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メディア業界の教訓をSEOの施策アイデアに応用する――パブリッシャーの成長戦略(前編)

メディア企業が2014年に追求しようとしているSEO以外の可能性について見ていく
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この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事では、メディア企業が2014年に追求しようとしているSEO以外の可能性について見ていく。加えて、こんなことをやってみてはという私の希望と、そうしたアイデアを提案する際のコツを紹介する。

Facebookがニュースフィードをリリースして以降、検索の重要性はどんどん減少している。今やトラフィックは大半がソーシャル経由であり、検索からのものは1~2%しかない。

―― クリス・ダンネン(Fast Co Labs

SEOプロたちのおかげで、初期のSEO監査から多大な恩恵を受けた。適切なフレームワークができてしまえば、実際にGoogleアナリティクスを綿密に分析してチャンスのありかを見いだすのは、われわれコンテンツクリエイターの仕事となった。

―― ジョーダン・シェイクシャフト(Life by DailyBurn編集ディレクター)

あなたの会社におけるSEOの役割は?」という問いに、英国のある有力誌の人物は「何もない」と答えた。「われわれにとって、現実的な価値はほとんどない」と。

この記事を準備するなかで、私はメディア企業と、メディア企業の2014年の計画、特に今後1年の成長戦略について考え始めた。コンテンツの新しいテクニックや製品とくればメディア業界が先導するのが常であり、そうした戦略はメディアの新しい構想の最前線にあると思ったのだ。

メディア企業が新しい道を示してくれるから、われわれコンサルタントは彼らを参考にして、何がうまくいって何がうまくいかないのかを学ぶチャンスを得られ、そこで知ったことをクライアントのコンテンツ制作に応用できる。

パンダアップデート後のこの世界でも、説得力のある質の高いコンテンツを作る競争はなお重要であり、教訓は早急に学ぶ必要がある。メディア業界をお手本にしよう。さあ、とりかかろう。

この記事のための調査で、編集者、業界アナリスト、そしてメディア企業で働く人たちに話を聞いた。引用は私が接触して得た反応を代表するものではあるけれど、メディア業界全体を代表するものでは決してない。

冒頭の引用にあるように、ひいき目に見ても、マーケティング戦略の中でメディア企業はSEOにあまり重きを置いていないというのが現実だ。Mozの伝説的人物であるドクター・ピートは、この現実をわれわれに理解させようとかなり前から取り組んでいて、検索順位以外に目を向けるよう検索コミュニティに説いている。

コンサルタントであるわれわれの目標は、この多様化した状況の中で価値を高め続けることだ。幸い、専門知識を活用し、これまでの範疇にとどまらない新しいアイデアをクライアントに提示すれば、それは可能だ。

では、まずは参考になるだろうメディア企業の成長戦略をいくつか紹介していこう。

①サイトの新デザインへの投資

2014年1月、New York Timesのサイトがデザインを一新し、インターネットをどよめかせた。

サイトの大規模なデザイン変更は2006年以来のものだったし、プロジェクトは話題を巻き起こし、トラフィックとリンクを増大させた。見た目の主な変更は以下の通りだ。

  1. フォントと文字の色が変わり、印刷版により近い見かけになった。たとえば、トップページからカテゴリページへのリンクが青ではなく黒になった。

  2. 記事へのコメントが記事の右側に表示されるようになった。記事と同列でコメントを表示できる。

  3. 記事を複数ページに分割するのではなく無限スクロールになった。

  4. 記事ページは見かけを小さく抑え、余白が増えた。

デザイン変更によって、ページ全体の見た目がすっきりした。UIの簡素化は、他社のサイトの動きと足並みが揃っている。たとえばこのFi社のブログの動画では、USAToday.comのデザインを新しくした際のプロセスが紹介されているが、今回のNew York Timesの新デザインと共通した特徴がある。

ここから得られたことよいデザインは重要だ。

あなたにできることこの種のアイデアを提案する際は、デザイナーと協力することが重要だ。プロジェクトに共同で取り組むことを目指そう。最初の構想の段階から協力できれば理想的だ。

サイトのデザイン変更に部外者が最初の段階から参加するメリットは、コンテンツ管理システム(CMS)などの限界に縛られずに済むことと、サイトを自由に見て、一歩引いた視点から、業界の競争相手との位置関係を理解できることだ。SEOの立場から、デザイン変更の経験を活かした提案をすることもできる。

②ソーシャルを取り込む

おそらくすでにご存じだろうが、ソーシャルメディアは、情報発見の方法として重要性が増しており、45歳未満の層においては、コンテンツを見つける最も一般的な方法になっている。

ソーシャルの重要性は、年齢層が下がるほど増加する。たとえば、ソーシャルメディアでニュースを見つける人の割合は、55歳以上がわずか19%なのに対し、18~24歳だと44%になる。これはReuters Instituteの「Digital News Report 2013」から転載した下のグラフで明らかに示されている。

ユーザーと長い信頼関係を築きたければ、若年層のユーザーにコンテンツを見てもらうためにソーシャルメディアが不可欠なのは明らかだ。また、今やすべての年代で、エンゲージメントのためにもソーシャルメディアが重要になっていることは言うまでもない。

今になってもメディア企業がこのチャンスをつかみ損なっている現状には驚くしかない。

その間に、UpworthyやBuzzFeedなどの新しい企業がトラフィックをどんどん獲得している。Media Briefingの最近の記事で、いくつかのメディアについてFacebookにおける共有状況がグラフになっている。注目すべきは、ここに従来のメディア名がまったくないことだ。要するに、古いメディアはうまくやれていないのだ。

