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リンクビルディングを全体の通常業務に浸透させたコンテンツ戦略と事例(後編)

リンクビルディングを企業活動の通常業務にする ―― 各チームはどうかかわるのか、コンテンツの作り方はどう変えるのか、そしてうまくいくと成果はどう変わるのか、事例で紹介
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この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、筆者のコンテンツ戦略について、ケーススタディと枠組みを見ていこう。→まず前編を読んでおく

事例:リンクビルディングを「通常業務」にしていったやり方

こうした考え方のシフトを説明するには、Airaでわれわれがやってきた実例を紹介するのがいちばんいい。実名を出すわけにはいかないが、あるクライアントと一緒に歩んできた道程の概要は説明できる。仕事を成し遂げるために絶えず打ち込んでいるSEOチームを支えてきたが、こうした取り組みには完璧なパートナーだった。

一方で、決して簡単ではなかったことも指摘しておくべきだろう。いまもいくつかのクライアントと取り組んでいるが、なかなかうまくいかないところもある。この記事では順調にいった例を紹介するが、それでも時間はかかるし、実際のところ、こうはいかなところもあるだろう。

僕たちのリンクビルディングはこの先、どう発展するの?

1つのキャンペーン、それがはじまりだった。1回のキャンペーンでリンクを獲得し、こんなことができるとクライアントに示すことになっていた。

Airaはそれに失敗した。

2016年のことだ。クライアントがプロセスを信頼してくれて、うまくいかなかった理由を理解してくれたのは幸運だった。もう一度チャンスをもらい、今度はとてもうまくいった。

その後、プロジェクトはどんどん大きくなった。規模を拡大したキャンペーンを定期的に打ち、安定してリンクを獲得するまでになった。すべてが順調だった。

そんな時、クライアントのチームの人からこんなふうに訊かれた。

僕たちのリンクビルディングはこの先、どう発展するの?

リンクビルディングのことは絶えず頭にあったが、この質問に対してすぐに説得力のある回答ができるようなメンタルモデルは持ち合わせていなかった。このクライアントのことも、クライアントの業界のことも、そこまでわかっていなかった。

わたしは時間をかけて考え、実は長年、考えてはいたが一度も形にならなかったさまざまな知見と意見を整理した。

補足

日々の仕事から一歩引いて大局や今後について考えるのは難しいことが多い。ビジネスが成長していて全般的にうまくいっているときはなおさらそうだ。

順調なときは「波風を立てる」ことを正当化するのが難しいかもしれないが、こうした考察の時間を作ることは必要だとわたしは学んだ。わたしの場合は、あの時のクライアントの単刀直入な質問によって、そのような思考に強制的に入ることができた。

百件単位のリンク獲得も、数年の視野では満足できない

わたしはこのクライアントに提供しているリンクビルディングモデルについて、これからも機能し続けて価値を高めていってくれるだろう。しかし今後数年となると、今やっているモデルだけに力を入れていくべきではないと認めた。

そのうえで、この記事でこれまで語ってきたことを説明した。

取引先の中でもとりわけ満足してもらっており、付き合いも長いクライアントではあったが、いまの仕事は十分ではないことをわたしは伝えた。百件単位でリンクを獲得しているが、もっとうまくやることは可能だった。

キャンペーンを次々と繰り出してそのたびにリンクを獲得する方法は、今後、満足できるものではなくなるだろう。たしかに今はうまくいっているが、2年後、あるいは5年後はどうか。おそらくそれでは物足りなくなる。

そのクライアントが保有しているコンテンツとしては次のようにさまざまなものがあり、その間の溝を埋める必要があることがわかっていた:

  • リンク獲得のためのコンテンツ(つまりキャンペーン)

  • トラフィック獲得のためのコンテンツ(情報のページとトランザクションのページ)

