コンテンツマーケティングの基本②:ターゲット調査&効くコンテンツ判断のノウハウ
コンテンツマーケティングの基本を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、「オーディエンス調査」「コンバージョンに効くコンテンツの見つけ方」「競合調査のポイント」「ターゲットの感情に響くポイント探し」について解説する。 →まず前編を読んでおく
2. FullContactを利用してオーディエンスを調査する
良いコンテンツを作るに大切なのは、その情報を届けようとしている相手をよく知っていることだ。では、そうしたヒントになる情報を楽に得る方法はあるのだろうか。
僕が使うのは、FullContactだ。
一度使い始めたらとても気に入ったサービスで、使い方はいろいろある。今回コンテンツ作成に関連して紹介したい用途は、オーディエンスの調査だ。
あまりご存じない人たちのために説明すると、FullContactには「人物情報の拡充」という機能があり、何かキーとなる情報さえあれば、それに基づいて対象の人物に関する多くの情報を収集できる。
情報を収集するキーとして指定できる項目は、現在のところ次のとおりだ。
- メールアドレス
- 電話番号
- Twitterのハンドルネーム
- FacebookのアカウントID
たとえばメールアドレスのリストを指定すると、FullContact側で以下のような関連情報を見つけようとする(見つからない場合もあるが)。
- Twitterのアカウント
- Facebookのアカウント
- LinkedInのプロフィール
- Kloutスコア
- Twitterのプロフィール
- 位置情報
- 性別
- 肩書き
FullContactの提供するExcelテンプレートを使うと、上記のような内容を含んだレポートをかんたんに作成できる。
では、これがどこでオーディエンスの調査と関わってくるのだろうか?
すでにお気づきの人もいるかもしれないが、FullContactが探すデータポイントの1つは肩書きだ。Twitterのプロフィールも探そうとする。これらのデータポイントを利用すると、オーディエンスに関する知見が得られるから、それに合わせてコンテンツを調整できる。
では、FullContactを使って情報を収集してみよう。
まず、Excelテンプレートをダウンロードする。
このExcelテンプレートを利用するにはFullContactのAPIキーが必要だ。別途こちらから登録すると、メールでAPIキーが送られてくる。
ここでは、Twitterのハンドルネームのリストを使う。ここで言うTwitterのハンドルネームというのは、TwitterのフォロワーをFollowerwonkなどのツールを使ってエクスポートしたものだ。
Excelテンプレートの[Begin]シートでタイプから「twitter handles」を選び、[InputSheet]シートにの「Twitter Handle」列にフォロワー名(「@」を除いたもの)を入力する。
あとは、[Begin]シートに戻って[Populate Contacs]ボタンをクリックすると、FullContactが見つけてきた関連情報がハンドルネームのリストと共に出力される。どんなものが得られるかを知ってもらうために、僕が得たアウトプットの一部をお見せしよう。
「Occupation(職業)」の列全体をWordleなどのワードクラウドツールにコピー&ペーストすると、次のように表示される。
これを見れば、Twitterであなたをフォローしている人のタイプが一目瞭然だ。これらの人々に訴求するコンテンツを作成したい場合は、アピールすべき対象がすぐにわかる。
上記の例では、上級管理職やマーケティング担当者に訴求するコンテンツを作成すべきだろうし、こうした人々が利用していそうなLinkedInなどのサービスを使って、このコンテンツをプロモーションすべきだろう。
3. トップコンテンツを有料でプロモーションする
分析ツールできちんと追跡すれば、コンテンツがコンバージョンにどう貢献しているのかを把握できる。製品ページやカテゴリページ以外のコンテンツは、ほとんどが直接コンバージョンにつながるようには見えないが、どこかの時点で役に立っている可能性は十分にある。
Googleアナリティクスを利用しているのなら、アシストコンバージョンレポートを使って、コンテンツのランディングページのURLを含めるようにレポートを設定するといい。やり方は下の画像を参照してほしい。
これを設定すれば、以下のように、コンバージョンプロセスに貢献したコンテンツがあるかどうかを確認できる。
このレポートで確認して、コンバージョンに貢献しているページがあるようならば、そこにより多くのトラフィックをこのコンテンツに送るよう努めるべきだと判断できる。それによって、コンバージョン件数を増やすのに役立つと思えるからだ。
