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アトリビューションCPAとTotal CPA

広告費との対比や貢献度の割り振りといった視点で各種の指標を解説
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「アトリビューション分析」で使われる「ラストクリックCPA」「アトリビューションCPA」「Total CPA」といった指標がどういった性質のものなのか、広告費との対比や貢献度の割り振りといった視点で解説する。

前回の投稿ではアタラ・メソッド(ATARA Method)について紹介したが、掲載後に読者の方々からいくつか質問と激励をいただいた。その中で気になったものがあったので、回答してみたい。

アトリビューションCPAもラストクリックCPAも、
合計値が広告費総額と一致しなくてもいい

気になった質問の中に、

アトリビューションCPAの合計値と全体の費用があわないのはおかしいのではないか?

というものがあった。具体的に質問の意図を説明するために、前回の投稿で使った表2を再掲してみる。

前回記事の表2(再掲)
 バナーAバナーBリスティング広告
費用100万円200万円300万円
アトリビューション・スコア1/31/31/3
アトリビューションCPA300万円600万円900万円
アトリビューション・ランク123

この表2にあるアトリビューションCPAを、バナーA、バナーB、リスティング広告で足し合わせてみると、1,800万円となるから「これはおかしいのではないか」というのが質問の趣旨だ。バナーA、バナーB、リスティング広告の費用の合計は600万円なので、これと一致しないといけないのではないか、ということだ。

これはとても良い質問だが、アトリビューションCPAの合計値は、費用の合計値と一致するものではないので、問題視する必要はない。

同様に、これまでのラストクリックCPAでも、広告費用の合計とラストクリックCPAの合計は一致しないはずである。ここで前回の投稿の表1をみてみよう。

前回記事の表1(再掲)
 バナーAバナーBリスティング広告
費用100万円200万円300万円
貢献度001
ラストクリックCPA算出不可算出不可300万円

これまでのラストクリックCPAは、リスティング広告が300万円、ほかは計算できないので、「算出不可」となっている。そのため、合計しても、バナーA、バナーB、リスティング広告の合計値=600万円にはならず、300万円となってしまう。これまでのラストクリックCPAもアトリビューションCPAも同様だが、発生したコンバージョンに対しての流入元別の獲得効率を示している指標であるため、全体の費用の合計と一致するものにはならないのである。

全体の費用の合計と一致するCPAの考え方: TCPA

ただし、良い質問であると言ったのには理由がある。全体の費用の合計と一致するという視点でのCPAもあり得るからだ。

前回の投稿で例示した流入経路(バナーA → バナーB → リスティング広告 → コンバージョン)を1つのコンビネーション(組み合せ)として捉えてみよう。そうすると、発生したコンバージョンは1個であり、そのコンビネーション単位でかかった費用は、バナーA=100万円、バナーB=200万円、リスティング広告=300万円で、合計すると600万円である。このコンビネーション単位でみたときのCPAを計算すると、費用の合計(600万円)をコンバージョン1個で割ることになるので、600万円÷1=600万円となる。つまり、流入経路という1つのコンビネーション単位でみたときのCPAと費用の合計は一致するのだ。

じつは、これと同じ視点で算出したCPAを「Total CPA(TCPA)」と呼んで紹介している秀逸な論考がある。マーケティングメトリックス研究所の中川氏の「『TCPA』 ~間接効果を含んだ新指標」だ。この中で中川氏は、TCPAを次のように定義して紹介している。

TCPA は、ユーザがコンバージョンに至るまでに経由した広告CPCを合算したものです

ここで、議論の筋から逸れるが、「Total CPA」という用語について、同じ言葉で異なる概念を表しているケースもあるため紹介しておきたい。それは、Fringe81 代表取締役社長の田中氏の記事「純広告は博打か? 第三者配信による真の広告効果測定|第三者配信その2」だ。記事で田中氏は次のように直接効果だけでなく間接効果も計測することの重要性を説いている。こちらも、第三者配信の効用を正しく理解するために、ぜひ読んでおきたい記事である。