  • 専門性と信頼を構築するためのコンテンツ

われわれはこのうち、最初のものにだけに力を注いでいた。適切なトピックの案を考え出し、それを形にしてリンクを獲得する。それで終わりだった。

このままだとあと数年で行き詰まるだろう。リンクビルディングが、とても大きな組織の隅っこで、他の作業とほとんど連携することなくサイロ化してしまうからだ。

あの対話から1年以上が経った今、はたしてどうなったのか。実のところ、キャンペーンは今も大いに貢献している。しかしわれわれは、それ以外のことをもっとやるために進化を続けている。

社内各チームとの連携で動き出した包括的な動き

連携の強化、ひいてはリンク獲得の向上を進めたい場合、その第一歩は、クライアントのビジネスの「ほかの業務」や「リンクビルディングで価値が高まる可能性がある部分」に目を向けることだ。そうしたことを考えたことがない場合は、間違いなく重要なステップになる。

クライアント内のほかのチームとの連携が必要なことは、先ほどの対話の時点ですでに認識していたため、われわれは幸先よいスタートを切った。

クライアントのSEOチームの協力を得て、まずは、先方の組織のほかの業務のうち、われわれが価値を高めたり改善を手助けしたりできるところを見つけることから始めた。

  • 従来型マーケティングのチームは、さまざまな業界のトピックについてキャンペーンを長年実施してきた。その一部は、われわれのコンテンツで取り上げたトピックと重なっていた。

  • 社内の広報チームは、たくさんの活動を進めており、われわれのコンテンツがあちらのトラッカーに姿をみせることが少なくなかった。あちらもわれわれに会ってこちらのプロセスについて理解を深めたがっていることが判明した。

  • ブランドチームは、ブランドのガイドラインが徹底されていることを確認するために、サイト上の全資産の調査を開始していた。ブランドチームとの協力は、安定したリンクビルディングのための重要な推進力になっていった。

  • クライアントはわれわれの協力を得て、製品に関連する情報コンテンツを拡大していった。われわれは社内のコピーライターに指示を与える手助けをした。

こうした機会はすべて、リンクビルディングの発展に新たな重点を置くための種まきになったほか、次のようないくつかの点で、われわれの迅速な動きにつながった:

  • 社内のPRチームと共同プロジェクトを実施し、データの視覚化にとどまらないアイデアとアウトリーチで協力した

  • SEOチームからわれわれに与えられたトピックに関して、アイデア出しのセッションを実施した。このセッションには、従来型マーケティングのチームも力を注いだ

  • クライアント内部にいる特定トピックの専門家(SME)と関係を構築した。現在は連携しつつ、そうした専門家のプロモーションをオンラインで進めている(詳細は後ほど)

  • 製品に関する情報コンテンツのなかに、自然にリンクを集めているものがいくつかあったことから、そうしたコンテンツによるリンクビルディングをテストした

  • PRチームと共同で、ブランド開拓スタイルのリンクビルディングを実施した

キャンペーンを超える価値を生み出したリンクビルディング

あの率直な対話からわずか1年でわれわれの動きは、以前やっていた「キャンペーンの連発」を超える価値を示せるようになり、クライアントのコンテンツに対するリンクの構築が続いている。これは何年も価値を持ち続けるものなので、キャンペーンへの依存度は年々下がっていくだろう。

現在は、キャンペーン依存からの脱却を着々と進め、リンクビルディングを戦略に組み込んでいる。まだリンク獲得の半分以上はキャンペーンによるものだが、戦略は次のように大きく変化している:

  • どのキャンペーンも打ち切りはしない(例外はあるが)。キャンペーンは常に利用可能で、それだけでリンクを集められる。

  • 業界におけるクライアントのオーソリティと専門性を示すレポート形式の長いコンテンツをまず公開して、そこへのリンクを構築している(リンク獲得のスピードははるかにゆっくりしているが、うまくいっている)。

  • これから先、意見やコメントを求めて直接コンタクトをとってきてくれそうなライターやジャーナリストに紹介することで、クライアントの社内にいる中心的な広報役の知名度を高めている。

  • 情報コンテンツのためのプロスペクティングとアウトリーチを進めている(これはこちらからお願いする必要がなかった)。検索順位を軽く刺激するのが狙いで、将来のリンク増につながる。

