ヤバい被リンクを監査するには? ―― リスクを見分ける7つの赤信号ポイント(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。被リンクプロファイルの監査を「なぜ」「いつ」「どのように」行うのかの概要を解説した前回に続き、次回は、怪しい被リンクをチェックするための7つのポイントを見ていく。 → まず前編を読んでおく
リンクプログラムやリンク操作の兆候をとらえ、ヤバい被リンクのリスクを見分ける7つの赤信号ポイント
ここでは、私が気づいたいくつかの「赤信号ポイント」を見ていく。ただし、くれぐれも留意してほしいのだが、ここで紹介しているのは潜在的な注意点だ。つまり、何か該当したからといって、それがすなわちリンクプログラムやリンク操作を意味するわけではない。このうちの1つだけを取り上げて、「あ、見つけた」と思い、即座に否認することのないようにしてほしい。
- 関連性のなさ
- アンカーテキスト
- nofollowとfollowの比率
- リンク数とドメイン名数の比率
- ドメイン名
- ツールから得られる指標
- 目視による確認
これらは、長い時間の中で私が気づいたことにすぎない。私がSEOに取り組み始めたのは2012年、ちょうどペンギンアップデートの頃で、そのため非常に多くのスパムリンクをせっせと整理した。そのなかでパターンのようなものを目にしただけで、ここに挙げたのはその結果だ。
しかし、こうしたリンクについては、ここ数年もパターンに変わりはないと思う。このように質が低く、実際にペナルティを招きかねないリンクビルディング手法を使っている人たちはまだいる。
繰り返すが、赤信号の1つに該当したからといって、そのリンクをすぐに「悪いもの」として切り捨てることがないようにしてほしい。そうではなく「さらに詳しく調べる対象が見つかった」という認識で調査を深めるべきだ。ここに挙げたのはあなたの好奇心に火をつけるだけのものであり、あなた自身で掘り下げて調べてみることをおすすめする。
それでは、この重要な注意事項を念頭に置いたうえで、各ポイントを見ていこう。
ヤバい被リンクの赤信号①
関連性のなさ
サービスを提供していない国
もっともわかりやすい関連性のないリンクは、国や言語で判断できる。たとえば、次のような状況を想定してみてほしい。
あなたがあるクライアントを担当しているとする。そのクライアントは米国に拠点を置いており、営業拠点もすべて米国にある。オーディエンス全体が米国に居住している。
その前提で被リンクプロファイルを見てみよう。おそらくはLink Explorerを使っていて、インバウンドリンクレポートにアクセスすると、自分のサイトに「.ru」や「.pl」といったドメイン名から多くリンクされていると、どうだろう。次のように考えるのではないだろうか。
自分のサイトがなぜ、サービスを提供していない外国から大量のリンクを獲得しているのだろう?
コンテンツはロシア語でもポーランド語でもないのに、なぜだろう?
そこで私は興味をかき立てられて、さらに調べてみようとするかもしれない。これは何かの兆候かもしれないのだ。
的外れのリンク
もう1つの関連性のなさの例が、内容的に「的外れのリンク」だ。
私のお気に入りの例は、あまりに馬鹿げていたので気に入っているのだが、次のようなものだ。
アトランタでDUI(飲酒または薬物服用後の運転)を専門にしている弁護士と仕事をしたときのことだ。
彼のサイトは、質の低いパーティーの企画ディレクトリから大量の被リンクを得ていた。まったく意味不明なリンクだった。
私は内容を確認するためだけにクリックしてみた。アクセスしてみると、リンク元のページは、実際のところ相互にリンクすべき理由は何もない。
――彼がクラウドソーシングサイトのFiverr(ファイバー)で「5ドル出すからリンクしてほしい」などと言い、どこからのリンクかは気にも留めずにリンクを増やそうとしていたことは明らかだ。
このように、まったく的外れで関連性のないリンクがたくさんあることに気づくこともあるかもしれない。
ただし、責任逃れとして言うわけではないが、確かに無関係に見えるかもしれないが、さらに詳しく調べてみると、それらのリンクが同じ市場に属し、共生マーケティングのような関係を築いている場合もある。そのことに注意してほしい。
とはいえ、そこで本筋からまったく外れたリンクがある場合は、何らかのリンク操作が行われている兆候という可能性もある。
ヤバい被リンクの赤信号②
アンカーテキスト
次に注意すべきポイントはアンカーテキストだ。これも、素晴らしいレポートがMoz Link Explorerに用意されていて、アンカーテキストのレポートを確認できる。
リンク操作が行われていることに気づく場合、よく目にするのは、次のような状況だ:
- 被リンクのほとんどがまったく同じアンカーテキストを使っており
- その多くは検索で上位を狙いたいキーワードと完全に一致する
これは通常、疑わしいリンクビルディングをしていることを示す大きな特徴と言える。
「これぐらいの比率で同一ならば不正だと断定できる」という絶対値としての割合は示せないのだが、きわめて異常な割合のリンクがまったく同じアンカーテキストを使っているのを見れば、さらに調べてみようという気になるだろう。
なぜこれが懸念すべき事態なのか、わかりやすい例で説明しよう。
あなたはある日に5人の友人にそれぞれ会ったとする。5人は全員があなたと同じ部屋にいるわけではない。別々に会って話をした。
しかし5人全員が次のように言ったらどう思うだろうか?
