コンテンツマーケティング実践ガイド(前編) ―― 目標・計画・チーム・アイデア・制作
コンテンツマーケティングが熱い。白熱している。SEOやデジタルマーケティングのオピニオンリーダーたちは、次に来るのはコンテンツマーケティングだと断言している。ランドでさえ、その重要性を喧伝しているくらいだ。
コンテンツマーケティングの戦略は理にかなっている。潜在的顧客に対して、製品に関するメッセージを押し付けるのではなく、相手が関心を持ちそうなコンテンツを公開することで引き付けるのだ。そういうやり方からは、検索順位、トラフィック、リードなどさまざまな恩恵が得られる。
したがって、議論の的はもはや、「コンテンツマーケティングを行うべきか
」あるいは「なぜ行うべきか
」などということではない。「どうやってコンテンツマーケティングを進めればいいのか?」を考える段階だ。ブランドはどうやって実際にパブリッシャとなり、優れたコンテンツを作り、トラフィックを集め、コンバージョンを生み出すのか?
さて、もし君が「どうやって?」と悩んでいるなら、心配は無用だ。この記事では、「コンテンツマーケティングマシン」の構築と運用の方法について指南する。
ただし、はっきりさせておくと、新しいことをやってみようという話ではない。ブログを何本か投稿してインフォグラフィックスをパパっと作ろうという話とは違う。これから話題にするのは、自らのカテゴリで優れたコンテンツを作り続ける継続的な取り組みであり、すべての既存チャンネルを合わせたよりも多くのトラフィックとリードをもっと低いコストで生み出すマシンだ。
コンテンツマーケティングの全体像
まずは「コンテンツマーケティング」というマシンの全体像を見てみよう。ピストン、歯車、煙突などに相当するさまざまな部品がある。この図を見れば、何を構築していくのか、何を操作しようとしているのかを概観できるだろう。
それでは、マシンの部品をひとつひとつ見ていこう。
コンテンツマーケティングの目標と計画
「コンテンツマーケティングマシン」の目標、つまり最終的なアウトプットは何だろうか?
コンテンツマーケティングは、
- カスタマーリテンション(既存顧客のつなぎとめ)
- アップセル(上位製品への買替え販売)
- サポート
- ブランド認知
など、多くの目的に利用される。だが、多くのコンテンツマーケターにとっての最大の目的は、何と言っても
- リードジェネレーション(見込み客の獲得)
- 顧客獲得
の2つだ。これには、「商品をショッピングカートに入れる」「リードジェネレーション用フォームに入力する」「試用を申し込む」といったゴールの形がある。
それならば、コンテンツの力を利用して見込み客を今いる場所からゴールまで導くような道筋を作り上げる計画を立てればよい。
そういう計画を練るのに最適なのが、「コンテンツグリッド」というマトリクス(行列)だ。このマトリクスでは、1つの軸に顧客のペルソナ(人物像)を、もう1つの軸に購入サイクルの各ステージを割り当てる。マシンのこの部分を拡大してみるとこんな感じになる。
次に、このグリッドの各セルについて、「どのようなコンテンツなら、この人物をそのステージに導き、かつ次のステージに移行させることができるか」を突き止めなくてはならない。具体的に言えば、各セルは次のような質問に答えるものでなければならない。
- この人物は、プロセスのこの段階でどのような質問になら答えてくれるか?
- こうしたコンテンツを提供しこれらの質問に答えるトピックやカテゴリは何か?
- 各セルにおけるコンテンツのタイトル案はどのようなものか?
- このコンテンツをどのような形式(ブログ投稿、動画、電子書籍など)で配信するか?
忘れてはならない。購入サイクルの最初の方にいるプロスペクト層は、君の会社やブランドにまったく関心がないということを。プロスペクト層を対象としたコンテンツは、相手の関心と君の会社の専門領域が重なるような内容にすべきだ。
また、上の方(初期)のステージにいる顧客向けのコンテンツでは、自分の製品やサービスを宣伝してはならない。しかし、「コンテンツグリッド」で下の方のステージに進んで行き、潜在的顧客が君の製品やサービスに関心を示したら、コンテンツの中で詳細な情報を提供しよう。
コンテンツマーケティングのチーム作り
さあ、計画は立った。次は、その計画を誰が実行するかを決めなくてはならない。
まず、さきほど作ったコンテンツグリッドを眺めてみよう。そこにあるようなコンテンツを制作できるのは誰だろう? 社内のスタッフ? 外部のフリーランサー? それともゲスト投稿者?
当然、これは予算にかなり左右されるが、たいていの組織では、社内の人材と外部の協力者を組み合わせて使うことになる。会社が持つ独自の専門知識は生かすべきだが、外部の人材を使って労力を分担してもらうのだ(特に動画やインフォグラフィックスのようなリッチメディアコンテンツに関するものについては)。
作業に協力してもらう人材の組み合わせにはさまざまな形があるものの、常に欠かせない重要な役割がある。それは編集責任者だ。
多くの関係者が協力して「コンテンツマーケティングマシン」にアイデアやコンテンツを送り、マシンの「オーディエンス開拓」のクランクを回し、マシンからリードやレポートを引き出していくことになる。
しかし、編集カレンダーを立案し、コンテンツの制作と配信を監督し、トラフィックとコンバージョンを生み出し、メトリクスを監視し、結果に対する責任を担うという、マシン管理の統括責任者が最低1人は必要だ。そうした責任者がいなければ、マシンどころか、もっと小さな器具(コンテンツマーケティング・トースターとか)さえも動かせない。
理想的な編集責任者とは、ジャーナリズムかコピーライティング、あるいは広報の分野でコンテンツに関する経験を持つ人物だ。同時に、ウェブに関する知識を持ち、検索、ソーシャル、解析、リンクビルディングの方法についても熟知していなければならない。もちろん、マーケティングに精通しており、トラフィックやコンバージョンを引き出すという最終目的を理解していることも、編集責任者に求められる。
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