アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法

アトリビューションの概念 | 書籍『アトリビューション』特別公開1-2 (全5回)

ユーザーはコンバージョンまでにさまざまな広告施策に触れている。「アシスト」という考えだ
アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
この記事は、書籍 『アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法』 の第1章「アトリビューションとは」を、Web担の読者向けに特別に公開しているものです(本書について)。

ユーザーが最終的に購入決定(コンバージョン)するまでには、さまざまな広告施策に触れている。これは、スポーツの「アシスト」という考えによく似ている。

ラストクリック以外の広告も貢献している

広告・マーケティング業界におけるアトリビューションについて、具体的な例を使って分かりやすく説明しよう。

リスティング広告

検索結果の画面で、検索キーワードに連動して表示される広告。検索連動型広告やSEMとも呼ばれる。Googleが運営するGoogleアドワーズ、Yahoo! JAPANが運営するYahoo!リスティング広告などがある。

アクセス解析

ユーザーがどういう経路でWebサイトに訪れたか、どのリンクをクリックしたのかなどを分析するためのツール。

例えば、あるインターネットユーザーがECサイトでパソコンを購入したとする。このユーザーはインターネットでパソコンを購入しようと考え始めたときに、ちょうどあるニュースサイトでメーカーA社の新型パソコンのバナー広告を見かけ、興味を持ったのでクリックし、新型パソコンのWebページに訪問した。その後、比較検討をした結果、そのA社のパソコンが最もいいと判断し、その製品名をキーワードとして検索エンジンで検索した。その検索結果で、リスティング広告の1位に掲載されていたA社の広告をクリックし、再度A社のページに訪問して購入を完了したとする。

この場合、旧来のアクセス解析やコンバージョン解析の考え方だと、最終的に購入するに至った施策(ラストクリック)は、リスティング広告ということになる。仮にこのパターンで1,000台売れたとすると、その成果はリスティング広告にしか割り振られず、最初に見かけたバナー広告がどれだけクリックされ、訪問客をサイトに送り込んだとしても、何の成果も挙げなかったことにされてしまう(図1-2-1)。

これまでの評価方法。仮に3回クリックが発生していても、ラストクリックのみが評価されていた。
図1-2-1 これまでの評価方法。仮に3回クリックが発生していても、ラストクリックのみが評価されていた。

そうすると、リスティング広告はコンバージョンの獲得効率がよく、バナー広告は悪いと判断される。その結果、広告全体の予算の中でリスティング広告に多く予算が割り振られ、バナー広告は少ない予算が割り当てられるか、まったく予算が割り当てられないというケースも出てくるだろう。しかしながら、実際はリスティング広告で購入に至る前に、バナー広告が購入行動に対して間接的に貢献していると考えられる。

つまり、今まで見過ごされていた「ラストクリックよりも前にユーザーに接触した施策」(このケースでは最初のバナー広告)に対しても貢献度を与え(アトリビュートし)、適切な施策の選定と予算配分を行うことで全体のコンバージョンを最大化する取り組みが「アトリビューション・マネジメント」ということである(図1-2-2)。

アトリビューションを考慮した評価方法。コンバージョンに貢献した施策を正しく評価できる。
図1-2-2 アトリビューションを考慮した評価方法。コンバージョンに貢献した施策を正しく評価できる。

スポーツにおける「アシスト」という考え方

より分かりやすい例で説明しよう。アトリビューションはスポーツを使って説明されることが多い。サッカーやアイスホッケー、野球といったスポーツにおいては「アシスト」というものが存在する。サッカーやアイスホッケーのアシストとは、試合での得点に結びつく有効なパスなどのプレーやそのパスを提供したプレーヤーに対して与えられる記録項目である。野球のアシストは、アウトが成立した場合、これに至る過程で有効な送球を行うなど、そのアウトの成立を補助したプレーやそのプレーを行った野手に対して与えられる。