やあ、週末は楽しかったけど、ぼくは足を骨折してしまったんだ
君は疑わしく思うだろう。「何だって、5人とも足を骨折しただって? 妙な話だ。一体どうなっているんだ?」
アンカーテキストも同じことだ。リンクを自然な形で獲得しているなら、どれも同じ機械的なものに見えるような事態にはならない。すべてのリンクがまったく同じアンカーテキストを使っている場合は、おそらく何か疑わしいことが行われている。つまり、そういうことだ。
ヤバい被リンクの赤信号③
nofollowとfollowの比率
nofollowとfollowの比、これもまた注意信号だ。
前の2つと同じように、これを絶対的なルールとしないでほしい。なぜなら、ラス・ジョーンズ氏までもが出てきて、これはスパムであることを明確に告げるものではないと大々的に言った気がするからだ。
ただし、次のように言えることも真理だ:
リンクがスパムっぽいアンカーテキストを伴っており、そのアンカーテキスト自体も関連性が薄い場合、followに対するnofollowの比も実に異常な数値を示すことが多い。
したがって、これらの注意信号は相互に組み合わせて考えよう。これらの信号が積み重なってくると、ますます何かうさん臭いことが行われている兆候のように私には思われる。
followとnofollowの比がおかしなことになっていたら、これもLink Explorerで確認できる。たとえば、被リンク全体の99%ほどがfollowになっているかもしれない。つまり、PageRankを引き渡してくれるリンクだ。
リンクプログラムを実行するのなら、自分のサイトにPageRankを引き渡してくれると思われるリンクを手に入れるだろう。つまり、nofollowのリンクは1%か0%しかないということだ。これは調べてみるべきかもしれない。
ヤバい被リンクの赤信号④
リンク数とドメイン名数の比率
リンク数とドメイン名数の比率も同様だ。
これも、スパムの明らかな兆候というわけではない。スパムであることを断定できるような魔法の比率というものはない。しかし、ほかの6つの注意信号がすべて点っているとき、この比も実に異常な値を示していることがある。
たとえば、インバウンドリンクが1万件あるのに、それがわずか5つのドメイン名から張られているリンクだったりするのだ。時にはそういうことも起こるのだ。
例を挙げよう。私はあるクライアントの被リンクプロファイルを監査していた。そのクライアントは5つのウェブサイトを開設しており、その5つで相互にサイト全体からリンクを張り合っていた。結果として、そのクライアントだけの小さなリンクネットワークを形成している形になっていたのだ。
そのクライアントは、サイトを相互にリンクすることで、すべてのサイトのオーソリティを強化したいと考えていた。しかし言うまでもなく、このような行為には気をつけなければならない。
followリンクを自ら作成していると示すことになりかねず、それは絶対に禁物だ。
ヤバい被リンクの赤信号⑤
ドメイン名
「Dir」あるいは「directory」
これは目視で確認する類いのものでもある(目視での確認については後で詳しく説明する)。
インバウンドリンクを確認したとしよう。すると、とにかく奇妙に見えるドメイン名に気づき始める。この種のものを調べれば調べるほど、ますます目につくようになってくる。
私が多くの被リンクの監査をしていたときに気づいたのは、これらのスパム色の強いリンクの多くが低品質のディレクトリ登録サイトから来ていたことだ。こうしたリンクの多くは、ドメイン名の中に「directory
」や「DIR
」という文字列が入っている。たとえば、「bestlinkdir.co」といった具合だ。
このようなドメイン名が付いている場合、その多くは質の低いディレクトリ登録サイトであることに気づいた。目視による確認や精査によって、「DIR
」を含むディレクトリ系のリンクがあるかどうかを確認することもできる。
「articles」
「articles
」という文字列が含まれるドメイン名も同様だ。人々が電子雑誌の記事やArticle Baseのようなものを登録していた頃のように、ドメイン名に「article
