質の高いコンテンツを効率よく生産するための戦略とワークフロー(中編:アイデア&データを得るツールやサービス)
それなりの規模で、コンテンツの質を確保し、測定可能な成果を生み出す方法を伝えるこの記事は、前中後編の3回に分けてお届けしている。中編となる今回は、コンテンツのアイデアと必要なデータを手に入れるためのツールやサービスを見ていこう。→まず前編を読んでおく
すぐれたアイデアを見つける
コンテンツの強力なアイデアが思い浮かばないという言い訳は認められないことを、記事の前編で、はっきりと述べた。
ここで、アイデアを出す過程で助けになるよう、あなたにできることをいくつか挙げる。
ペルソナとユーザージャーニーを構築する
これまでに僕の記事を読んだことがある人なら、「コンテンツをだれに向けて作るのか」を理解することが肝要だという僕の持論はご存じだろう。
ペルソナを作りあげていくことは、チームがビジネス目標にかなうようにコンテンツのアイデアを形づくるうえで役に立つ。しかし、それと同時に、ペルソナは、ターゲットとなるオーディエンスにとっても有益だ。
ペルソナの構築は、ユーザーのニーズに真に気を配る方法であり、企業が信じて目標にしているものを標準化する方法でもある。もっと詳しく知りたければ、「ペルソナ:サイト訪問の向こうにいるユーザーを理解する」を参照してほしい。
ペルソナ構築のプロセスを経るのは面倒で、すでに取り込んでいるユーザーに基づいてアイデアを構築すればいいという人は、Followerwonkのワードクラウドを使うと近道ができる。
この画像のワードクラウドの場合、アカウントのフォロワーたちは大部分がソーシャルメディアに関心をもち、音楽とスポーツも好んでいる。そうなると、ソーシャルメディアを利用してファンタジースポーツゲームのようなものを作るといった可能性も出てくる。さらに、このアイデアに沿ってフォロアーを調査して、微調整を加えることもできる。
ただ、僕がFollowerwonkを実際に使って気がついた注意点が1つある。ワードクラウドで用いられるフォロワーのサンプル量がごく少ないことがあるのだ。その場合には、Simply Measuredの無料Twitterフォロワーレポートを使って、TagCrowdに読み込ませることで、最大1万フォロワーに関するワードクラウドを生成できる。
さらに、Tribalyticsを使って、フォロワーを意味のあるグループに分類することもできる。
数年前のこと、僕は検索量の急増とソーシャルメディアにおける会話の急増との相関関係を発見し、検索需要がはっきりする前に、Twitterを検索することで相互に関連し合う語句を先に突き止めるツールを作った。
Twitterはその後APIを何度も更新したため僕のコードは動かなくなってしまったが、Bottlenoseがはるかに強力な「Sonar」を開発した。これを使うことで、僕のツールと同様の洞察を、ずっと美しいUIに表示できる。
Sonarでは、Followerwonkのワードクラウドの使い方と同じような方法で、2つ以上の相互関連語句をグラフで突き止め、コンテンツのアイデアを見つけ出すことができる。
Sonarが優れているのは、2つのアイデアを一緒にツイートしたのがだれなのか正確にわかるので、その人々に連絡をとって了承を得たり、共有やリンクを求めることができる点だ。
ソーシャル質問サイトのQuoraは、過小評価されているが、コンテンツのすばらしいアイデアとそれを裏付けるデータを得られる絶好の環境だ。
Quoraでは、質問を投稿し、専門家に回答を求めることができる。いつ覗いても、新興企業の創業者やFortune 500企業の従業員が、それぞれの企業について率直に語っているのを目にするだろう。また、何についても驚くほどの情熱をもっている人々が見つかり、ほかではなかなかわからない詳細な知見を提供してもらえる。
Quoraの利用目的はいろいろあるが、質問を投稿することでコンテンツのアイデアに関する興味や評判を測定するという使い方もできる。また、Quoraでは、コンテンツを広めるために役立ちそうな話題に興味を示す人々のリストも手に入る。
キーワード検索
SEER Interactiveのチームが「Enterキーを叩くな」とよく言っているように、検索をしていると、すぐにオーディエンスが集まる関連性の高いコンテンツのアイデアがいくつも見つかる。
