SEOのリンクビルディングにまつわる奇妙でおかしな8つの迷信(前編)
リンクビルディングには明確なルールがあるとは言えないし、やり損なうと苛立たしい結果を招くこともある。
だが、これから紹介するような、実際には存在していない定説(迷信、都市伝説)には、何か役にたつことがあるのだろうか?
今日のホワイトボード・フライデーでは、ウェブの世界に広く出回る、リンクビルディングに関する8つの迷信を、ランドが解明する。
Mozファンのみんな、こんにちは。ホワイトボード・フライデーにようこそ。今回は、リンクビルディングにまつわる奇妙でおかしな迷信を取り上げよう。
実際、こうした迷信を、ブログ記事やホワイトボード・フライデーやQ&Aページのコメントで目にしている。そこで今から、これが本当なのかどうか、はっきりさせてみたいと思う。
SEOのリンクビルディング迷信その1:
自分のサイトよりドメインオーソリティが低いサイトからリンクを獲得してはいけない
何だって? そんなことはない。これはとんでもない考えだ。
誤解のないようにはっきり言っておくが、ドメインオーソリティ(DA)とは、Mozが構築した機械学習システムで用いている、Moz独自の指標だ。
このシステムはあらゆる指標を考慮に入れる。MozCast 10Kと同じように、さまざまなキーワードについてグーグルの検索順位と最も強い相関関係があるものを導き出すものだ。
そして、他のすべての条件が同じであるという仮定で、生のリンクオーソリティだけを基準にして、任意のキーワードにおけるグーグルの検索順位で、そのサイトが他のサイトと比べてどれほど優れたパフォーマンスを上げているのかを示そうとするものだ。
ドメインオーソリティは、決して「人々が意図的にリンクを張りたいと思い、グーグルが判断材料に入れたいと考え、検索順位獲得力を高めてくれ、良質のトラフィックをもたらしてくれるような質の高いウェブサイトであること」を示すものではない。こういった要素は、ドメインオーソリティには考慮されていない。
リンクビルディングに取り組む場合には、ドメインオーソリティは、「Spam Score」と同じく、スコアを目安にサイトを並べ替える一手段として使える。ただし、この2つの指標は、どこかのサイトが「リンク獲得先として絶対に良くない場所である」とか「素晴らしい場所である」といったことを示すものではない。
たしかに、ドメインオーソリティのスコアが80~90を超えるサイトからのリンクは、非常に好ましい場合が多い。そうしたサイトは、高いオーソリティを与えてくれる傾向にあるからだ。スコアが10~20を下回るサイトからのリンクは、それほど大きな価値をもたらしてはくれないことが多いだろうが、スパムスコアは高くはないかもしれない。
リンクを獲得すべきかどうか判断するにあたっては、こうしたことを詳しく調べることは、悪くない。
だが、公開されたばかりの新しいウェブサイトや、リンクやローカルリンクがほとんどないサイトからのリンクに勝ちがないかというと、そんなことはまったくない。
そのサイトが、意図的にリンクを張ってくれる質の高いサイトであり、良質なサイトにリンクしているのなら、ドメインオーソリティが低いというだけの理由で、そのサイトが価値をもたらさないとか、低い価値しかもたらさないとか、害を与えるかもしれないなどと考えて、不安や心配を抱く必要はない。そのどれもが間違っている。
SEOのリンクビルディング迷信その2:
ディレクトリサイトからのリンクを獲得してはいけない
このような話がどこから生まれたのかはわかっている。質の低いディレクトリ、SEO目的だけのディレクトリ、さらには有料リンクが、リンク獲得先としてどれだけ不適切かということは、さんざん論じられてきた。
グーグルは、こうしたディレクトリサイトの多くにペナルティを科しているだけでなく、リンクプロファイルがこの手のドメイン名からのものばかりである多くのサイトにも、同様にペナルティを与えている。
とはいえ、非常に質の高いリソースリスト、リンクリスト、ディレクトリも実に多く存在する。
たとえば、僕はポートランドにあるバーのリストを探したことがある。オレゴン州ポートランドは、ご存知のように素敵なバーがたくさんあるところだ。そして、Portland Monthlyのリストで、素敵なバーや居酒屋を見つけられることを発見した。