この記事のデータセットでグラフに名を連ねているのは、過去8年以内に設立された会社がほとんどだ(BuzzFeedは2006年、Upworthyは2012年)。唯一9年目のHuffington Postも、この中では古株だ。

結果は明快で、どのようなコンテンツが共有してもらえるかをUpworthyとBuzzFeedは熟知している。とんでもない状況に陥っているネコや、フォトショップで加工したインチキ画像、「○つの××」のようなリスト記事などはやがて飽きられてしまうだろうが、この2社が、現在の戦略を進化させるべく時間と労力をつぎ込んでいるのは確かだ。

マーク・サスター氏は最近の投稿でこれについて次のように語っている。

Upworthyのような会社は将来、真に魅力的な事業を構築できるだろう――しかし、賭けてもよいが(……中略……)今のところきわめてうまくいっている現在の戦略(ソーシャルで最大限共有されるコンテンツを書くこと)を続けることによってではない。

ここから得られたことソーシャルメディアにおける話題性に関する限り、メディア企業はまだうまくやれていない。

あなたにできることソーシャルメディアでの取り組みを、簡単に行える一連のA/Bテストの形で提案する。

以下で説明するUpworthyの理論を採用すれば、手早くできる新しいテスト法が得られる。この手法によって、企業はソーシャルネットワークの自社コンテンツを、自信をもってテストできるだろう。

Upworthyが2012年に作成したスライド資料が非常に人気だ。

同社の戦略の一部を簡単に説明したもので、読んでおもしろい。この資料のポイントは、企業が作るコンテンツの種類が何であれ、複数の見出しを試すというアイデアだ。Upworthyは、1本の記事に25通りの見出しを作り、Facebookにおいて、人口統計的に似ている2つの都市で1時間ほどテストをする。そのうえで、共有が多かった見出しを展開する。

この方法は、アジャイルマーケティングであると同時にデータドリブンマーケティングでもある。実にシンプルで実施がかなり簡単なので、この例はぜひ覚えてほしい。

同様のことは、小見出しや画像などにも適用できる。コンサルタントなら、A/Bテストはまさに従来の仕事の範疇だ。その経験(そして経験に対するクライアントの信頼)を活かして、手慣れた手法で新境地を開こう。

③ソーシャル側から取り込ませる

ソーシャルネットワークの機会をとらえるためには、違う角度からのアプローチもある。FacebookとTwitterの2社は、メディア企業の支持を得ようと組織的な取り組みを行っている。

Facebookが2013年8月に実施したアルゴリズムの調整によって、ニュースサイトへのトラフィックが増大した。このとき、BuzzFeedはトラフィックが69%跳ね上がった。しかも、トラフィックが急増したのはBuzzFeedだけではない。Facebookは2013年12月、さらなる見通しを発表した

人々が記事を見て楽しんでいることがわかったので(……中略……)これからは、なにが質の高いコンテンツをもたらし、どれぐらいの頻度で記事がクリックされるかという点に、今まで以上に注目していく。

まもなく、ウェブサイトの良質な記事と、Facebook以外のサイトにアップされたミーム写真との区別を、これまでよりうまく処理できるようになり(……中略……)ニュースフィードでは、あなたたちが読んでいる質の高い記事のほうが、ミーム写真よりも若干目立つようになるだろう。

(これはミーム写真の終焉なのか? Facebookがその方針ならばそうなのかもしれない)

ここから得られたことFacebookはユーザーをコンテンツで楽しませようと取り組んでいる。

あなたにできることアナリティクスの猛者であるあなた! 腕の見せ所だ。

Facebookの参照トラフィックを分析し、2013年8月から12月を、それ以前の6か月および2012年の同時期と比較し、アルゴリズム更新がサイトにどの程度影響しているかを評価しよう。

Facebookは先に挙げた記事の中で、メディアサイトへのトラフィックを平均170%増加させたと主張している。自分のサイトに顕著な増加が見られない場合、それは、サイトがFacebookに十分に取り込まれていないことを示唆している。

Facebookが言っている増加率(170%)はかなりのものなので、どのメディア企業もこの規模のトラフィック増加は欲しいはずだ。この方法でFacebook戦略を再評価しよう。

ソーシャル側のもっているデータをうまく使う

メディア企業へのトラフィックを増やすだけではなく、Facebookはメディア企業に協力し、記事に取り込めるような現在のトレンドに関する貴重なデータを大量に提供している。

FacebookのPublic Feed APIが公開データを提供しており、この機能は誰でも利用できる。

もうひとつのKeyword Insights APIのほうは、一部の選ばれたニュース機関しか使えない。Keyword Insights APIは、CNN、Today Show、BSkyBなどのニュース機関が利用できるAPIであり、Facebookの公開データ全体で匿名キーワードデータをプログラムによって検索できる。このデータは、性別、現住所の都市、年齢などで切り分けることが可能だ。このAPIがより多くのオーディエンスに公開される予定はまだないが、(成功すれば)将来的に拡大されるのは必至だ(この件についてFacebookにメールしたが、回答はまだない)。

ここから得られたことユーザーに関する新しいデータソースを取り入れているというだけだとしても、Facebookと協力しているメディア企業もいる。

あなたにできることなんでもやる(穏やかに!)。企業の規模次第だ。

Keyword Insights APIはまだ一般に公開されていないが、コンテンツを着実に制作しているクライアントに対して、似たようなデータにアクセスするチャンスを提案することはできる。たとえば、Facebookの認定マーケティングデベロッパーであるMass Relevanceを試してみよう。デバイスなどさまざまな指標でデータを切り分け、Facebookから得られる知見やトレンドを提示してくれる。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、メディア企業が実施している成長戦略について見てきたが、後編となる次回は、筆者がメディア企業に提案したいと考えているいくつかのアイデアを紹介する。→後編を読む

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