAを明確にする
- 検索順位、CTR、直帰率、滞在時間、CVRなど
コンテンツマーケティングの効果はすぐに出るものではなく、クライアントや上司にはそれをきちんと認識しておいてもらわないと「効果が出ない」と叱責を受けることになる。ビズオーシャンでも1年後にやっと10万PVで、「資金力があって、担当者がついて、専門ベンダーにお金が払える会社でないと無理」
というのが実感だという。
また、取り組む場合には、カスタマージャーニーの設計やプロセスごとのコミュニケーションなどを、長期的な視点で考える必要がある。資金や担当者などのリソースがあまりないという場合は、見込みリストセールスや営業マンによるインサイトセールスの方が、効果はすぐに出る。そのとき、見込みリストではターゲットの絞り込みが重要だし、営業マンには正しい情報やツールを渡すことで効果がより高くなる。
最後に堀氏は、企業の戦略について触れた。マーケティングはプロモーション戦略に基づいて行われるが、商品戦略、価格戦略、流通戦略、プロモーション戦略を統括するのが事業戦略だ。さらに、各事業部の事業戦略を統括するのは企業戦略である。つまり、プロモーションを考える際には事業戦略や、さらには企業戦略まで理解し、「全体的な視点でプロモーションを考える必要がある」
というのが堀氏の意見だ。
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