トータルCPAは、媒体費÷(直接コンバージョン+10~15日以内のビュースルーコンバージョン数)で算出できる

少し話はそれるが、ここで「Total CPA」についてもう1つ、触れておきたい。オーバーチュアとグーグルでリスティング広告の営業に携わっていたころに、個別のキーワードのCPAではなくて、キャンペーン全体のCPA、あるいは、アカウント全体のCPAを表す用語として「Total CPA」という単語をよくみかけた。たとえば、アカウント全体で月間のコンバージョン数が2万でその時の費用が2,000万円だったとすると、2,000万円÷2万コンバージョン=1,000円という数字になる。そして、この数字を改善するために運用していくという話しだ。

このように「Total CPA」はそれぞれの立場で異なる定義で使われているケースがあるため、注意が必要であることを覚えておいて欲しい。

アトリビューションの視点からみる
「ラストクリックCPA」「アトリビューションCPA」「Total CPA」

さて、話しを元に戻すと、アトリビューションCPAはラストクリックCPAと同様に、全体の費用と合計値が一致するものではないことを理解していただければと思う。

じつは、この「アトリビューションCPA」という用語だが、どのように呼称すべきかについていろいろと悩んだのも事実だ。これまでのラストクリックCPAとの違いを明確に示しつつも、さきほどの「Total CPA」との混同を避けられるようにしなければならないと考えていた。結局、今回の質問のように「Total CPA」との混同を招いてしまったので、ネーミングとしてはいまいちだったのかもしれない。ただ、アトリビューションCPAという、ある意味、なんの捻りもない名前にしたのは、やはり、アトリビューションということを強調しかったからである。

アトリビューションの視点から、「ラストクリックCPA」と「アトリビューションCPA」そして、さきほどの「Total CPA」を説明すると、次のようになる。

  • ラストクリックCPA」この指標は、コンバージョン・パスの中でコンバージョンに至ったラストの流入元だけに100%の貢献度を与えて、そのラストの流入元の費用をそのコンバージョン数で割って算出する。

  • アトリビューションCPAこの指標は、コンバージョン・パスの中で、初回~中間~ラストに至るすべての流入元にそれぞれ貢献度を割り振り、それぞれの流入元の費用をそれぞれの流入元の貢献度で割って算出する。アタラ・メソッドでは、それぞれの流入元の貢献度をアトリビューション・スコアで表す。

  • Total CPAこの指標は、コンバージョン・パスの中で、初回~中間~ラストに至るすべての流入元にそれぞれ100%の貢献度を与えて、それぞれの流入元の費用をその100%の貢献度で割って算出し、それらを合計して得られる。

Total CPAでは合計値は合うが、貢献度の割り振りは……

ラストクリックCPAとアトリビューションCPAについては、これまで表1表2で説明したので、「Total CPA」のケースを表3として示してみる。

表3
 バナーAバナーBリスティング広告
費用100万円200万円300万円
貢献度111
アトリビューションCPA100万円200万円300万円
Total CPA600万円

「バナーA → バナーB → リスティング広告 → コンバージョン」に至る経路はこれまでと同じでコンバージョン1個が発生したとする。このとき、アトリビューションCPAの合計値を全体の費用の合計値と同じにするためには、この表3のように、バナーAの貢献度=1、バナーBの貢献度=1、リスティング広告の貢献度=1として、アトリビューションCPAを算出し、それらを合計しなければならない。この場合は、バナーAのアトリビューションCPAは100万円÷1=100万円、バナーBのアトリビューションCPAは200万円÷1=200万円、リスティング広告のアトリビューションCPAは300万円÷1=300万円で、合計すると600万円となる。この合計を「Total CPA」と呼んでいると考えてよい。

ただ、これでは、コンバージョン1個の貢献度をそれぞれに配分していることにはならないことが分かるだろう。コンバージョン1個に対して、バナーAもコンバージョン1個分の貢献、バナーBもコンバージョン1個分の貢献、リスティング広告もコンバージョン1個分の貢献としていることになる。つまり、各流入元の貢献度を足し合わせると3になってしまい、もともとのコンバージョン1個を超えてしまうのだ。したがって、たしかに、この場合には、アトリビューションCPAの合計値とそれぞれの流入元の費用の合計値は一致するのだが、繰り返すが、これでは、貢献度を割り振ったことにならないのである。割り振っているというよりは、それぞれが1個のコンバージョンを発生させていると仮定して計算していることになる。