最終的には、現代におけるキーワード調査はコンテンツ戦略と調和するよう、ユーザージャーニーに合わせてキーワードを配置するべきだ。
いずれにせよ、キーワード調査が示す人間の集合的体験は、実用的なコンテンツのコンセプトになる。Google AdWordsのキーワードプランナーや、Übersuggest とSoovleも検討してみよう。
Yutongoは、アイデアのクラウドソーシングができる市場プラットフォームだ。社内チームで参加すれば、このプラットフォームでブレインストーミングができる。
また、アイデアの課題を設定して、独創的な頭脳を外部から招き、創造性に関する問題を解決するための提案を出してもらうこともできる。
データ収集元
アイデアが得られ、何をだれに向けて作るのかがわかったら、コンテンツ体験を構築するためのデータが必要だ。既存のデータを入手して自分たち専用のデータを構築する方法はたくさんある。
ここでは、データ収集元の候補リストを紹介する。
どの層をターゲットとするかがはっきりしていて、知りたいのはその層が何を考えているのかだけだという場合は、SurveyMonkey Audienceでカスタム調査を行えばいい。
集めたデータの表示法がいいし、ユーザーに関するデモグラフィック情報の集め方が明快で、僕はSurveyMonkeyを本当に気に入っている。質問に対して、こちらが求めている対象者が回答していることが確信できる。
SurveyMonkey Audienceに対抗してグーグルが提供しているGoogle Consumer Surveysも、カスタム調査の素晴らしい製品だ。
ただし、Googleディスプレイ広告ネットワークに乗っかる形で作られている点は重要だ。というのは、グーグルはデモグラフィック情報を、ユーザーの入力内容から直接得ているのではなく、類似サービスのデータベースに基づいて推論しているからだ。
グーグルのConsumer Barometerでは、購入を決定する際のユーザーの振る舞いに関する洞察とデータを得られる。さまざまな機能とデモグラフィック情報のデータを使うことで、いろいろな製品タイプについて、購入決定の際にどんな人がどんな行動をとり、その理由は何なのかをすべて知ることができる。
グーグルのPublic Dataは、世界中の政府データや公共データの提供元からデータを集めており、そのデータを興味深い形で体験できる。たとえば、各国の平均寿命がわかるグラフや、ヨーロッパ各国の最低賃金に関するものなどだ。また、手持ちのDSPL形式のデータセットをアップロードして、それを可視化することもできる。
マーケティングの統計が今すぐ必要だって? MarketingChartsは、適切なマーケティング統計とグラフのためのキュレーションサイトだ。ビジネスケースを作るときや、インフォグラフィック用に急いでデータを集める際に特に役に立つと思う。
データ検索エンジン
僕がデータ検索エンジンに分類するツールはいろいろある。どれも独自のデータ表示方法をもっており、どれが良いかはデータの種類によって変わる。
僕がデータを探すときはいつも、まずいくつかのデータ検索エンジンから始めて、求めるデータが見つかるまで、次々とデータ検索エンジンを試していく。
Zanran ―― Zanranは、データ検索エンジンの中でも数少ない本物の検索エンジンの1つだ。「Teenage pregnancy US」(ティーンエイジャーの妊娠 米国)で検索すると、そのニーズにあったデータのある場所とグラフが見つかる。
DataMarket ―― DataMarketも検索エンジンであり、探しているデータに基づいたインタラクティブなグラフを返す。
Get the Data ―― Get the DataはQ&Aサイトだ。必要なデータを探すのによい場所を、データを扱う業者がほかのデータ業者に質問できる。
Data360 ―― データに語らせるデータジャーナリズムのサイトだ。現在起きている出来事の背後にあるデータは、たいていはここで見つかる。
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。後編となる次回は、コンテンツを外注する場合と自作する場合について、役に立つツールやサービスと、ワークフローについて紹介する。続きを読む
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