特にアイスホッケーの場合は、複数のアシスト(2人まで)が公式記録とされるなど、アトリビューションに最も近いと思われるため、ここではアイスホッケーを例にとって説明する。

アイスホッケーの試合で得点が入ると、得点者とアシストが明確にアナウンスされる。アシストは得点が入ったときに決定的なパスなど明らかに手助けをしたと思われる場合に認められ、個人の成績としても記録される。また、パスを受けて直ちに放ったシュートがゴールキーパーにはじかれたとき、直後に別の選手がゴールにたたき返して得点した場合、結果的にははじかれてしまった最初のショットを放った選手に2人目のアシストが記録される。この連係プレーを生んだ2つのアシストを「ダブルアシスト」と呼ぶ。

まさに、これがアトリビューションの考え方である。

松井は偉くてイチローはだめか?

日本人メジャーリーガーを例にとってみよう。イチローはシングルヒットを大量に打つバッターで、松井は打点を稼ぐのが得意なバッターである。ラストクリック重視の考え方だと、打点が多い松井の評価が高くなる。それでは、もしイチローをメンバーから外したらどうなるだろうか? イチローのようなシングルヒットを確実に打つバッターもいないと、効果的に得点をあげることはできないはずだ。また、そのように正しく評価されているからこそ、イチローは起用され続けているのだ。

チームには松井のようなバッターも必要で、イチローのようなバッターも必要であり、それぞれのコンビネーションで得点力を高めていく。広告においても同様で、バナー広告やリスティング広告のコンビネーションでコンバージョン力を高めていくことができる。そのためには、ラストクリックだけを評価する現在のフレームワークを捨てて、初回、中間、ラストのそれぞれの貢献度を正当に評価するアトリビューションの考え方を採用することが必要となるのである。

アシストも重要であると認識する

前述のECサイトでパソコンを購入した例を再度考えてみよう。ユーザーがあるブログサイトでA社のパソコンのバナー広告を目にしたとする。ここでは見ただけで、クリックはしていない。そこで商品への認知があった後、ニュースサイトで再度A社のバナー広告を見て、今度はクリックし、A社のパソコンのページに訪問する。その際は購入には至らなかったが、その後、A社のパソコンが最もいいと判断し、以前バナー広告や商品ページで見た製品名をキーワードとして検索エンジンで検索。リスティング広告の1位に掲載されていたA社の広告をクリックして再度A社のページに訪問し、購入を完了したとする。バナー広告を見たこと別のサイトでのバナー広告のクリック。この2つがダブルアシストを行った結果、リスティング広告がラストクリックとなって購入(コンバージョン)に寄与したのである。

アイスホッケーでは、アシストも得点を入れることと同じくらい重要視されている。なぜなら、得点を入れるのも難しいが、得点を他人に入れさせるプレーも同等に、またはそれ以上に難しいと認識されているからである。アイスホッケーの世界の最高峰リーグであるNHLのプレーヤーに与えられる最高の栄誉の1つである「アート・ロス記念賞」は、シーズンにおいて最多ポイント数(ゴール数とアシスト数の合計)に贈られるトロフィーであることからもそれが理解できる。

アトリビューションにおいても同様で、ラストクリックの多かった施策ももちろん重要だが、購入決定に至るまでに接触したほかの施策についても記録や評価を行い、効果が認められた施策にはきちんと予算を配分することで、より多くの効果を期待できる

実際には、貢献した施策をどの程度重要視するかは、業種やビジネスモデル、接触施策の内容、接触期間などによって変わってくる。そのため、いくつか異なる重み付けをしたモデルを設計する必要がある。アトリビューション・モデルについてはChapter3で解説するが、まずはアシスト(貢献した施策)も重要であるということを認識することが肝要だ


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アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
  • アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
  • 著 田中弦 佐藤康夫 杉原剛 有園雄一
  • ISBNコード
    978-4844331841
  • インプレス
    書籍詳細情報

この記事は、書籍 『アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

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