もちろん、通常のオーガニック検索で働きかけてリンクを獲得に努めるなど、方法はいくつかあるが、いくらか予算を使って、コンテンツに有料のトラフィックを送り込むことも検討するといい。とはいえ、そのページのコンバージョン率は、製品ページやカテゴリページよりずっと低いだろうから、あまり大きな資金はかけたくない。
そういうわけで、僕が前回の記事で概要を説明したように、TwitterやLinkedIn、Outbrain、Taboola、Facebookなどの広告を利用するのは、より多くのトラフィックを送り込んでアシストコンバージョンを増やすのに適した方法になるだろう。
4. 競合するコンテンツを見つけて、そこから学ぶ
たいていの人は、いずれかの時点で競合分析を行ったことがあるはずだ。その狙いは通常、業界全体における自らのWebサイトの位置付けを把握して、課題を認識することだ。競合分析を行うときによくある問題点は、検索するときに同じような製品やサービスを基本にするので、純然たる競合相手だけしか表示されない傾向が強いことだ。
しかし実際には、「製品やサービスでの競合」と「競合するコンテンツを公開している人々」はまったく異なることがある。
この点を、例を挙げて説明しよう。
Distilledでは少し前、中小企業向けの企業保険を手がけるSimply Businessのためにソーシャルメディアのガイドを作った。
このサイトの競合として、Mashableが作ったこのガイドがある。しかし、競合調査において対象を直接のライバルである企業保険を販売するWebサイトに限っていたとしたら、このページは見つけられなかっただろう。なぜなら、Mashableは企業保険を販売しているわけではないからだ。
直接的な競合以外に目を向けることによって、コンテンツのアイデアがすでに実践されている例を確認できたのだ。そうすれば、コンテンツがどれほどの成功を収めているかを見て、自分たちも成功を収めるためにはどうすればいいかを認識できる。さらには、もっとうまくやれるか、あるいは別のやり方があるかを自問するべきだということも分かる。
前編で説明した「記憶に残る(Made to Stick)アイデア」という原則を思い出してほしい。僕たちはこれらの原則を自らに当てはめ、Mashableよりもよいものを作るよう努めなければならなかった。
競合するコンテンツを探す方法は数多くあるが、最も簡単なのは、グーグルを利用することだ!
上記の例では、単に「social media guide(ソーシャルメディアガイド)」という言葉を検索して、結果の中から探せばよかった。さらに少し踏み込みたければ、検索結果ごとにあらゆる種類の指標が表示されるMozのKeyword Difficultyツールが使える。
コンテンツによっては、多くのキーワードで検索結果に表示させることを目的としていないこともあるだろう(ただし、これが目的であるケースも非常に多い)。しかし、これらの指標は、こういったコンテンツがどの程度リンクしてもらいやすいかを把握できるので、役に立つ。
コンテンツの狙いがリンクにあるのなら、知っておく価値がある!
5. ターゲットオーディエンスの肯定的または否定的感情を探し出す
コンテンツのアイデアを生み出す際に考慮すべきことの1つは、ターゲットオーディエンスの感じ方だ。彼らにとって、君の製品、サービス、ブランド、競合、業界の何が問題となるだろうか?
「記憶に残る(Made to Stick)アイデア」に話を戻すと、これはフレームワークの「感情に訴える」部分に相当する。
ターゲットオーディエンスに不快感をもたらすものや、逆に好感を抱かせるものが見つかったら、コンテンツのアイデアを前進させるのに役立てられる。
これを見つけるには、Distilledのクリエイティブ担当バイスプレジデントであるマークの裏技を拝借して、次のような検索キーワードを使ってこういった情報を明らかにしよう。
こういう検索をしてみると、ターゲットオーディエンスの感情を反映したやりとりが見えてくる。「好き」や「嫌い」という言葉が実際に書き込まれているということは、きわめて強い意味を持つものだ! そのため、これらの言葉を使っている会話が見つかったら、さまざまな形でターゲットオーディエンスの感情に訴えるコンテンツのアイデアに導いてくれる可能性がある。
最後に、アイデアを生み出すプロセスをマークが順を追って説明しているスライドを紹介しておこう。このスライドでは、この記事で僕が説明したことについて多くの例が挙げられているので、これにも目を通しておくことをおすすめする。
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