さて、どうだろうか? これはディレクトリだ。ポートランドのバーや居酒屋をすべて網羅しているディレクトリだ。ポートランドでバーを経営していれば、このリストに載りたいと思うんじゃないか? もちろん、思うよね。当然だ。疑問の余地なし。リンクを張ってくれって頼みたいよ。実に素晴らしいリンクなんだ。僕なら絶対に獲得したい。
要するに、適切な判断を下すことが重要なのだ。「SEO目当てのディレクトリや有料リンクディレクトリ」と「リソースとして優れた信頼性の高いディレクトリ」の違いを知ることが大切だ。
言うまでもなく、獲得すべきは後者からのリンクであり、前者からの数多くのリンクではない。
SEOのリンクビルディング迷信その3:
リンクを早く獲得しすぎると、ペナルティを科せられる
これを考えてみよう。グーグルが何らかのペナルティラインを設けているとでも言うのだろうのか。こんな具合にだ。
おいおい、見てみろよ。ランドの獲得したリンクが8月に入って17になっている。7月には15以下だったのに、8月には17だ。これはリンク獲得のペースが早すぎる。ペナルティ対象だな。
いや、そんなことはまったくない。
僕の考えでは、こんな話が出てきたもとは、グーグルがこれまでのスパムについてこれに関連する特許を申請したことにあると思う。こうした特許は、質の低いリンクやスパム的なリンクが一定のペースで張られているようなパターンが見られた場合に、グーグルがサイトのリンクプロファイルやリンク実態をより厳しく監視し、ペナルティを科すように動くという仕組みだ。
たしかに、プライベートネットワークやリンク購入や相互リンクなど、この手のさまざまな手段を用いて怪しげで不正なリンクビルディングを行っている場合は、あまりにリンクを早く獲得すると、グーグルが持っている何らかのフィルタ機能に引っかかることになるだろう。
だが、僕らが普段すすめているようなリンクビルディングの手法を広く使っているなら、リスクはない。まったく気にすることはない。適切なサイトからリンクを獲得している限り、そのリンクの獲得ペースについて心配する必要はない。早すぎて困ることなどないのだ。
SEOのリンクビルディング迷信その4:
他のサイトにリンクを張ってはいけない。リンク資産やリンクジュース、PageRankが奪われてしまう
とにかく何かが失われるらしい。「オレのリンクジュースだ。やめてくれ!」って言っている人物のこのイラストは実にいいね。
だが、これはたわごとだ。
そう、これにも、元になった多少の事実がある。
ずいぶん前のことになるが、PageRankの流れには1つの傾向があった。1つのページに外部向けリンクがたくさんあるような場合、たとえば4つのリンクがあったとすると、そのページが与えられきたはずのPageRankが、4分の1ずつ各リンク先ページに与えられていた。だから、ここにもう1つリンクを追加すると、5分の1になったというわけだ。もう一度言う。5分の1になってしまうのだ。
しかしこれは、非常に古いSEOの考え方だ。もはやこのようなことはない。
グーグルが使用している検索順位決定アルゴリズムのすばらしい要素は、PageRankだけではない。他サイトへのリンクを恐れる必要はない。「nofollow属性」をつけずに他サイトにリンクを張るのを恐れなくてもよい。
それどころか、他サイトへのリンクは張るべきだ。他サイトへのリンクは、検索順位の上昇と相関関係があるだけではない。何らかの因果関係が生じていることを多くの研究や調査が示している。
というのも、nofollow属性なしのリンクをページに追加すると、そのページはリンクのない他のページより検索順位が上がるという結果が多くのテストで出ているからだ。
ホワイトボード・フライデーでも、いずれこのテストをやってみたいと思っている。だが、言うまでもないことだが、外部向けにリンクを張ると損だなんてことを気にする必要はない。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。全部で8つの迷信のうち、今回は4つを紹介した。後編となる次回は、残る4つについて説明する。→後編を読む
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