つまり、アトリビューション分析をおこなうという視点で考えると、アトリビューションCPAの合計値と費用の合計値を一致させるという考え方は適切ではないことが分かる。アトリビューションという視点、あるいは、1個のコンバージョンの貢献度を各流入元に割り振るという視点では、各流入元の費用をトータルで考えるというのは適切ではないことが分かる。

ところで、さきほどの中川氏の記事の中でも、後段に「CPAとTCPAの違い」について解説していて、個別の流入元を評価する際には、分析対象以外の流入元の費用を足したり引いたりしている。流入経路を評価するのと、個別の流入元を評価するのは別なのだ。つまり、アトリビューションCPAと分析手法は異なるが、間接効果を見えるようにしたいという試みとしては、向かっている方向は同じであると考えてよいだろう。

流入経路の費用をトータルで考えると「勝ちパターン」が見えてくる

また、アトリビューションという視点を離れて考えると、この流入経路の費用をトータルで考えるという視点は非常に重要になる局面がある。

流入経路(バナーA → バナーB → リスティング広告 → コンバージョン)を1つのコンビネーション(組み合せ)として捉えてみようという話しをしたが、このコンビネーションについて、実際にクライアントのデータを分析すると、非常にたくさんの異なるコンビネーションが出てくる。1万個のコンバージョンがある場合でも、このコンビネーションは何千という桁で出現する。それだけコンバージョンに至るルートのパターンは分散しているということだ。

分散しているパターンではあるが、詳細に分析すると、コンバージョンを多く生み出しているパターンと1個だけしか生み出していないパターンに分けることができる。そして、もちろん、最も多くコンバージョンを発生させているパターンも分かるのである。さらに、そのパターンごとの費用を考慮して獲得効率を算出すると、最も効率のよいコンビネーションのパターンも明らかになる。このような分析を便宜的に「勝ちパターン分析」と呼んでいるのだが、この分析もクライアントにとって非常に有益なものになる。

たとえば、仮に「バナーA → バナーB → リスティング広告 → コンバージョン」というコンビネーションが最も獲得効率の良いパターンであると分かったとしよう。そうすると、このクライアントの場合には、バナーAをクリックしてクライアントのサイトに流入し離脱してしまったユーザーに対しては、バナーBを表示させて再訪問を促すことが効果的である可能性があることが分かるだろう。なぜなら、バナーAからバナーBと経由してくる場合は勝ちパターンになる可能性が高まるからである。

第三者配信によって、このような特定のユーザーに対して特定の広告(ここではバナーB)を表示させる、出し分ける、というコントロールが技術的に可能になるので、この勝ちパターン分析はアトリビューション分析の応用として視野に入れておきたいものである。

アトリビューションCPAは貢献度を流入元ごとに適切に分け合う指標

さて、あらためて、アトリビューションCPAのネーミングでのこだわりについて記したい。これは、「割り振っている」ということを強調するために付けた名前である。表1表2表3でそれぞれ説明したように、それぞれの違いは、適切に貢献度を割り振っているかどうかである。

ラストクリックCPAはラストだけに100%の貢献度を割り振っている。これでは他の流入元が無視されているので適切ではないことは自明だろう。

表3も、すべてに1を振っていることになるため、貢献度を各流入元で適切に分け合ってはいない。

表2は、コンバージョン1個の貢献度を、各流入元に均等に割り振っているのだ。割り振っているため、それぞれの流入元のアトリビューション・スコアを足すと1になる。つまり、コンバージョン数と同値になるのである。

この割り振りを適切におこなって算出しているのがアトリビューションCPAということになるのだ。

◇◇◇

次回は、前回の投稿で紹介したアタラ・メソッド(ATARA Method)に対して寄せられた質問の中で気になったものがもう1つあるので、その質問に対しての回答をしたいと思う。その質問の趣旨は「アタラ・メソッドでは結局、広告の価値をコンバージョン効果でしかみていないのですか? 認知や態度変容については考慮していないのですか?」というものだ。この質問への回答は字数が必要となるので、次回の投稿で丁寧に回答することにしたい。

アタラ合同会社 COO 有園雄一

アトリくん

この記事は、attribution.jpに掲載されたコンテンツをWeb担の読者向けにピックアップ/再編集してお届けしている。この記事のオリジナルはこちら
アトリビューションCPAとTotal CPA(2011年7月12日)

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