」という単語が含まれている場合は、調べてみるべきかもしれない。
自分のサイトに被リンクする質の低い記事を登録しているかもしれない。
「SEO」や「links」
それから、被リンクプロファイルの中で、「SEO
」とか「link
」とかいう言葉をドメイン名に含むリンクを目にすることが多い場合は、SEO分野に関係するサイトに取り組んでいるのでない限り、まずい。
特に「bestSEOsite.com」や「bestlinksforyou.com」といったドメイン名からのリンクがたくさんあるのならば、かなり赤信号が強くなる。
私はこういう例をたくさん見てきた。これは単に私が気づいたことにすぎない。できれば注意した方がいいだろう。
ヤバい被リンクの赤信号⑥
ツールから得られる指標
リンク調査ツールの指標データは非常に役立つことがある。具体的には、「スパムスコア」や「DA・PA」といった指標だ。
たとえば、ツールから得られる指標にスパムスコアがある場合、そのスパムスコア非常に高かったら、それは調べてみるべき要素だ。
Mozは、サイトのスパム度を評価する場合に参照する27件のすべての基準を列挙したリストをHelp Hub上で公開しており、これは参考になるかもしれない。Mozのスパムスコアでスパム度がどのように計算されているかを調査するのに役立つだろう。
「DA(ドメインオーソリティ)」と「PA(ページオーソリティ)」のような指標について知っておくべきこともある(これらは、ドメイン名単位やページ単位でページの強さを示す指標だ)。
それは、被リンクのリンク元URLのDAやPAが低いからといって、それらをすぐに切り捨てないようにしてほしいということだ。それらのドメイン名はできたてホヤホヤなだけかもしれない。あるいは、まだマーケティングが不十分なのかもしれない。リンク元ページのDAやPAが低いことは、必ずしもスパムを意味するわけではないのだ。まだオーソリティを獲得できるほどほどのことをしていないだけだ。
単にDAやPAが低いというだけで、リンクを切り捨てたり、スパムだと判断したりしないよう気をつけてほしい。これも考慮すべきことだ。
ヤバい被リンクの赤信号⑦
目視による確認
そして最後に、目視による確認がある。すでに述べたように、これはやればやるほど(最近ではそれほど頻繁に行うべきことでもないが)、リンクプロファイルがスパム色の強いクライアントを担当している場合には、パターンに気づくようになるだろう。
目視で確認していけば、これらのいわば低品質のサイトには、次のような画一性があることに気づくようになるだろう:
同じテンプレートのようなものを使っている傾向がある。青一色のサイトが100もあったりする。まったく同じナビゲーションで、まったく同じロゴを使っている。
すべて同じIPアドレス範囲で運営されている場合もある。
連絡先情報は記載されていない。だれも内容を管理していないからだ。リンクが目的で公開しているにすぎない。内容はどうでもいいため、電話番号も、問い合わせ先も、メールアドレスも、何もない。
こうした自己登録型のリンクサイトに共通する、もう1つの明確な兆候がある。それは次のようなものだ:
上部に大きなPayPalボタンがあり、「有料リンク登録」や、さらにひどいケースでは「このサイトからリンクの削除を希望する方は、PayPalで料金をお支払いください」などと書いてあったりする。
本人はこれが質の低いサイトであることを自覚しており、常にリンク削除の依頼があるからだ。以上が、目視での確認で考慮すべきことだ。
この記事が役に立つことを願っている。監査をしたほうがいい場合と、しないほうががいい場合を理解したうえで、実際に何らかのリンク監査をしようとする場合に注意すべきいくつかのポイントを認識する助けになったら嬉しい。
参考になることを願っている。これについて何かアドバイスがある人や、これ以外にも他のSEO担当者の役に立つと思われることに気づいた人は、コメント欄で教えてほしい。
今回のホワイトボード・フライデーは以上だ。次回もお楽しみに。
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