このクライアントでは、リンクビルディングが完全に平常業務になったわけではない。しかし、そこからかけ離れているわけでもない。SEOチーム内だけではなく、もっと幅広いマーケティングチームでも、リンクの構築が真剣に受け止められている。意識はこれまでよりずっと高まっている。

コンテンツ戦略の枠組み

キャンペーンのみによるリンクビルディング戦略からの脱却を支え、目に見えるようにするために使ってきた枠組みを紹介したい。

リンクビルディングを実施する際に必要なことは「トピックがマーケティング戦略全体にとって適切なのか必ず確認すること」だ。

われわれはかつて、リンクのことだけを考えていた。コンテンツがほかの目的にも有効かどうかはまったく考えず、キャンペーンのためだけのコンテンツばかり作っていた。

しかし今、リンクビルディングの担当者は、次のようなことを、時間をかけてしっかり調査する必要がある:

  • クライアントや会社に知名度を上げてもらいたいトピック
  • 話題になる際に信頼されたいトピック
  • オーディエンスに響くトピック

そのようなトピックがないと、コンテンツ制作のプランニングは始められない。これが明確に定まって初めて、どこにリンクビルディングを持ってくるべきかを決められるのだ。

このアプローチは、「リンクが必要なので、リンクの獲得に役立つコンテンツのアイデアを考え出そう」というアプローチと対照的だ。どちらも機能はするが、後者は前者ほど効果的ではない。

クライアントの戦略転換を支援するため、われわれは次のような枠組みを作った。

コンテンツ戦略の枠組み
テーマ  ← 知名度を上げたいテーマは何か? ウェブサイトで何について書いて信頼されたいか?
トピック  ← テーマのなかで、コンテンツを書くことが可能でターゲットオーディエンスに響くトピックは何か?
フォーマット  ← コンテンツを制作するうえで使えるフォーマットはどれか?
KPI  ← それぞれのコンテンツフォーマットで達成すべきKPIな何か?

例としては、「睡眠改善に役立つ製品」を売ると考えてみよう。次のようなテーマやトピックを思いつくのではないだろうか。

テーマ: 睡眠 集中 夢 ストレス パフォーマンス
トピック: 睡眠に最適な都市 睡眠の科学 スポーツと睡眠 睡眠に関する英国の調査
フォーマット: キャンペーン ゲストブログ データ視覚化 調査 ガイド 動画 ブログ記事
KPI: トラフィック リード リンク ブランド認知

「キャンペーン」がフォーマットの1つでしかないことがわかるだろう。また、トピックとテーマがさまざまなコンテンツ形式(およびリンク)につながるだけでなく、KPIがリンク数だけではないこともポイントだ。

睡眠の科学に関する長いコンテンツガイドを苦労してまとめても、New York Timesの一面には載らないかもしれない。しかしそれでも、リンクとオーガニックな検索トラフィックを、ゆっくりだが安定して供給してくれるものにはなるだろう。このようなトラフィックのなかに、睡眠関連製品の潜在顧客がいるかもしれない。

具体的なトピックが頭にあれば、そのトピックを掘り下げられるし、制作して専門性と権威をほんとうに示せるコンテンツについて考えることが可能になる。クライアントやトピックによって違うが、次のような形になるかもしれない。

睡眠の科学
├ハイパーリンク─インフォグラフィック
├ハイパーリンク─動画
├ハイパーリンク─データ視覚化
├ハイパーリンク─ホワイトペーパー
├ハイパーリンク─専門家へのインタビュー
└ハイパーリンク─長いレポート

上の図で、青い円はリンク価値が高いトピックとフォーマットを示している。オレンジの円は、リンク価値はそれほど高くないが大切な制作物であり、リンクとトラフィックを長く生み出していくには、こうしたコンテンツも作るべきだ。

まとめ

リンクビルディングキャンペーンにたいへんな価値があることに変わりはない。しかし、クライアントのためにそれしかやっていない人はチャンスを逃している。キャンペーンにとらわれることなく大きな視点で考えると、リンクビルディングの理想の境地に近づくためには、ほかにどんなことができるかが見えてくる。

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